Dossier 2005 Argile (フランス)
(Dossier 2005 粘土-地層処分の安全評価: 2005年)
* 以下コンテンツにおいて、フランス語の見出しを付した図は Dossier 2005 Argile より引用。
どのような廃棄物を、どのような場所に、どのような方法で処分する場合の安全評価なのか…
(当該の安全評価で対象にしている廃棄物)
地層処分の対象廃棄物は、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物であり、それらの一般的特性はDossier2005での表現(名称)と併せて次のとおりである(図 1に廃棄体パッケージの区分を示す)。
フランスで1977~1999年に運転開始した58基の原子炉から、約45,000tHMの使用済燃料が発生すると見込まれている(運転期間40年の場合)。使用済燃料は、ウラン燃料(UOX)のほか、再処理回収ウランを用いて製造したウラン燃料(URE)、ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料(MOX)がある。
Dossier2005における性能評価の入力データとなる、処分対象廃棄物量とインベントリは、2003年の処分費用評価で見積もられた想定処分廃棄物量及びインベントリの情報がインプットとなっている。処分費用評価では、将来の核燃料サイクル政策の4つのオプションを想定している。
S1a~S2の政策オプションに対応した想定廃棄物発生量を表1に示す。B、C、CU廃棄物量の将来発生予測は本来1つの政策オプションによって導き出されるが、Dossier2005では安全側の評価(厳しい結果となる評価)を行うことを目的として、B、C、CU廃棄物量及びインベントリ設定において、個々に異なる政策オプション(S1a~S2)で得られた結果をインプットとしている。
また、Dossier2005が評価対象としている核種は16核種である(半減期が1,000年を超える15の核種とNb-93m(Zr-93の孫核種))。これは計算量の合理化等を目的としたもので、当初検討された144核種から、粘土層の特性等や最終的な線量評価での重要度等から事前評価と絞り込みが行われた結果である。
パリ盆地の東端に位置するビュール地下研究所所在地をレファレンスサイトとしている。深度約500mに位置する母岩となるカロボ・オックスフォーディアン粘土層は、その上下を石灰岩層に挟まれた一つの均質な地層(層厚:130~160m)を構成している。粘土層の透水性は非常に低く、また当該地層の間隙水のpHは、ほぼ中性(7程度)~還元性で天水起源のものである(図2参照)。
Dossier2005で検討された処分場概念は、処分坑道の建設、廃棄体の定置、施設の管理に必要なアクセス及び換気に必要な4本の立坑、処分区域と立坑を繋ぐ連絡坑道、処分坑道と連絡坑道をつなぐアクセス坑道、および処分坑道により構成される。処分坑道は定置する廃棄物の種類に応じて、定置されるゾーンが区別されており、B廃棄物はゾーンB、C廃棄物(ガラス固化体)及びCU廃棄物(使用済燃料)はゾーンC、過去に作成された特性の異なるガラス固化体はゾーンC0に定置される(図3参照)。なお、Dossier2005では熱的影響の観点から、B廃棄物及びC廃棄物の両処分ゾーンの離間距離を250mとしている。
廃棄物(処分パッケージ)は、以下のように定置する。(図4参照)
閉鎖後の長期安全に関する指標は、原子力安全機関(ASN)が策定する安全指針において、シナリオ分類(リファレンス状態と変動状態の2つ)と評価期間に応じて、以下のように規定されている。なお、Dossier2005の取りまとめ段階では、1991年に策定された安全基本規則RFS Ⅲ.2.fが参照されたが、同規則は2008年に策定された「深地層における放射性廃棄物の最終処分に関する安全指針」で置き換えられている(線量基準や安全評価の方法論等の規定に変更はない)。
その発生確率を考慮するリスク概念(当該事象の発生確率とそれに伴う被ばく影響の積)の使用が可能。ただし施設設計においては、個人被ばく線量が確定的影響を誘発する可能性のあるレベルより十分に低く維持されるように考慮しなければならない。