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スイスでは、すべての使用済燃料を再処理し、発生する高レベル放射性廃棄物を処分することが基本路線となっていたが、1992年から使用済燃料を再処理せずに直接処分することも高レベル放射性廃棄物処分と同等のオプションとして扱われている。そのため、海外での再処理によって発生し返還される高レベル・ガラス固化体及び廃棄物としての使用済燃料が同一の処分場に処分される計画となっている。また、主として再処理に伴って発生する長寿命中レベル放射性廃棄物についても同じ処分場への処分が想定されている。なお、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料については、少なくとも40年間中間貯蔵を行った後に最終処分されることになっている。【7,12】
スイスでは原子力法で、放射性廃棄物発生者の廃棄物の管理責任が規定されている。放射性廃棄物の発生者である原子力発電所を所有・運転する電力会社などは、1972年に共同で放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)を設立し、同組合が放射性廃棄物の地層処分へ向けた地質調査などの放射性廃棄物の安全な長期管理の実現のために必要な科学的及び技術的基盤の整備を行ってきている。【15,39】
スイスでは高レベル放射性廃棄物処分の実現可能性実証のために、主に結晶質岩と、堆積岩のオパリナス粘土という2種類の候補岩種を対象とした調査が行われてきた。【12】
結晶質岩については、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が、1985年の「保証プロジェクト」報告書に続き、1994年に「クリスタリン(Kristallin)-Ⅰ:スイス北部の結晶質岩における高レベル放射性廃棄物処分場の立地に対する地域調査プログラムの結論」報告書を公表し、この岩種での処分が実現可能であることを示している。また堆積岩のオパリナス粘土については、チューリッヒ州ベンケンにおけるボーリング調査結果などに基づき、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が、チュルヒャー・ヴァインラントにおける同地層での処分の実現可能性を示した「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書を2002年末に連邦評議会へ提出した。 2006年6月に連邦評議会は、処分の実現可能性が実証されたことを承認し、スイスにおいて高レベル放射性廃棄物、使用済燃料及び長寿命中レベル放射性廃棄物を安全に地層処分することが、原則的に可能であることを確認している。【8,21,39】
スイスでは2008年4月に、サイト選定手続や基準を定めた特別計画「地層処分場」が策定され、同年10月に放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)により処分場の候補サイト地域が提案され、サイト選定が実施されている。今後、同計画に示されたサイト選定手続に従い、2018年頃に処分場サイトを決定し、2050年頃に処分場の操業が開始されることが見込まれている。【24,26,27,28】
スイスでは、2003年5月に現行の原子力法が公布され、2004年12月に制定された原子力令とともに、2005年2月に施行された。同法では、放射性廃棄物管理義務者に対し廃棄物の種類や量、処分場建設の実施計画等を記述した「放射性廃棄物管理プログラム」の作成を義務付けているほか、2006年7月以降10年間の使用済燃料の再処理凍結、高レベル放射性廃棄物処分場を含む原子力施設の概要承認(詳細はこちら)や建設・操業・閉鎖許可が、連邦政府によってのみ発給されることなどが規定されている。放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2008年10月に「放射性廃棄物管理プログラム」を連邦政府に提出した。【15,16,18,24,39】
高レベル放射性廃棄物処分の実施スケジュール
スイスにおける原子力発電は、設備容量が約322万kWで全発電容量の約17%であり、発電電力量は約279億kWhで総発電電力量の約42%となっている(2007年、【35】)。原子力発電所は、北東スイス発電会社のベツナウ原子力発電所、ゲスゲン・デニケン原子力発電会社のゲスゲン原子力発電所、ライプシュタット原子力発電会社のライプシュタット原子力発電所、BKW FMBエネルギー社のミューレベルク原子力発電所で、計5基の原子炉が運転中である。【33】