スウェーデンにおける高レベル放射性廃棄物処分
スウェーデンでは1980年に原子力発電の是非を巡って国民投票が実施され、その結果を受けて原子力発電から段階的に撤退する政策がとられていました。4カ所の原子力発電所で合計12基の原子炉が導入されましたが、この政策に基づき、2基が営業運転を停止しました[1]。その後、地球温暖化問題に対応するために脱原子力政策は撤回されており、既設炉の建て替えに限った新設(リプレース)を認める法改正が2010年6月に行われました。
2011年3月の東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故後、炉心冷却能力強化等の規制強化を受けたコスト増のほか、電力需要の低迷予測を受けて、2015 年秋に原子力発電事業者2社が計4基の原子炉を2020年までに運転終了する計画を表明しました。このうち、出力増強に向けて改修中であったオスカーシャム原子力発電所2号機が営業運転に復帰することなく、2015年10月に閉鎖されました。
現在運転中の原子炉は8基であり、原子力発電はスウェーデンの消費電力の約35%を賄っています。
スウェーデンにおいて高レベル放射性廃棄物として処分される使用済燃料は、主に国内4カ所にある原子力発電所から発生しています。使用済燃料は各発電所で冷却(炉取り出し後約1年間)した後、SKB社が操業する「集中中間貯蔵施設」(CLAB)に輸送し、地下30メートルに設けられたプールで貯蔵されています。使用済燃料の輸送は、SKB社が自社の専用船で行っています。CLABにおける2016年末の貯蔵量は6,266トン(ウラン量換算)です。
スウェーデンでは、原子力発電所で発生した使用済燃料を再処理せずに、高レベル放射性廃棄物として地下約500mの深さの結晶質岩中に地層処分する方針です。電力会社が共同出資して設立したSKB社が処分実施主体です。
2015年 スウェーデン | 単位: 億kWh (=0.01 x GWh) |
総発電電力量 (Total Production) | 1,620.58 |
---|---|
- 輸入 (Imports) | 92.94 |
- 輸出 (Exports) | -318.94 |
国内供給電力量 (Domestic Supply) | 1,394.58 |
国内電力消費量 (Final Consumption) | 1,248.59 |
source: «Energy Statistics 2017, IEA» Sweden 2015:Electricity and Heat
source: World Nuclear Power Reactors & Uranium Requirements (WNA, 世界原子力協会)