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> 1.処分の進捗
高レベル放射性廃棄物処分の対象廃棄物は、商業用原子力発電所から発生する使用済燃料、エネルギー省(DOE)が保有する核兵器製造過程で発生した高レベル放射性廃棄物、エネルギー省(DOE)が保有する兵器製造炉、研究炉もしくは舶用炉から発生する使用済燃料の3種類である。【6,43】
処分方針としては、1970年代に核不拡散などの理由によって再処理が禁止されて以降、民間における使用済燃料の再処理は行われておらず、商業用原子炉で発生した使用済燃料は再処理せずに直接処分されることとなっている。ただし、2009年1月に誕生したオバマ政権は、長期的な高レベル放射性廃棄物などの管理戦略の再検討を行う方針を示し、2010年1月に高レベル放射性廃棄物管理戦略を含む核燃料サイクルにおけるバックエンド政策の包括的な検討を行う「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(ブルーリボン委員会)を設置した。ブルーリボン委員会では、核燃料サイクル政策全般の見直しが検討されることとなっており、設置後1年半(2011年7月)までに中間報告を行うこととなっている。
また、核燃料サイクル及び廃棄物管理に焦点を当てた、安全で、経済的かつ持続可能な原子力の利用拡大のため、再処理などを含めた使用済燃料リサイクルの長期的な研究開発が行われている。【13,55,70】
使用済燃料と高レベル放射性廃棄物は、ともに廃棄物パッケージ(内部がステンレス鋼、外部がニッケル基合金)に封入され、地層処分される。2005年10月には処分時にそのまま使用可能な標準輸送パッケージの開発方針が示され、2007年6月には、輸送・貯蔵・処分(TAD)キャニスタの性能要件が最終化されている。なお、輸送時には輸送容器の中にTADキャニスタが収納され、処分時には廃棄物パッケージの中にTADキャニスタが収納される。【25,34,67】
ユッカマウンテン処分場で想定されている処分量は、商業用原子炉から発生した使用済燃料が63,000トン(重金属換算)、国防原子力活動及び一部、商業用使用済燃料の再処理から発生した高レベル放射性廃棄物、国防原子力活動から発生した使用済燃料は7,000トン(重金属換算)とされている。なお、1982年放射性廃棄物政策法では、ユッカマウンテンでの処分量の上限は70,000トン(重金属換算)と規定されている。【6,25】
各種放射性廃棄物の廃棄体と廃棄物パッケージ
左:商業用原子炉発生の使用済燃料用廃棄物パッケージ、
中:高レベル放射性廃棄物及びエネルギー省(DOE)発生の使用済燃料共用の廃棄物パッケージ、
右:舶用炉発生の使用済燃料用廃棄物パッケージ
(「ユッカマウンテン安全性説明書」より引用【43】)
輸送・貯蔵・処分(TAD)キャニスタ
(補足環境影響評価書より引用【42】)
処分坑道と廃棄物パッケージの概念
(エネルギー省(DOE)ウェブサイトより引用【67】)
1982年放射性廃棄物政策法に基づいて、1983年に、エネルギー省(DOE)は次の9カ所の候補サイト(日本の概要調査地区に相当)を選定した。【13】
1986年に、エネルギー省(DOE)から3カ所のサイト特性調査を行う処分候補地(日本の精密調査地区に相当)が推薦されたが、1987年放射性廃棄物修正政策法によって、ネバダ州ユッカマウンテンが唯一の処分場候補地となった。【13】
その後、ユッカマウンテンにおいてサイト特性調査が実施され、2002年2月のエネルギー省による大統領への推薦、大統領による連邦議会への推薦、ネバダ州知事による不承認通知を受け、2002年7月23日に連邦議会の立地承認決議が大統領の署名により法律として成立し、ユッカマウンテンは処分サイトとして正式に決定した。【6,29】
なお、エネルギー省(DOE)は、2008年12月9日、1982年放射性廃棄物政策法の規定に基づき、第二処分場の必要性に関する報告書を大統領と連邦議会に提出し、ユッカマウンテンでの処分容量制限撤廃を勧告した。【6,47】
2009年1月に誕生したオバマ政権は、処分場建設に向けた許認可手続きのみに必要な程度まで予算を削減し、並行して高レベル放射性廃棄物処分の新たな戦略を検討する方針を示した。2010年1月には、高レベル放射性廃棄物管理戦略を含む核燃料サイクルにおけるバックエンド政策の包括的な評価を行うブルーリボン委員会が設置された。また、2010年2月に公表された2011会計年度の予算要求では、ユッカマウンテンでの処分場開発は実行可能なオプションではないとされ、ユッカマウンテンプロジェクトの予算要求はゼロとされた。2011年3月時点で2011会計年度のエネルギー関係の歳出法は成立していないが、2011年2月に公表された2012会計年度の予算要求においても同プロジェクトの予算要求はゼロとされている【50,55,56,65,67】
ユッカマウンテン処分場サイトの位置図
(「民間放射性廃棄物管理プログラム・プラン」より引用【13】)
ユッカマウンテンでの母岩は凝灰岩であり、砂漠地帯で降水量が少なく、地下水面は地表から500~800mと深い所にある。ただし、ユッカマウンテンでの処分場開発は実行可能なオプションではないとされており、ブルーリボン委員会においてバックエンド政策の包括的な検討が行われることになっている。【25,56,59】
処分深度は、最低限地下200mで、帯水層より平均300m上の深度とされている【25】。
処分場の規模は、サイト推薦時の設計では、処分坑道の総面積が約1,500エーカー(約6km2)、処分坑道の延長距離は約68kmとなっている【42】。
ユッカマウンテンで提案されている地層処分場施設
(エネルギー省(DOE)安全性説明書より引用【43】)
ユッカマウンテン処分場予定地の地層構造とレイアウト・イメージ
(エネルギー省(DOE)ウェブサイトより引用【63】)
米国における高レベル放射性廃棄物の主たる発生者は、商業用の原子力発電事業者及びエネルギー省(DOE、国防活動による放射性廃棄物)である。商業用原子力発電所からの使用済燃料は、下の図に示すように、33州の合計72カ所の発電所サイト内に蓄積されている。【25】
地層処分される廃棄物の現在位置を示す地図
(「ユッカマウンテン科学・工学報告書」より引用【25】)
米国における高レベル放射性廃棄物管理については、1982年放射性廃棄物政策法第111条において高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の最終処分の責任は連邦政府にあると規定しており、具体的にはエネルギー省(DOE)が処分場開発主体とされている。特に、1982年放射性廃棄物政策法第304条により、エネルギー省(DOE)内に民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)が設置され、エネルギー省(DOE)の職務を遂行することとされている。なお、2011会計年度の予算要求では、OCRWMを廃止し、その業務を原子力局(NE)が引き継ぐことが示されている。【6,56】
米国の高レベル放射性廃棄物処分に係る実施体制図
(「諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について」より引用)