諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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sa:tspa-la:methodology

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sa:tspa-la:methodology [2011/03/06 14:32] – [不確実性の取り扱い] t-yoshidasa:tspa-la:methodology [Unknown date] (現在) – 外部編集 (Unknown date) 127.0.0.1
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-[size=160%]**TSPA-LA (米国)**[/size]+<fs 160%>**TSPA-LA (米国)**</fs>
  
 ====== 安全評価の方法論について ====== ====== 安全評価の方法論について ======
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-{{http://www2.rwmc.or.jp/images/misc/faq01/q02.gif}}安全評価はどのように行っているのですか...+{{http://www2.rwmc.or.jp/images/misc/faq01/q02.gif?nolink}}安全評価はどのように行っているのですか...
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 ===== 安全評価の進め方 ===== ===== 安全評価の進め方 =====
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 ===== FEP ===== ===== FEP =====
  
-トータルシステム性能評価(TSPA)においては、処分場において起こりうる事象やプロセスの発生の可能性とその確率、線量への影響度、評価の信頼性(不確実性)を評価するために、ユッカマウンテンサイトにおける特徴、事象、プロセス(FEP)検討された+トータルシステム性能評価(TSPA)においては、処分場において起こりうる事象やプロセスの発生の可能性とその確率、線量への影響度、評価の信頼性(不確実性)を評価するために、ユッカマウンテンサイトにおける特徴、事象、プロセス(FEP)検討している
  
-処分システムの長期的性能に関連する可能性があるFEPのうち、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)の国際FEPデータベースのFEPリストの活用、初期FEPを特定するための専門家を交えたブレーンストーミング、プロジェクト特有のFEPを特定するための一般的論理ダイヤグラムの作成、国際FEPデータベースと関連付けるためのFEPの再検討により、374のFEPで構成される許認可申請用の包括的FEPリスト作成された+処分システムの長期的性能に関連する可能性があるFEPのうち、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)の国際FEPデータベースのFEPリストの活用、初期FEPを特定するための専門家を交えたブレーンストーミング、プロジェクト特有のFEPを特定するための一般的論理ダイヤグラムの作成、国際FEPデータベースと関連付けるためのFEPの再検討により、374のFEPで構成される許認可申請用の包括的FEPリスト作成している
  
  
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-● 上部天然バリア\\   +=== ● 上部天然バリア ===  
- TSPAにおける不飽和帯流動モデルの抽象化は、二重間隙モデルを適用したサイトスケールの3次元地下水流動解析モデルによって生成される16個の定常流動場からなる。現在から1万年間の期間については、以下の3種類の気候条件を考慮し、それぞれ正味の浸透量の確率論的評価の代表的4パターン(リアライゼーションの10、30、50、90パーセンタイル)から12個の定常流動場を設定している。 +  
-現在の気候(現在~600年後) +TSPAにおける不飽和帯流動モデルの抽象化は、二重間隙モデルを適用したサイトスケールの3次元地下水流動解析モデルによって生成される16個の定常流動場からなる。現在から1万年間の期間については、以下の3種類の気候条件を考慮し、それぞれ正味の浸透量の確率論的評価の代表的4パターン(リアライゼーションの10、30、50、90パーセンタイル)から12個の定常流動場を設定している。 
-モンスーン気候(600年後~2,000年後) + 
-間氷期気候(2,000年後~1万年後)+  * 現在の気候(現在~600年後) 
 +  モンスーン気候(600年後~2,000年後) 
 +  間氷期気候(2,000年後~1万年後) 
 1万年以降の期間については、正味の浸透量の評価はせず10 CFR 63.342(C)(2)で規定される深部浸透フラックス(浸透フラックスの平均価13~64mm/yの対数正規分布)を用い4種類の定常流動場を設定している。 1万年以降の期間については、正味の浸透量の評価はせず10 CFR 63.342(C)(2)で規定される深部浸透フラックス(浸透フラックスの平均価13~64mm/yの対数正規分布)を用い4種類の定常流動場を設定している。
  
-● 人工バリアシステム\\  +=== ● 人工バリアシステム ===
- 民間の使用済燃料は、燃料マトリクスの劣化、溶解速度に従う核種放出を想定し、DOEの使用済燃料のうち海軍の被覆管を含む使用済燃料はTSPAでは保守側に民間の使用済燃料パッケージと同じ取扱いとしているが、その他のDOEの使用済燃料は保守側に瞬時放出を仮定している。また、ガラス固化体については、ガラスの調和溶解による核種放出を設定している。 +
- 廃棄物からの核種放出は、坑道内に地下水が到達後直ちに開始されるのではなく、不飽和帯中の処分坑道で生じる、キャピラリーバリア効果と核種の崩壊熱による蒸発により放出開始時期が遅れると考えている。初期過渡期の環境は、①崩壊熱による高温期、②坑道壁の温度が水の沸点以下となる移行期間、③坑道壁と廃棄物パッケージの温度が更に低下し、局部腐食が発生しなくなる状態までに達する期間(~12,000年)の3段階があり、①の段階でも処分場のレイアウト次第で数百年~数千年以上続くと予想している。人工バリアシステム内の核種移行では、核種の溶解度制限、移流・拡散、遅延、コロイド状核種の移行を考慮している。+
  
-● 下部天然バア\\  +民間の使用済燃料は、燃料マトクスの劣化、溶解速度従う核種放出を想定し、DOEの使用済燃料のうち海軍の被覆管を含む使用済燃料はTSPAでは保守側民間の使用済燃料パッケージと同じ取扱としているが、そ他のDOEの使用済燃料保守側に瞬時放出仮定している。また、ガラス固化体については、ガラスの調和溶解による核種放出を設定している。
- 下部天然バリアおける不飽和帯流動ついては、上部天然バリアと同じものが用られている。処分場から接近可能環境まで飽和帯流動、処分場下の火山岩中は二重間隙モデル、沖積層と渓谷堆積物ついては多孔質媒体モデル適用している。 +
- 飽和帯中の核種移行では、移流・分散(分子拡散を含む)、火山岩中のマトリク拡散、核種吸着、コロイド状核種の移行、核種の崩壊・連鎖が考慮されている。+
  
-● 生物圏\\  +廃棄物からの核種放出は、坑道内に地下水が到達後直ちに開始されるのではなく、不飽和帯中の処分坑道でじる、キャピラリーバリア効果と核種の崩壊熱による蒸発により放出開始時期が遅れると考えている。初期過渡期の環境は、①崩壊熱による高温期、②坑道壁の温度が水の沸点以下となる移行期間、③坑道壁と廃棄パッケージの温度が更に低下し、局部腐食が発生しなくなる状態までに達する期間(~12,000年)の3段階があり、①の段階でも処分場のレイアウト次第で数百年~数千年以上続くと予想している。人工バリアシステム内の核種移行では、核種の溶解度制限、移流・拡散、遅延、コロイド状核種の移行を考慮している。 
- TSPAモデルの生モデルは、生物圏サブモデル内の生物圏線量換算係数(BDCF)用いて合理的に最大の被ばくを受ける個人RMEIの年間放射線量を推定する。生物圏モデルはユッカマウンテンネバタERMYNに対する環境放射線モデを適ている。BDCFは個々の護基準の遵守を評価するのに必要な総年間線量の期待値を計算するために必要な潜在被ばく経路(摂取、吸入、外部被ばくからの線量寄与が含まれている。+ 
 +=== ● 下部天然バリア === 
 +  
 +下部天然バリアにおける不飽和帯流動については、上部天然バリアと同じものが用いられている。処分場から接近可能環境までの飽和帯流動は、処分場下側の火山岩中は二重間隙モデル、沖積層と渓谷堆積については多孔質媒体モデルを適用している。 
 + 
 +飽和帯中の核種移行では、移流・分散(分子拡散を含む)、火山岩中のマトリクス拡散、核種の吸着、コロイド状核種の移行、核種の崩壊・連鎖が考慮されている。 
 + 
 +=== ● 生物圏 === 
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 +生物圏モデルは処分場を起源とし生物圏に至る放射性核種の移行追跡し、地下水や火山灰が混ざった表土に含まれる単位放射性核種濃度あたりの合理的に最大の被ばくを受ける個人(RMEI)の年間放射線量(生物圏線量換算係数BDCF)を推定する。生物圏モデルはユッカマウンテンサイト周辺地域の生物圏システム、及び関連する化学プロセス、物理プロセス、生物学プロセスを記述する包含FEPを使用し参照生物圏レファレンスバイオスフェア、および生物圏モデルで放射線学的影響を受けるものとして描写されるREMIを定義することにより構築されている。参照生物圏やREMIの定義には、ユッカマウンテンサイトの南側にある接近可能環境に隣接するアマゴサバレーの住民の食生活や生活様式の特性が利されている。TSPAモデル生物圏モデルから得られる生物圏線量換算係数と地下水と表土の核種濃度から個々の護基準の遵守を評価するのに必要な潜在被ばく経路(摂取、吸入、外部放射線)の予測年間合計線量を計算する。
  
 評価には、不確定な入力変数を任意にサンプリングし、その結果に基づいて全てのサブモデルに対応する解析コードの計算を実施することにより、概念モデルを統合して管理するGoldSimコードが用いられている。サブモデルには、例えば不飽和帯の移行に用いるFEHMコード、廃棄物パッケージの劣化現象を取り扱うWAPDEGコードなどの外部サブルーチンを動的DLLとして参照することができる。 GoldSimの計算結果から年間線量曲線の計算には、EXDOC_LAが用いられている。年間線量は、例えば平均値及び中央値の年間線量曲線として出力される。 評価には、不確定な入力変数を任意にサンプリングし、その結果に基づいて全てのサブモデルに対応する解析コードの計算を実施することにより、概念モデルを統合して管理するGoldSimコードが用いられている。サブモデルには、例えば不飽和帯の移行に用いるFEHMコード、廃棄物パッケージの劣化現象を取り扱うWAPDEGコードなどの外部サブルーチンを動的DLLとして参照することができる。 GoldSimの計算結果から年間線量曲線の計算には、EXDOC_LAが用いられている。年間線量は、例えば平均値及び中央値の年間線量曲線として出力される。
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 ===== 不確実性の取り扱い ===== ===== 不確実性の取り扱い =====
  
- 不確実性は、ユッカマウンテン処分場周辺の地質、環境予測中に存在し、TSPAで追加データや知見の取得によって低減できない偶発的不確実性と決定論的である信じられている、もしくは確率分布についての知不足に由来す認識論的不確実性に区別している。前者は解析者の努力によって対処が不可能な不確実であり、後者は必ずしも可能でないにしても対処できる可能性が存在する不確実である。 +TSPAでは、偶発的不確実性と認識論的不確実性の2種類不確実性を取り扱っている。偶発的不確実性は追加データや知見の取得によって低減できない不確実性であり、認識論的不確実性は不変考えているパラメータや確率分布の知不足から生じる不確実性である。偶発的不確実性は解析者の努力によって対処が不可能な不確実であり、認識論的不確実性は必ずしも可能でないにしても不確実性に対処できる可能性が存在する不確実である。  
- 確率論的手法を用いるTSPAでは、偶発的不確実性も認識論的不確実性も事象の発生確率やパラメータの確率密度関数入力データとすることにより線量評価に取り込み、線量評価の結果である年間線量曲線は不確実性の信頼区間を考慮して表記される。認識論的不確実性は、データの入力において直接的に線量評価に取り込まれる。一方、偶発的不確実性については確率や度合いの分布範囲を超えない保守側の設定をすることにより線量評価に取り込まれる。+ 
 +確率論的手法を用いるTSPAでは、不確実性を考慮したモデルを使用する、または偶発的不確実性も認識論的不確実性も事象の発生確率やパラメータの確率密度関数として入力することにより線量評価に取り込み、線量評価の結果である年間線量曲線は不確実性の信頼区間を考慮して表記される。認識論的不確実性は、データの入力において直接的に線量評価に取り込まれる。一方、偶発的不確実性については確率や度合いの分布範囲を超えない保守側の設定をすることにより線量評価に取り込まれる。 
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 10 CFR 63.114(a)(2)節では、TSPAでの入力パラメータは、データの不確実性と変動性を適切に取り扱って設定されることが規定されており、品質保証の一環として、 10 CFR 63.114(a)(2)節では、TSPAでの入力パラメータは、データの不確実性と変動性を適切に取り扱って設定されることが規定されており、品質保証の一環として、
   * パラメータの表現が不確実性または変動性の主因を反映していることの確認   * パラメータの表現が不確実性または変動性の主因を反映していることの確認
sa/tspa-la/methodology.1299389575.txt.gz · 最終更新: 2011/03/06 14:32 (外部編集)