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hlw:us:chap4 [2014/01/14 18:29] – [ブルーリボン委員会の勧告] sahara.satoshi | hlw:us:chap4 [2018/05/02 12:55] (現在) – sahara.satoshi | ||
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*<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
*<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
- | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | + | *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</ |
*<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
- | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | + | *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</ |
- | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | + | |
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- | * 1982年放射性廃棄物政策法では、処分候補地として3地点を選定してサイト特性調査を実施することが規定されていましたが、1987年放射性廃棄物政策修正法が成立し、ユッカマウンテンが唯一のサイト特性調査を実施する処分候補地となりました。その後、1999年にドラフト環境影響評価書(DEIS)が公表され、2002年2月にはエネルギー長官が大統領に最終処分場サイトとしてユッカマウンテンを推薦し、翌日には大統領が連邦議会に推薦を通知しました。2002年4月にはネバダ州知事が不承認を連邦議会に通知しましたが、これを覆す立地承認決議案が2002年7月に可決され、大統領の署名を得て法律となり、ユッカマウンテンが処分場サイトとして決定されました。 | + | * 1982年放射性廃棄物政策法では、処分候補地として3地点を選定してサイト特性調査を実施することが規定されていましたが、1987年放射性廃棄物政策修正法が成立し、ユッカマウンテンが唯一のサイト特性調査を実施する処分候補地となりました。 |
+ | * その後、1999年にドラフト環境影響評価書(DEIS)が公表され、2002年2月にはエネルギー長官が大統領に最終処分場サイトとしてユッカマウンテンを推薦し、翌日には大統領が連邦議会に推薦を通知しました。2002年4月にはネバダ州知事が不承認を連邦議会に通知しましたが、これを覆す立地承認決議案が2002年7月に可決され、大統領の署名を得て法律となり、ユッカマウンテンが処分場サイトとして決定しました。 | ||
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===== 処分場サイト選定の状況と枠組み ===== | ===== 処分場サイト選定の状況と枠組み ===== | ||
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1957年に全米科学アカデミー(NAS)より地層処分が妥当であるとの検討結果が示されており、1980年に公表された「商業活動から発生した放射性廃棄物管理に係る最終環境影響評価書」(FEIS)と、これに伴い開催された公聴会を経て、エネルギー省(DOE)は処分の基本方針を決定しました。 | 1957年に全米科学アカデミー(NAS)より地層処分が妥当であるとの検討結果が示されており、1980年に公表された「商業活動から発生した放射性廃棄物管理に係る最終環境影響評価書」(FEIS)と、これに伴い開催された公聴会を経て、エネルギー省(DOE)は処分の基本方針を決定しました。 | ||
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1982年放射性廃棄物政策法により、実施主体としてDOEの民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)が設置され、米国の処分政策の枠組みが定められました。 | 1982年放射性廃棄物政策法により、実施主体としてDOEの民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)が設置され、米国の処分政策の枠組みが定められました。 | ||
- | DOEは、1983年に9カ所の候補サイトを選定し(ユタ州ラベンダーキャニオン、ユタ州デービスキャニオン、ミシシッピー州サイプレスクリークドーム、ネバダ州ユッカマウンテン、ミシシッピー州リッチトンドーム、テキサス州デフスミス、テキサス州スウィッシャー、ルイジアナ州バチェリードーム、ワシントン州ハンフォード)、翌1984年にはこれらの候補サイトについての「環境アセスメント案(DEA)」が公表され、公聴会が開催されています。1986年に、DOEはサイト特性調査の実施に適したサイトとして5カ所(デービスキャニオン、ユッカマウンテン、リッチトンドーム、デフスミス、ハンフォード)を指定し、このうち3カ所(ユッカマウンテン、デフスミス、ハンフォード)をエネルギー長官が大統領に推薦し、大統領の了承を得ました。 | + | DOEは、1983年に9カ所の候補サイトを選定し(ユタ州ラベンダーキャニオン、ユタ州デービスキャニオン、ミシシッピー州サイプレスクリークドーム、ネバダ州ユッカマウンテン、ミシシッピー州リッチトンドーム、テキサス州デフスミス、テキサス州スウィッシャー、ルイジアナ州バチェリードーム、ワシントン州ハンフォード)、翌1984年にはこれらの候補サイトについての「環境アセスメント案」(DEA)が公表され、公聴会が開催されています。1986年に、DOEはサイト特性調査の実施に適したサイトとして5カ所(デービスキャニオン、ユッカマウンテン、リッチトンドーム、デフスミス、ハンフォード)を指定し、このうち3カ所(ユッカマウンテン、デフスミス、ハンフォード)をエネルギー長官が大統領に推薦し、大統領の了承を得ました。 |
しかし、1987年には、放射性廃棄物政策修正法が成立し、サイト特性調査を行う処分候補地としてユッカマウンテン1カ所が指定されました。その後、スケジュールが大幅に遅れて予算も削減される中で、DOEはプログラムの見直しを行い、ユッカマウンテンがサイトとして実現可能であることを示す「実現可能性評価(VA)報告書」を1998年に公表しています。その翌年の1999年には、ユッカマウンテン処分場開発の「ドラフト環境影響評価書」(DEIS)が公表され、そのための公聴会も開催されました。 | しかし、1987年には、放射性廃棄物政策修正法が成立し、サイト特性調査を行う処分候補地としてユッカマウンテン1カ所が指定されました。その後、スケジュールが大幅に遅れて予算も削減される中で、DOEはプログラムの見直しを行い、ユッカマウンテンがサイトとして実現可能であることを示す「実現可能性評価(VA)報告書」を1998年に公表しています。その翌年の1999年には、ユッカマウンテン処分場開発の「ドラフト環境影響評価書」(DEIS)が公表され、そのための公聴会も開催されました。 | ||
- | 2001年に、大統領へのサイト推薦に必要な情報を含んだ「ユッカマウンテン科学・工学報告書」、「予備的サイト適合性評価報告書」が公表され、DOEはパブリックコメント期間中にサイト周辺地域を中心とした約20カ所でサイト推薦に関する公聴会を開催しています。一方で、サイト推薦のためのDOEによる規則「サイト推薦一般指針及びユッカマウンテン・サイト適合性指針(10 CFR Part 960 及び10 CFR Part 963)」は、2001年11月に策定されました。 | + | 2001年に、大統領へのサイト推薦に必要な情報を含んだ「ユッカマウンテン科学・工学報告書」「予備的サイト適合性評価報告書」が公表され、DOEはパブリックコメント期間中にサイト周辺地域を中心とした約20カ所でサイト推薦に関する公聴会を開催しています。一方で、サイト推薦のためのDOEによる規則「サイト推薦一般指針及びユッカマウンテン・サイト適合性指針(10 CFR Part 960 及び10 CFR Part 963)」は、2001年11月に策定されました。 |
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最終的なサイト推薦・決定は、右の図のような流れで行われ、大統領の推薦に対するネバダ州の不承認通知が行われましたが、立地承認決議案が連邦議会で可決され、大統領の署名を得て、ユッカマウンテン・サイトの法的決定手続は終了しました。エネルギー長官によるネバダ州知事へのサイト推薦決定の通知に始まるこれら一連の手続は、全て1982年放射性廃棄物政策法に定められているものです。 | 最終的なサイト推薦・決定は、右の図のような流れで行われ、大統領の推薦に対するネバダ州の不承認通知が行われましたが、立地承認決議案が連邦議会で可決され、大統領の署名を得て、ユッカマウンテン・サイトの法的決定手続は終了しました。エネルギー長官によるネバダ州知事へのサイト推薦決定の通知に始まるこれら一連の手続は、全て1982年放射性廃棄物政策法に定められているものです。 | ||
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また、2004年4月に告示された鉄道敷設等の環境影響評価に加え、処分場施設の設計変更等に伴う補足環境影響評価が実施されており、2008年6月には最終補足環境影響評価書が公表されています。 | また、2004年4月に告示された鉄道敷設等の環境影響評価に加え、処分場施設の設計変更等に伴う補足環境影響評価が実施されており、2008年6月には最終補足環境影響評価書が公表されています。 | ||
+ | なお、ユッカマウンテン計画に対するネバダ州の反対は根強く、政治情勢も影響して現政権のユッカマウンテン計画中止の方針に繋がりましたが、ユッカマウンテンが立地するネバダ州のナイ郡は、ユッカマウンテン計画を支持し、復活に向けた取り組みを見せています。 | ||
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====== 4.2 ブルーリボン委員会の勧告を受けた処分計画 ====== | ====== 4.2 ブルーリボン委員会の勧告を受けた処分計画 ====== | ||
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- | * 現政権のユッカマウンテン計画の中止の方針を受け、バックエンド政策の検討を行ったブルーリボン委員会がまとめた報告書では、同意に基づくサイト選定プロセスが重要との考え方が示されました。この勧告を受けて、エネルギー省(DOE)及び連邦議会において、同意に基づくサイト選定プロセスについて法制化に向けた具体的な検討が行われています。 | + | * オバマ前政権によるユッカマウンテン計画の中止の方針を受け、バックエンド政策の検討を行ったブルーリボン委員会がまとめた最終報告書では、同意に基づくサイト選定プロセスが重要との考え方が示されました。この勧告を受けて、エネルギー省(DOE)及び連邦議会において、同意に基づくサイト選定プロセスについて法制化に向けた具体的な検討が行われました。 |
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===== エネルギー省(DOE)や連邦議会での検討 ===== | ===== エネルギー省(DOE)や連邦議会での検討 ===== | ||
- | ブルーリボン委員会が最終報告書で勧告した同意に基づく立地プロセスは、DOE や連邦議会における検討でも、その方針が受け継がれています。 | + | [48%{{ : |
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- | 連邦議会上院に上程された「2013年放射性廃棄物管理法」の法案では、以下のような流れでのサイト選定の進め方が規定されています。この手続は、一部を簡略化した形で、中間貯蔵施設のサイト選定についても適用されます。 | + | <fs 90%> |
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+ | ブルーリボン委員会が最終報告書で勧告した同意に基づく立地プロセスは、DOEや連邦議会における検討でも、その方針が受け継がれています。連邦議会上院に上程された「2015年放射性廃棄物管理法」の法案では、以下のような流れでのサイト選定の進め方が規定されています。この手続は、一部を簡略化した形で、中間貯蔵施設のサイト選定についても適用されます。 | ||
なお、同法案では、複数のサイト候補から選定を行う場合、例えば中間貯蔵施設と処分場など、複数の施設の立地を希望するサイトが優先されることになっています。 | なお、同法案では、複数のサイト候補から選定を行う場合、例えば中間貯蔵施設と処分場など、複数の施設の立地を希望するサイトが優先されることになっています。 | ||
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- | * 立地地域への財政支援として、1982年放射性廃棄物政策法においては、立地を受け入れたネバダ州と関係10郡に対し、使用目的の制限がない補助金交付や、国が行う処分場開発投資に対する課税相当額を補填する制度が創設されています。 | + | * 立地地域への財政支援として、1982年放射性廃棄物政策法においては、立地を受け入れたネバダ州と関係10郡に対し、使用目的の制限がない補助金の交付や、国が行う処分場開発投資に対する課税相当額を補填する制度が創設されています。 |
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===== 制度的な支援 ===== | ===== 制度的な支援 ===== | ||
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- | ===<州等の参加を支える財政支援(第116条(c))>=== | + | ====<州等の参加を支える財政支援(第116条(c))>==== |
1982年放射性廃棄物政策法の第116 条(c)に基づく特別の財政措置には、補助金の交付と課税相当額(PETT)の補填という2 種類があります。課税相当額とは、処分場開発活動は連邦政府が行うために州の売上税等の課税対象とはならないことから、仮に課税が認められるとした場合の税収相当額を放射性廃棄物基金(NWF)から州に補填するという制度です。 | 1982年放射性廃棄物政策法の第116 条(c)に基づく特別の財政措置には、補助金の交付と課税相当額(PETT)の補填という2 種類があります。課税相当額とは、処分場開発活動は連邦政府が行うために州の売上税等の課税対象とはならないことから、仮に課税が認められるとした場合の税収相当額を放射性廃棄物基金(NWF)から州に補填するという制度です。 | ||
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- | ===<処分場の受け入れに対する給付(第170 条)>=== | + | ====<処分場の受け入れに対する給付(第170 条)>==== |
ユッカマウンテン・サイトへの処分場立地をネバダ州が受け入れた場合、州や自治体等は、その見返りとして使用目的に制限のない特別の資金給付を受けることができます。この資金給付は、DOEと州が契約を結ぶことにより決定されますが、その交渉では関係する自治体等とも協議を行うこととされ、金額の3分の1以上は州から自治体等に分配されることが決められています。なお、この契約を結んだ後は、大統領が連邦議会に対してサイト推薦を行う際に州は反対できなくなります。 | ユッカマウンテン・サイトへの処分場立地をネバダ州が受け入れた場合、州や自治体等は、その見返りとして使用目的に制限のない特別の資金給付を受けることができます。この資金給付は、DOEと州が契約を結ぶことにより決定されますが、その交渉では関係する自治体等とも協議を行うこととされ、金額の3分の1以上は州から自治体等に分配されることが決められています。なお、この契約を結んだ後は、大統領が連邦議会に対してサイト推薦を行う際に州は反対できなくなります。 | ||
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1982年放射性廃棄物政策法で定められた給付金額は右に示す通りであり、契約を締結してから処分場が閉鎖されるまで毎年、さらに処分場が操業を開始するときには一時金が支払われます。これらの給付は、放射性廃棄物基金(NWF)から行われます。 | 1982年放射性廃棄物政策法で定められた給付金額は右に示す通りであり、契約を締結してから処分場が閉鎖されるまで毎年、さらに処分場が操業を開始するときには一時金が支払われます。これらの給付は、放射性廃棄物基金(NWF)から行われます。 | ||
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*<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
*<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
- | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | + | *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</ |
*<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
- | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | + | *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</ |
- | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | + | |
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hlw/us/chap4.1389691771.txt.gz · 最終更新: 2014/01/14 18:29 by sahara.satoshi