諸外国の高レベル放射性廃棄物処分等の状況

 

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スイスにおける
高レベル放射性廃棄物処分

> 1.処分の進捗

1.1 対象廃棄物・処分方針・処分量

  スイスでは高レベル放射性廃棄物及び低中レベル放射性廃棄物を処分する2つのタイプの処分場の設置が想定されている。このうち、高レベル放射性廃棄物処分場に処分される対象廃棄物は、以下のようになっている。【24】

  • 再処理過程によって発生する高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)
  • 再処理せずに直接処分する使用済燃料
  • 主に再処理過程から発生する長寿命中レベル放射性廃棄物

 処分方針としては、1992年の「スイスにおける放射性廃棄物処分:概念及び実現計画」において、使用済燃料の再処理から発生した高レベル放射性廃棄物の処分とともに、再処理を行わない使用済燃料の直接処分も同等のオプションとしている。なお、2005年2月に施行された原子力法では2006年7月以降の10年間の使用済燃料の再処理の凍結が規定されている。【5,13】

 再処理によって発生する高レベル放射性廃液は、溶かしたガラスと共にステンレス製キャニスタ内で固化し、ガラス固化体とした上で、下図の左のように鋳鉄製オーバーパックに封入して処分されることが想定されている。また使用済燃料は、下図の右のように鋳鉄製キャニスタに封入して処分されることが想定されている。【11】

 2006年に放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が発表した見積りによると、現在運転中の原子炉5基が50年間運転された場合、処分量は3,600ウラン換算トンの使用済燃料になると予想されており、そのうち1,100ウラン換算トンが再処理される結果、ガラス固化体が115m3生じ、使用済燃料は2,435ウラン換算トンになると想定されている。これらのコンディショニングにより、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分量は、合計で約7,325m3となると見積られている。【24,25,26】

 なお、スイスでは原子炉の新設に向けた動きが進められており、原子炉新設に向けて原子力発電事業者が提出した概要承認(詳細はこちら)の申請を審査した連邦原子力安全検査局(ENSI)は、新規の原子炉からの放射性廃棄物の処分が実現可能であることが証明されているとする審査結果を2010年9月に示している。【37,38,39】

高レベル放射性廃棄物
(左)ガラス固化体 (右)使用済燃料
(放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)処分の実現可能性実証プロジェクトより引用)

1.2 処分場サイト

 スイスでは、すべての放射性廃棄物の処分に責任を有している放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)によって、1978年以降、地層処分の実現可能性の実証のための調査として、地域的な調査及びより限定された地域での地上からの調査が行われてきた。【7,10】
 結晶質岩における処分の実現可能性の実証については、1985年に「保証プロジェクト」、1994年に「クリスタリン(Kristallin)-Ⅰ:スイス北部の結晶質岩における高レベル放射性廃棄物処分場の立地に対する地域調査プログラムの結論」報告書が公表され、処分が安全に実現できることが示された。また、堆積岩についてはチュルヒャー・ヴァインラント地域のオパリナス粘土を対象とした調査が行われ、2002年末に「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書が連邦政府に提出された。 連邦評議会は2006年6月に、高レベル放射性廃棄物処分が実現可能であることが、この「処分の実現可能性実証プロジェクト」によって実証されたことを承認した。 2008年4月、連邦政府は原子力令に基づいて、サイト選定手続や基準を定めた特別計画(詳細はこちら)「地層処分場」を承認した。特別計画に基づくサイト選定は、3つの段階で構成されており、それぞれの段階の概要は以下のようになっている。【6,10,15,19,22,23,24,25,48】

  • 第1段階:複数の候補サイト地域の選定

    放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が、複数の候補サイト地域を提案し、それらの地域に関して、州などの協力の下、主に安全性及び技術的実現可能性の観点から評価を行い複数の候補サイト地域を選定する。

  • 第2段階:2カ所以上の候補サイトの選定

    地元州、地域などが参加し、地域開発計画、環境、社会経済的観点からの評価や予備的安全評価を行い、複数の候補サイト地域から候補サイトを2カ所以上選定する。

  • 第3段階:処分サイトの決定、概要承認手続

    包括的な社会経済的調査、環境影響評価等を経て処分サイトが決定され、概要承認(詳細はこちら)手続が開始される。第3段階は、サイトの特定及び概要承認の発給で終了する。

サイト調査地区
提案されている候補サイト地域※
※上記の候補サイト地域のうち、2011年2月に地元の希望によって、「ベツベルク」の名称が「ジュラ東部」に、「チュルヒャー・ヴァインラント」の名称が「チューリッヒ北東部」に変更された【45】。

 2008年10月に廃棄物処分義務者として放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が、処分場の候補サイト地域を提案し、特別計画に基づいたサイト選定の第1段階が実施されている。【25】

 第1段階では、2008年10月に放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が候補サイト地域を提案し、それに対する連邦原子力安全検査局(ENSI)などの規制機関等による審査が行われ、肯定的な結果が示されている。これを受け、連邦エネルギー庁(BFE)は、2010年8月に第1段階の成果報告書の草案を公表し、草案に対する意見聴取を2010年9月から11月にかけて実施した。この結果などに基づき、2011年秋頃に連邦評議会が最終的に候補サイト地域を確定して終了する予定となっている。なおBFEは、第1段階のこれまでの主要な成果として、以下の点を示している。【35,40】

  • 地層処分場が環境、経済、社会に及ぼす影響を評価するためのサイト選定手続の第2段階で適用される「地域開発上の評価手法」の開発【34】

  • 処分場の地上施設が建設される可能性のある「計画範囲」の案の確定【29】

  • 候補サイト地域の安全性に関する安全規制当局の審査【30,32】

  • サイト選定手続の第2段階以降で実施される地域参加プロセスに参加する自治体の候補の確定【33】

1.3 候補岩種・処分深度・処分場の規模

  候補岩種はオパリナス粘土で、処分深度は、約400~900mと想定されている。【6,10】

スイスのオパリナス・クレイにおける高レベル放射性廃棄物処分場の概念図
スイスのオパリナス粘土における
高レベル放射性廃棄物処分場の概念図
(放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書より引用)

1.4 廃棄物発生者

 スイスにおける高レベル放射性廃棄物の主たる発生者は、原子力発電所を運転するBKW FMB エネルギー社、ゲスゲン・デニケン原子力発電会社、ライプシュタット原子力発電会社、AXPO社の4電力会社である。【44】

1.5 実施主体

  スイスでは、1972年に廃棄物発生者である原子力発電所を運転する電力会社と連邦政府などによって、全ての放射性廃棄物の恒久的な安全管理及び処分を実施する責任を果たすために、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が設立された。【14】

放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の任務は以下の通りである【48】。

  1. スイス国内で発生したすべての放射性廃棄物のインベントリの作成
  2. すべての放射性廃棄物の安全な処分のための地層処分場計画の策定
  3. 処分候補地の地質調査の実施
  4. 地層処分場サイトの安全性の立証
  5. 公衆に対する透明性の高い情報提供の実施
  6. 放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発における国際協力の促進

本ホームページは、経済産業省資源エネルギー庁の委託事業として、公益財団法人原子力環境整備促進・資金管理センターが整備しています。

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