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hlw:fr:chap6 [2013/03/07 17:52] – 2013年版の体裁に調整 sahara.satoshi | hlw:fr:chap6 [2016/03/23 13:34] – [2013年公開討論会の開催状況] sahara.satoshi | ||
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====== 6.1 地層処分の安全確保の取り組み ====== | ====== 6.1 地層処分の安全確保の取り組み ====== | ||
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* 1991年の放射性廃棄物管理研究法のもと、ビュール地下研究所では、地下研究所のサイト選定時の予備的な調査結果なども用いて地層処分場の安全性の検証と処分場の工学的設計が反復的に行われており、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)によって研究成果全体を考慮した安全評価が行われています。 | * 1991年の放射性廃棄物管理研究法のもと、ビュール地下研究所では、地下研究所のサイト選定時の予備的な調査結果なども用いて地層処分場の安全性の検証と処分場の工学的設計が反復的に行われており、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)によって研究成果全体を考慮した安全評価が行われています。 | ||
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- | {{popup>: | + | <fc #080>ANDRA による安全評価の反復プロセス</fc>\\ |
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====== 6.2 処分事業の透明性確保とコミュニケーション ====== | ====== 6.2 処分事業の透明性確保とコミュニケーション ====== | ||
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- | * フランスでは、放射性廃棄物処分場などの原子力基本施設(INB)の設置に当たっては、公開討論会や公衆意見聴取を行うことが制度化されています。 | + | {{: |
- | * また、地下研究所の所在サイトに**地域情報フォローアップ委員会(CLIS)**を設置することが、1991年の放射性廃棄物管理研究法で規定されています。CLISは実施主体と地元住民との間の情報の仲介と、地下研究所の建設、操業の監視を行う目的で設置される組織です。同委員会の設置は2006年の放射性廃棄物等管理計画法でも引き継がれ、構成メンバーの拡大などが盛り込まれ、2007年5月に新たなCLISが設置されています。 | + | * 2006年の放射性廃棄物等管理計画法 では、地層処分場の設置許可申請に先立って、公開討論会を開催するよう定めています。また、地下研究所の所在サイトには、実施主体と地元住民との間の情報の仲介と、地下研究所の建設、操業の監視を行うことを目的として、**地域情報フォローアップ委員会(CLIS)**が設置されています。 |
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===== 地域情報フォローアップ委員会(CLIS) ===== | ===== 地域情報フォローアップ委員会(CLIS) ===== | ||
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**[3] 地域情報フォローアップ委員会の構成** \\ | **[3] 地域情報フォローアップ委員会の構成** \\ | ||
ビュール地下研究所は、ムーズ、オートマルヌ両県にまたがって設置されており、地域情報フォローアップ委員会(CLIS du Laboratoire Bure)には現在、以下の構成員が参加しています。 | ビュール地下研究所は、ムーズ、オートマルヌ両県にまたがって設置されており、地域情報フォローアップ委員会(CLIS du Laboratoire Bure)には現在、以下の構成員が参加しています。 | ||
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+ | 原子力発電所など原子力基本施設(INB)の地元には「地域情報委員会」(CLI)が設置されることになっていますが、地下研究所はこれに該当しないため、同様な役割を担う組織としてCLISが設置されています。 | ||
- | 1991年の放射性廃棄物管理研究法では、放射性廃棄物処分に関する研究進捗等のフォローアップ、情報提供、協議に関する全般的な使命を担うCLISが各地下研究所のサイトに設置することとされています。原子力発電所など原子力基本施設(INB)の場合には、地元に「地域情報委員会」(CLI)と呼ばれる組織が設置されることになっていますが、地下研究所は原子力基本施設ではないため、同様な役割を担う組織の設置が1991年の上記法律で定められました。CLISの設置条項は、2006年の放射性廃棄物等管理計画法において一部改正されました。これを受けて、2007年5月に改めて「ビュール地下研究所CLIS」[3]が発足し、活動しています。現在91名が構成メンバーとなっています。CLISの会合は少なくとも年2回開催され、処分に関する研究の目的、内容と成果に関する情報が提供されます。 | + | CLISの設置は、1991年の放射性廃棄物管理研究法で定められました。2006年の放射性廃棄物等管理計画法でCLISの設置条項が一部改正され、2007年5月に改めて「ビュール地下研究所CLIS」[3]が発足しました。会合は少なくとも年2回開催され、処分に関する研究の目的、内容と成果に関する情報が提供されます。CLISは地下研究所の環境及び周辺に影響が及ぶような問題を討議し、ヒアリングを行うこともできます。国家評価委員会(CNE)や原子力安全情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN)などの外部専門機関を活用できることになっています。 |
- | また、CLISは地下研究所に関して、環境及び周辺に影響が及ぶようなすべての問題を討議し、ヒアリングを行うこともできます。国家評価委員会(CNE)や原子力安全情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN)などの外部専門機関を活用できることになっています。 | + | CLISの設立及び運営資金は、国の補助金や放射性廃棄物の地層処分活動に関係する事業者の補助金で賄われています。 |
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- | CLISの設立及び運営資金は、国の補助金や放射性廃棄物の地層処分活動に関係する事業者の補助金によって賄われています。 | + | |
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===== 原子力安全情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN) ===== | ===== 原子力安全情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN) ===== | ||
- | 原子力安全・情報開示法のもと、原子力活動に関するリスク及び原子力活動による健康・環境・安全保障についての情報提供や議論を行うことを目的として、原子力安全情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN)が設置されています。この委員会は、地層処分場の立地に特化した組織ではなく、原子力安全及びその情報提供に関するあらゆる問題への意見提示や検討を行います。HCTISNには、議会(国会)の上院と下院からそれぞれ2名が委員として参加しているほか、地域情報委員会(CLI)、環境団体、労働者組合、原子力事業者、学識経験者、原子力安全機関(ASN)、IRSNの代表から構成されています。 | + | 原子力安全・情報開示法のもと、原子力活動全般に関する健康・環境・リスク・安全保障についての情報提供や議論を行うことを目的として、原子力安全情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN)が設置されています。この委員会は、地層処分場の立地に特化した組織ではなく、原子力安全及びその情報提供に関するあらゆる問題への意見提示や検討を行います。HCTISNには、議会(国会)の上院と下院からそれぞれ2名が委員として参加しているほか、地域情報委員会(CLI)、環境団体、労働者組合、原子力事業者、学識経験者、原子力安全機関(ASN)、IRSNの代表から構成されています。 |
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+ | \\ | ||
+ | ===== 公衆意見聴取と公開討論会の実施 ===== | ||
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+ | **[4] 国家討論委員会(CNDP)** \\ | ||
+ | フランスでは放射性廃棄物処分施設を含む原子力基本施設(INB)など、環境に多大な影響を及ぼす大規模公共事業や政策決定を行うにあたり、計画段階から行政・事業者・国民・専門家などが自由に意見を交わすために、公開討論会という制度があります。この企画・開催を担う組織として、CNDPと呼ばれる常設機関(委員21名、任期5年)があります。 | ||
+ | CNDPは、公開討論会の対象となるプロジェクト案件ごとに、独立・中立の専門家で構成する特別委員会(CPDP)を設置し、CPDPが実際の公開討論の立案・運営します。 | ||
+ | </ | ||
- | ===== 公開討論会と公衆意見聴取の実施 ===== | + | 安全規制において、原子力基本施設(INB)の設置許可プロセスでは、公衆(特に地域住民)への情報提供、公衆からの意見聴取を目的とした公衆意見聴取が行われます。 |
- | フランスでは、放射性廃棄物の処分場を含む原子力基本施設(INB)など、環境に多大な影響を及ぼす大規模な公共事業や政策決定について、その計画段階において行政、事業者、国民、専門家などが自由に議論を交わすために、**公開討論会**が開催されます。公開討論会の開催に当たっては、専用のウェブサイトなどを活用した公衆への情報提供が行われ、全国規模で多様な事業に関する討論会が開催されています。 | + | さらに、2006年の放射性廃棄物等管理計画法では、地層処分場の設置許可申請に先立ち、国民各層から幅広く地層処分プロジェクトに対する意見を聴くことを目的として、公開討論会を開催することが定められました。 |
- | また、INBなどの設置許可プロセスにおいては、公衆(特に地域住民)への情報提供、公衆からの意見聴取を目的とした、公衆意見聴取を実施しなければならないことになっています。 | + | 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は「高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター設置」(Cigéoプロジェクト)に関する公開討論会の開催を、2012年10月に国家討論委員会(CNDP)[4]に付託しました。 |
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+ | ===== 2013年公開討論会の開催状況 ===== | ||
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+ | <fc # | ||
+ | {|style=" | ||
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+ | |討論テーマ | ||
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+ | |2013/7/11 | ||
+ | |様々な放射性廃棄 | ||
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+ | |2013/9/18 | ||
+ | |処分方策(地層処分、中間貯蔵、核種分離・変換) | ||
+ | |- style=" | ||
+ | |2013/9/23 | ||
+ | |諸外国との比較 | ||
+ | |- style=" | ||
+ | |2013/10/9 | ||
+ | |予防原則と可逆性 | ||
+ | |- style=" | ||
+ | |2013/10/16 | ||
+ | |処分場作業員、地元住民及び環境に対するリスクと安全面 | ||
+ | |- style=" | ||
+ | |2013/10/23 | ||
+ | |廃棄物の輸送 | ||
+ | |- style=" | ||
+ | |2013/10/30 | ||
+ | |地元地域の将来の動態予測と地元開発 | ||
+ | |- style=" | ||
+ | |2013/11/13 | ||
+ | |プロジェクトのコストと資金調達 | ||
+ | |- style=" | ||
+ | |2013/11/20 | ||
+ | |政策決定への住民の関与 | ||
+ | |} | ||
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+ | 2015年に予定される地層処分場の設置許可申請に先立って国民から意見収集するために、公開討論会は2013年5月23日~12月15日の7カ月間にわたって開催されました。 | ||
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+ | CNDPの当初、全国14カ所で集会形式の公開討論会を計画していましたが、第1回と第2回の討論会が反対派の妨害により中止を余儀なくされました。これを受けてCNDPは公開討論会のあり方を検討し、小規模な住民参加の会合、特設ウェブサイトでの討論番組のライブ配信やソーショルコミュニケーション等の手法を取り入れるとともに、公開討論会の期間を当初予定から2カ月延長しました。インターネット会議「異なる意見による討論」は計9回行われました。 | ||
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+ | また、CNDPは締め括りとして、全国から無作為に選出された17名の市民パネルによる市民会議を2013年12月~2014年2月に開催しました。市民パネルのうち8名は、ムーズ県及びオート=マルヌ県から選ばれました。 | ||
+ | 市民会議終了後の2014年2月、CNDPは公開討論会の総括報告書を公表しました。インターネットなどを通じて1, | ||
+ | 公開討論会の結果を受けてANDRAは、2014年5月にCigéoプロジェクトの継続に向けた改善案を公表しました。改善案には、実際の処分場環での試験を可能とする「パイロット操業フェーズ」の設定のほか、処分操業基本計画の定期レビューを通じた市民社会の参画機会を設けるなどが含まれています。法改正が必要な内容を含むことから、現在、法改正に向けた手続きが進められているところです。 | ||
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行 124: | 行 177: | ||
====== 6.3 意識把握と情報提供 ====== | ====== 6.3 意識把握と情報提供 ====== | ||
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* 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、処分事業の理解を得るための活動として、インターネットのウェブサイトやレター、CD-ROM、雑誌等の様々な媒体を用いて情報提供活動を行っています。 | * 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、処分事業の理解を得るための活動として、インターネットのウェブサイトやレター、CD-ROM、雑誌等の様々な媒体を用いて情報提供活動を行っています。 | ||
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行 131: | 行 185: | ||
===== 広報活動(情報提供) ===== | ===== 広報活動(情報提供) ===== | ||
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- | {{: | + | {{: |
- | ビュール地下研究所の一般公開\\ | + | <fc #080>ビュール地下研究所の一般公開</fc>\\ |
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- | ビュール地下研究所のビジターセンター\\ | + | <fc #080>ビュール地下研究所のビジターセンター</fc>\\ |
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- | ビジターセンター内のドリフト(坑道)模型\\ | + | <fc #080>ビジターセンター内のドリフト(坑道)模型</fc>\\ |
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- | 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、公衆にフランスの放射性廃棄物管理プログラムの情報を提供することも、その使命の一つとして求められています。このため、インターネットのウェブサイト(www.andra.fr)と情報誌(// | + | 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、公衆にフランスの放射性廃棄物管理プログラムの情報を提供することも、その使命の一つとして求められています。このため、ANDRAは情報誌(// |
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- | また、地下研究所があるビュールでは、現地で見学会などが催されるほか、地下研究所の建設作業や調査研究等の進捗状況等について、その映像をインターネットで見ることもできます。研究所の構造、可逆性の概念、計画されているさまざまな種類の調査(地質学、地盤力学、水文地質学など)の結果等もインターネット上で公開されているほか、地下研究所での研究内容を分かりやすく解説したCD-ROMの配布も行っています。 | + | |
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- | ビュール地下研究所については、情報誌(// | + | |
+ | ANDRAのウェブサイトでは、ビュール地下研究所の建設作業や調査研究等の模様を映像で見ることもできます。ANDRAは、ビュールの見学会も企画・開催しています。ビュール地下研究所の構造、地下での調査結果(地質学、地盤力学、水文地質学など)を解説した冊子や動画もインターネット上で公開しています。 | ||
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<WRAP rss> | <WRAP rss> | ||
- | {{: | + | {{: |
- | ANDRA作成の情報資料 | + | <fc #080>ANDRA作成の情報資料</fc> |
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hlw/fr/chap6.txt · 最終更新: 2017/05/23 19:49 by 127.0.0.1