TSPA-LA (米国)
(ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書 安全解析書: 2008年)
どのような廃棄物を、どのような場所に、どのような方法で処分する場合の安全評価なのか…
(当該の安全評価で対象にしている廃棄物)
商用原子力発電所から発生する使用済燃料、エネルギー省(DOE)が保有する核兵器製造過程で発生した高レベル放射性廃棄物、エネルギー省(DOE)が保有する兵器製造炉、研究炉もしくは舶用炉から発生する使用済燃料の3種類である。商用原子力発電所の使用済燃料が63,000t(重金属換算)、DOEのガラス固化体、使用済燃料が7,000t(重金属換算)の合計70,000t(重金属換算)が処分される予定である。(図1参照)
商用原子力発電所の使用済燃料は、内側がステンレス鋼製、外側がニッケル基合金製からなる耐腐食性に優れた処分パッケージに収納される。処分パッケージの寿命は10万年とされている。約90%の使用済燃料は、ステンレス鋼製の輸送・貯蔵・処分(TAD)キャニスタに収納されてユッカマウンテン処分場に輸送され、処分場の地上施設で処分パッケージに収納した上で処分される。また、DOEが所有する高レベル放射性廃棄物、使用済燃料は、地上施設で処分パッケージに収納して処分される。(図2参照)
安全解析書(SAR)では、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書に記載されたサイトでの安全評価が行われている。ユッカマウンテン処分場は、ラスベガスの北西約144kmにあるナイ郡のネバダテストサイトの連邦政府保留地に隣接した場所にある。
ユッカマウンテンサイトの地下水面は地下約488m~792mにあり、処分場は地表から約201m~488m(平均305m)の不飽和帯に建設される。処分場周辺の岩盤は、約1,100~1,400万年前の一連の噴火によって生じた火山灰が堆積した凝灰岩である。年間の降水量が少なく蒸発量が多い砂漠地帯にあって、更に地下水の流れが遅い不飽和帯に処分場を建設することにより、処分場での地下水の流入量を低減することが処分概念の特徴となっている。
処分場の地下施設は約5km2の広さがあり、直径5.5mの水平な処分坑道が108本掘削される。坑道の中心から隣の坑道の中心までの離間距離は約82mである。処分坑道は、地上と主要坑道を介して接続されており、処分パッケージは、搬送・定置車両により処分坑道まで搬送される(図3参照)。その後、レール上を移動する定置パレットに載せられ、隣のパッケージから約10cmの離れて定置される(図4参照)。
処分坑道の掘削は、定置作業中の処分坑道での定置が終了した後に実施され、閉鎖時には処分パッケージの上部にドリップシールドが設置される(図5参照)。
ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書は、適用される10 CFR Part 63「ネバダ州ユッカマウンテン地層処分場での高レベル放射性廃棄物の処分」が案の段階で原子力規制委員会(NRC)に提出されている。
10 CFR Part 63では、処分システムからの放射性核種の放出に対し、個人防護基準、人間侵入基準の線量が設定されている。また、地下水保護の観点から、地下水防護基準が設定されているが、個人防護基準とは分離して評価を実施することができるとされている。
人間侵入に対する個人防護基準:水資源探査のボーリング孔の掘削に基づいた「様式化したシナリオ」が規定されている