TOP > 諸外国の状況 > スウェーデン > 2.法制度
> 2.法制度
1984年に制定された「原子力活動法」【3】において、発電用原子炉の所有または運転の許可取得者は、放射性廃棄物管理及び廃止措置についての研究開発を含む事業計画を3年ごとに策定し、この計画書の審査と評価のために、政府または政府が定める機関に提出しなければならないことが規定された。「原子力活動令」【4】において、この計画書は、3年毎の9月末までに放射線安全機関(SSM)に提出され、その後6ヶ月以内にSSMの意見書とともに政府に提出されることが規定されている。
これを受けて、原子力発電会社4社は、共同でスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)を1984年に設立し、原子力活動法で求められる計画書となる「研究開発実証プログラム」の取りまとめをSKB社に委託している。【25】
SKB社の研究開発実証プログラムの提出を受ける放射線安全機関(SSM)は、原子力活動法の規定に基づき、その審査プロセスにおいて、県域執行機関(国の出先機関)、自治体、大学、環境保護団体など様々な機関にコメントを求め、得られたコメントを自らの審査意見とともに政府に提出している。【3,4】
また、SKB社の研究開発実証プログラムは、政府(環境省)の諮問機関である「原子力廃棄物評議会」によっても評価され、その意見書が9ヶ月以内に政府に提出される。この役割は、政府の「原子力廃棄物評議会に対する命令」【9】で規定されている。
政府は、SSMと原子力廃棄物評議会からの意見書をもとに、SKB社の研究開発実証プログラムを政府決定という形で承認している。SKB社の研究開発実証プログラムの最新のものは、2010年9月に取りまとめられた「RD&Dプログラム2010」である。【31,41】
原子力活動法第10条において、原子力活動の許可取得者は、原子力活動から生じる原子力廃棄物の最終処分のために必要な措置を全て確実に講じる責任があると規定されている。原子力発電会社4社は、株式会社形態のスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)を設立し、最終処分の研究開発計画の策定と最終処分に必要な全ての措置の実施をSKB社に委託している。【3,25】
処分事業の実施体制
(情報冊子「諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について」より引用)
スウェーデンでは、1981年に「資金確保法」【1】及び「資金確保令」【2】が制定され、将来に必要となる放射性廃棄物管理全般の費用を確保するための基金制度が確立されている。同法において、この基金名は「原子力廃棄物基金」とされており、1982年から原子炉所有者が基金への拠出を行っている。
資金確保法は、1981年の制定後も資金確保制度の充実を図るために大きな改正が行われており、2006年には、発電用原子炉の許可保有者などに対する資金確保方策の強化や原子炉所有者以外の原子力施設から発生する廃棄物の処分費用の確保などを目的とした全面的な改正が行われている。資金確保に関連する法令としては、以下のものがある。【9,29】
注)
法令名にある「残余生成物」とは、処分場に定置される以前の使用済燃料は放射性廃棄物ではないこと、及び原子力発電所の操業時に発生する放射性廃棄物は費用確保制度の対象外であることから、法令で費用確保の対象となる放射性廃棄物の範囲を明確にするために、上記の法律内で定義されている用語である。
資金確保法に基づき、原子力発電会社(原子炉所有者)は、原子力発電電力供給量に応じて、原子力廃棄物基金に「原子力廃棄物料金」を支払う。原子力発電電力供給量1kWh当たりの料金単価は、原子力発電会社別に、政府が3年毎に決定する。また、この料金単価を決定するために、原子炉所有者は、必要な費用見積りを3年毎に取りまとめて、放射線安全機関(SSM)に提出しなければならない。この取りまとめは、原子炉所有者4社の委託に基づき、SKB社が実施している。SSMは、SKB社が取りまとめた費用見積もりに基づき、料金単価を政府に提案し、この提案に基づいて政府が料金単価を決定する。【29,30】
スウェーデンにおける資金確保の仕組み
原子力廃棄物基金で確保する費用には、使用済燃料を処分するための研究開発から、中間貯蔵、処分場のサイト選定から建設、操業及び閉鎖までの費用が含まれる。そのほか、原子力廃棄物基金で賄う費用には、原子力発電所の廃止措置及びそれに伴って発生する中低レベル放射性廃棄物の処分までの費用も含まれている。ただし、原子力発電所の操業時に発生する放射性廃棄物の処分費用は、原子力廃棄物基金で確保する費用の範囲外とされている。【29】
原子力廃棄物基金で費用を確保する範囲には、使用済燃料等の放射性廃棄物管理に要する費用以外にも、国や自治体が使用済燃料等の処分に係る問題について情報提供活動を行うための費用なども含まれている。【29】
スウェーデンでは、使用済燃料処分場サイトの選定方法や選定基準を定める法令や規制機関が定める規則はない。サイト選定の方法や進捗は、実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が3年毎に取りまとめる研究開発実証プログラムの中で提示し、規制機関の審査及び政府の承認を受ける形で進められている。スウェーデンの法令では、サイト選定のための調査(フィージビリティ調査及びサイト調査)の実施に対しては、自治体や政府による許可などは必要とされていない。しかしながら、SKB社は、それらの調査を行う際には、対象自治体の意思を確認し、自治体の了承(自治体での議決)を得る手続を踏んでいる。【19】
SKB社は、自治体議会の了承が得られたオスカーシャム及びエストハンマル自治体において2002年からサイト調査を実施しており、 この調査結果を受けて2009年6月に、処分場の建設予定地として、エストハンマル自治体フォルスマルクを選定した。
処分場建設には、「原子力活動法」及び「環境法典」に基づく許可が必要であり、両法の許可申請手続が並行して行われる。原子力活動法に基づく許可申請は放射線安全機関(SSM)によって審査され、政府が許可を発給する。環境法典に基づく許可申請は環境裁判所によって審理される。環境法典では、高レベル放射性廃棄物の最終処分場を含む環境に特に大きな影響を与える施設については、環境裁判所が許可を決定する前に、地元自治体の承認を得た上で、政府が許可の可能性を決定することが必要であることが規定されている。しかし、処分場等、国益に最重要と認められる施設については、①他により適切なサイトがなく、②他の適切なサイトでも自治体の承認が得られない場合に限り、政府は自治体の承認なしに許可の可能性を決定することができる。環境法典に規定された手続きと環境裁判所の関与は、スウェーデンの特徴の一つである。【3,16】
スウェーデンにおけるサイト選定の流れ
高レベル放射性廃棄物の処分サイトを決定し、処分場を建設するためには、原子力活動法、放射線防護法【5】、環境法典の規定に基づき、環境影響評価書(EIS)を作成しなければならない。環境影響評価書(EIS)では、環境影響評価(EIA)の他に、環境影響評価(EIA)手続に従って行われる関連機関との環境影響評価(EIA)協議の結果をまとめるとともに、計画されている施設に対する代替案の記述が必要とされている。なお、「環境被害を与える活動及び健康保護に関する政令(SFS 1998:899)」(環境保護令)【17】に基づき、処分場の許可申請は、環境裁判所により審査される。また、「環境影響評価に関する政令(SFS 1998:905)」(環境影響評価令)【18】では、高レベル放射性廃棄物の最終処分場が環境影響評価書(EIS)の対象となる環境に影響を与える施設として規定されている。【5,16】
高レベル放射性廃棄物の処分に関する安全規制に関する監督機関は、放射線安全機関(SSM)である。SSMは原子力活動法及び放射線防護法に基づき、原子力安全や放射線防護に関する監督を行う。なお、2008年7月のSSMの発足以前は、原子力安全については原子力発電検査機関(SKI)が、放射線防護については放射線防護機関(SSI)が監督を行っていた。【3,5】
放射線安全機関(SSM)は、原子力活動令及び放射線防護令を根拠法として、安全規則を制定している。SSMの規則には、「原子力施設の安全性に関する放射線安全機関の規則(SSM FS 2008:1)」(SSM施設安全規則)【23】及び「核物質及び放射性廃棄物の最終処分の安全性に関する放射線安全機関の規則(SSM FS 2008:21)」(SSM最終処分安全規則)【22】があり、処分場の建設前、操業前、閉鎖前の各段階において安全評価を行わなければならないことを規定している。また、「使用済燃料と放射性廃棄物の管理に係わる人間健康及び環境の保護に関する放射線安全機関の規則(SSM FS 2008:37)」(SSM廃棄物安全規則)【15】では、処分場閉鎖後の放射線による個人のリスクは、年間百万分の一を超えてはならないことを規定している。【4,6】