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- | ~~bc:5.処分事業の資金確保~~ | + | ~~ShortTitle:5.情報提供・コミュニケーション~~ |
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*<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
*<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
- | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | + | *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</ |
*<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
- | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | + | *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</ |
- | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | + | |
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- | ====== 5. 処分事業の資金確保 | + | ====== 5. 情報提供・コミュニケーション |
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- | ====== 5.1 処分費用の確保(制度) | + | ====== 5.1 公衆との対話 |
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+ | * 2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(サイト選定法)では、新たに公衆や地元自治体等の参加を得ながら複数サイトから処分場建設地の候補を絞り込んでいくプロセスが導入されました。 | ||
+ | * また、サイト選定法に基づき設置された高レベル放射性廃棄物処分委員会は、2016年7月に提出した最終報告書において、連邦レベル、地域横断レベル、地域レベルのそれぞれにおいて公衆参加のための委員会や合議体を設置して、公衆参加を促進することを勧告しています。 | ||
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- | * 高レベル放射性廃棄物の処分費用は、全額廃棄物発生者が負担することが原子力法で定められています。処分費用を積み立てるための公的な基金制度は存在せず、廃棄物発生者である電力会社等が引当金を確保しています。現段階で発生する費用については、実施主体である連邦政府に対して、原子力発電事業者が支払うことが義務付けられています。 | ||
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- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
- | ===== 処分費用の負担者 | + | ===== 「サイト選定法」に基づく選定プロセスにおける公衆参加 |
- | ドイツの原子力法に基づき、放射性廃棄物処分場の設置・運営は、連邦政府の責任で実施されます。連邦政府は、この処分場を利用して処分する放射性廃棄物の発生者から、経費を徴収することが定められています。また、廃棄物の発生者は、連邦政府の経費を負担する以外にも、自らの廃棄物の処理、貯蔵、処分場までの輸送など、放射性廃棄物管理全般に関わる費用を負担します。 | + | 「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(サイト選定法)では、まず国民各層の代表者33名で構成される「**高レベル放射性廃棄物処分委員会**」が、安全要件やサイト選定基準、サイト選定手続きの検討を行ってきました(「[[chap4|IV. 処分地選定の進め方と地域振興]]」参照)。この委員会の会合はすべてインターネットで中継され、議事録や会議資料、報告書も公開されています。 |
- | \\ | + | 選定手続きの開始後は、実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)が提案する複数の候補地から、 |
- | ===== 処分費用の確保制度 ===== | + | 公衆参加プロセスを経て対象を絞り込むことになっています。 |
+ | また、サイト選定法において、これらの手続きの期間を通じて、 | ||
+ | インターネットなどのメディアを介して関連の情報発信・意見聴取を行うことを規定しています。 | ||
- | 放射性廃棄物処分場については、その施設に関連した研究開発から、計画、探査、建設及び維持の責任は連邦政府にあり、連邦放射線防護庁(BfS)が実施します。これらのBfSの活動のために連邦が支出した経費は「**前払金令**」という政令に基づき、原子力発電事業者などが決められた比率に基づいて連邦政府に毎年「前払金」を納付します。 | + | また、サイト選定に関わる以下のような重要な事項については公衆や関係する州や地元自治体が見解を表明する機会を作らなければならないとしています。 |
+ | *地上からの探査対象サイト地域の選定 | ||
+ | *地上からの探査計画の策定 | ||
+ | *地下での探査対象サイトの選定 | ||
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- | <WRAP rss right 350px> | + | ===== 公衆参加の枠組み ===== |
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- | 2002年における廃棄物発生者の引当金総額の構成\\ | + | |
- | <fs 90%> | + | |
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- | これ以外の放射性廃棄物管理のために必要な費用確保に関して、ドイツでは公的な基金制度はありません。このため、原子力発電事業者などは、原子炉の廃止措置のための費用や、高レベル放射性廃棄物を含む全ての放射性廃棄物の管理のために発生する将来費用を引当金として確保しています。 | + | サイト選定では、連邦レベルにおける国民意見反映のための組織として、国民のさまざまな層で構成される「**社会諮問委員会**」を設置することになっています。サイト選定法に基づき、社会諮問委員会の詳細を含め、公衆参加についても検討することとなっていた高レベル放射性廃棄物処分委員会は、2016 年7月に公表した最終報告書において、公衆参加の枠組みについて、連邦、地域横断、地域の3 つのレベル |
+ | で、市民代表や各地域の住民などで構成される委員会や合議体を設置することを勧告しています(下表参照)。これらの委員会・合議体は、サイト選定プロセスの各段階において、公衆参加の結果を報告書としてとりまとめ、提出することとされています。 | ||
- | 2002年に連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)が各廃棄物発生者の引当金を集計した結果によると、総額で約350億ユーロ(約3兆6, | + | [imagebox1b{{: |
+ | }}] | ||
+ | これらの委員会・合議体のうち、連邦レベルでの公衆参加組織である社会諮問委員会については、2016年11月に議会選出委員の6名、及び市民代表委員3名の合計9名が任命されました。市民代表委員については、全国5か所で市民フォーラムを開催し、サイト選定に関する課題、今後の選定手続きや社会諮問委員会の役割について学ぶ取り組みなどを行ったうえで選出されました。3名の市民代表委員には、16歳~ 27歳の若年層を代表する委員が1名含まれています。なお、サイト選定選定手続きの開始後、社会諮問委員会の委員は18名に拡大され、本格的に活動を行うことになっています。 | ||
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+ | ===== 候補地域・候補サイトにおける対話活動 ===== | ||
+ | |||
+ | サイト選定法では、連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)が、サイト選定手続きを監督するとともに、 | ||
+ | サイト選定手続きの早い段階から全期間にわたり、プロジェクトの目的、手段及び実現状況、 | ||
+ | 発生すると考えられる影響に関する情報を提供することとされています。 | ||
+ | この手続きは、インターネットなどの媒体を通じた対話志向のプロセスで実施すべきであることが規定さ | ||
+ | れています。 | ||
+ | また、BfEは、公衆に包括的な情報提供を行うために、情報提供を行うインターネット・プラットフォーム | ||
+ | を設置することとされています。このプラットフォームでは、 | ||
+ | BfEや実施主体であるBGEが作成したサイト選定手続きに関する重要文書を継続的に公表すること | ||
+ | が規定されています。 | ||
+ | さらにサイト選定法では、サイト選定における提案が示された際の見解表明手続き後に、 | ||
+ | BfEが示された見解などに関する検討会議を地元において開催することが規定されています。 | ||
+ | |||
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+ | <WRAP clear/> | ||
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- | ====== 5.2 処分費用の見積もり | + | ====== 5.2 意識把握と情報提供 |
- | ゴアレーベンでの探査活動が凍結される前に、同地に処分場を建設するまでに要する費用を連邦放射線防護庁(BfS)が試算した結果では、処分場の設置費用は約23億6, | + | <WRAP round box> |
+ | {{: | ||
+ | * ドイツでは2013年4月にサイト選定法案が閣議決定された後、同年5月31日から3日間にわたり、法案について説明し議論する「市民フォーラム」がベルリンで開催されました。会場での議論に加え、インターネットを通じた意見聴取も実施されました。 | ||
+ | * サイト選定の見直し前は、実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)やBfSの委託を受けて実際の調査作業を行っていたドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)がゴアレーベンに関する広報活動を実施していました。 | ||
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- | また、ゴアレーベンでの調査研究費(地下探査坑道の建設を含む)として、1977年~2010年末までの支出額の累積は約15億5, | + | ===== サイト選定法に関する市民フォーラム ===== |
+ | [30%{{ : | ||
+ | サイト選定法に関する市民フォーラムの様子\\ | ||
+ | <fs 70%> | ||
+ | }}] | ||
+ | ドイツでは2013年4月に「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(サイト選定法)の法案が閣議決定された後、同年5月31日から6月2日の3日間にわたり、「サイト選定法に関する市民フォーラム」がベルリンで開催されました。 | ||
+ | このフォーラムでは連邦議会に所属する各政党の議員や処分事業関連の専門家らが出席し、公衆参加などの社会的側面から資金・技術面などサイト選定法案で扱われている多くの側面について説明し、市民と議論を交わしました。 | ||
+ | フォーラムの模様は全てインターネットで同時中継され、録画画像は動画投稿サイトを通じて公開されています。会場での議論に加え、インターネットを通じた市民からの意見聴取も実施されました。 | ||
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+ | ===== ゴアレーベンにおける広報活動(情報提供) ===== | ||
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+ | <fc # | ||
+ | <fs 70%> | ||
+ | }}] | ||
- | <WRAP clear></WRAP> | + | ゴアレーベンでの探査が中止される以前は、処分の実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)が主に一般市民向け、BfSの委託を受けて実際の調査作業を行っていたドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)が主にサイト周辺住民向けの広報活動を実施していました。 |
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+ | プレスリリースや情報冊子、講演会の開催や見本市への出展に加え、ゴアレーベンには情報センターが設けられ、地下探査坑道の見学を組み込んだサイトツアーが実施されていました。2009年からは、移動展示車両で各地を巡回する情報提供活動も実施されました。 | ||
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*<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
*<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
- | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | + | *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</ |
*<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
- | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | + | *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</ |
- | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | + | |
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hlw/de/chap5.1362992079.txt.gz · 最終更新: 2013/03/11 17:54 (外部編集)