諸外国の高レベル放射性廃棄物処分等の状況

 

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フィンランドにおける
高レベル放射性廃棄物処分

> 2.法制度

2.1 法制度-計画

 フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(すなわち使用済燃料)管理、特に処分の研究、調査及び計画策定を行う際に目標とすべき事項が、「放射性廃棄物管理の分野における研究、調査及び計画策定を行う際に遵守すべき目標に関する政府の決定(1983.11.10)」【1】に定められている。「原子力に関する法律(990:1987.12.11)」(原子力法)【2】の第28条及び「原子力に関する政令(161:1988.2.12)」(原子力令)【5】の第74条及び第78条は、原子炉施設の許可取得者が3年毎に、放射性廃棄物管理についての詳細計画(3年間)と概略計画(6年間)を作成して雇用経済省に提出すること、雇用経済省はこれらについての見解書を放射線・原子力安全センター(STUK)から得ることを規定している。

2.2 法制度-実施体制

 原子力法【2】の第9条は、放射性廃棄物を発生する原子力施設の許可取得者に処分責任があると規定している。また、同法第29条及び原子力令【5】第80条は、原子力発電所の許可取得者が共同で使用済燃料の処分事業を行う場合の許可要件を規定している。この規定に従って、原子力発電所の許可取得者2社(テオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)フォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社))は、共同で処分事業を行うための実施主体ポシヴァ社を共同出資で設立している。

2.3 法制度-資金確保

 原子力法【2】第9条では、原子力発電所の許可取得者による処分事業の費用負担原則が定められている。また、資金確保の方法及び資金の管理方法などは、原子力法第7章及び原子力令【5】の第13章、並びに「放射性廃棄物管理費用の資金提供に関する政府の決定(165:1988)」【3】に規定されており、国家放射性廃棄物基金の設置、基金への拠出金額の算定及び拠出方法、及び基金の管理などが定められている。

 この国家放射性廃棄物管理基金(VYR)については、原子力法の第38条で国家予算から独立した基金として設置するとされるとともに、より詳細な規定が、「国家放射性廃棄物管理基金(VYR)に関する政令(161:2004)」【24】及び「国家放射性廃棄物管理基金(VYR)からの貸付条件に関する政府の決定(166:1988)」【4】によって定められている。

2.4 法制度-サイト選定

 フィンランドでは、原子力法【2】の第11条~第15条の規定により、サイト選定のうち処分予定地の決定が、政府の原則決定(詳細はこちら)、国会の承認という形で行われる。原子力法で規定された原則決定手続では、事業者が申請する事業計画が社会全体の利益になるかを政府が判定し、計画を承認する場合にそれを「原則決定」という文書として国会に提出する。また実際の建設及び操業についてはそれぞれ別個の許可手続が必要となる。原則決定に関するさらに詳細な手続、必要書類等は、原子力令【5】において規定されている。

 原則決定(詳細はこちら)の申請に当たっては、次に述べる環境影響評価に加えて、放射線・原子力安全センター(STUK)による予備的安全見解書と、関係各機関からの意見書を添付することが求められている。特に原子力法第14条では、建設予定地の地元自治体が肯定的な意見書を提出することが必要な条件とされている。【2】

 こうした規定に基づいて、ポシヴァ社は「使用済燃料の最終処分施設サイトに関する政府の原則決定の申請書」【9】を作成し、1999年5月に政府に提出している。これに対して、2000年12月に既存の原子炉からの廃棄物に関する原則決定【14】、2002年1月にオルキルオト3号機の原子炉からの廃棄物に関する原則決定【18】がそれぞれ政府において行われ、国会の承認を受けている。【30】

 なお、フィンランドでは、2000年までのサイト選定を含めた、2020年までの処分場操業のための段階的なサイト選定実施に関する基本原則が、1983年に廃棄物管理目標に関する政府の原則決定(詳細はこちら)として示されている。【1】

原則決定の手続
原則決定の手続
(原子力法等より作成)

2.5 法制度-環境

 フィンランドにおける放射性廃棄物の処分場の建設については、処分予定地の決定が行われる政府の原則決定(詳細はこちら)に際して、原子力法【2】第14条によって環境に対する影響の評価が要求されており、具体的には原子力令【5】第24条において環境影響評価書の添付が必要とされている。この環境影響評価の手続、要件については、「環境影響評価(EIA)手続に関する法律(468/1994)」(環境影響評価(EIA)手続法)【7】及び「環境影響評価(EIA)手続に関する政令(713/2006)」(環境影響評価(EIA)手続令)【26】に定められている。

 評価手続は、開発者が環境影響評価(EIA)計画書を調整機関に提出することにより開始される。調整機関は通常は産業交通環境センターであるが、原子力施設に関しては雇用経済省が調整機関となることが環境影響評価(EIA)手続法に規定されている。なお、この環境影響評価手続には、公聴会や住民意見の聴取等の必要要件が含まれている。【7,26】

 フィンランドにおける処分場の原則決定に当たっては、雇用経済省による環境影響評価〔及び放射線・原子力安全センター(STUK)による予備的安全評価〕の過程で、上記法令に基づいた以下のようなステップが踏まれる。【11,12】

  1. 実施主体のポシヴァ社が、環境影響評価(EIA)計画書を作成し、雇用経済省へ提出。EIA計画書は公告・縦覧され、関係諸機関や地元住民等のコメントを受ける。

  2. 環境影響評価(EIA)計画書に対する意見が雇用経済省によってまとめられ、雇用経済省から環境影響評価(EIA)計画書に対する意見書が発行される。

  3. ポシヴァ社は環境影響評価(EIA)計画書と雇用経済省の意見書に基づいてプロジェクトと様々な代案の影響を調査し、環境影響評価(EIA)報告書を作成して雇用経済省へ提出。EIA報告書は公告・縦覧され、公聴会が開催される。

  4. 地元自治体、STUKその他の関係機関が、環境影響評価(EIA)報告書に対する意見書を雇用経済省へ提出。

  5. 雇用経済省が、地元からの意見書及びSTUKその他の関係機関の意見書をまとめた結果を意見書として作成の上、実施主体のポシヴァ社に送付し、環境影響評価(EIA)手続は終了する。

環境影響評価の流れ
環境影響評価(EIA)の流れ
(環境影響評価(EIA)手続法等より作成)

2.6 法制度-安全

 放射性廃棄物の処分施設の安全性について規定する特別な法律・政令はなく、安全性確保のための基本的な要件は、原子力法【2】及び原子力令【5】で定められている。

 処分の安全に関する基本的原則は、「原子力廃棄物の処分における安全性に関する政令(2008.11.27)」【33】に示されている。さらに、安全規制の細目については放射線・原子力安全センター(STUK)が定めることが原子力法に規定されており、これを受けて、STUKが「使用済燃料処分の長期安全性の指針YVL 8.4(2000.5.23)」【15】、「使用済燃料処分場の操業の指針YVL 8.5(2002.12.23)」【17】を出している。

安全指針(YVL8.4)における被ばく線量基準等
安全指針(YVL8.4)における被ばく線量基準等
(長期安全指針YVL8.4:使用済燃料処分の長期安全性【15】より作成)


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