目次

SR-Can (スウェーデン)

SKB TR-06-09

フォルスマルク及びラクセマルにおける
KBS-3処分場の長期安全性
− SR-Canプロジェクト 主要報告書、
TR-06-09、SKB社(2006年10月)

SKB; Long-term safety for KBS-3 repositories at Forsmark and Laxemar - a first evaluation Main Report of the SR-Can project, SKB TR-06-09 (October 2006)




処分地選定プロセスのどの段階で、どのような目的で実施された安全評価なのか…

安全評価書の位置付け

スウェーデンにおける高レベル放射性廃棄物の処分概念(KBS-3システム)では、使用済燃料をキャニスタに封入する施設(キャニスタ封入施設)と、その処分場(使用済燃料処分場)の2つの施設が必要である。建設許可申請には、施設の操業に関する安全報告書のほか、処分の長期安全性に関する安全報告書(SR: スウェーデン語で Säkerhetsredovisningという。)が必要である。

SKB社が『研究開発実証プログラム2004』(2004年9月)で提示した処分事業計画では、キャニスタ封入施設の建設許可申請を2006年に、使用済燃料処分場の建設許可申請を2008年に提出する計画であった。SKB社は、キャニスタ封入施設についてはSR-Can(Canはキャニスタを意味する)、使用済燃料処分場についてSR-Siteと呼ばれる長期安全性の評価報告書を取りまとめる計画であった。しかし、研究開発実証プログラム2004の審査過程において、使用済燃料の処分には2つの施設が共に必要不可欠であるため、2施設の建設許可申請を別々に審査・決定すべきではないという点が指摘された。

この指摘を受けてSKB社は2005年に申請書提出計画を修正し、その結果としてSR-Can報告書は、キャニスタ封入施設の建設許可申請を裏付ける安全報告書としての役割が外され、SR-Siteプロジェクトの準備段階の報告書と位置付けられた。したがって、SR-Canの呼称は、キャニスタ封入施設との関連を想起させるが故に適切なものではなくなったが、進行中の評価プロジェクト名称(SR-Canプロジェクトは2002年に開始)の変更が困難であったため、変更することなくSR-Canという名称が用いられている。なお、SKB社はキャニスタ封入施設の建設許可申請を2006年11月に行っている。


評価のねらい/目的

SR-Can報告書は、最終処分場申請を裏付ける長期安全性の評価報告書を取りまとめるSR-Siteプロジェクトの準備段階の報告書(言い換えると、試行版)である。SR-Can評価の目的は、

  1. キャニスタ封入施設の建設許可申請書に記載された仕様のキャニスタを、最終処分場の候補地であるフォルスマルクとラクセマルに処分した場合の安全性についての最初の評価を行うこと。
  2. 設計開発、SKB社の研究開発計画、継続するサイト調査、および将来の安全評価プロジェクトに反映情報を提供すること。
  3. SR-Siteプロジェクトの準備として、適用される規則の解釈についてスウェーデンの規制機関である原子力発電検査機関(SKI)と放射線防護機関(SSI)との対話を促進すること。

とされている。

注記:SKIとSSIは2008年7月に統合し、放射線安全機関(SSM)となっているが、ここではSR-Canの取りまとめ当時の状況でまとめている。


SR-Can安全報告書の構成

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Figure 2-2 SR-Can安全報告書の全体構成

SR-Can安全報告書の全体は、右の図に示すように3階層をとっている。最上位(第1レベル)にある『SR-Can主要報告書』(SR-Can Main Report)が評価全体の総括報告書である。第2レベルには9つの主参考資料(Main references)があり、SR-Can評価で行われるステップに対応する報告書がある。第3レベルには、第1または第2レベルの報告書から参照される参考資料(Additional references)である。

■ 第1・第2レベルの報告書(Main Report and Main Reference)


SR-Can評価を実施してのSKB社の結論

規制上のリスク基準の遵守については、どのキャニスタも定置後数千年間続く温暖期の損傷はないと評価された。 放射線防護機関(SSI)規定したリスク基準については、フォルスマルクとラクセマルの処分場は予備解析の結果から適合すると評価されたが、ラクセマルの 処分場については、モデルの水理的な解釈が処分場の候補領域外のデータに基づいており、明確に結論できるためには代表的なデータで評価する必要がある。


規制機関によるレビューに関する情報

SKB社が2006年10月に取りまとめたSR-Can安全評価報告書『フォルスマルク及びラクセマルにおけるKBS-3概念処分場の長期安全性-最初の評価』(TR-06-09)に対して、規制機関である原子力発電検査機関(SKI)及び放射線防護機関(SSI)が合同でレビューを行い、2008年3月にレビュー報告書を公表している。

レビュー報告書においてSKI/SSIは、SR-Canのレビューを「規制当局とSKB社の事前協議プロセスの一環として行われたもの」との認識を表明している。


レビューの実施方法

SKI/SSIはレビューの観点として以下の3つの観点を挙げ、各観点について独立したレビューを行うために3つの国際レビューチームを組織し、レビューを委託している。

  1. サイト調査データの統合
  2. 人工バリアの設計
  3. 安全評価方法

SKI/SSIは、サイト調査対象自治体(エストハンマルとオスカーシャム)、環境法典に基づく審査(環境裁判)に関与する環境団体にもSR-Canに対する意見提出を依頼している。これらの意見を踏まえて、SKI/SSIは独自の評価を行って約150ページのレビュー報告書を取りまとめている。なお、SKI/SSIのレビュー報告書の中心は、SKB社のSR-Canに対するコメントであるが、国際レビューチームから受けたコメントに対する見解(同意見とするもの/同意しないものの両方)も表明する形式をとっている。

SR-Canが正式な許可申請に係わる安全評価ではなく、サイト記述が2カ所でのサイト調査(地上からのボーリング調査)の初期段階時点で得た限りのデータに基づいた限定的かつ予備的なものであることに留意して、サイト記述モデルについては詳細なレビューや規制独自の解析を行っていない。また、2カ所でのサイト候補地の優劣に結びつく判断を避けているほか、SKB社が提案する処分概念(KBS-3)に基づく処分場の安全性や放射線防護に関する判断も差し控えている。


SKI/SSIによるレビュー結果の結論(要約)

SKI/SSIは、全体を通したレビュー結果の結論を以下の5つに要約している。

  1. SKB社の安全評価の方法論(ロジック)は、全体としては適用される規則に従ったものであるが、方法の一部は許可申請に向けて更に開発することが必要である。
  2. SKB社によるSR-Canでの品質保証は、許可申請の目的としては不十分である。
  3. 緩衝材の浸食など、計算されたリスクに対して潜在的に大きく影響する決定的プロセスについて、知識基盤を強化することが必要である。
  4. 処分場構成要素に仮定している初期特性と、それらの製造、試験、操業の品質保証手順との関連に関する説明は、許可申請前に強化することが必要である。
  5. 処分場からの早期放出に関する見通し(potential)について、より詳細な報告が必要である。