90 高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針 >>> 2カ所の原子力発電所(ベツナウとゲスゲン)には 所内に中間貯蔵施設があり、いずれも2008 年から使 用済燃料の貯蔵を開始しました。ベツナウ中間貯蔵 施設(ZWIBEZ)は乾式キャスクを用いた貯蔵方式 であり、ゲスゲン原子力発電所の施設は湿式プール 方式です。 2019 年 12 月末時点で、スイス国内の使用済燃料 貯蔵量は約 1,507トン(ウラン換算、以下同じ)です。 外国との新規再処理委託契約が凍結されるまでに、 フランスと英国に約 1,139トンの使用済燃料が搬出さ れましたが、ガラス固化体の形で 115m 3 が既に返還 済みであり、ZZL で貯蔵されています。 ◎処分方針 スイスでは原子力法及び連邦決議において、再処 理目的の使用済燃料の輸出を暫定的に禁止していま した。2005 年施行の原子力令では、再利用しない使 用済燃料を“高レベル放射性廃棄物”と定めており、 2018 年 1 月の原子力法の改正により、再処理は永続 的に禁止されたことから、使用済燃料は高レベル放射 性廃棄物として取り扱われることとなります。 スイスでは、放射性廃棄物を国内で処分する場合 には地層処分を行う方針です。ただし、法的には、国 際共同処分場での処分も可能としています [2] 地層処分場の構成要素として、主となる処分施設と は別に、少量の代表的な放射性廃棄物を収納して一 定期間にわたりモニタリングする「パイロット施設」の 設置を原子力令で定めている点が特徴的です。この ような処分概念は「監視付き長期地層処分」と呼ば れています。 [2] 放射性廃棄物の管理義務の履行 原子力法は、次のいずれかが満たされた場合、放射性 廃棄物の管理義務が履行されたものとすると規定してい ます。 廃棄物が地層処分場に搬入され、モニタリング期間 と将来の閉鎖のための資金が確保されている。 廃棄物が外国の放射性廃棄物管理施設に搬入されて いる。 地層処分 (GEL) サイト調査 施設建設 サイト調査 施設建設 サイト調査 施設建設 廃棄物の試験的定置 廃棄物の 試験的定置 主要施設の モニタリング 定 置 定 置 処 分 廃棄物の試験的定置 定 置 モニタリング、保守、 修繕を伴う 無期限の貯蔵 処 分 事業段階 探査及び計画 建 設 操業及びモニタリング 閉鎖後 各段階での回収可能性について 廃棄物は存在しない 回収が容易 回収が非常に容易 回収がより困難 監視付き長期 地層処分(KGL) 無期限地層貯蔵 (TDL) 回収可能性とは、処分場に定置された放射性廃棄物 を、処分場の閉鎖後も含めたさまざまな段階で回収 できるようにする考えです。 【回収可能性とは?】 EKRA が比較検討を行った処分概念 (EKRA 放射性廃棄物の処分概念より引用)