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1.処分の進捗
対象廃棄物は、使用済燃料の再処理によって発生した高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)及びMOX使用済燃料である。直接処分オプションが採用される場合には、再処理されない使用済燃料も対象廃棄物となる。この他に長寿命中低レベル放射性廃棄物等も同じ処分場で処分される予定である。【6,10】
処分方針としては、使用済燃料全量の再処理または直接処分の両オプションについて、粘土層への地層処分を検討している。再処理オプション採用の場合には、ガラス固化体と長寿命中低レベル放射性廃棄物の併置処分が、直接処分オプション採用の場合には、ガラス固化体、使用済燃料及び長寿命中低レベル放射性廃棄物の併置処分がそれぞれ検討されている。【6,10】
フランスのAREVA NC社(旧COGEMA社)で製作されたガラス固化体はキャニスタに封入されており、さらに厚さ20~30mmのステンレス製のオーバーパックに入れられて処分されることが、2001年12月にベルギー放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)が公開した安全評価・実現可能性第2次中間報告書(SAFIR2)においては考えられている。また、使用済燃料を処分する場合には、燃料のタイプによって3.2m、4.4m及び5.1mの3種類の容器を使用し、臨界の防止や力学的強度等の観点から、容器内の隙間部分には砂の充填が想定されている。【6】
ガラス固化体のオーバーパック
(SAFIR2技術概要報告書、ONDRAF/NIRAS【7】より引用)
なお、SAFIR2以降、ONDRAF/NIRASは処分場に定置する廃棄体として、スーパーコンテナについての検討を行っている。このスーパーコンテナの概念は、2つのガラス固化体を 炭素鋼のオーバーパックに入れ、コンクリートで周囲を固めた後、ステンレス鋼の容器に入れるというものである。また、スーパーコンテナの特徴として、ガラス固化体からの放射線の遮蔽があげられている。【22】
スーパーコンテナ
(ONDRAF/NIRASウェブサイト【22】より引用)
2001年12月にベルギー放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)が公開した安全評価・実現可能性第2次中間報告書(SAFIR2)では、原子炉の運転期間を40年と想定し、2つのオプションにおける処分量が下記のとおり見積もられている(いずれも重金属換算4,934t)。【6】
ベルギーでは処分場のサイト選定作業は開始されていないため、処分候補サイトは未定である。ただし、地層処分の候補地層としては、標準ケースでブーム粘土層、代替ケースとしてイプレシアン粘土層が検討されており、それぞれの参照サイトとしてモル―デッセル地域、ドール地域が挙げられている。ベルギーでは、地下研究所のあるモルもサイト候補から除外されてはいない。【6】

ベルギーの原子力施設
(原子力安全条約に基づくベルギー国別報告書【13】を基に作成)
処分場を設置する場合の候補岩種は、粘土層とされている。【6,16】
2001年12月にベルギー放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)が公開した安全評価・実現可能性第2次中間報告書(SAFIR2)における検討では、処分場の深度は地下240mと考えられている。【6】
SAFIR2では、安全性確保のため高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)は、オーバーパック、埋め戻し材(ベントナイト)、地層からなる多重バリアシステムにより長期にわたって隔離することとされている。【6】
高レベル放射性廃棄物の定置の方法としては、処分坑道横置き方式が考えられている。処分坑道への定置に当たっては、ステンレス製の処分チューブを使用する方式がSAFIR2では検討されている。【6】
処分坑道の断面図
(SAFIR2技術概要報告書、ONDRAF/NIRAS【7】より引用)
SAFIR2では、処分場の規模は、全量再処理オプションの場合の処分坑道延長距離が約6.4km、直接処分オプションの場合の処分坑道延長距離は約11.6kmと想定されている。【6】
処分場の概念図(全量再処理オプションの場合)
(SAFIR2、ONDRAF/NIRAS【6】より引用)
処分場概念図(直接処分オプションの場合)
(SAFIR2、ONDRAF/NIRAS【6】より引用)
ベルギーの高レベル放射性廃棄物の主な発生者は、核燃料製造段階から処分のための引き渡しに至るまで核燃料の所有者となっているシナトム社である。シナトム社は、7基の原子力発電所の操業者であるエレクトラベル社とその主要な株主であるスエズ・トラクテベル社が共同で設立した会社である。既に行われた使用済燃料の再処理も、シナトム社がAREVA NC社(旧COGEMA社)に委託したものである。【6】
ドール原子力発電所には4基の、チアンジュ原子力発電所には3基の加圧水型原子炉(PWR)が運転中である。操業者は全てエレクトラベル社で、チアンジュ1号機の50%をフランス電力会社(EDF)、ドール・チアンジュの合計4基の原子炉の各4%を公的公益事業会社のSPE社が所有している他は、全てエレクトラベル社が所有している。【16】
エレクトラベル社は、スエズ社の子会社であるスエズ・トラクテベル社が過半の株式を保有する私営の電力会社で、ベルギーの全発電電力の約89%を供給している。一方、SPE社は、公営の公益事業会社で、小規模自家発電事業者とあわせて、ベルギーの全発電電力の約1割を供給している。【20】
なお、ベルギーには発電施設の他に、既に廃止されたユーロケミック再処理施設や、燃料製造施設などの核燃料サイクル施設もある。【6】
ベルギーの高レベル放射性廃棄物処分事業の実施主体は、ベルギー放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)である。ONDRAF/NIRASは、1980年にONDRAF/NIRAS設置法により設立され、ベルギーにおける放射性廃棄物管理の全般を担当する機関である。【1,16】
ONDRAF/NIRASは、放射性廃棄物管理の実施者としてベルゴプロセス社を保有しており、処分事業においても処分場の操業はONDRAF/NIRASから他の機関に委託される可能性もある。【2,16】
ONDRAF/NIRASは以下の分野に関する任務を果たすものとされている。 【2,3,16】
放射性廃棄物管理に関しては、長期的・総括的な放射性廃棄物管理プログラムの策定や、廃棄物の受入基準の設定等を含む放射性廃棄物管理に必要な作業全般が任務として定められている。【2,16】
なおONDRAF/NIRASは、2006年2月の戦略的環境影響評価法に基づき、市民との対話集会、専門家との学際的会議及び公式の協議等の活動を行い、高レベル放射性廃棄物の長期管理に関する方針を示す国家廃棄物計画の策定を進めており、同計画を2011年初め頃に政府に提出する予定である。【24】