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このWebサイトでは、諸外国における高レベル放射性廃棄物の最終処分や地層処分の計画の動きに注目し、 "海外情報ニュースフラッシュ"として 最新の正確な情報を迅速に提供しています。 ニュースフラッシュを発行した後も、記事トピックをフォローしています。必要に応じて、情報の"追記"を行っています。


米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2017年4月19日付けのプレスリリースにおいて、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングを実施することを伝えるとともに、法案の討議用ドラフトを公表した。2017年放射性廃棄物政策修正法案は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)を修正するものであり、同プレスリリースでは、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分に係る連邦政府の義務の履行を確実にするため、米国の放射性廃棄物管理政策の現実的な改革を行うものであるとしている。また、今回公表した法案の討議用ドラフトは、放射性廃棄物管理政策の改革について、ステークホルダーからのフィードバックを促進するものであるとしている。

2017年放射性廃棄物政策修正法案の討議ドラフトにおける法案の構成及び主要条文タイトルは、以下の通りとなっている。

第I章 監視付き回収可能貯蔵1
監視付き回収可能貯蔵(第101条)、権限と優先度(第102条)、協力協定の条件(第103条)、サイト選定(第105条)、便益協定(第106条)、許認可(第107条)

第Ⅱ章 永久的な処分場
土地収用・管轄権・保留地(第201条)、水利権(第202条)、申請手続とインフラ活動(第203条)、申請中の処分場許認可申請(第204条)、軍事廃棄物専用処分場開発の制限(第205条)、輸送経路に関する連邦議会意見(第206条)

第Ⅲ章 エネルギー省(DOE)の契約履行
物質[使用済燃料]の所有権

第Ⅳ章 立地自治体に対する便益
同意(第401条)、協定の内容(第402条)、対象となる地方政府(第403条)、使用済燃料処分(第406条)、更新レポート(第407条)

第Ⅴ章 資金
見積り及び拠出金の徴収(第501条)、放射性廃棄物基金の使用(第502条)、一定金額の利用可能性(第503条)

第Ⅵ章 その他
基準(第601条)、民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)(第602条)

下院エネルギー・商務委員会のプレスリリースでは、法案の討議用ドラフトにおける提案は、過去6年間に亘る数多くのヒアリング記録等に基づいて綿密に策定されたものであるとしている。主要な規定として、具体的には以下のようなポイントが含まれている。

  • 中間貯蔵
    第Ⅰ章の監視付き回収可能貯蔵(MRS)は、使用済燃料の中間貯蔵施設プログラムについて規定するものであり、ユッカマウンテン処分場の建設に係る許認可申請に対する原子力規制委員会(NRC)による決定が行われることを条件として、民間事業者との協力契約の締結を含む中間貯蔵の実施権限などを、エネルギー長官に認める規定などが置かれている2
    また、第Ⅲ章では、中間貯蔵を目的としてエネルギー長官が民間の使用済燃料を引取り、所有権を取得する権限を認める規定が置かれている。
  • 処分場プログラム
    水利権に係る州の差別的対応を禁止し、エネルギー長官による水利権取得を認める規定、処分場建設に必要な土地の収用を認める規定などが置かれている3
    また、ネバダ州がラスベガス近郊における使用済燃料輸送について懸念を示していることから、エネルギー長官は可能な限りラスベガスを回避する輸送経路を検討すべきであるとの連邦議会意見も規定されている。
  • 立地地域への便益
    便益の提供を受けることは処分場立地への同意を意味しないとして、処分場計画に反対する州も便益提供の対象とすること(ただし、訴訟費用等への充当は制限)、エネルギー長官は、州のみでなく地方政府とも便益協定を締結することを認めること、放射性廃棄物政策法に規定された以外の便益協定を締結可能とすることなど、放射性廃棄物政策法における便益提供の枠組みを修正する規定が置かれている。
  • 資金
    放射性廃棄物基金からの支出については、各年度の連邦政府の歳出法における承認が必要とされているが、ユッカマウンテンサイトにおける使用済燃料等の受入れ開始後は、処分事業進捗の段階に応じて一定金額を歳出法による承認なしに使用可能とする規定が置かれている。

今回の2017年放射性廃棄物政策修正法案の討議ドラフトの公表に対して、ユッカマウンテンが立地するネバダ州ナイ郡は、同法案がネバダ州の懸念点の多くに対応するものであることを評価し、ネバダ州は検討手続に参加すべきであるなどとして、連邦議会の動きを歓迎する声明を出している。

一方、ナイ郡を選挙区に含むキヒューエン下院議員は、2017年9月19日付けのプレスリリースにおいて、ヒアリングへの参加要求をエネルギー・商務委員会に送付したことを公表するとともに、ネバダ州の代表者が参加しない委員会で審議検討を進めることは不適切であるとの見解を表明している。

【出典】

 

【2017年4月25日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は2017年4月24日に、同委員会ウェブサイトの「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングのページにおいて、2017年4月26日に実施が予定されているヒアリングでの証言者のリストとともに、本ヒアリングに係る背景メモを公表した。

「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングは2部構成で行われ、第1部ではネバダ州及びサウスカロライナ州4 選出の連邦議会議員が、また、第2部では各分野のステークホルダー組織、及びエネルギー省(DOE)民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)の元局長が、それぞれ証言者として予定されている。

また、今回公表された背景メモでは、放射性廃棄物管理に係る背景・経緯に係る情報とともに、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」の討議用ドラフトの逐条解説が示されているほか、本ヒアリングで検証する問題点として以下の5点が示されている。

  • 「2017年放射性廃棄物政策修正法案」討議用ドラフトの条項
  • 処分場に関する許認可と要件
  • 監視付き回収可能貯蔵(MRS)の承認、及び中間貯蔵プログラムを実施するためのDOEの契約上の仕組み
  • MRS、または処分場の立地州・自治体等とのパートナーシップの可能性
  • DOEサイトの環境修復を迅速化する取組

なお、今回開催されるヒアリングに対してネバダ州知事は、2017年4月21日付けのプレスリリースにおいて、ヒアリングを主宰するエネルギー・商務委員会の委員長及び少数党最上席議員に宛ての書簡を公表した。今回のネバダ州知事の書簡では、ユッカマウンテンにおける処分場建設に対して強く一貫して反対を行うこと、あらゆる手段を用いてプロジェクトを阻止する意向であることが示されている。また、ヒアリングに参加するネバダ州選出議員からもプレスリリースが出されており、ヒアリングへの参加が認められたことは評価しつつも、ユッカマウンテン計画に対するネバダ州民の反対は強固であることなどが訴えられている。

【出典】

 

【2017年4月27日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2017年4月26日に、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングを実施した。これを受けてエネルギー・商務委員会は、2017年4月26日付けのプレスリリースにおいて、本ヒアリングにおける証言者の証言等を伝えている。また、エネルギー・商務委員会ウェブサイトのヒアリングのページでは、証言者の証言書、委員長等の冒頭声明書、その他のヒアリング提出文書とともに、ヒアリングの様子を伝えるビデオが公表されている。なお、本ヒアリングで証言を行ったネバダ州選出の下院議員3名からは、再度、反対の意向を示したプレスリリースが出されている。

一方、ネバダ州知事は、本ヒアリングが実施された2017年4月26日にプレスリリースを発出しており、エネルギー長官を訪問して以下の事項について意見交換したことを公表した。

  • ユッカマウンテン計画への反対を改めて表明し、放射性廃棄物問題に対する現実的で安全な代替策の検討を要求した。
  • コミュニケーション強化のためにネバダ州とエネルギー省(DOE)のワーキンググループを再確立する必要性を議論した。
  • ネバダ国家セキュリティサイト(ユッカマウンテンの立地サイト)における研究開発任務強化の重要性を議論した。
  • DOEとネバダ州高等教育組織とのパートナーシップ強化に向けた両者の要望について議論した。
  • DOEのネバダ州に貯蔵されている低レベル放射性廃棄物の厳重な監督継続に係るネバダ州の要望を議論した。
  • サイバーセキュリティの重視と州・DOEの協力方法を議論した。

なお、下院エネルギー・商務委員会の2017年4月26日付けのプレスリリースでは、2017年3月20日に同委員会からエネルギー長官に宛てた書簡に対して、エネルギー長官が発出した返書を掲載している。この中で、ユッカマウンテン処分場の建設に係る許認可手続再開の重要性については、2017年3月27日のユッカマウンテン視察時により明確となったとして、連邦議会と協力して短・長期の取組の前進を図りたいとするエネルギー長官の意向は示されているものの、2017年3月20日付けのエネルギー・商務委員会の書簡で示された具体的な政策への言及はない。

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが、安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。 []
  2. 中間貯蔵については、これまで連邦議会上院の歳出法案等において、中間貯蔵の早期実施のための規定が盛り込まれていたが、下院の歳出法案ではユッカマウンテン計画の実施が最優先として、中間貯蔵施設開発に係る予算要求を認めていなかった。 []
  3. また、ネバダ州ユッカマウンテンにおける処分場開発については、NRCが策定した安全性評価報告(SER)において、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係るDOEの許認可申請書は、土地の所有権及び水利権に関する要求事項 を除いては、NRCの連邦規則の要求事項を満足しているとの結論が示されていた。 []
  4. サウスカロライナ州では、4カ所の商業用原子力発電所のほか、DOE保有の高レベル放射性廃棄物等が貯蔵されているサバンナリバー・サイトが立地している。 []

米国のホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)は、2017年4月6日付のハイライト情報において、ニューメキシコ州のカールスバッド市近傍の自治体で構成されるエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)サイトにおける使用済燃料の中間貯蔵施設について、2017年3月31日に原子力規制委員会(NRC)へ建設に係る許認可申請書を提出したことに関する記者会見のビデオを公表した。

ホルテック社は、2015年8月3日に、許認可申請の意向通知をNRCに提出してNRCとの事前協議を進めてきたほか、採用する地下貯蔵方式のHI-STORM UMAX(Holtec International STORage Module Underground MAXimum securityの頭字語)システムについて、米国で使用中のすべての乾式貯蔵キャスクの受入れ・貯蔵が可能となるよう、適合承認(CoC)の変更申請を2016年8月30日にNRCに提出している

ホルテック社が許認可申請書を提出した中間貯蔵施設は、HI-STORE CIS(CISは集中中間貯蔵施設(Central Interim Storage)の略)と呼ばれ、HI-STORM UMAXシステムにより、ELEAサイトの最大貯蔵容量である10,000基の乾式貯蔵キャスクが貯蔵された状態でも、環境放射線量は実質的にゼロで無視できるレベルであるとしている。また、ホルテック社は、今回の許認可申請では、同様な貯蔵システムを採用して許認可までを取得し、中止された民間燃料貯蔵(PFS)社の集中中間貯蔵施設の計画において、許認可申請書の審査を通じて得られた10,000年間での再来地震(return earthquake)等の知見が活かされているとしている。さらに、ホルテック社の貯蔵システムは、ウクライナのエネルゴアトム社による集中中間貯蔵施設でも採用されているとしている。

なお、ホルテック社は、今回の許認可申請書の提出に際し、ニューメキシコ州、ELEAを構成するエディー郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市など地元自治体等の支持に感謝を示すとともに、エネルギー省(DOE)が民間による中間貯蔵施設の開発の動きを支持する姿勢を見せていることを評価するとの見解を示している。

【出典】

米国で2018会計年度1 の大統領予算教書に係る予算方針を示した文書(以下「予算方針文書」という。)が、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表され、エネルギー省(DOE)の予算として、ユッカマウンテン処分場に係る許認可活動の再開及び中間貯蔵プログラムの開始のために1億2,000万ドル(約125億円、1ドル=104円で換算)が計上されている。ユッカマウンテン処分場の許認可手続については、2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決 により原子力規制委員会(NRC)における許認可申請書の審査の再開が命じられたものの、連邦議会はNRCによる許認可手続の予算を計上せず、過年度の残予算の範囲内で安全審査等の活動が実施されたが、許認可発給のための裁判形式の裁決手続は再開されていなかった

2018会計年度の予算方針文書では、これらの投資は、放射性廃棄物に対する連邦政府の義務の履行を加速し、国家安全保障を強化し、将来の税負担を軽減するものとしている。なお、今回公表された予算方針文書では、主な省庁のみが対象とされており、原子力規制委員会(NRC)の予算は示されていない。DOE全体の予算については、約5.6%の削減要求となっている。また、大統領府予算管理局(OMB)からは、2017会計年度の予算において軍事費を増額して他の一般歳出を削減する修正要求も公表されているが、軍事費以外の詳細については示されていない。

予算方針文書の公表についてDOEは、エネルギー長官の声明がニュースリリースとして公表されているが、放射性廃棄物関連を含め、具体的な内容についての言及はない。また、連邦議会上下両院の歳出委員会の委員長からもプレスリリースが出されているが、予算要求の内容についての具体的な言及はない。

ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州選出の連邦議会議員からは、ユッカマウンテン関連の予算が要求されたことを非難するプレスリリースが出されている。一方、原子力エネルギー協会(NEI)は、DOEの研究開発費の削減には懸念を示しながらも、ユッカマウンテン処分場の許認可活動の再開と中間貯蔵プログラムの両者に予算要求が行われたことについて歓迎することを趣旨とするニュースリリースを出している。

なお、テキサス州は2017年3月14日に、連邦政府は1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)に定められた高レベル放射性廃棄物処分に係る義務を果たしておらず、同意に基づくサイト選定プロセスの取組などは同法に違反しているなどとして、連邦政府を相手取った訴訟を起こしている。テキサス州の訴状では、違法性の確認などとともに、DOE及びNRCがユッカマウンテン処分場に係る許認可手続の予算を要求すること、許認可申請書の審査の再開を命じることを旨とする判決が出されることを求めている。

【出典】

 

【2017年3月22日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会及び同環境小委員会の委員長は、連名での2017年3月20日付け書簡において、今回就任したエネルギー長官に対して、大統領予算教書に係る予算方針においてユッカマウンテン処分場の許認可手続再開のための予算が含められていることを評価する旨を表明した。また、エネルギー省(DOE)の放射性廃棄物管理政策について、以下の事項を要請した。

  • 法律で要求されているOCRWMの再設置
    1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)(以下「放射性廃棄物政策法」という。)では、エネルギー長官に対して直接的に責任を負う民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)について、同法による高レベル放射性廃棄物処分プログラムの実施に係る組織として設置する旨が規定されており、放射性廃棄物管理政策の実施には専門的に設置された機関が必要である。
  • 軍事起源廃棄物の独立した処分に係る2015年決定の見直し
    軍事起源の高レベル放射性廃棄物 (以下「軍事起源廃棄物」という。)の処分については、1985年の大統領決定を受けて、既に37億ドル(約3,800億円、1ドル=104円で換算)の税金を使用してユッカマウンテン処分場の開発を行ってきており、軍事起源廃棄物の独立した処分場を開発するのであれば、2015年決定の基となった費用・スケジュールの再評価が必要である。
  • ネバダ州及びナイ郡への資金提供
    放射性廃棄物政策法は、処分場により影響を受ける地方政府の技術的活動を支援するための資金提供を認めており、ネバダ州のステークホルダーとの建設的対話構築の一歩として資金提供を行うことが望ましい。
  • 放射性廃棄物政策法の修正に向けた協働
    DOEが使用済燃料の中間貯蔵施設の開発が必要とするのであれば、処分場での処分という確立された放射性廃棄物管理政策と抵触しない形でプログラムが推進できるよう、放射性廃棄物政策法の修正のために協力することを期待する。
  • 放射性廃棄物基金からの支出の月次報告
    2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決 以降、DOEの放射性廃棄物処分勘定の残高及び支出対象活動の説明に係る月次報告書を要求しており、今後も同様に、放射性廃棄物基金からの支出の詳細な報告を継続するよう要求する。

なお、下院エネルギー・商務委員会では、連邦議会議員とともにユッカマウンテンの視察を計画しており、本書簡ではエネルギー長官の視察参加も呼び掛けている。

【出典】

 

【2017年3月29日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2017年3月27日付のニュースリリースにおいて、ペリー・エネルギー長官がネバダ州のユッカマウンテン処分場予定地を視察し、その後、ネバダ州知事と会談したことについて、エネルギー長官の声明を公表した。この中でエネルギー長官は、大統領は2018会計年度の予算においてユッカマウンテン許認可手続の再開のために1億2,000万ドルを要求しており、今回のネバダ州知事との会談は、様々な連邦、州及び民間のステークホルダーとの対話を含むプロセスの第一歩であるとしている。

公表されたエネルギー長官の声明では、ネバダ州知事とは率直で生産的な対話が行われたこと、ネバダ州知事はエネルギー長官の訪問を評価しつつも、ユッカマウンテン計画への反対を改めて表明したことを伝えている。エネルギー長官は、ネバダ州知事に対し、以前から親交があるネバダ州知事と今後も様々な問題について協議を続けていくこと、ネバダ州が米国の核・軍事産業に果たしてきた貢献への感謝とともに、今後も使用済燃料管理において重要な役割を維持し続ける必要性などを伝え、冷戦初期から米国の安全保障に貢献してきたネバダ州が、今後も主導的な役割を維持することへの期待を示したとしている。

これに対してネバダ州知事は、2017年3月27日付のプレスリリースを発出しており、ネバダ州は連邦政府機関と様々な問題で協力してきているが、ユッカマウンテンにおける処分問題は考慮する意思のない問題であるとして、今回のエネルギー長官との会談はユッカマウンテンに関する交渉の開始ではないことを表明している。また、ネバダ州選出の連邦議会議員数名も、2017年3月27日付のプレスリリースを発出しており、ユッカマウンテン計画には反対する立場を改めて表明している。

 

【出典】

 

【2017年3月31日追記】

米国のネバダ州知事は、2017年3月29日のプレスリリースにおいて、エネルギー長官との会談の後、ユッカマウンテン計画への反対を継続するために州が取るべき行動について、ネバダ州原子力プロジェクト室と協議したことを公表した。本プレスリリースの中で知事は、自身がネバダ州司法長官であった当時にユッカマウンテン問題の訴訟を提起したことなどを示した上で、ネバダ州における高レベル放射性廃棄物処分に係る連邦政府のいかなる取組みに対しても、訴訟を含む手段を尽くして反対することの他、ユッカマウンテン計画を復活させる動きを見直すよう政権に要求し続けることなどを表明している。

【出典】

 

【2017年4月18日追記】

米国のネバダ州知事は、2017年4月13日のプレスリリースにおいて、テキサス州がエネルギー省(DOE)及び原子力規制委員会(NRC)を相手取って、ユッカマウンテン処分場の許認可手続に係る予算を要求することなどを求めた2017年3月14日の訴訟について、訴訟参加の申立てを第5巡回区連邦控訴裁判所に提出したことを公表した。

ネバダ州知事はプレスリリースの中で、テキサス州の訴訟は、ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州の力量を著しく削ぐものであるなどとしている。また、ネバダ州知事は、今回のネバダ州の申立ては、今後数週間、数カ月における一連の行動の一歩に過ぎないとしている。

この他、ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州の動きとしては、ネバダ州選出のヘラー上院議員も、連邦議会上院歳出委員会の幹部議員に対して、ユッカマウンテン計画に対する予算計上を行わないように求める書簡を提出している。

なお、テキサス州による連邦政府に対する訴訟については、原子力エネルギー協会(NEI)及び原子力事業者7社が2017年4月5日に訴訟参加の申立てを行っている。これは、テキサス州の訴訟において、DOEとの契約に基づいて原子力発電事業者が拠出した放射性廃棄物基金について、処分場開発のために使用されていない状況に関連した救済請求の一部に、不当利得返還などの放射性廃棄物基金の制度破綻に繋がる項目が含まれている点について申立てを行ったものである。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []

米国のエネルギー省(DOE)環境管理局(EM)は、2017年1月17日のニュースリリースにおいて、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の操業再開の式典が、エネルギー長官、ニューメキシコ州知事等が列席して2017年1月9日に開催されたことを公表した。WIPPは、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象により操業が停止されていたが、2016年12月23日に操業再開が決定され、操業再開後の初めてのTRU廃棄物の定置が2017年1月4日に行われていた

エネルギー省(DOE)環境管理局(EM)の2017年1月17日のニュースリリースでは、WIPPの操業再開について、WIPPを監督するDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)から、以下のような情報が示されている。

  • 操業再開に際しては、DOEの事故調査委員会(AIB)の指摘、ニューメキシコ州環境省(NMED)や国防核施設安全委員会(DNFSB)、環境保護庁(EPA)、労働省鉱山安全保健管理局等の詳細な監督を受けて、多くの改善が行われた。
  • 火災事故の影響による電力供給の回復、安全管理プログラムの改善、施設・装備等の強化、岩盤管理(ground control)、除染など、復旧活動は複雑であり、35カ月という長期を要した。
  • 作業環境が放射能で汚染された環境へ変化するとともに、天井や壁のロックボルト打設などの岩盤管理作業が特に困難な課題となった。
  • 放射能汚染区域は処分施設南側区域の早期閉鎖で約6割が減少したほか、岩塩による放射性核種の吸収等で表面汚染は減少を続けているが、第7パネルが閉鎖されるまで放射能汚染区域は残る見込みである。
  • 廃棄物受入れは徐々に頻度を上げて、2017年後半には週5回程度の受入れを見込んでいるが、以前と同じペースでの廃棄物受入れには、2021年以降に完成予定の新たな排気立坑等による換気能力の強化が必要である。
  • TRU廃棄物の各DOEサイトからの輸送は、2017年春頃の再開を見込んでおり、詳細な予定を策定中である。
  • 放射能汚染された地下施設での復旧作業では、防護服等の着用により、最大75%も作業効率が低下したが、作業員の努力により復旧を達成できた。

【出典】

 

【2017年4月12日追記】

米国のエネルギー省(DOE)環境管理局(EM)は、2017年4月10日のニュースリリースにおいて、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、2016年12月23日に操業を再開してから初めてとなるTRU廃棄物の受入れを行ったことを公表した。DOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)のWIPP復旧情報のウェブサイトにおいても、同様な内容を伝えるWIPP更新情報が掲載され、廃棄物受入れの様子を伝えるビデオも公表されている。

今回受入れが行われたTRU廃棄物は、アイダホ国立研究所(INL)から搬入されたものであり、DOEは、2014年2月の火災事故及び放射線事象でWIPPの操業が停止されてからTRU廃棄物の貯蔵を余儀なくされていた各DOEサイトにとっても、WIPP自身にとっても、重要なマイルストーンであるとしている。WIPPにおけるTRU廃棄物の受入れは、当初は週2回のペースで行われ、2017年末までには週4回のペースに増加する予定とされている。

なお、DOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、今回のTRU廃棄物輸送の再開に向けて、各DOEサイトからWIPPまでの輸送経路及びWIPP近傍において、実際の廃棄物輸送容器の展示や説明を行う「ロードショー」を実施していた。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2017年1月12日に、「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の集中貯蔵・処分施設のための同意に基づくサイト選定プロセス案」(以下「サイト選定プロセス案」という)を公表するとともに、2017年4月14日までコメントの募集を行うことを2017年1月13日付の連邦官報の告示文書に記載した。DOEは、2016年12月に、同意に基づくサイト選定イニシアティブを開始しており、本サイト選定プロセス案は、全米8カ所でのパブリックミーティングや意見募集で収集した意見、及び「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の最終報告書・勧告などを反映し、同意に基づくサイト選定プロセスの実施のための具体的なステップや設計原則について、DOEの考え方を示したものとされている。本サイト選定プロセス案については、2016年9月15日に開催された意見集約ミーティングにおいて、2016年内に発行する予定が示されていた。

今回公表されたサイト選定プロセス案では、安全性などに加えて、公正・公平、十分な情報を得ながらの参加、立地地域への便益、任意参加/撤退の権利、透明性、段階的・協調的意思決定など、サイト選定プロセスを設計する際の原則を示した上で、具体的なサイト選定の段階が、下表のように示されている。なお、以下で示される「コミュニティ」は、直接の立地コミュニティのみならず、サイト選定プロセスで重要な役割を担う州や地方政府、地域選出の連邦議会議員や先住民族政府等も含むものとされている。

フェーズI 同意に基づくサイト選定プロセスを開始し、より多くを学ぶためのコミュニティへの参加要請
ステップ1 実施主体が法律上の権限と予算を取得
ステップ2 実施主体が同意に基づくサイト選定プロセスを開始
ステップ3 コミュニティがより多くを学ぶための資金供与プログラムを実施主体が開始
ステップ4 学びたいコミュニティが資金供与プログラムに関心を表明
ステップ5 実施主体が申請書を評価して資金供与コミュニティを決定
ステップ6 コミュニティが予備的サイト評価を要求
フェーズII サイト評価
ステップ7 実施主体が予備的サイト評価を実施(わが国の「概要調査」に相当)
ステップ8 コミュニティが詳細サイト評価を要求
フェーズIII 詳細評価
ステップ9 実施主体が詳細サイト評価を実施(わが国の「詳細調査」に相当)
ステップ10 適合サイトのあるコミュニティが受入意向の可能性を決定
フェーズIV 合意
ステップ11 コミュニティがさらに進むための条件を提示
ステップ12 コミュニティと実施主体が協定について交渉・承認
ステップ13 コミュニティと実施主体が協定を締結(ここまで、コミュニティは撤退の権利を有する)
フェーズV 許認可、建設、操業、閉鎖
ステップ14 施設の許認可
ステップ15 施設の建設・操業
ステップ16 施設の閉鎖・廃止措置
ステップ17 閉鎖後もサイトを監視し、コミュニケーションを維持

今回公表されたサイト選定プロセス案の報告書では、サイト選定プロセスにおける考慮事項についても案が示されている。サイト選定プロセスの初期段階においては、大枠の除外要件が示されるとした上で、詳細なサイト評価段階においては、以下を含むサイト選定要件項目について、評価に必要な情報が取得されるとしている。

  • サイト周辺の人口
  • 土地の広さ
  • 地震動及び大規模断層
  • 鉱山活動など人工的な地震の誘発
  • 地表面の断層
  • 流動化など地盤動に繋がり得る土壌・母岩条件
  • 地耐力
  • 洪水の影響
  • 施設設計や操業安全に影響する自然現象
  • サイト及び設計に影響し得る地域産業
  • 輸送インフラへの近接

また、地層処分場の詳細なサイト評価段階については、さらに、水文地質学、地球化学、母岩特性、侵食、溶解、地質構造、人間侵入の可能性などのサイト選定要件項目が必要になるとしている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)カールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、2016年12月23日の更新情報において、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)におけるTRU廃棄物の処分について、操業再開をDOEが承認したことを公表した。WIPPでは、火災事故及び放射線事象が2014年2月に発生して以来、現在まで操業が停止されている。操業再開後の初めての廃棄物の定置は、坑道の岩盤管理(ground control)などの準備作業が終了した後、2017年1月初めに実施の見込みとされている。

現在、WIPPの廃棄物取扱建屋に保管されているTRU廃棄物を地下に移送するために必要とされる活動は、すべての審査を受けて検証が完了しており、廃棄物定置の公式の再開日は、坑道床面の平準化などの第7処分パネルで必要とされる軽微な準備作業の完了後に決定するとしている。

今回のDOEの決定は、DOEの操業準備審査(DORR)で指摘された操業開始前段階での是正活動について、すべて完了・検証されたことを確認するものとなる。2016年12月23日のWIPP更新情報では、独立の審査や監督規制組織による報告書として以下が示されている。

  • DOEの操業準備審査(DORR)(http://www.wipp.energy.gov/Special/WIPP_DORR_Final_Report.pdf)
    DOEの操業準備審査チームによる評価であり、緊急時対応、廃棄物受入れ、火災防護などの機能的領域、及びDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)の監督能力などが評価された。操業準備審査での指摘事項への対応として、操業開始前に対応が必要とされた21項目の完了が確認され、操業開始後に廃棄物定置活動と並行して対応が可能とされた15項目の是正活動計画が承認された。
  • 契約者操業準備審査(CORR)(http://www.wipp.energy.gov/Special/WIPP_CORR_Final_Report.pdf)
    契約者操業準備審査では、「直接ハンドリングが可能なTRU廃棄物」(CH廃棄物)の定置作業に係るすべての側面を対象として、管理・操業契約者の準備状況に対する独立的な評価がDOEに提供された。初動対応を含む緊急時対応や訓練、調達管理など7項目が操業開始前に必要とされたほか、放射線管理など5項目の操業開始後の対応事項が指摘された。
  • 国家環境政策法(NEPA)補足分析(http://www.wipp.energy.gov/Special/Supplemental_Analysis.pdf)
    DOEは、2016年12月21日に最終版とした補足環境影響評価書(SEIS)に対する補足分析において、WIPPへの廃棄物の輸送とWIPPにおける処分の再開・継続は、WIPP操業開始時の補足環境影響評価書(SEIS)や2009年の補足分析に対して重大な変更を行うものではなく、新たに重大な環境上の懸念等もないとして、さらなる国家環境政策法(NEPA)文書の策定は不要と決定した。
  • 鉱山安全保健管理局―技術支援評価(http://www.wipp.energy.gov/Special/MSHA_Technical_Support_Evaluation.pdf)
    労働省鉱山安全保健管理局がDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)らの依頼を受けて行った評価であり、地下における換気の制約や防護服着用による生産性低下等の課題が認識されたが、違反等の指摘はなかった。
  • WIPPサイト事象の独立レビューチーム(WSIR)―ニューメキシコ鉱山技術大学(http://www.nmt.edu/images/stories/WSIIRFINALReport2016.pdf)
    DOEの要請によりニューメキシコ鉱山技術大学の科学者らが独立の評価を行ったものであり、DOEの事故調査委員会(AIB)や技術評価チーム、ロスアラモス国立研究所等のレポートが評価された。

また、WIPPでの有害廃棄物処分に係る規制機関であるニューメキシコ州環境省(NMED)は、2016年12月16日に、WIPPの有害廃棄物の許可条件及び是正活動について検査を行った結果として、WIPPにおける通常の操業状態への復帰を承認することを通知している。

なお、WIPPの操業再開時期については、2014年9月公表の復旧計画では2016年第1四半期とされていたが、その後、2016年末へと変更されていた。

【出典】

 

【2017年1月6日追記(エネルギー省(DOE)プレスリリース(2017年1月9日)の追加)】

米国のニューメキシコ州環境省(NMED)は、2017年1月4日に廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)が操業を再開したこと、操業が停止されてから初めてのTRU廃棄物の定置が行われたことなどを公表した。WIPPは、ニューメキシコ州カールスバッド近郊でエネルギー省(DOE)カールスバッド事務所(CBFO)が1999年3月26日から操業を行ってきた軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場であるが、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象により操業が停止されてきた。WIPPでの操業再開については、2016年12月23日に、DOEが管理・操業契約者(M&O)による操業再開を承認していた。

ニューメキシコ州環境省(NMED)は、2014年2月の火災事故及び放射線事象の発生以来、包括的な調査を実施し、DOEの責任を明確にするとともに、指定した是正活動の実施を監督してきたことが、今回の操業再開に繋がったとしている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年12月16日に、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の独立した処分場の計画案を示す報告書を公表するとともに、2016年12月19日付の連邦官報において、2017年3月20日までコメントの募集を行うことを告示した。DOEは、核兵器開発等で発生した高レベル放射性廃棄物や海軍の船舶炉の使用済燃料を保有しており、今回公表された報告書は、これら軍事起源廃棄物の専用処分場の計画案を示すものである。

DOEは、核兵器開発に伴う高レベル放射性廃棄物は米国で新たに発生しておらず、民間の使用済燃料と比較して廃棄物量が限定されて発熱量も小さいことから、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分場は、民間使用済燃料と共同の処分場よりも立地・建設計画の単純化が可能であり、より早期に開発できるとしている。DOEは、全米各地のDOEサイトで保管されている軍事起源廃棄物の撤去及び処分に責任を有しており、専用処分場の開発のために必要な活動について検討してきた。DOEは、軍事起源廃棄物の専用処分場を同意に基づくサイト選定プロセスで開発することにより、今後の米国の全体的な放射性廃棄物戦略に重要な経験をもたらすとしており、軍事起源廃棄物の専用処分場の計画案についてのコメントを募集することが適切としている。

軍事起源廃棄物について独立した専用処分場を開発する方針は、2015年3月に大統領覚書により示されていた。軍事起源廃棄物の処分について、1982年放射性廃棄物政策法第8条においては、費用対効果、保健及び安全、規制、輸送、社会的受容性及び国家安全保障に関連する要因を評価し、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分場の開発が必要であると大統領が判断した場合、民間から独立した処分場を計画することができると規定されている。2015年3月の大統領の判断は、本法に沿った検討・評価と位置付けられる。

今回公表された報告書では、軍事起源廃棄物の専用処分場の開発に係る法的権限と規制枠組みを示した上で、計画、戦略、計画で必要とされる様々な活動などが示されている。軍事起源廃棄物の専用処分場の開発は、段階的なアプローチで進めるものとされ、同意に基づくサイト選定プロセスを構築した後、16年後には処分場の建設を開始し、23年後には操業を開始する予備的なスケジュール案が示されている。費用については、一例として30億ドル(3,600億円)の概算も示されているが、より信頼できる想定を行うためには、立地地点、地質環境、廃棄物量等の確定が必要としている。

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2016年11月8日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の安全審査に関連して、新たな知見を取りまとめるための「ナレッジマネジメント報告書」の策定を行うことを決定した。NRCによる許認可申請書の安全審査については、2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決 を受け、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内で安全審査等の活動が実施され、安全性評価報告(SER)の策定、補足環境影響評価書(SEIS)の策定、許認可支援ネットワーク(LSN) (詳細はこちら) への登録文書の公開作業などが行われてきた。今回のNRCの決定は、2015年2月3日の指示文書で指定された活動が2016年末で終了することから、未使用残高として見込まれる約127万ドル(約1億5,200万円)の使途についてNRCが検討し、NRCの委員会が承認したものである。

未使用の残予算で今後の策定が決定したナレッジマネジメント報告書では、2011年にユッカマウンテン処分場に係る安全審査活動が停止された際に策定されたナレッジマネジメント報告書について、その後の新たな知見などを反映した更新が行われる。ナレッジマネジメント報告書で取りまとめる対象項目は以下が示されており、約9カ月の期間と約70万ドル(約8,400万円)の費用が想定されている。

閉鎖前・閉鎖後の安全評価

  • 不飽和帯の地層処分場における人工バリア性能への腐食科学の新たな知見の適用
  • 処分場の地上施設建屋の地盤工学的安定性の評価
  • 地震フラジリティ曲線(SFC、seismic fragility curve)計算手法の評価
  • 処分場の地上・地下施設の解析への地震動情報の適用

気候と水文学

  • 浸透と地下水流動に係る気候モデルへの取組及び気象データの更新
  • 飽和帯における地下水流動の特性調査・モデル化
  • 地層処分場の性能確認のための独立した地下水流動モデルツールの情報管理
  • 不飽和帯の亀裂性岩盤や熱環境のモニタリング方法及びセンサーの現在の性能(リモートセンサーを含む)

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年10月24日に、民間プロジェクトによる使用済燃料の集中中間貯蔵のサービスが、DOEによるパイロット規模あるいはフルスケールの使用済燃料貯蔵のために利用可能であるかについて、情報要求(RFI)を行う文書を公表した。情報要求(RFI)は2016年10月27日付の連邦官報で告示されることとなっており、2017年1月27日まで回答を受け付けるとしている。

DOEは、2013年1月に公表した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下、「DOE戦略」という)において、パイロット規模及びフルスケールの中間貯蔵施設の開発が必要であるとして、連邦政府による中間貯蔵施設の開発の検討を行ってきた。民間プロジェクトとして進められている中間貯蔵施設は、DOE戦略では想定されていなかったが、連邦政府による中間貯蔵施設の代替または追加として利用可能な有望な選択肢であるとして、本情報要求(RFI)が発行されたものである。今回の情報要求(RFI)では、以下の12の質問への回答が求められている。

  1. 民間プロジェクトが、統合的な放射性廃棄物管理システムの一部として、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵の実現可能な解決策を提供するため、どのような要因が考慮されなければならないか。
  2. 民間プロジェクトは、中間貯蔵施設が立地する地元自治体・州や先住民族にどのような利益をもたらし得るか。隣接自治体についてはどうか。
  3. 民間プロジェクト及び自治体とともにDOEの参加が必要であるとした場合、組織・構造・契約枠組みとしてどのような形が必要か。また、その理由は。
  4. 連邦政府の投資による連邦政府所有・契約者操業の中間貯蔵施設と比較して、民間プロジェクトの長所・短所は何か。
  5. 使用済燃料が民間の貯蔵施設で効果的に管理され、連邦政府の費用が抑えられているとの連邦政府への保証として、どのようなものが適切と考えるか。
  6. 民間プロジェクトではどのようなビジネスモデルの可能性があるか。また、そうしたビジネスモデルの長所・短所は何か。
  7. 貯蔵期間中に生じる可能性がある責任については、どのように管理するか。
  8. 州・地域・先住民族による承認として、どのようなものが必要か。
  9. 民間プロジェクトの概念を、公正で開かれた透明な形で検討、実施し続けるため、連邦政府はどのようにしたら良いか。
  10. 民間プロジェクトに関わる立地州・先住民族・地域自治体と連邦政府の間で支援協定を締結する場合、どのような協定が期待されるか。
  11. その他に考慮すべきことはあるか。
  12. 連邦政府所有でない施設を開発するため、他の代替的なアプローチはあり得るか(例えば、プロジェクトの資金調達、予想される規制・法的問題など)。もし存在する場合、それはどのようなものであり、上記の質問に対してどのような答えが得られるアプローチか。

DOEは特に、中間貯蔵施設の開発の可能性がある事業者、その立地・隣接自治体、及び既存の放射性廃棄物施設の操業者は、本情報要求(RFI)への回答に関心があるものと考えているとしている。なお、米国では、テキサス州においてはウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社が、ニューメキシコ州ではエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)とホルテック・インターナショナル社が、それぞれ中間貯蔵施設の開発を表明し、原子力規制委員会(NRC)による許認可取得に向けて取り組んでいる。

なお、本情報要求(RFI)は、連邦政府が実際に民間貯蔵サービスを調達することを約したものではないとしている。

 

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)カールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、2016年10月14日に、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)のTRU廃棄物の処分エリアの一部について、閉鎖を実施する方針を公表した。WIPPでは、火災事故及び放射線事象が2014年2月に発生して以来、現在まで操業が停止されており、2016年内の操業再開を目指して復旧活動が行われているが、一部の坑道で崩落が続いたことなどを受けて閉鎖の方針が決定された。DOEは、WIPPの規制機関である連邦環境保護庁(EPA)及びニューメキシコ州環境省(NMED)と既に協議を開始しており、地下施設の南側一部を閉鎖する計画の策定を始めている。

閉鎖が検討されているエリアは、下図に示す処分エリア南端の範囲であり、2014年2月の放射線事象により汚染された区域にある。

閉鎖が検討されているエリア

閉鎖が検討されているエリア

WIPPでは、模擬廃棄物容器を用いたコールドによる操業を2016年8月24日に完了するなど操業再開に向けた準備が進められているが、2016年9月27日に第4パネルの入気坑道で、2016年10月4日には第3パネルの排気坑道で、岩塩の崩落が発見された。2014年2月のWIPPでの放射線事象の後、汚染エリアでは坑道の維持作業が削減されていたため、処分エリアの南端部分では崩落等の兆候が確認されていた。WIPPは、岩塩層に建設された処分施設であり、廃棄物の定置後、長期的には岩塩のクリープ現象による崩壊等で開削空間が閉じられていくことにより、処分エリアが密封されることが想定されており、今回の一部の坑道での崩落もこのクリープ現象によるものである。

DOEは、一部の処分エリアの閉鎖により、作業安全が確保されるとともに、今後、処分が予定されるエリアにおける坑道維持作業等に集中することが可能になるとしている。また、今回の一部の処分エリアの閉鎖は、操業再開の準備や今後の廃棄物定置活動には影響せず、操業再開後の処分施設の操業能力が限定されることもないとしている。

【出典】