64 高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針 >>> I. 高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針 フランスでは、原子力発電で発生する使用済燃料を再処理しています。2006 年に制定された放 射性廃棄物等管理計画法において、再処理等に伴って発生する高レベル放射性廃棄物及び長寿命 中レベル放射性廃棄物は「可逆性のある地層処分」を行う方針を定めています。 ◎原子力エネルギー政策の動向 フランスの原子力発電所は、全てフランス電力株式 会社(EDF社)が運転しています。2022 年末現在、 56 基の原子炉を運転しており、フランス全土に電力を 供給し、輸出もしています。 フランス北西部のコランタン半島の先端にOrano 社 (旧 AREVA 社)のラ・アーグ再 処 理 施 設があり、 UP2、UP3と呼ばれるプラントが操業しています。再 処理で回収したプルトニウムを MOX 燃料等に加工 し、再び原子力発電の燃料として利用しています。フ ランスでは、高速増殖炉の開発も行われてきました が、現在は運転中のものはありません。 ◎使用済燃料の発生と貯蔵(処分前管理) フランスの全ての原子力発電所から発生する使 用済燃料は年間約 1,200トンであり、そのうち年間約 1,080トンがラ・アーグ再処理施設で再処理され、残り は再処理されずに貯蔵されています。再処理を待つ 使用済燃料は、各発電所で貯蔵されるほか、ラ・アー グ再処理施設にも受入施設としての貯蔵施設があり ます(いずれもプールでの湿式貯蔵)。また、再処理 施設には高レベルガラス固化体の貯蔵施設もあり、将 来の地層処分場の開設まで貯蔵しています。 フランスでは、余剰プルトニウムを発生させないため にプルサーマル用 MOX 燃料の年間生産・装荷量か ら使用済燃料の年間再処理量を計画しています。そ のため、発生する全ての使用済燃料が直ぐに再処理 されるわけではなく、2020 年末時点で約 14,000トン の使用済燃料(使用済 MOX 燃料等を含む)が将 来の再処理を待ち、貯蔵されています。将来の貯蔵 量増加に対応できるように貯蔵施設の拡張等が計画 されています。 2020 年に公表された多年度エネルギー計画 ( PPE )では、21 世紀後半を目途とした高速炉(第 Ⅳ世代炉)開発を進めつつ、核燃料サイクルの確立 (全量再処理)を目指すとともに、中期的には、使用 済 MOX 燃料の再処理による燃料を第Ⅲ世代の加圧 グラブリーヌ ショー カットノン フェッセンハイム (2020年閉鎖) ノジャン・シュール・セール ベルビル ダンピエール サンローラン・デゾー パンリー パリュエル フラマンビル シノン シボ- ルブレイエ ゴルフェッシュ トリカスタン クリュアス サンタルバン・ サンモーリス ビュジェイ 90万kW級の原子炉 130万kW級の原子炉 フランスの原子力発電所 (ANDRA ウェブサイトより作成) 国家放射性物質及び放射性廃棄物インベントリ報告書の例 (写真提供:ANDRA)