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原子力の平和利用及びその危険の防護に関する法律(1959.12.23 /2002.04.22)〔原子力法〕【2】の第9a条は「連邦(政府)は、放射性廃棄物に対する安全防護及びその最終処分のための施設を建設しなければならない」と、処分場の建設・操業は連邦の責任であるとしている。これを受けて、「連邦放射線防護庁(BfS)の設置に関する法律(1989.10.9/1990.9.25)」(BfS設置法)【10】の第2条は、処分場の建設・操業だけでなく、そのための科学的研究の推進も連邦放射線防護庁(BfS)の役割としている。
また、1979年には、「原子力発電所のバックエンドに関する連邦と州の首相の間の1979年9月28日の決議」(連邦と州のバックエンド決議)【5】が行われており、ドイツの放射性廃棄物処分の基本方針が示されている。 1998年以降の政策変更を受けて、原子力発電からの撤退は原子力法の規定に織り込まれたが、処分に関する具体的な計画について規定した法令は制定されていない。【2】
連邦と州首相のバックエンドに関する決議(連邦官報)
「2.1計画」に記載のとおり、原子力法第9a条により、放射性廃棄物処分場の設置責任は連邦にあると定められ、さらに連邦放射線防護庁(BfS)設置法第2条によって、具体的には連邦放射線防護庁(BfS)が処分場の建設・操業とそのための科学的研究を行うと規定されている。原子力法第9a条ではまた、上記の処分場設置の義務を果たすために、連邦は第三者に委託をすることができると規定している。この第三者は、原子力法第23条によって連邦放射線防護庁(BfS)の監督下に置かれる。【2,10】
ドイツにおける処分事業の実施体制図
原子力法では、第21a条において放射性廃棄物処分場の利用に当たっては引渡義務を有する者から料金を徴収すること、第21b条において、放射性廃棄物処分場の設置までに要する資金は処分場の利用によって利益を享受する者から分担金を徴収することと、いわゆる発生者負担の原則が規定されている。【2,7】
特に、処分場の開発には何年も前から多額の資金の支出を必要とすることから、原子力法第21b条に基づき、前倒しで資金を確保するための「放射性廃棄物の管理及び最終処分のための連邦の施設設置に備えた前払金に関する政令」(最終処分場設置の前払金令)【7】が制定されている。同政令の第1条では前払いの分担金徴収者は処分事業の実施主体の連邦放射線防護庁(BfS)であること、第2条では分担金の拠出者は原子力発電プラント等の許認可取得者・申請者であること、第3条では分担金の前払いで確保された資金の用途、第4条では分担金の分担割合などが規定されている。【2,7】
また、原子力法に規定された放射性廃棄物管理及び引渡義務、費用支出義務を有する電気事業者については、ドイツ商法典第249条の規定により、不確定債務に対する引当金を計上する原則が規定されている。【1,2】
ドイツでは、サイト選定手続きを規定する特別な法律はない。原子力法第9b条において、最終処分に責任を負う連邦政府は、サイトの適合性を確認した場合、処分場の建設及び操業には、関連する許認可申請を包括的な形で審査する計画確定手続 (詳細はこちら) を必要とすることが規定されている。なお、地下探査を含んだサイト調査は、「鉱山に関する連邦の法律」(鉱山法)【6】の許可を得て行われる。【21】
サイト選定において、1977年7月に、当時の実施主体であった連邦物理・技術研究所(PTB)は、ゴアレーベンにおける処分場建設の計画確定手続 (詳細はこちら) の申請を行っている。その後、1979年9月の「原子力発電所のバックエンドに関する連邦と州の首相の間の1979年9月28日の決議」(連邦と州のバックエンド決議)【5】において、ゴアレーベンにおける調査の継続が確認されている。
このようにドイツでは、ゴアレーベンに最終処分場を建設する計画で調査が続けられてきたが、1998年に成立した社会民主党と緑の党の連立政権はゴアレーベン・プロジェクトに疑問を示し、サイト選定手続委員会(AkEnd)を設置してサイト選定の要件や手続のあり方の再検討を行った。2002年12月にサイト選定手続委員会(AkEnd)から最終報告が公表されており、この報告を受けて連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)は公開の場での協議を経たのちサイト選定手続を法的拘束力のある形で決定する予定を示した。連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)は、2005年6月にサイト選定手続に関する法令の草案を公表している。しかし、これは、予定されていた公開の討論を経たものではなく、会期の関係などから、議会への提出も行われていない。【23,27,30,45】
ドイツにおける処分事業の流れと許認可手続
原子力法【2】第9b条は、最終処分場の許認可手続の枠組みにおいて環境適合性の評価(他の国で言う環境影響評価)を実施する必要があると規定している。この環境適合性評価手続は、「環境適合性の審査に関する法律」(環境適合性審査法)【12】、「環境適合性審査法施行のための一般行政規則」(環境適合性審査法施行規則)【15】及び「鉱山事業の環境適合性審査に関する政令」(鉱山事業の環境適合性審査令)【13】において規定されている。
なお、環境適合性審査法は、欧州連合の指令97/11/ECを受けて、2001年に大幅に改正された。【12】
環境影響評価の流れ
高レベル放射性廃棄物処分の安全規制(安全評価を含む)、安全確保のための主要な法令のうち、処分場に限らず原子力施設全般を対象にしたものとして、原子力施設の許認可手続及び許認可要求事項の概括的な考え方を規定した原子力法【2】、電離放射線に起因する危険からの防護の側面を規定した「放射線の危険の防護に関する政令」(放射線防護令)【3】及び「放射線防護令第45条(原子力施設からの放射性物質の放出による被ばく線量限度)に関する一般行政規則」(被ばく線量限度規則)【11】などがある。
また、処分場に限定した形で、その安全規制、安全確保を図るための基準として、「鉱山における放射性廃棄物の最終処分に関する安全基準」(放射性廃棄物処分の安全基準)【8】があり、放射性廃棄物の最終処分場の立地、建設、操業、閉鎖を取り扱う主要規則となっていた。しかし、放射性廃棄物処分の安全基準については、連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)が中心となって改訂に向けた動きを進め、2009年7月に「発熱性放射性廃棄物の最終処分のための安全要件」が策定された【34】。なお、ゴアレーベンでの探査再開に先立ち、BMUはゴアレーベン・サイトへのこの安全要件の適用についてにニーダーザクセン州を含む各州の政府と協議し、その結果、2010年9月に安全要件の一部が改訂された。改訂された安全要件では、100万年を評価目安期間として、線量基準が規定されている。【40,45】
なお、原子炉安全委員会(RSK)の「放射性廃棄物の最終処分の長期安全評価に関する時間的枠組み」(長期安全評価の時間的枠組み)【9】は、処分場の長期安全評価において定量的に検討すべき評価期間を特定するための特別勧告であるが、法的拘束力を持つものではない。【26,45】