TURVA はフィンランド語で「安全」(safety)を意味します。
Safety Case for the Disposal of Spent Nuclear Fuel at Olkiloto - Synthesis 2012
December 2012, Posiva 2012-12, Posiva Oy
処分地選定プロセスのどの段階で、どのような目的で実施された安全評価なのか…
ポシヴァ社は、2012年12月28日、使用済燃料の処分場の建設許可申請書を政府に提出した。建設許可申請においてポシヴァ社は予備的安全解析書(PSAR 2012)を取りまとめ、規制機関へ提出した。TURVA-2012は、PSAR 2012及びオルキルオト・サイトにおいて使用済燃料の処分を行う処分場の建設許認可に関する申請を支援するために、ポシヴァ社が作成したセーフティケースと位置付けられている。
TURVA-2012セーフティケースでは、計画中の処分システムが長期間にわたり放射能面で安全なものであることを示す論拠が取り扱われている。なおTURVA-2012は、使用済燃料定置後の処分システムの変遷、性能及び安全性を取り扱う長期的な放射線学的なセーフティケースを取り扱うものであり、安全性のその他の側面についてはPSAR等で取り扱われている。
原子力廃棄物の処分の安全性に関する政令(736/2008)においても、処分場の建設許可申請書及び操業許可申請書に伴って、セーフティケースを提出することが規定されている。なお、同政令において、セーフティケースは、
が規定されている。
ポシヴァ社は、セーフティケースを “ポートフォリオ” の構成で作成している。
フィンランドにおける原子力廃棄物処分場の長期的な安全確保の考え方は、人工バリアと母岩からなる多重バリア処分システムに基づくものである(図2)。
安全理念とは、これらの理念が全体として、使用済燃料の安全な処分をオルキルオト・サイトの現在及び将来の条件において達成することを目的として適用される方法の概念的な記述である。(図3)
使用済燃料に関連する放射性核種インベントリの閉じ込めは、まず燃料が密閉された(すなわち気密性及び水密性を伴う)銅-鉄製キャニスタに封入されることによってもたらされる。その他のEBS構成要素(すなわち緩衝材、埋め戻し材及び閉鎖)は、キャニスタが損傷のない状態を維持する上で有利に働くニアフィールド条件もたらすだけでなく、キャニスタに破損が生じた場合にも、当該キャニスタからの放射性核種の放出の速度を低下させるか、放出量を制限する役割を果たす。安全理念のその他の要素としては、十分な処分場深度、良好かつ予測の比較的容易な基盤岩及び地下水の条件、基盤岩とEBSの両方に関して十分な特性評価が行われている物質特性などが挙げられる(図3のシステムの鍵となる安全機能)。ポシヴァ社は、人工バリア・システム(EBS)と母岩の構成要素に各々安全機能を割り当てている(表2)。
表2 EBS構成要素及び母岩に割り当てられた安全機能
バリア | 安全機能 |
---|---|
キャニスタ | 使用済燃料の長期間にわたる閉じ込めを確保する。▶この安全機能は、キャニスタ鋳鉄インサートの力学的な強度とそれを取り囲む銅の耐食性に基づくものである。 |
緩衝材 | 予測の比較的容易でキャニスタにとって有利に働く力学的、地球化学的及び水理地質学的な条件に寄与する。▶キャニスタを、使用済燃料及び関連する放射性核種の完全な閉じ込めという安全機能を損なう可能性のある外的プロセスから保護する。▶キャニスタの破損が生じた場合にも、放射性核種の放出を制限し、遅延させる。 |
定置坑道埋め戻し材 | 緩衝材及びキャニスタにとって良好かつ予測の比較的容易な力学的、地球化学及び水理地質学的な条件に寄与する。▶起こり得るキャニスタ破損事象の発生後に、放射性核種放出を制限し、遅延させる。▶定置坑道周辺岩石の力学的な安定性に寄与する。 |
母岩 | 地表環境及び人間、植物及び動物にとっての通常の居住/生息地から使用済燃料処分場を隔離し、人間侵入の可能性を制限し、地表での様々な条件の変化から処分場を隔離する。▶人工バリアにとって良好かつ予測の比較的容易な力学的、地球化学及び水理地質学的な条件をもたらす。▶移行を制限し、処分場から放出される可能性のある有害物質の移動を遅延させる。 |
閉鎖材 | 地下開口部によって、地表環境及び人間、植物及び動物の通常の居住/生息地からの処分場の長期的な隔離が損なわれる事態を防止する。▶開口部を通じた重要な透水性流動経路の形成を防止することにより、その他の人工バリアにとって良好かつ予測の比較的容易な地球化学及び水理地質学的な条件に寄与する。▶処分場からの有害物質への流入及び放出を制限し、遅延させる。 |
ポシヴァ社が『セーフティケース中間概要報告書2009年』 1) を提出した後に、原子力規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、長期安全性及び操業安全性を明示する作業におけるポシヴァ社の準備状況と、「原子力廃棄物の処分の安全性に関する政令(736/2008)」を参照し、原子力廃棄物処分に関する安全要件の履行状況の評価を行った。
STUKは、一般的な指摘事項として、ポシヴァ社の安全性に関する情報の提示方法に一貫性がなく、場合によってはトレーサビリティの観点から問題があるとしている。また、ポシヴァ社が提出した資料は、推論及び分析の面で限界が見受けられるため、様々な要件が満たされていることを明示するため、さらには導き出された結論の立証を行う際に、不足点があることを指摘している。
TURVA-2012セーフティケースは、これらSTUKからの指摘事項を優先的に取扱うべき重要問題として考慮に入れ、作成されている。