Posiva Safety Case 2009 Interim (フィンランド)
(セーフティケース中間概要報告書2009:2010年)
どのような廃棄物を、どのような場所に、どのような方法で処分する場合の安全評価なのか…
5基の発電用原子炉で使用される3種類(BWR、VVER440、EPR)の異なる型の使用済燃料の処分を対象に設定され、廃棄物の最大処分量は約6,500tUとされている。しかし、新規原子炉の建設計画に対応して最大処分量の拡大が計画されており、最終的な使用済燃料の仕様および核種インベントリは2010年~2011年のプラン状況に基づき決定されることになっている(※)。
(※:2010年5月の政府による原則決定、及び同年7月のフィンランド国会による承認により、オルキルオト処分場にて処分可能な使用済燃料の最大処分量は9000トンとなっている)
使用済燃料は、鋳鉄製インサートおよび厚さ50mmの銅製オーバーパックに封入される(図2)。ポシヴァ社は、予想される処分場の環境の中でキャニスタが少なくとも10万年にわたって耐漏洩性を維持することを設計基準としている。
フィンランドでは、2000年の政府による原則決定、2001年の議会の承認により、使用済燃料の最終処分地をユーラヨキ自治体のオルキルオト(図3参照)とすることが決定された。オルキルオトは面積が約12km2の島であり、平均海抜は5mである。
オルキルオトの詳細な情報を得るために、2004年より地下特性調査施設(ONKALO)の建設が開始されている。最終的に処分場の一部となるとなる予定のONKALO周辺の岩盤は、強い褶曲を受けた18~19億年前の片麻岩が主体となる結晶質岩盤である。オルキルオトでは後氷期の影響により、年間約6mmの速度で土地が隆起している。地下水中の塩分濃度は深度が深くなるにつれ高くなる傾向にあり、処分場深度(約400m)の塩分濃度は1リットル当たり10~20 gである。
最終処分場の処分概念は、スウェーデンのSKB社が1983年に提案したKBS-3処分概念に基づいている。この概念には、キャニスタを縦置きに定置する“KBS-3V概念”と横置きに定置する“KBS-3H概念”がある。ポシヴァ社は、中間概要報告書ではKBS-3V概念をレファレンス概念としているものの、両概念を検討しており、2012年に予定している建設許可申請では、いずれの概念も採用しうるような内容とする考えである。
KBS-3処分概念では、使用済燃料を鋳鉄製インサートと銅製オーバーパックからなるキャニスタに封入することによって核種の閉じ込め性を期待する。キャニスタは、その周囲をベントナイト製の緩衝材で取り囲むようにして、地下深部(評価上の深度は約420m)に掘削した処分孔に縦置きで定置する処分概念である。
オルキルオト処分場レイアウトは、工学実現可能性と長期安全性の両方に観点から検討している。暫定的なレイアウトを右図に示す。
図中の緑色で示された部分は、個別の処分孔を配置する際に回避すべき場所を意味する。パネルA、B、Cは、生物圏における放射性核種移行モデル化するために区別しており、このパネル毎に生物圏への核種放出量を解析している。
図6 KBS-3V(左上)及びKBS-3H(右上)処分場設計の原則と、KBS-3H設計(下)及びスーパーコンテナ(右上)の詳細な具体例(図はTKS-2009 Figure 7-1より引用;オリジナルはSKB社による)
中間概要報告書では、KBS-3Vの代替概念であるKBS-3H概念による処分場の安全性調査の要約についても取り上げている。KBS-3H概念による処分システムでは、パンチングされた鋼鉄製シェル・シリンダ内にキャニスタをベントナイトで取り囲むように予めしてパッケージングする。これを「スーパーコンテナ」と呼んでいる。スーパーコンテナをベントナイトブロックで隔るようにして、長さ100~300 mの処分横坑に水平に定置する(図6)。
フィンランドの廃棄物処分に関する放射線防護の規制要件は、2008年に制定された「原子力廃棄物の処分の安全性に関する政令」、及び規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)による指針により与えられている。STUKは2010年現在、原子力廃棄物処分に関する詳細安全規則を改訂中であるが、中間概要報告書では、改訂中の指針「原子力廃棄物の最終処分」のドラフトに示されている放射線防護基準を引用している。政令及びドラフト版の指針では下記の規制要件が定められている。なお、処分場閉鎖後から少なくとも数千年間の期間とそれ以降の期間で、異なる評価基準を用いることが規定されている。