44 地層処分計画と技術開発 >>> ◎処分場の建設予定地の地質構造 スウェーデンは、ノルウェー、フィンランド、ロシア北 西部などに広がっているフェノスカンジア盾状地と呼 ばれる古い大陸性の地殻の上に位置しています。地 層処分場の建設予定地であるフォルスマルクを含むス ウェーデン南東部の岩盤は、19.5 ~ 17.5 億年前(古 原生代)に形成された結晶質岩です。約 4 ~ 2.5 億 年前には、大西洋側のプレート運動の圧力によってノ ルウェーとの国境となっているスカンディナビア山脈が 形成されるとともに、スウェーデン南東部の岩盤にも大 規模な断層が生じました。また、約 200 万年前以降の 新生代第四紀には、山脈の東山麓に氷河が何度も形 成された跡が残っています。ウルム氷期として知られ る最終氷期は約 11 万前から始まり、最盛期にはスカン ディナビア半島全体が氷で覆われ、氷床の厚さは最 大で 3km に達したと推定されています。この氷の重さ のために地殻が沈み込み、スウェーデンとフィンランド の間にできた窪みが現在のボスニア湾にあたります。 氷床の成長・後退につれて岩盤にかかる荷重が変化 するので、断層が動いて地震が発生することもありま す。氷期が終わった約 1 万年前から現在まで、沈降し た地殻が元に戻ろうとしてゆっくりとした隆起が続いて います。現在のフォルスマルクは海岸に面しています が、紀元前8800年頃には海面下150mのところにあり、 紀元前 500 年頃に陸地になりました。表層 5 ~ 6mの 土壌は、氷床の動きによって岩盤が侵食されて運ばれ た氷成粘土や礫の堆積物です。 処分場の建設予定地であるフォルスマルクにも大 規模な断層があります。そのような断層の近くでは、 その動きによって結晶質の岩石が引きちぎられ、細 かく破砕していますが、そのことによって一定以上離 れた所の岩体は相対的に安定となり、レンズ状の塊 となって残っている部分があります。そのような岩体 は「構造レンズ」と呼ばれています。フォルスマルクの 地下約 500m のところには、これまでのプレート活動や 氷床荷重の変動による影響を受けていない、構造レン ズが存在することがボーリング調査で確認されていま す。使用済燃料の処分場は、このような構造レンズ内 の結晶質岩に建設されます。 フォルスマルク周辺の岩盤構造 フォルスマルク スカンディナビア山脈の 形成で影響を受けた領域 古原生代(19.5~17.5億年前) に形成された岩盤 大規模断層 構造レンズの存在領域(薄色部分は、海面下の深度に 存在している部分を示す。) 塑性変形の影響が強く生じる領域 塑性変形の影響が弱い領域 サイト調査エリア 海または湖沼 b a