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フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2015年7月1日に、国家放射性廃棄物インベントリレポートの2015年版を公表した。ANDRAは2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、3年毎にインベントリレポートを改訂しており、前回のレポート改訂は2012年に行われていた

今回取りまとめられた国家放射性廃棄物インベントリレポートは、次の3つのレポートで構成されており、ANDRAのホームページからダウンロードできる。

  • 総論レポート
  • 廃棄物分類別インベントリ(廃棄物の特性分類別のインベントリ情報を整理)
  • 地域別インベントリ(地域別のインベントリ情報を整理)

※現在公開されているものは、いずれもフランス語版のみ。

総論レポートによれば、2013年末時点でフランス国内に存在する放射性廃棄物の総量は約146万m3であり、2010年末時点のインベントリを整理した3年前のレポートから14万m3増加している。ANDRAは前回のレポートからの廃棄物量の変化について、発電、調査研究、産業・医療分野などでの通常の廃棄物の発生に加えて、次のような要因を挙げている。

  • 廃止措置中のブレニリス原子力発電所(モンダレー発電所のガス冷却重水炉)からの使用済燃料の再処理の決定に伴う、高レベル放射性廃棄物の減少(以前はこの使用済燃料を高レベル放射性廃棄物として計上していた)。
  • ビチューメン(アスファルト)固化を予定していた一部の長寿命中レベル放射性廃棄物の処理方法の変更に伴う廃棄物量の増加。
  • モナザイト(トリウム等の原料となる鉱物)の加工によって発生するラジウム含有廃棄物の処理方法の変更に伴う長寿命低レベル放射性廃棄物量の増加。
  • 長寿命中レベル放射性廃棄物の一部が、長寿命低レベル放射性廃棄物に分類変更されたことに伴う長寿命低レベル放射性廃棄物量の増加。

 

【出典】

ドイツの連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は、2015年6月19日のプレスリリースにおいて、使用済燃料の海外再処理に伴って発生した発熱性放射性廃棄物の高レベルガラス固化体及び中レベルガラス固化体を収納したキャスク(貯蔵・輸送容器)のうち、ドイツへの返還が完了していない26基のキャスクの貯蔵先に関する提案を示した。BMUBは、4か所の原子力発電所サイトにおいて、26基のキャスクを分散して貯蔵することを提案している。

ドイツでは原子力法の規定により、2005年7月1日以降、再処理を目的とした使用済燃料の海外輸送が禁止されているが、これ以前にフランスに5,379トン、英国に851トンの使用済燃料が輸送された。これらの使用済燃料の再処理に伴って発生した放射性廃棄物のうち、フランスからの高レベルガラス固化体の返還は2011年11月までに完了し、ゴアレーベン(ニーダ―ザクセン州)に存在する集中中間貯蔵施設において108基のキャスク(高レベルガラス固化体で3,024本)が貯蔵されている。フランスからはさらに、中レベルガラス固化体〔CSD-B〕(わが国では「低レベル放射性廃棄物ガラス固化体(CSD-B)」と呼称)を収納した5基のキャスクが返還されることになっている。また、英国からの返還は開始されておらず、再処理により発生する中低レベル放射性廃棄物については等価交換が行われるため、今後、高レベルガラス固化体を収納した21基のキャスクのみが返還される。

これらの今後返還されることになる放射性廃棄物については当初、フランスからの高レベルガラス固化体と同様に、ゴアレーベンの集中中間貯蔵施設において貯蔵することが計画されていた。しかし、2013年7月の原子力法の改正において、海外から返還されるガラス固化体については、原子力発電所サイト内外の中間貯蔵施設での貯蔵に配慮することが規定された。このため、ゴアレーベン中間貯蔵施設に代わる貯蔵先の検討が進められてきた。

プレスリリースによるとBMUBは、原子力利用に伴う負担の公平性、及び技術的、法的、政治的、また手続的な側面を考慮した結果、異なる4つの州に所在する以下の4カ所の原子力発電所サイト内の中間貯蔵施設が、返還されるガラス固化体の貯蔵先として最適であるとしている。

  • フランスから返還される中レベルガラス固化体(キャスク5基)の貯蔵先
    • フィリップスブルク原子力発電所サイト(バーデン・ビュルテンベルク州)
  • 英国から返還される高レベルガラス固化体(キャスク21基)の貯蔵先
    • ビブリス原子力発電所サイト(ヘッセン州)
    • ブロックドルフ原子力発電所サイト(シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州)
    • イザール原子力発電所サイト(バイエルン州)

プレスリリースによると、BMUBと廃棄物発生者である電気事業者4社は、今後、共同の作業グループを設置して、貯蔵先及び各貯蔵先に貯蔵する廃棄体キャスク数を決定することなどで合意したとしている。また、フランスからの返還は2017年に、英国からの返還は2018~2020年に行われることが予定されている。これらの原子力発電所サイト内の中間貯蔵施設において返還されるガラス固化体を貯蔵するためには、別途、連邦放射線防護庁(BfS)から許可を取得する必要がある。

なお、フランスからは、固型物収納体〔CSD-C〕1 も返還されるが、この廃棄物については、アーハウス集中中間貯蔵施設(ノルトラインヴェストファーレン州)における貯蔵が計画されている。

 

【出典】


  1. 燃料棒のせん断片(ハル)等を圧縮して高レベルガラス固化体と同型の容器に収納したもの []

スウェーデンの放射性廃棄物処分の規制監督機関である放射線安全機関(SSM)は、2015年6月24日付のプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が提出していた使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書に対する安全審査について、その第一回目となる中間結果を公表した。SSMは、今回示した結果は中間的なものであり、全体的な結論に至るには早すぎるとしつつも、SKB社が進めている処分概念に対して、慎重ながらも肯定的な見方であることを示した。

SKB社は、KBS-3概念1 と呼ばれる処分概念による使用済燃料の最終処分の実現に向け、2006年11月にはオスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書を提出し、その後、2011年3月にフォルスマルクにおける使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書を提出した 。現在、スウェーデンにおける使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設に関する許可申請では、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく3つの申請書の審査が並行して進められている(下記の囲みを参照)。

※:使用済燃料処分場の実現に向けて審査中の申請書

①使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書
(2011年3月16日に土地・環境裁判所に提出)…環境法典に基づく申請
②オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書
(2006年11月にSSMに提出済、2011年3月16日更新)…原子力活動法に基づく申請
③フォルスマルクにおける使用済燃料処分場の建設許可申請書
(2011年3月16日にSSMに提出)…原子力活動法に基づく申請

今回、SSMは、第一回目となる中間結果として、①「使用済燃料の処分施設の建設・操業」、②「長期の放射線安全に係る処分場の初期状態及び建設・操業のフィージビリティ」に関する2つの中間報告書を公表した。SSMは、処分場の建設・操業期間に行われる岩盤の掘削や地下施設におけるキャニスタの搬送・定置等の活動について、SSMが定める原子力安全及び放射線防護に関する基準を満たすことをSKB社は立証しているとの予備的な見解を示している。また、処分場閉鎖後の安全解析の開始時点となる初期状態についても、銅製キャニスタの製造に関連した課題があるものの、慎重ながら肯定的な見方をしているとのSSMの考えを示している。また、最低でも10万年という期間にわたって放射線安全の要件が満たされうるかという質問に対してSSMが見解を示せるようになるには、安全審査にさらに時間が必要としている。

今後の安全審査のスケジュールについてSSMは、次の中間結果を2015年内に公表し、2016年春にSKB社の立地・建設許可申請の全体に対する意見を土地・環境裁判所に提出し、2017年に包括的な最終審査結果を政府に提出するとしている。

【出典】

【2015年11月18日追記】

スウェーデンの放射性廃棄物処分の規制監督機関である放射線安全機関(SSM)は、2015年11月17日付のプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が提出していた使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書 に対する安全審査の第二回目の中間結果を公表した。

SSMは、長期安全性の観点から、SKB社が行った代替サイトの適合性の評価を含めてサイト選定プロセス自体の精査を行っており、今回の中間結果において、処分場建設予定地であるフォルスマルクは岩盤の亀裂が限定的であり、地下水流動が小さいことから、放射線安全の観点からの評価として、使用済燃料処分場のサイトとして最も適切なサイトであるとしている。また、SSMは、将来の処分場からの放射性物質の放出による影響評価に関して、SKB社が用いた方法についても審査を継続しており、現時点では、慎重ながらも肯定的な見方をしていることを示している。

【出典】


  1. KBS-3概念とは、スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に縦置きに定置して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというもの。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様な概念を採用している。 []

フランスにおいて放射性廃棄物等の管理に関する取組、研究・調査等の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、第9回評価報告書を2015年6月18日にCNEウェブサイトで公表し、地層処分プロジェクトなどに対する見解を示した。

CNEは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する研究・調査の進捗状況について、「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)に定める基本方針を基準として毎年評価し、その結果を報告書に取りまとめて議会に提出することになっている。第1回評価報告書は2007年6月に取りまとめられており、今回の報告は第9回目となる。

CNEは、第9回評価報告書の「要約と結論」において、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が進める地層処分場の設置許可申請に向けた研究開発状況について、以下のような見解を示している。

  • ANDRAが地層処分場の設置許可申請を行う時期は、放射性廃棄物等管理計画法で定められた期限の2015年ではなく、2017年頃になる予定である。CNEとしては新たなスケジュールが遵守されることを期待する。
  • ANDRAは、高レベル放射性廃棄物の処分坑道において発熱性のある廃棄物パッケージの定置の最適化作業を進めており、その一環でカロボ・オックスフォーディアン粘土層の熱・水・応力(THM)挙動に関する研究を実施している。その結果を反映してANDRAは、地下施設の高レベル放射性廃棄物の処分区域のレイアウトを大きく変更した。処分場のTHM挙動を精緻に把握し、カロボ・オックスフォーディアン粘土層における熱応力破壊の範囲をより明確にするとともに、熱応力破壊に関する判断基準が満たされないことによる安全性への影響を評価するためには、さらなる調査・研究が必要である。
  • ANDRAは、廃棄物発生者と共同で策定する廃棄物管理産業プログラム(PIGD)1 で示される全ての高レベル放射性廃棄物について、安全規則を遵守して処分を行うため、高レベル放射性廃棄物の処分区域の設計を十分慎重に行うべきである。また、今後の新たな知見により、地下空間をより効率的に利用できる可能性もある。
  • ANDRAは、地層処分場内での大規模火災を想定した熱条件下におけるビチューメン(アスファルト)固化体の挙動に関する研究を行い、これらのパッケージのロバスト性及びビチューメン固化体の化学的な不活性さを確認している。これらの新たなデータによって、火災が廃棄体に与える影響に関する懸念は払しょくされたとCNEは判断した。引き続きANDRAは、地層処分場の操業期間を通じて、ビチューメン固化体の化学的安定性に関する研究を継続すべきである。
  • ANDRAは現在も、処分場の操業開始後、最初に処分する廃棄物パッケージの仕様を確定するため、廃棄物発生者(事業者)と協議を行っている。CNEは、放射性廃棄物の管理プロセスにANDRAが可能な限り早い段階から関与できるようにすることを勧告する。
  • 地層処分場のコスト評価について、ANDRAと廃棄物発生者との間で意見が対立している。CNEは、コストが慎重に評価され、安全性の確保に必要なコストが削減されることがないよう改めて要望する。

【出典】


  1. 地層処分場の設計にあたって考慮すべき廃棄物インベントリ、中間貯蔵施設からの輸送手段や流れ等に関してANDRAと廃棄物発生者が共同で策定した計画 []

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2015年6月16日に、「エネルギー省(DOE)が管理する使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の独立した処分計画の実施に伴う技術的課題の評価」に関する報告書(以下「NWTRB報告書」という)を公表し、超深孔処分の計画などに対する勧告を行った。NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性を評価し、連邦議会及びエネルギー長官に対して勧告等を行う目的で設置された独立の評価組織である。

今回のNWTRB報告書の評価対象は、DOEが2015年3月24日に公表した「軍事起源の高レベル放射性廃棄物の独立した処分に関する報告書」、及びその根拠とされた2014年10月の報告書「DOE管理の高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分オプションの評価」(以下「処分オプション報告書」という)である。NWTRBは評価の目的を、DOEの新しい独立した処分計画に付随する技術的及び科学的課題の評価を行うこととしている。NWTRB報告書では、以下の4点が勧告されている。

  1. 異なる母岩における廃棄物容器について、劣化後の廃棄体の性能について検討すべきである。
  2. 可能性ある処分場の地質環境について、DOE保有の使用済燃料の劣化速度に関する理解を深めるべきである。
  3. 相対的に低温の海軍使用済燃料を小さな廃棄物容器に再封入する方法及び費用・便益を評価すべきである。
  4. ボーリング孔のシーリング技術の研究を実施し、超深孔処分で対象とする廃棄体を処分するため、より強固な人工バリアが必要とされないかを評価すべきである。

超深孔処分についてNWTRBは、DOEの処分オプション報告書の基となったサンディア国立研究所(SNL)の2011年10月の報告書「高レベル放射性廃棄物の超深孔処分のリファレンス設計及び実施」に対して、2013年7月に技術的課題を指摘していた。今回のDOEの処分オプション報告書においても、開発に要する時間が示されていないこと、廃棄体の劣化速度、人工バリア、核種の半減期・移行速度、発熱量等の重要な要因を考慮せずに大きさのみで超深孔処分の対象廃棄物を選定していること、廃棄物の回収可能性を担保する廃棄物容器の健全性等を検討していないことなどを指摘し、セーフティケースの改善が必要としている。また、社会的な受容性を含め、DOEの独立した処分計画が、民間の使用済燃料の処分場開発に与えるマイナスの影響の可能性が評価されていないことも付言している。

【出典】

英国のドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場が所在するイングランドの環境規制機関(Environment Agency、EA)は、環境セーフティケース(ESC)が安全規制要件等を満たすものであるとのレビュー結果を示した上で、低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLW Repository Ltd、LLWR社)からの許可申請を承認する決定案を2015年5月28日に公表するとともに、意見提出期限を2015年7月23日までとする公開協議を開始した。カンブリア州西部で1959年より操業を行っているドリッグ処分場は、既に処分の許可を得ている施設が満杯であることから、処分場を操業するLLWR社は、同処分場内の新たな施設での処分の許可申請とともに、処分場全体の安全性や環境影響などに関する環境セーフティケース(ESC)を提出していた。

英国で発生する低レベル放射性廃棄物は、ドリッグ処分場のほか、スコットランド北部にあるドーンレイ処分場で処分されている。LLWR社は、原子力廃止措置機関(NDA)が所有する原子力施設の操業・廃止措置等をNDAとの契約に基づいて実施するサイト許可会社(SLC。原子力施設法に基づいて原子力サイトとする許可を受けた者)であり、ドリッグ処分場を操業する事業者である。

■ドリッグ処分場の現状と今後の計画

ドリッグ処分場では1959年の操業開始以降、7つのトレンチ処分施設で80万m3の低レベル放射性廃棄物が処分されてきたが、1988年以降はコンクリートボールト施設での処分に切り替えられている。8号コンクリートボールト施設として1988年より処分を開始した20万m3の容量をもつコンクリートボールト施設は既に満杯であるため、新たな施設での処分の許可が必要であった。なお、既に9号コンクリートボールト施設が完成しているが、処分施設としての許可は取得していないため、現在は一時貯蔵施設1 として利用されている。

新たな施設での処分の許可に関するLLWR社の申請では、ドリッグ処分場内に9号から20号までの新たな12のコンクリートボールト施設を増設し、2010年から2130年までに発生が見込まれる440万m3の低レベル放射性廃棄物を処分する計画である。

■英国における放射性廃棄物処分の許可及び環境セーフティケース(ESC)の提出

使用済燃料や放射性廃棄物の管理及び処分施設を含む、原子力施設の建設や操業などについては、原子力施設法に基づき、原子力規制局(ONR)から原子力サイトとしての許可を取得する必要がある。また、原子力サイトにおいて放射性廃棄物を処分するためには、イングランド及びウェールズでは環境許可規則、スコットランドと北アイルランドでは放射性物質法に基づいた許可をそれぞれの環境規制当局から取得する必要がある。

※環境規制機関(EA)、天然資源ウェールズ(NRW)、スコットランド環境保護局(SEPA)、ならびに北アイルランド環境省(DoENI)。

上記の環境規制当局の連名により策定された「放射性固体廃棄物を対象とする陸地における浅地中処分施設:許可要件に関するガイダンス(GRA)」は、浅地中処分施設の操業許可申請者に、規制当局が求める要件を満たしていることを示す処分施設に関する環境セーフティケース(ESC)を提出することを要求しており、ESCで示されるべき放射線防護要件などをGRAで規定している。ESCは、放射性廃棄物の処分の安全性や環境影響などについて説明するものであり、公衆の健康と環境が適切に防護され、放射性廃棄物を安全に処分できることが示されなければならない。また、操業期間中に行われる定期的なレビューの際には、ESCの更新版が提出されなければならない。

■今回の公開協議までの経緯

9号コンクリートボールト施設での処分を含むドリッグ処分場に関する環境セーフティケース(ESC)は、2002年9月に環境規制機関(EA)に提出された。これに対してEAは、ESCのレビュー結果として、例えば、海岸部の浸食や氷河作業の影響の詳細な評価や処分場全体としてのより包括的な評価の必要性など、いくつかの懸念が残されたことから、2006年2月に8号コンクリートボールト施設での処分継続は許可したものの、新設された9号コンクリートボールト施設での処分は許可を発給しなかった。

環境規制機関(EA)は、レビューで指摘した懸念などに対処した環境セーフティケース(ESC)の更新版の提出をLLWR社に求め、同社は更新版を2011年5月に提出した。このESCの更新版では、9号だけではなく、将来の20号までのコンクリートボールト施設での処分計画が含められた。EAは、ESC更新版について、レビューを実施するために必要となる追加資料の提出を2013年10月までLLWR社に要求し続けた。

このような経緯を経てLLWR社は、2013年10月28日に、ドリッグ処分場での処分許可の範囲を拡大する許可申請を環境セーフティケース(ESC)の更新版とともにEAに提出した。EAは、2013年11月から2014年2月にかけて申請内容の検討及びESCのレビューを実施し、今回、許可申請を承認する決定案について公開協議を実施することとした。

■EAによるECS更新版のレビュー結果

環境規制機関(EA)は、環境セーフティケース(ESC)の更新版及び追加資料のレビューにおいて、特に以下の観点から評価を実施したとしている。

  • 最終的に処分施設の表面を覆う設計となっている8号コンクリートボールト施設に関する、廃棄体露出の潜在的可能性やその場合の影響の評価
  • 処分場サイトの沿岸域の海水による浸食あるいは施設への人間侵入に伴う影響の評価(成分や組成の異なる廃棄体の混合の影響など)
  • 非放射線学的影響の評価(化学毒性など)
  • 影響が合理的に達成可能な限り低く抑えられることを立証するための工学設計と最適化

また、環境規制機関(EA)はレビューの結果として以下の3点を示している。

  • LLWR社が提出した環境セーフティケース(ESC)の更新版及び追加資料から、同社は、許可要件に関するガイダンス(GRA)の要件及び環境許可要件を満たしている。
  • ドリッグ処分場での今後の処分に対して、環境許可を発給するに足る適切な水準かつ品質の証拠が示されている。
  • ESCの更新版及び追加資料が、今後のドリッグ処分場での放射性廃棄物の処分について、現在及び長期の双方の面で人間や環境にとって安全なものであることを立証していることにEAは満足している。

【出典】

【2015年10月30日追記】

英国のドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場が所在するイングランドの環境規制機関(Environment Agency、EA)は、2015年10月29日に、操業者である低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLW Repository Ltd、LLWR社)が提出した処分場内での増設施設における処分の許可申請について、承認する決定を行ったことを公表した。

環境規制機関(EA)は、2013年10月28日にLLWR社から提出された許可申請書及び処分場全体の安全性や環境影響などに関する環境セーフティケース(ESC)について、2013年11月から2014年2月にかけてレビューを実施した。2015年5月28日に環境規制機関(EA)は、レビュー結果を示した上で、許可申請を承認する決定案を公表し、2015年5月28日から2015年7月23日まで同案に関する公開協議を行い、寄せられた見解を踏まえて、今回の決定に至ったものである。

環境規制機関(EA)による許可では、公衆の健康と環境が適切に防護されるため、以下のような制限・条件が付されている。

  1. 廃棄体の劣化を最低限に抑え、環境への放射性物質の放出を最小限とするため、最終的に処分施設の表面を覆う設計となっている8号コンクリートボールト施設と新設された9号コンクリートボールト施設について、廃棄体の保護方法に関する提案、及び9号以降のコンクリートボールト施設における長期的な廃棄体の保護プログラムを含んだ計画を環境規制機関(EA)に提出すること
  2. 環境セーフティケース(ESC)が変更される場合、その変更が処分場の管理に対して、重大な影響を及ぼしうるか否かを決定する方法を策定すること
  3. 過去に処分された廃棄体内にあって、将来的に外部に露出し、多量の放射性物質を放出する可能性がある廃棄物等についての最適な管理方法を示した報告書を環境規制機関(EA)に提出すること
  4. 環境セーフティケース(ESC)の継続的な改善と実施に向けた、包括的な作業計画を環境規制機関(EA)に提出し、実施すること
  5. 8号と9号コンクリートボールト施設に定置されている廃棄物の処分方法を詳細に示した計画書を環境規制機関(EA)に提出すること
  6. 2011年版の環境セーフティケース(ESC)の環境規制機関(EA)によるレビュー結果を踏まえ、非放射線学的な水文地質学的な観点からのリスク評価のアップデート版を提出すること
  7. 環境規制機関(EA)が示した「放射性固体廃棄物を対象とする陸地における浅地中処分施設:許可要件に関するガイダンス(GRA)」の最新版に規定している全ての要件を満たしていることについて、ドリッグ処分場についての環境セーフティケース(ESC)のアップデート版を提出すること

また、9号以降のコンクリートボールト施設に廃棄体を処分する場合には、事前に環境セーフティケース(ESC)に沿って各施設が建設されていることの証明などを含む報告書を環境規制機関(EA)に提出し、承認を得なければ、処分を開始できないとしている。

【出典】

【2015年11月5日追記】

英国のドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場の操業者である低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLW Repository Ltd、LLWR社)は、2015年11月3日のウェブサイトにおいて、1990年都市田園計画法に基づいて、処分場の増設施設の建設等の計画申請(planning application)をカンブリア州に行ったことを公表した。

低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLWR社)が申請した主な計画は、以下の通りである。

  • 8号コンクリートボールト施設と9号コンクリートボールト施設に仮置き中の放射性廃棄物を処分すること
  • 3つのコンクリートボールト施設(9a号コンクリートボールト施設(9号コンクリートボールト施設の増設に相当)、10号コンクリートボールト施設及び11号コンクリートボールト施設)の新規の建設
  • 既存の1~7号トレンチ処分施設、8号コンクリートボールト施設、新規に建設するコンクリートボールト施設の最終的な覆土(cap)の施工

低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLWR社)は、計画申請に対する許可が発給されれば、9a号コンクリートボールト施設の建設を2016年中に開始し、約4年で建設を終了するとしている。なお、LLWR社は、最終的には最大で14のコンクリートボールト施設を建設する計画である。

【出典】

【2016年7月19日追記】

英国のドリッグ村近郊の低レベル放射性廃棄物処分場の操業者である低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLW Repository Ltd、LLWR社)は2016年7月15日に、1990年都市田園計画法に基づいてカンブリア州に申請していた処分場の増設施設の建設等の計画申請(planning application)(2015年11月5日の追記を参照)について、同州に承認され、計画許可の発給を受けたことを公表した。LLWR社は、計画していた9a号コンクリートボールト施設等の新設・増設の作業を2017年から開始するとしている。

また、今回の計画許可により、処分場は2050年頃まで操業が継続できることになる。LLWR社は地元の雇用維持に加えて、新たに建設関連の雇用創出に貢献するとしている。

【出典】


  1. 放射性廃棄物の貯蔵に関しては、原子力規制局(ONR)からの許可取得が必要である。 []

韓国産業通商資源部(Ministry of Trade, Industry and Energy, MOTIE)が設置した使用済燃料公論化委員会(以下「公論化委員会」という)は、2015年6月11日のプレスリリースにおいて、「使用済燃料管理勧告(案)」(以下「勧告案」という)を公表した。今回の勧告案は今後、国会での議論を反映させたのち、MOTIE長官に提出する予定としている。

韓国では、中低レベル放射性廃棄物処分場と使用済燃料の中間貯蔵施設を同一サイトに立地する放射性廃棄物管理政策を見直し、これらを分離して推進することとしており 、現在、使用済燃料の管理方策を検討する段階にある。公論化委員会は、使用済燃料の管理方策に対する様々なステークホルダー、一般市民、専門家などからの意見を取りまとめるため、放射性廃棄物管理法 に基づいて2013年11月に設置された政府から独立した民間諮問機関であり、人文社会・技術工学分野の専門家、原子力発電所立地地域の代表、市民社会団体の代表からなる15名により構成されている。

公論化委員会が2013年に策定した公論化実行計画 によれば、国民を使用済燃料から安全に保護する方策のすべてが議論の対象となりうるとしつつも、処分場サイト選定や地域振興など、使用済燃料の管理方策の決定後に議論すべき事項については基本的な原則程度の議論にとどめ、処分前の貯蔵など中・短期的な現実的解決手段について集中的に議論するとしていた。今回の勧告案は、これらの事項について、討論会、円卓会議、タウンミーティング、アンケート、インターネット等の方法を用いて、専門家、市民・環境団体、原子力発電所立地地域住民、一般国民から聴取した意見に加え、「使用済燃料管理方策の課題導出のための専門家検討グループ」による意見書 に基づいて進められた議論を取りまとめたものである。

「使用済燃料管理勧告(案)」において公論化委員会が提言した使用済燃料管理フロー

図1「使用済燃料管理勧告(案)」において公論化委員会が提言した使用済燃料管理フロー

今回の勧告案において公論化委員会は、韓国における使用済燃料管理方策に関する10項目の勧告を行っている。公論化委員会は、使用済燃料の処分施設の操業開始を2051年とすることを勧告しており、その実現に向けて、2020年までに処分施設のサイト、または処分施設のサイトと類似条件の地域を地下研究施設(URL)のサイトとして選定し、2030年には地下研究施設の操業・実証研究を開始(図1)するのが望ましいとしている。また、公論化委員会は、2020年から地下研究施設のサイトで「処分前貯蔵施設」の建設を開始し、現在は各原子力発電所で貯蔵されている使用済燃料を一カ所に集中して貯蔵可能にすることを勧告している。

今回の勧告案には、今後の使用済燃料管理方策の策定・実施に関するロードマップも含まれており、2015年中に韓国政府が「放射性廃棄物管理基本計画」を策定し、関係法令を整備した上で、2016年には政府、民間事業者、国民が共同で出資する「使用済燃料技術・管理公社(仮称)」を設立することが提案されている。

公論化委員会の勧告案に示された10か条の勧告は以下のとおりである。

  1. 使用済燃料の管理方策の最優先原則は国民の安全である。
  2. 現在、各原子力発電所のサイト内の臨時貯蔵施設に貯蔵されている使用済燃料は、貯蔵容量が上限を超えたり、操業許可期間が満了したりするよりも以前に、安定的な貯蔵施設を整備し、移転させることを原則とする。
  3. 政府は2051年までに処分施設を建設し、操業を開始すること。そのために、処分施設サイトまたは処分施設サイトと類似のサイト条件を持つ地域において、地下研究所(URL)用サイトを2020年までに選定して建設に着手し、2030年より実証研究を開始することが望ましい。
  4. 使用済燃料処分施設および地下研究施設が立地する地域に、地域住民のハザード監視のための住民参加型「環境監視センター(仮称)」を設置する。立地地域には、関連研究機関の設置による雇用創出と地域経済の活性化、使用済燃料処分手数料の自治体への納付、および地域都市開発計画策定を支援し、開発初期費用を特別支援金により負担するなどの支援を行うこと。
  5. 処分施設の操業までの間、地下研究施設サイトには処分前貯蔵施設を建設して処分前の使用済燃料を貯蔵可能とすること。ただし、やむを得ない場合には各原子力発電所サイト内に短期貯蔵施設を設置し、処分までの間は貯蔵することも許容する(図1参照)。また、国際共同管理施設の立ち上げのためには緊密な国際協力も必要である。
  6. 各原子力発電所サイト内に短期貯蔵施設を設置する場合には、地域に「使用済燃料貯蔵費用」を支払うこと。透明性が高く、効果的な資金の積み立てのため、住民財団(仮称)を設立・運営する。現在すでにサイト内に貯蔵されている使用済燃料についても、合理的な費用の支払いについて政府・立地自治体間で具体的な協議を行うこと。
  7. 使用済燃料貯蔵、輸送、処分、有害性の低減、減容のための技術開発の優先順位を定め、段階的な細部計画を策定して研究を進めること。このためには規制機関による規制基準策定が急がれる。技術開発を主導する仕組みとしての技術開発統合システムも必要である。
  8. 使用済燃料管理の安全性に加え、責任、安定性、効率性、透明性が担保されることが望ましい。このため、政府、民間事業者、国民が共同で出資する「使用済燃料技術・管理公社(仮称)」を設立することが適切である。
  9. 使用済燃料管理の透明性、安定性、持続可能性を担保し、政策の信頼性を確保するため、「使用済燃料特別法(仮称)」を速やかに制定し、必要に応じ現行関連法を改正すること。
  10. 使用済燃料管理政策を速やかに策定・実行するため、省庁横断的意思決定機関である「使用済燃料政策企画会議(仮称)」および実務推進機関である「使用済燃料政策企画団(仮称)」を政府組織内に設置・運営すること。

 

【出典】

使用済燃料公論化員会 2015年6月11日付プレスリリース、
https://www.pecos.go.kr/activity/news.asp?idx=2387&state=view&menu=10

【2015年7月3日追記】

使用済燃料公論化委員会(以下「公論化委員会」という)は、2015年6月11日に公表した「使用済燃料管理勧告(案)」について、2015年6月16日に国会討論会を開催し、その結果を受けて最終案を取りまとめ、2015年6月29日に最終的な勧告「使用済燃料の管理に関する勧告」(以下「最終勧告」という)として産業通商資源部(MOTIE)長官に提出した。

最終勧告では、当初の勧告案(第10条)において政府組織内での設置が規定されていた2つの機関名が改められた。具体的には、省庁横断的意思決定機関の名称が「使用済燃料政策企画会議(仮称)」から「使用済燃料管理長官会議(仮称)」へ、実務推進機関の名称が「使用済燃料政策企画団(仮称)」から「使用済燃料管理対策推進団(仮称)」へとそれぞれ改められた。

公論化委員会は最終勧告において、「政府は使用済燃料管理政策を策定、推進する過程において、必要な情報を正確かつ迅速に提供し、健全なコミュニケーションを継続し、国民及び立地地域住民が関連政策について理解し、合理的に判断できる環境を整えなくてはならない」としている。また、政府が実質的な努力を速やかに進め、政策の推進に必要な信頼を確保することが重要だと強調している。

公論化委員会は、最終勧告の提出をもって20か月にわたる活動を終え、解散する。

【出典】

英国の地方自治政府の1つであるウェールズ政府は自身のウェブサイトにおいて、公衆との公開協議を経て、高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針を決定したことを公表した。また、地層処分施設のサイト選定プロセスに関する公開協議を開始した。

今回ウェールズ政府が決定した地層処分の方針は、英国政府が2008年に策定した白書 以降に示してきた方針と同様である。また、サイト選定プロセスに関してウェールズ政府が公表した協議文書では、英国政府が2014年7月に策定した白書 で示している地層処分施設のサイト選定プロセスと同様のプロセスを採用することを提案している。

 

■背景

英国では、地方自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)のうち、イングランド以外は地方自治政府に放射性廃棄物管理の権限が委譲されている1

2008年白書に基づく公募で関心表明を行った自治体

2008年白書に基づく公募で関心表明を行った自治体

英国政府は2008年に、ウェールズ政府及び北アイルランド政府とともに、高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針とその施設のサイト選定プロセスを定めた白書2 を策定した(以下「2008年白書」という)。2008年白書の公表とともに、地層処分施設のサイト選定プロセスに関心を示す自治体を含む地域の公募が開始され、カンブリア州及び同州内の2市が関心を表明したものの、2013年1月に選定プロセスから撤退している

上記の結果を受けて英国政府は、2013年5月より選定プロセスの見直しに向けた公開協議等を進め、2014年7月に、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設の設置に向けた新たなサイト選定プロセス等を示した白書3 を策定し(以下「2014年白書」という)、英国政府及び実施主体は現在、その初期活動(2年間、2014年~2016年)を進めている

この2014年白書は、英国政府が単独で策定したものとなっており、2008年白書のようなウェールズ及び北アイルランド政府との共同文書とはなっていない。北アイルランド政府は2008年白書と同様に、2014年白書で規定される英国政府の方針や取組を支援することとしている。一方、ウェールズ政府は、2008年白書以降に示してきた現行の政策の再検討の是非について、2014年白書の策定前の段階から検討を進めていた。

なお、スコットランドについては、スコットランド政府が地層処分する方針を採用しておらず、地表近くに設置した施設で高レベル放射性廃棄物等の長期管理を継続することとしている。

 ■高レベル放射性廃棄物等の管理に関するウェールズ政府の現行政策の見直し

ウェールズ政府は、英国政府とともに2008年白書を策定したものの、地層処分の方針については保留しており(否定も肯定もせず、また、その他の管理オプションを支持することもしない)、ウェールズ内の自治体を含む地域がサイト選定プロセスに関心を表明する場合には、その時点において、地層処分プログラムと個々の関心表明についてウェールズ政府として取るべき立場を検討するとしていた。その後、ウェールズ政府は、ウェールズ内における新規原子炉の建設について、2008年当時は支持していなかったが、2012年に新設を支持する方針に転換した。このため、新規原子炉から発生する放射性廃棄物等の管理に関する現行政策(方針決定の保留)の見直しが必要となっていた。

このような背景のもと、ウェールズ政府は、2014年4月~6月にかけて、上記の現行政策の見直しの可否について、ステークホルダーからの見解を得るために、確かで根拠のある情報の提供(Call for Evidence)を募集した。ウェールズ政府は、その結果を踏まえて、現行政策を見直すことを決定し、地層処分が最も好ましい管理方策であるとするウェールズ政府の提案等を示した協議文書「高レベル放射性廃棄物等の管理・処分方針の見直し」を2014年10月に公表し、公衆との公開協議を2015年1月まで実施した。

ウェールズ政府は、公開協議で寄せられた意見を踏まえて、2015年5月19日、ウェールズ内で発生する高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針を決定したことを公表した。これと伴に、ウェールズ政府は、地層処分の実施方法に関する協議文書「高レベル放射性廃棄物等の地層処分:地域の参加と実施プロセス」を公表し、公衆との公開協議を開始した。同文書に対する公衆からの意見提出は2015年8月18日までとされている。この協議文書においてウェールズ政府は、2014年白書で示されたイングランドと北アイルランドにおける地層処分施設のサイト選定プロセスと同様のプロセスを採用することを提案している。

 

【出典】

 

【2015年12月18日追記】

英国の地方自治政府であるウェールズ政府は、2015年12月10日に、政策文書「高レベル放射性廃棄物等の地層処分:地域の参加と立地プロセス」の中で、ウェールズ政府も英国政府と同様のサイト選定プロセスを採用する方針であることを公表した。ただし、ウェールズにおいてサイト選定プロセスを進める上では、ウェールズ固有の状況での対応が取られることになるため、必ずしも同一のプロセスにはならないとしている。

■ウェールズにおけるサイト選定プロセスの現状

英国政府は、2014年7月に、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設(GDF)の設置に向けた新たなサイト選定プロセス等を示した白書 (以下「2014年白書」という)を公表している。具体的なサイト選定プロセスは、以下の2つの段階(期間)で構成されており、英国政府は既に2年間の初期活動を開始している。

  • 英国政府及び実施主体による初期活動(2年間、2014年~2016年)
    ① 英国全土(スコットランドを除く)を対象とした「地質学的スクリーニング」
    ② 「2008年計画法」の改正、
    ③ 地域との協働プロセスの策定活動
  • 関心を表明した地域と実施主体との正式な協議(15~20年間、2016年以降)

今後、ウェールズでは、英国政府が先行して実施している上記①②③の活動について、歩調を合わせていくことになる。

①の「地質学的スクリーニング」については、2014年白書で示されたウェールズ政府の意向により、既にウェールズも対象として実施されている

②の「2008年計画法」の改正については、英国政府が、イングランドにおける地層処分施設(GDF)の開発を「国家的に重要な社会基盤プロジェクト(NSIP)」の一つと位置づける立法措置として、2015年3月26日に制定された「2015年社会基盤計画(放射性廃棄物地層処分施設)令」によって2008年計画法の改正が行われた。しかし、対象はイングランドのみとなっている(2015年4月6日の追記を参照)。英国では地方自治政府に権限が委譲されているため、ウェールズにおいてGDFの設置が計画される場合は、2015年計画法(ウェールズのみが対象)のもとでウェールズ政府が許可を発給することになる。

③の地域との協働プロセスの策定については、「地域の代表のための作業グループ」(Community Representation Working Group、CRWG)の主導により、策定活動が進められている 。ウェールズ政府は、今回の政策文書の公表と同時に、CRWGに参加した。

【出典】


  1. 放射性廃棄物管理の権限は各地方自治政府に委譲されているが、各地方政府管轄内で発生した廃棄物を必ずしも管轄内で処分しなければならないということではない。なお、地方行政の観点では、ウェールズ、スコットランドならびに北アイルランドでは、それぞれ1999年に議会が設置され、地域主権(権限委譲)の体制整備が進められている。 []
  2. 正式名称「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み Defra、BEER並びにウェールズ及び北アイルランド自治政府による白書」(Cm 7386、2008年6月) []
  3. 正式名称「地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み」、DECC(2014年7月) []

地層処分施設のサイト選定プロセスの初期活動を進めている英国政府は、地域との協働プロセスの策定に関する進捗について、「地域の代表のための作業グループ」(Community Representation Working Group、CRWG)の活動状況に関する情報を公表した。

英国における地層処分施設のサイト選定プロセスは、エネルギー・気候変動省(DECC)が2014年7月24日に公表した白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という)によって見直され、次の2つの段階(期間)で構成されている。

  • 英国政府及び実施主体による初期活動(2年間、2014年~2016年)
  • 関心を表明した地域と実施主体との正式な協議(15~20年間、2016年以降)

現在、2年間の初期活動において、①英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングの実施、②2008年計画法の改正、ならびに、③地域との協働プロセスの策定が進められている 。このうち、③地域との協働プロセスの策定については、英国政府が設置するCRWGの主導で検討が進められている。

 

■地域の代表のための作業グループ(CRWG)設置の目的

2014年白書に基づくCRWGの主要な活動は次のとおりである。これらの活動は、専門家、ステークホルダー等の関与による確かで根拠のある情報に基づくものとなる。

  1. 地域の代表あるいは地域の意思表示に関する定義

    地層処分施設の開発に関心を表明する地域における自治体の役割や責任などを定義し、自治体を含む地域を関与させる方法を含めて、地域の代表のための効果的なプロセスを定義する。

  1. 住民の支持を調査・確認(test)する方法の策定に向けたプロセスの開発

    住民の支持を調査・確認する方法について、その適切な実施時期や方法を明確にする。

  1. 地域への投資

    投資時期やその管理方法を含めた、地域への投資のための資金拠出オプションを開発する(地域の地理的境界内での投資の効果や、資金活用の申請に係る評価基準の作成を含む)。

■地域の代表のための作業グループ(CRWG)の構成メンバー

DECCからの代表者を議長とするCRWGは、地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)、関係省庁、地方政府、学術界など、英国政府による地域との協働プロセスの策定を支援できる能力や専門性を有するメンバーで構成されている。

CRWGの構成メンバーは次表のとおりである。なお、英国政府の諮問機関である放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)もオブザーバーとして参加している。

議長 トム・ウィントゥル(DECC)
メンバー ホルムフリダー・ビャルナドティル(スウェーデン原子力廃棄物評議会)
メンバー アンドリュー・ブロウワーズ(英国国立オープンユニバーシティ‎社会科学名誉教授)
メンバー リサ・レビー(広報・ステークホルダー関与の分野の専門家)
メンバー キルスティ・ゴーギャン(気候・エネルギー分野のコミュニケーションの専門家)
メンバー フィル・リチャードソン(英国の地質学会(The Geological Society)会員)
メンバー フィル・マシュー(原子力遺産諮問フォーラム(NuLeAF))
メンバー ニック・ピジョン(カーディフ大学環境心理学部教授)
メンバー フィル・ストライド(テムズ川トンネル事業長)
メンバー チェリー・ツィード(RWMの主席科学アドバイザー)
メンバー ナタリン・アラ(RWMの地層処分施設立地部長)
メンバー ジュリアン・ウェイン(地方自治体における再生・住宅分野の専門家)
メンバー ジュディス・アーミット(ローカル・パートナーシップス社取締役)
メンバー 英国財務省からの代表者
メンバー コミュニティ・地方自治省からの代表者

 

地域の代表のための作業グループ(CRWG)の活動状況

CRWGは2015年3月12日に第1回会合を、2015年4月16日に第2回会合を開催している。今後、CRWGは約6週間に1度のペースで会合を開く予定であり、次回の第3回会合は2015年6月11日に予定されている。

また、CRWGの活動は、ローカル・パートナーシップス社(Local Partnerships Ltd、LP社)の支援を受けており、実例や関連情報等の収集、ステークホルダーの関与、検討資料の作成などの実務面を担っている。LP社は、英国財務省と地方自治体協議会(LGA)が共同出資して設立された会社であり、公共部門の業務効率化や公共サービス等の向上を目的とした支援活動や助言を提供する専門組織である。

 

【出典】

【2015年7月3日追記】

英国政府は、2015年7月1日に、地域との協働プロセスの策定に向け、Call for Evidence(根拠に基づく情報提供の募集)を開始し、情報提供を2015年9月4日まで受け付けることを公表した。

今回の情報募集は、「地域の代表のための作業グループ」(CRWG)の主要活動である、①地域の代表あるいは地域の意思表示に関する定義、②住民の支持を調査・確認(test)する方法の策定に向けたプロセスの開発、③地域への投資に関して、特に情報を収集することを目的としている。

英国政府は、原子力産業や放射性廃棄物プロジェクト関係者に限らず、学術界、産業界、大規模社会基盤プロジェクト関係者、自治体等から広く情報提供を求めるとしている。また、英国政府は、上記の①に関する情報提供について、地域において何らかの問題への対応に迫られた際の代表の決め方、地域が何らかの意思表示を行う必要があった事例等に関する具体的な経験情報の提供を要望している。

【出典】

【2016年3月7日追記】

英国政府は、2016年3月4日に、地域との協働プロセスの策定に向けたCall for Evidence(根拠に基づく情報提供の募集)への回答状況を取りまとめた報告書を公表した。情報提供の募集は2015年7月1日から2015年9月4日まで行われていた。英国政府は、今回提出された情報に基づいて、地域の代表あるいは地域の意思表示に関する課題について検討していくとしている。英国政府が今後策定する地域との協働プロセス案についての公開協議は、2016年夏に行われる見込みである。

今回の情報提供の募集に対しては54件の回答があり、その回答者の内訳は以下の表の通りであった。

回答者 回答件数 割合(%)
自治体 25 46
個人 17 32
その他(電力会社、地域コミュニティグループ、代表団体等) 10 18
学術界、研究機関 2 4
合 計 54 100

また、英国政府は今回提出された回答の主なポイントとして、以下を挙げている。

  • 英国政府がサイト選定に関する新たなプロセスを設計する場合には、他の事業における最良事例を参考にすべきである。
  • 過去に実施された地層処分場のサイト選定プロセスから得られた教訓を活かすべきである。
  • 地域の代表、あるいは地域の意思表示に関する定義を行うことは非常に難しい課題である。
  • 海外の類似事例から得られた教訓を活かすべきである。

【出典】

フィンランドの安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、2015年5月22日付のプレスリリースにおいて、同日付けで原子力法及び放射線法の改正が大統領により承認されたことを公表した。今回の法改正は、一部を除き2015年7月1日に発効し、これにより、STUKの規制権限と独立性が一層強化されることとなる1

今回の法改正により、STUKに対して、原子力安全に関して法的拘束力を有する技術的な安全要件を定める権限が付与された。フィンランドの原子力安全に関する規制体系は一般安全規則と詳細安全規則で構成されるが、従来は一般安全規則を政府(雇用経済省)が政令として定め、一般安全規則の規定を満たすための指針としてSTUKが詳細安全規則を策定していた。法改正後は、一般安全規則と詳細安全規則の両方をSTUKが策定することになる。今回改正された原子力法では、STUKが安全要件として定めるべき27の技術的項目が規定された。

また、今回の原子力法の改正では、原子力施設の許可発給プロセスにおけるSTUKの意見が重視されるようになる。従来どおり原子力発電所、放射性廃棄物処分場などの重大な原子力施設の建設・操業等に係る許可発給は政府が行うが、法改正により、STUKが意見書で提示する許可条件を政府が考慮しなければならないことが明確化された。改正前の原子力法では、重大な原子力施設の許可手続きにおいて、STUKの意見書が必要と規定されているのみであった。

なお、ポシヴァ社による使用済燃料処分場の建設許可申請書に関しては、政府による許可発給に向けて、現在、雇用経済省が建設許可の発給に関する検討を行っている。STUKは、2015年2月11日に、ポシヴァ社による使用済燃料処分場の建設許可申請書に関する審査意見書を雇用経済省に提出している。この審査意見書においてSTUKは、原子力法第19条で許可発給の基準とする10の項目について審査結果を示している。今回の法改正により、政府による許可発給におけるSTUKの意見の考慮について法的な担保がされたことになる。

【出典】


  1. フィンランドでは、原子力及び放射線防護の分野における規制の枠組みのレビューを目的として、2012年に国際原子力機関(IAEA)によるピアレビュー(総合的規制評価サービス、IRRS(Integrated Regulatory Review Service))が実施され、IRRSはSTUKの独立性を強化すべきことを勧告していた。IRRSの勧告を受け、原子力法及び放射線法の改正に向けた取り組みが進められ、2015年3月には改正法案が国会を通過していた。 []