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フランスのエコロジー・持続可能開発・エネルギー省は2016年1月11日、地層処分プロジェクトのコスト評価の進捗状況として、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2014年10月に提出したコスト評価に関する報告書、同報告書に対する原子力安全機関(ASN)の見解及び原子力事業者の見解を公表した。

現在、フランスでは、地層処分事業に係る基金制度はあるものの実際の運用はされておらず、原子力事業者は地層処分場の建設・操業等のコストを賄うために引当金を内部留保している。引当金は、2005年に政府、ANDRA、フランス電力株式会社(EDF社)、AREVA社及び原子力・代替エネルギー庁(CEA)が行った評価結果(135~165億ユーロ(約1兆8,100億円~約2兆2,100億円))に基づいて計上している。

地層処分プロジェクトが具体化する中で、ANDRAは新たにコスト評価を行い、2014年10月に、エコロジー・持続可能開発・エネルギー省に報告書を提出していた。今回、同省は2006年放射性廃棄物等管理計画法の規定1 に基づいて、ANDRAによるコスト評価報告書とともに、ASN及び原子力事業者の見解を公表したものである。

今回公表された2014年10月のANDRAのコスト評価報告書では、コスト総額は344億ユーロ(約4兆6,100億円)2 との結果が示されている。

■ANDRAによるプロジェクトコストの評価額(金額は2012年価格)
建設費 198億ユーロ
操業費(操業期間は100年以上) 88億ユーロ
41億ユーロ
その他支出 17億ユーロ
合計 344億ユーロ

 

ANDRAのコスト評価報告書について、ASNは2015年2月10日付で以下のような見解を示していた。

  • コスト評価はデータ等に裏付けされた根拠の確かなものである。特に、地層処分場の安全性についてより適切に考慮されていることから、2005年時点のコスト評価から大きな進展があったと評価できる。
  • 原子力事業者の引当金計上のため、コストは早急に確定されなければならない。しかし、コスト評価におけるANDRAの仮定には、将来的な政策変更によって処分対象となる廃棄物インベントリに、商業用原子炉や研究炉の使用済燃料が含まれる可能性が考慮されていない等の楽観的すぎる点がある。
  • 地層処分プロジェクトについて現時点で不確実性があることはやむをえない。このためコスト評価は少なくとも、設置許可や操業認可の発給時やパイロット操業フェーズ終了時など、プロジェクトの重要なマイルストーンにおいて、定期的にアップデートされるべきである。
  • 情報の透明性を確保するため、ANDRAのコスト評価報告書や原子力事業者の見解は公開されるべきである。

一方、原子力事業者(EDF社、AREVA社及びCEA)が共同で示した2015年4月16日付の見解では、地層処分場の事業期間中の技術的、経済的な最適化等により、コスト総額は200億ユーロ(2兆6,800億円)3 になるとしていた。

また、ASNの見解に対し、ANDRA、EDF社、AREVA社は2016年1月11日の共同プレスリリースにおいて、フランスの会計検査院(CDC)の試算によれば、発電コストに占める地層処分プロジェクトに係るコストの割合は、1~2%とされており、ANDRAと原子力事業者によるコスト評価結果の違いは電気料金へ大きな影響を与えないとしている。

今後、エネルギー担当大臣はこれらの評価結果を踏まえた処分コストの見積額を決定することとなる。

なお、会計検査院(CDC)は2014年5月に公表した原子力発電事業のコストに関する報告書(更新版)において、放射性廃棄物管理事業に備えるため原子力事業者が積み立てる引当金の算定に採用する割引率(将来費用の現在価値への換算係数)について、2007年のアレテ(省令)に規定される割引率の上限の設定方法を見直すべきであると提言している4

 

【出典】

【2016年1月18日追記】

フランスのエコロジー・持続可能開発・エネルギー省は2016年1月15日、「高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の長期管理方策の実施に係るコストに関する2016年1月15日付のアレテ(省令)」を制定し、同アレテは2016年1月17日付官報に公示された。

本アレテの第1条では、2016年以降、以下に列挙するような140年間にわたる地層処分プロジェクト全体をカバーするコストの目標額を250億ユーロ(約3兆3,500億円)とすることが規定されている。

  • プロジェクトの第一段階の構造物の設計・建設(10年)
  • 地層処分場のパイロット操業フェーズ(10年)
  • 段階的な地層処分場の操業・開発フェーズ(110年)
  • 地層処分場の閉鎖フェーズ(10年)

また、本アレテの第3条では、プロジェクトの進展状況や、原子力安全機関(ASN)の見解を受けて、必要に応じてコストの目標額を見直すことが規定されている。

なお、本アレテにおいてコストの目標額は、2011年12月31日時点の経済条件に基づくものとしており、目標額の内訳は示されていない。

今回のアレテの制定を受けて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2016年1月15日付でプレスリリースにおいて、地層処分場の開発プロジェクトは、操業期間を通じて段階的に進める計画であり、技術の進展に伴うイノベーションや、ANDRA及び原子力事業者による最適化を開発プロジェクトに反映することが可能であるとしている。ANDRAは最適化の可能性について、以下の方法を例示している。

  • 高レベル放射性廃棄物の処分坑道:安全要件を遵守しつつ、処分坑道の長さを100メートル以上に延長することにより、コスト削減が実現できる可能性がある。
  • 掘削技術及び処分坑道の支保技術:技術進展によって、掘削スピードが増大するだけでなく、処分坑道のより最適な支保が可能となる。
  • 長寿命中レベル放射性廃棄物の処分坑道:直径を大きくすることによって、処分に必要な空間を確保しつつ、掘削量を低減できる可能性がある。

ANDRAはこれらの最適化について、2018年に予定されている地層処分場の設置許可申請時までには明確化できるとしており、一部の最適化については、設置許可申請段階において安全性の立証を実施することも可能であるとの見通しを示している。その他の最適化については、段階的な地層処分場の開発プロジェクト期間を通じて、長期的な研究が必要になるとしている。

【出典】


  1. 2006年放射性廃棄物等管理計画法は、ANDRAが地層処分のコストを評価してエネルギー担当大臣に提案すること、エネルギー担当大臣は原子力事業者とASNの意見を徴したうえで、これを公表することを規定している。また、併せて、地層処分場の建設段階以降に、建設・操業等に係るコストを賄うための基金をANDRA内に設置することを規定しており、原子力事業者に対して、同基金に将来的に拠出するため、コスト評価とその資金の確保(引当金の積立てと引当金を保証する排他的な資産としての割当)を要求している。さらに、原子力事業者によるコスト評価に対する資金確保及び管理状況の適切性等を評価する組織として、資金評価国家委員会(CNEF)の設置を規定している []
  2. プロジェクトに関するリスク等が実現した場合のコストへの影響額は含まない []
  3. プロジェクトに関するリスク等が実現した場合のコストへの影響額は含まない []
  4. 「原子力債務の資金確保に関する2007年3月21日のアレテ(省令)」の第3条では、割引率の上限値について「当期の決算日において確認された固定金利タイプ30年満期国債金利(TEC 30)の直近48ヶ月の算術平均に1ポイントを加算したものに等しい」と規定されているが、経済状況の変化により国債金利が低下傾向にある。原子力事業者は同規定に基づいて、2012年まで割引率を5%に設定してきたが、国債金利の低下に伴い、割引率は5%を下回っている。 []

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年1月5日に、超深孔処分のフィールド試験を実施することを公表した。フィールド試験は、ノースダコタ州のラグビーにおいて、16,000フィート(約4,900メートル)以深の結晶質岩に達する大深度ボーリング孔の掘削を伴うものであるが、今回、フィールド試験を行う契約者としてバテル記念研究所(Battelle Memorial Institute)、ノースダコタ大学、油田検層事業等を行うシュルンベルジェ社などからなるチームを選定したとしている。大深度ボーリング孔の適用としては、一部の高レベル放射性廃棄物の超深孔処分が考えられているが、地熱開発も候補とされている。大深度ボーリング孔のフィールド試験は、DOEの研究開発活動である使用済燃料処分等(UNFD)プログラムの一部として行われるものであり、2016会計年度のDOEの予算要求において、「大口径の超深孔処分の可能性を実証するフィールド試験の開始」が挙げられていた
本フィールド試験は、約20エーカー(約81,000m2)のノースダコタ州所有地において5年間のプロジェクトとして実施され、費用は3,500万ドル(1ドル=120円として約42億円)と推定されており、超深孔処分の実現可能性を見極めることが目標とされている。フィールド試験で実施される調査では、大深度における母岩の水文地質学的、地球化学的、地質工学的な特性の検証などが行われ、掘削時のデータ収集の他、掘削完了後には科学的試験が実施される。今回のフィールド試験では、放射性物質は使用されない。DOEは、米国にはノースダコタ州のラグビーと同様の、地質学的に安定した地層が広い範囲で存在する地域が多数確認されているとしている。

結晶質岩の基盤面までの深さ

米国における結晶質岩の基盤面までの深さ

2015年10月の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)1 が開催した放射性廃棄物超深孔処分国際技術ワークショップで公表されたDOEの資料においては、超深孔処分のフィールド試験について、2015年7月9日に、サイトの確保を含む契約者の公募が行われ、2015年9月23日に提案が締め切られていたことが示されている。また、2016年9月に特性調査用のボーリング孔の掘削を開始して2017年2月に特性調査を完了し、2017年7月からフィールド試験としてボーリング孔の掘削を開始し、2019年には模擬廃棄体定置の実証試験を完了した上で、解析・評価報告書を発行する予定が示されている。
超深孔処分については、「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の2012年1月の最終報告書において、「特に再利用の可能性が全く無い廃棄物の一部の代替処分オプション」として、大深度ボーリング孔の活用可能性を研究することが勧告されていた。DOEは、2015年3月に、軍事起源の高レベル放射性廃棄物を民間の使用済燃料とは分離して処分する方針を示しており、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の一部は廃棄体も小さく、超深孔処分が有効との見解を示している。
なお、放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2015年6月に公表した報告書の中で、超深孔処分に係る課題として、ボーリング孔のシーリング技術の研究、強固な人工バリアの必要性の評価などの実施を勧告している

超深孔処分の概念図

超深孔処分の概念図

【出典】

 

【2016年2月3日追記】

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2016年2月1日に、エネルギー省(DOE)の超深孔処分の研究開発プログラムについて、評価報告書「DOEの超深孔処分研究開発プログラムについての技術的評価」を公表し、9項目からなる勧告などを行った。NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性を評価することを職務として設置された独立の評価機関であり、本評価報告書は連邦議会及びエネルギー長官に提出された。

本評価報告書では、フィールド試験を含め、一部の高レベル放射性廃棄物の超深孔処分の実現可能性を評価するためにDOEが行っている活動について、NWTRBの気付き事項及び勧告が示されている。NWTRBは、2015年10月20日及び21日に、超深孔処分の国際技術ワークショップを開催しており、本ワークショップでは、DOEから超深孔処分概念が示され、フィールド試験の詳細などが議論されていた。

本評価報告書では、国際技術ワークショップでの議論も踏まえ、①超深孔処分の実現可能性に影響を与える技術的・科学的問題、②DOEのフィールド試験により超深孔処分の実現可能性の評価のために必要な技術的データや科学的知見が得られるかの2点を対象としている。NWTRBのプレスリリースでは、気付き事項及び勧告として以下の事項が示されている。

気付き事項:

  • 仮に、一部の高レベル放射性廃棄物の超深孔処分が実現可能となった場合でも、地層処分場の必要性は無くならない。
  • 規制枠組みの構築、受容可能なサイトの同定、及び5kmの大深度ボーリング孔の特性調査は、困難で時間が掛かる活動であり、超深孔処分施設の完成に必要となる時間は地層処分場と似たものになる可能性がある。
  • フィールド試験では、超深孔処分概念の実現可能性評価及びサイト選定に限定的な情報しか得られない。
  • 高レベル放射性廃棄物の大深度での取扱い及び定置に係る操業上の予測・限界は、模擬の放射性廃棄物を対象としたものとは極めて異なるが、超深孔処分施設の設計や超深孔処分概念の実現可能性評価には、こうした予測・限界の評価及び理解が最も重要である。

勧告:

  • 独立した専門家のレビュー
    DOEは掘削プログラムの設計・実施について、掘削や孔内作業(検層や孔井仕上げなど)、高レベル放射性廃棄物の取扱い機器の設計・運転に豊富な経験を持つ独立の専門家からレビューを受けるよう勧告する。
  • 包括的なリスク解析
    超深孔処分の実現可能性評価の一環として、掘削・定置プログラムの側面について、より包括的なリスク解析を完了するよう勧告する。
  • 地下地質の不均質性とデータ・解析結果の転用可能性
    DOEは、地下地質の不均質性の可能性及び大深度での複雑な原位置条件に関する技術的・科学的問題に対応することにより、超深孔処分オプションの実現可能性評価を強化することを勧告する。
  • 掘削前の物理探査による地下の特性調査
    フィールド試験には、掘削前に地下の構造及び物理的状況を詳細に描写する、地表からの物理探査を含めるよう勧告する。
  • ロバストな廃棄体、廃棄物容器、及び封入
    DOEは、超深孔処分概念の実現可能性評価及び関連したセーフティケースの構築の一環として、よりロバストな廃棄体及び廃棄物パッケージの安全上の利点を明示的に解析することを勧告する。
  • 操業上の安全戦略の構築
    DOEは、通常のボーリング孔作業と高レベル放射性廃棄物の遠隔取扱いを統合したフィールド試験の操業上の安全戦略を構築することを勧告する。
  • 回収可能性の要件の定義について規制機関との連携
    高レベル放射性廃棄物の超深孔処分の実現可能性評価の一環として、超深孔処分における回収可能性の要件の定義について、規制機関と協力・連携することに高い優先度を置くことを勧告する。
  • フィールド試験からサイト選定への透明性ある進め方
    フィールド試験は、サイト選定アプローチに関する知見を得ることに活用すべきものと勧告する。
  • フィールド試験の担当の主任研究員
    DOEは、工学的活動(特性調査ボーリング孔・フィールド試験ボーリング孔の掘削、模擬廃棄物の定置・回収など)やサイト特性調査活動の統合に責任を持つフィールド試験プログラムの主任研究員を置くことを勧告する。

【出典】

 

【2016年4月7日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は2016年1月に、超深孔処分のフィールド試験プロジェクトの予定地としてノースダコタ州のピアス郡を選定していたが、ピアス郡は、2016年3月1日に、フィールド試験の受入れを拒否することを決定した。今回、本決定を示したノースダコタ州ピアス郡の郡政委員会の議事録が公開された。

ピアス郡では、フィールド試験プロジェクトの実施チームの一員であるノースダコタ大学エネルギー環境研究センター(EERC)らによる住民向け説明会が2016年2月15日に開催され、本プロジェクトは純粋に科学技術的な調査であることなどが説明されていた。公開された議事録によると、2016年3月1日に開催されたピアス郡の郡政委員会では、2,000を超える反対署名が提出されたこと、将来世代を守ることなどの理由から、ピアス郡における超深孔処分のフィールド試験プロジェクトの検討を中止するよう求める書簡をノースダコタ大学EERCに送付することが満場一致で決定された。

なお、エネルギー長官は、ピアス郡における動きを受けて代替のサイトを検討する取組を始めていることについて、2016年3月2日に連邦議会下院エネルギー・商務委員会で開催されたヒアリングで明らかにしている。

【出典】

 

【2016年5月12日追記】

米国のエネルギー省(DOE)が実施を計画している超深孔処分のフィールド試験プロジェクトについてバテル記念研究所は、現在、サウスダコタ州のスピンク郡でフィールド試験の実施を検討していることを公表した。これまでフィールド試験の予定地として選定されていたノースダコタ州のピアス郡は、フィールド試験の受入れ拒否を決定していた。今回、バテル記念研究所が率いる実施チームには、サウスダコタ鉱山技術大学(SDSMT)とサウスダコタ州の技術コンサルティング会社であるRESPEC社等が加わっている。

バテル記念研究所はスピンク郡について、地震・火山活動や石油・ガス掘削などによる擾乱を受けておらず、フィールド試験には理想的な母岩を有するとしている。一方で、スピンク郡を潜在的な最終処分地としては見なしていないとして、ダコタ帯水層と呼ばれる地下水が接近していること、放射性廃棄物処分には州知事の同意を必要とする州法が存在することなどを理由として挙げた上で、放射性廃棄物は持ち込まないこと、プロジェクト終了時にはボーリング孔は埋め戻すことなどを示している。

バテル記念研究所、サウスダコタ鉱山技術大学及びDOEは、既にスピンク郡で2度のパブリックミーティングを開催しており、今後もさらに地域からの声を聞き続ける意向を示している。

バテル記念研究所のウェブサイトでは、超深孔処分フィールド試験についてのページ、及びスピンク郡のフィールド試験の可能性を示すページが設けられており、プロジェクトの概要やよくある質問(FAQ)等の資料やポスター類に加え、州知事がサウスダコタ州におけるフィールド試験の実施の支持を伝えるエネルギー長官宛の書簡及びその返書が掲載されている。

【出典】

 

【2016年6月15日追記】

米国のエネルギー省(DOE)が実施を計画している超深孔処分のフィールド試験プロジェクトについては、新たな候補地としてサウスダコタ州のスピンク郡が挙がっていたが、2016年6月9日のスピンク郡の郡政委員会において、フィールド試験の実施は困難である旨を伝える書簡をバテル記念研究所に送付することを決定した。

今回公表されたサウスダコタ州スピンク郡の郡政委員会の議事録によれば、バテル記念研究所は公衆の支持を得ておらず、仮に申請が提出された場合にも、許可のために十分な賛成票を獲得する見込みはない旨の書簡を送付するとしている。また、本書簡は郡政委員会の総意とされている。さらに、本書簡を新聞で公表することを求める要求も、郡政委員会によって承認されている。

一方、超深孔処分のフィールド試験を計画しているDOEは、2016年2月1日に公表された放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)の超深孔処分の研究開発プログラムに関する評価報告書において、フィールド試験を含むDOEの活動についての勧告がされていたが、NWTRBの勧告に対するDOEの2016年6月9日付けの書簡が公表された。この中でDOEは、NWTRBの勧告の多くはフィールド試験の計画に既に含まれていることなどを示している。

【出典】

 

【2016年6月28日追記】

米国のエネルギー省(DOE)が実施を計画している超深孔処分のフィールド試験プロジェクトについて、候補地とされていたサウスダコタ州のスピンク郡は、2016年6月10日付けの書簡により、スピンク郡でのフィールド試験の実施は困難である旨をバテル記念研究所に伝えており、この程、スピンク郡の書簡に対するバテル記念研究所及びDOEからの返書と合わせてスピンク郡のホームページで公表した。

2016年6月14日付けのバテル記念研究所及びDOEからの返書は、両者連名により出されたものであり、放射性廃棄物を取り扱わない科学的なプロジェクトである超深孔処分のフィールド試験に対して、スピンク郡からの支持が得られなかったことは残念であるとしつつも、スピンク郡の決定を尊重するとしている。

なお、バテル記念研究所及びDOEからの返書は、2016年6月21日に開催されたスピンク郡の郡政委員会で報告されており、出席委員によりスピンク郡ウェブサイトでの公表が要求されていたものである。

【出典】

 

【2016年12月22日追記】

米国のエネルギー省(DOE)原子力局(NE)は、2016年12月19日に、超深孔処分のフィールド試験プロジェクトについての新たな公募を行った結果、4社を選定したことを公表した。超深孔処分のフィールド試験については、2016年1月にバテル記念研究所が主導するチームが選定されていたが、当初の予定地とされていたノースダコタ州のピアス郡、次の予定地とされたサウスダコタ州スピンク郡の何れにおいても、地元の支持が得られずにフィールド試験は中止となっていた。DOEは、当初の公募プロジェクトを断念し、2016年8月に、公募条件を見直した上で改めて公募(以下「再公募」という)を行っていた。

2016年8月5日に公示された再公募プロジェクトでは、フィールド試験の候補サイトが将来の処分地とはならないことを明確にするとともに、地域コミュニティと連携することを重視した段階的なアプローチが取られている。フィールド試験の候補サイトは、最終的に1カ所に絞られるが、初期段階では複数の応募者が選定され、各々の候補サイトの地域での理解促進活動を行って、地方政府及び地域関係者の支持を得ることがプロジェクトの一部として位置付けられている。

今回DOEが選定した応募者及び候補サイトの立地州は、以下の通りとなっている。

  • AECOM社(テキサス州)
  • ENERCON社(ニューメキシコ州)
  • TerranearPMC社(ニューメキシコ州)
  • RE/SPEC社(サウスダコタ州)

DOEの再公募資料においては、プロジェクトの開始予定時期を2017年1月16日とし、プロジェクト期間を約5年としている。

【出典】

 

【2017年5月25日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は2017年5月23日に、2018会計年度での予算上の優先度の変更により、これまで進めてきた超深孔処分のフィールド試験プロジェクトを継続せず、直ちにプロジェクトを実質的に終了させるプロセスを開始したことを公表した。2017年5月23日に公表されたDOEの2018会計年度の予算要求では、超深孔処分のフィールド試験に係る活動を含む「使用済燃料処分等研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)の予算を計上せず、同プログラムを廃止する方針が示されていた

【出典】


  1. 1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて行政府内に設置された機関であり、高レベル放射性廃棄物等の処分の技術的・科学的分野の独立した評価を行い、少なくとも年2回は連邦議会、エネルギー長官に勧告等を行う。 []

米国のエネルギー省(DOE)は、2015年12月23日付けの連邦官報において、高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設及び処分施設の立地に向け、同意に基づくサイト選定プロセスの実施に関する意見募集の開始を告示した。DOEは、同意に基づくサイト選定プロセスでは、「統合放射性廃棄物管理システム」を構成する施設の立地に関心を示す自治体、州などと協働するとしており、今回告示した意見募集に加え、同意に基づくプロセスの構築について議論するため、自治体などと一連のパブリックミーティングを開催する意向も示している。

今回の意見募集の案内では、同意に基づくサイト選定プロセスに関して、公正で有効なプロセスを設計する上で重要な検討事項について意見を求めるとして、以下の5つの質問が示されている。

  1. DOEは、どのようにしたらサイト選定プロセスの公正さを確保できるか。
    同意に基づくサイト選定では、現在及び将来における費用、便益、リスク及び責任の公正な配分を目指すが、どのようにすればサイト選定プロセスで公正さが確保できると思うか。
  2. サイト選定プロセスを設計する上で、DOEはどのようなモデル、経験を活用すべきか。
    サイト選定では、先行事例や進行中の事例から学ぶ必要があるが、サイト選定プロセスの設計において、どのような経験やモデルを考慮、導入すべきと思うか。
  3. サイト選定プロセスには誰が関与すべきか。また、それぞれの役割は何か。
    DOEは、様々な自治体等がサイト選定について学ぶことや参加を希望していると考えているが、サイト選定プロセスへの参加は重要な責任を伴うものとなる。誰がサイト選定に参加すべきであり、その参加者の役割はどうすべきか。
  4. どのような情報や資源が参加を促すものになると思うか。
    DOEは、サイト選定に全面的かつ効果的に関わるに当たって、十分な情報と資源の利用が必要と考えているが、サイト選定プロセスについて最大限に学び、参加を可能にするため、どのような情報や資源が最も重要と考えるか。
  5. 他に何を考慮すべきか。
    以上の質問は、同意に基づくサイト選定プロセスの設計に係る議論の出発点になるが、関連する質問や問題点、アイデアなど、その他に重要と思うものがあるか。

今回の連邦官報で告示された書面による意見募集は、2016年6月15日まで行われる。書面による意見とパブリックミーティングでの意見とを得た上で、その後、同意に基づくサイト選定の段階的なプロセスについての初期段階の案を策定することととしている。サイト選定に関するドラフト報告書は2016年夏に公表し、意見募集を行う予定としている。

なお、同意に基づくサイト選定アプローチの構築に向けた取組を開始し、連邦官報により意見募集を行うことなどは、2015年12月21日に、DOEのウェブサイトにおいて公表されていた。DOEのウェブサイトでは、同意に基づくサイト選定イニシアティブのウェブサイトが設けられ、使用済燃料等の貯蔵や処分を巡る現状と課題、統合放射性廃棄物管理システムとDOE戦略、同意に基づくサイト選定プロセスの構築などの今後に向けた情報が掲載されている。同意に基づくサイト選定プロセスについては、下の図に示されたような形で、段階的に構築する計画が示されている。

同意に基づくサイト選定プロセスの構築の今後のステップ

なお、DOEの同意に基づくサイト選定イニシアティブのウェブサイトでは、キックオフミーティングとして、第1回目のパブリックミーティングを2016年1月20日にワシントンD.C.で開催することが示されている。

【出典】

 

【2016年2月5日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年1月20日に、同意に基づくサイト選定イニシアティブのキックオフミーティングをワシントンD.C.で開催した。キックオフミーティングには、各方面のステークホルダーを代表する120名以上が参加したほか、オンラインで200名が参加した。キックオフミーティングでは、DOEの科学・エネルギー担当次官の基調講演に続いて、DOE原子力局(NE)の3名によるパネルディスカッション、及び質疑応答が行われた。また、質疑応答の終了後には、約1時間のポスターセッションが開催され、約100名が参加した。

パネルディスカッションでは、2015年12月23日付けの連邦官報に示されていたとおり、同意に基づくサイト選定イニシアティブの重要性と進め方、サイト選定基準、輸送関連、超深孔処分なども含めた技術分野の活動状況、同意に基づくサイト選定イニシアティブにおける公衆参加について、DOEから説明が行われた。また、質疑応答の時間も約1時間が確保され、会場参加者及びオンライン参加者からの質問が集められた。質問は、同意に基づくサイト選定、輸送、貯蔵及び処分、その他に4分類され、質問内容に応じてパネルディスカッションのパネリストが回答を行った。質疑応答の時間内に約30件の質問への回答が行われたが、時間の関係で取り上げられなかった質問については、DOEが回答を作成中としている。

同意に基づくサイト選定イニシアティブの今後のパブリックミーティングについては、2016年3月にイリノイ州シカゴ、2016年4月にはジョージア州アトランタで開催する予定であり、その後は調整中とされている。

【出典】

 

【2016年2月19日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年2月18日に、同意に基づくサイト選定イニシアティブに係るパブリックミーティングの今後の開催予定などを公表した。パブリックミーティングは、2016年7月にかけて合計8回開催される予定であり、最初の2回については具体的な日時や議事次第(案)も公表され、参加受付が開始されている。なお、DOEは、2016年1月20日に、ワシントンD.C.でキックオフミーティングを開催している。

今回公表された今後のパブリックミーティングの開催予定は下表の通りである。DOEは、開催地の選定は全米からの参加が可能となるよう行ったが、会場参加ができない場合にはオンラインでの参加も可能としている。

開催日 開催地(州) 議事等

1

2016年3月29日

シカゴ(イリノイ州)

議事次第(案)

2

2016年4月11日

アトランタ(ジョージア州)

議事次第(案)

3~8

 ~2016年7月
 (詳細未定)

ボイジー(アイダホ州)
ボストン(マサチューセッツ州)
デンバー(コロラド州)
ミネアポリス(ミネソタ州)
サクラメント(カリフォルニア州)
テンピ(アリゾナ州)

未公表

なお、第1回のシカゴ及び第2回のアトランタでのパブリックミーティングの議事次第(案)では、DOEからの説明及びパネルディスカッションの後は、ワシントンD.C.で開催されたキックオフミーティングでの質疑応答に代わり、小グループでの議論(Facilitated Small Group Discussions)の時間が設けられている。

【出典】

 

【2016年3月23日追記(2016年3月29日開催日更新)】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年3月22日付けの連邦官報において、同意に基づくサイト選定イニシアティブに係る意見募集の期間を延長し、2016年7月31日までとすることを告示した。

なお、意見募集に並行して開催されるパブリックミーティングについては、最新の開催予定等は以下のとおりとなっている。

開催日 開催地(州) 議事等

1

2016年3月29日

シカゴ(イリノイ州)

議事次第

2

2016年4月11日

アトランタ(ジョージア州)

議事次第(案)

3

2016年4月26日

サクラメント(カリフォルニア州)

議事次第(案)

4

2016年5月24日

デンバー(コロラド州)

5

2016年6月2日

ボストン(マサチューセッツ州)

6

2016年6月23日

テンピ(アリゾナ州)

7

2016年7月14日

ボイジー(アイダホ州)

8

2016年7月21日

ミネアポリス(ミネソタ州)

【出典】

 

【2016年7月27日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設及び処分施設の立地に向けた同意に基づくサイト選定イニシアティブの一環として、プロセスの構築について議論するためのパブリックミーティングを開催しており、2016年7月21日にミネソタ州ミネアポリスでの開催により、全米8カ所で予定されていたパブリックミーティングをすべて終了した。

DOEの同意に基づく立地選定プロセスのウェブサイトでは、8回にわたるパブリックミーティング、及びパブリックミーティングに先立って開催されたキックオフミーティングについて、ミーティングで提示された資料の他、質疑応答を含めたミーティングの議事録、ビデオ等が掲載されている。各々のミーティングの資料、ビデオ等は、下表に示すリンクから確認可能である。

パブリックミーティングの開催地の地図

パブリックミーティングの開催地

ミーティング
種類、回
開催日 開催地(州)
<議事・資料掲載URL>

キックオフ
ミーティング

2016年1月20日

ワシントンD.C.
http://www.energy.gov/ne/downloads/consent-based-siting-initiative-kick-meeting

パブリック
ミーティング

1

2016年3月29日

シカゴ(イリノイ州)
http://www.energy.gov/ne/downloads/consent-based-siting-public-meeting-chicago-march-29-2016

2

2016年4月11日

アトランタ(ジョージア州)
http://www.energy.gov/ne/downloads/consent-based-siting-public-meeting-atlanta-april-11-2016

3

2016年4月26日

サクラメント(カリフォルニア州)
http://www.energy.gov/ne/downloads/consent-based-siting-public-meeting-sacramento-april-26-2016

4

2016年5月24日

デンバー(コロラド州)
http://www.energy.gov/ne/downloads/consent-based-siting-public-meeting-denver-may-24-2016

5

2016年6月2日

ボストン(マサチューセッツ州)
http://www.energy.gov/ne/downloads/consent-based-siting-meeting-boston-june-2-2016

6

2016年6月23日

テンピ(アリゾナ州)
http://www.energy.gov/ne/downloads/consent-based-siting-public-meeting-tempe-june-23-2016

7

2016年7月14日

ボイジー(アイダホ州)
http://www.energy.gov/ne/downloads/consent-based-siting-public-meeting-boise-july-14-2016

8

2016年7月21日

ミネアポリス(ミネソタ州)
http://www.energy.gov/ne/downloads/consent-based-siting-public-meeting-minneapolis-july-21-2016

なお、同意に基づくサイト選定プロセスに関するパブリックコメントの募集は、2016年7月31日まで行われている。DOEは、提出されたパブリックコメント、及び8カ所のパブリックミーティングで示された意見を踏まえ、サイト選定に関するドラフト報告書を2016年後半に公表し、意見募集を行う予定としている。

【出典】

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2015年11月20日に、「高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の地層処分場のサイト選定プロセスの設計」と題する報告書(以下「NWTRB報告書」という)を公表した。NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動について、技術的及び科学的有効性を評価することを職務として設置された独立の評価組織であり、本報告書も連邦議会及びエネルギー長官に宛てたものである。

今回のNWTRB報告書の目的は、米国及び他国における高レベル放射性廃棄物の地層処分場の立地に向けた取組に関する情報を政策決定者に提供することとしており、NWTRBは日本を含む10カ国での過去半世紀に行われた24のサイト選定活動事例の比較検証などを行った上で、以下のような4つの勧告を行っている。

  • 1984年にエネルギー省(DOE)が策定した「放射性廃棄物処分場の候補サイトの予備的スクリーニングに関する一般指針」(10 CFR Part 960、以下「1984年一般指針」という)は、将来のサイト選定プロセスを構成する規則の策定においても確固とした基盤として採用すべきである。DOEが2001年に策定したユッカマウンテン・サイト適合性指針(10 CFR Part 963)のように、技術的に複雑な性能評価に依拠するようなサイト適合性規則については、サイト選定の初期段階での確固とした基盤を提供するものとはならない。
  • 1984年一般指針は、岩塩、結晶質岩及び粘土層/頁岩(シェール)の3岩種における高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分に係る地層固有の処分概念(関連する人工バリアを含む)に適用できるよう、母岩固有の基準で補完されるべきである。
  • 新たなサイト適合性基準の策定においては、可能な限り、基準の適用に係る実施主体の裁量を許すような曖昧さを最小化し、プロセスの客観性、及び結果に対する公衆の信頼性を確保しやすいようにすべきである。仮にプロセスの途中で基準の変更が必要となった場合、実施主体は、透明で意味ある参加型プロセスを用いるべきである。
  • 新たなサイト選定プロセスにおいては、最終的なサイト選定を詳細な地下の特性調査の完了後とし、1982年放射性廃棄物政策法での要件を維持すべきである。

なお、放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、新たなサイト選定活動が、米国での高レベル放射性廃棄物の第1処分場または第2処分場の何れに適用されるかは政策決定者が決定すべきものであり、NWTRBは、その技術的な職務に沿って、いずれの立場も取っていないとしている。

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2015年11月18日から19日の日程で、使用済燃料管理部門の規制会議を開催しており、規制会議のページに発表資料等が公開されている。本規制会議は、NRCの核物質安全・保障措置局(NMSS)の使用済燃料管理部(DSFM)が主催する年次会議であり、NRC、産業界、許認可保有者、その他の関係者が、使用済燃料の乾式貯蔵・輸送等に係る規制上、技術上の問題などについての議論を行う場として開催されている。

2015年の規制会議の議題は以下に示す通りであり、規制の効率化、長期貯蔵に関連する問題等に加え、2015年は新たに「集中中間貯蔵」のセッションが設けられている。

  • セッション1:貯蔵の許認可手続
  • セッション2:許認可変更管理
  • 情報セッション1:ステークホルダーの視点
  • セッション3:検査・操業経験
  • セッション4:技術的問題
  • セッション5:輸送承認
  • 情報セッション2:集中中間貯蔵

集中中間貯蔵に係る情報セッション2の発表資料としては、テキサス州での集中中間貯蔵施設に関する許認可申請の意向を表明しているウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社、ニューメキシコ州でエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)が計画している集中中間貯蔵施設の設計、許認可、建設及び操業を担当する予定のホルテック・インターナショナル社(以下、「ホルテック社」という)、エネルギー省(DOE)、NRC、及び廃止措置済みの原子力発電所の代表者として「廃止措置プラント連合」(Decommissioning Plant Coalition, DPC)の発表資料が公開されている。

このうち、DOEの発表資料は、2013年1月にDOEが公表した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(DOE戦略)に沿ってパイロット規模の中間貯蔵施設の一般的設計の検討作業について示すものであり、テキサス州及びニューメキシコ州で検討されている民間の中間貯蔵施設の利用可能性などには触れられていない。

なお、ホルテック社の発表資料では、エディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)が計画している集中中間貯蔵施設について、許認可申請の意向通知が2015年8月3日にNRCへ提出されたこと、2016年6月に許認可申請書を提出し、2019年9月から建設を開始して2020年には操業を開始するとの計画などが示されている。

【出典】

使用済燃料処分場のイメージ図

使用済燃料処分場のイメージ図(出典:Posiva Oy)

フィンランド政府は2015年11月12日付のプレスリリースにおいて、同日、エウラヨキ自治体オルキルオトに計画されている使用済燃料処分場について、処分実施主体のポシヴァ社に処分場の建設許可を発給したことを公表した。使用済燃料処分場に対する建設許可の発給はフィンランドが世界初となる。

使用済燃料処分場は、フィンランド南西部のエウラヨキ自治体オルキルオト島内に建設される予定であり、地上のキャニスタ封入施設と地下400~450mに設置される最終処分場で構成される。使用済燃料の処分は、外側が銅製で、内側が鋳鉄製の2重構造の容器(キャニスタ)に封入した上で、その周囲を緩衝材(ベントナイト)と岩盤からなる多重バリアによって安全性を確保するものである。

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

フィンランド政府のプレスリリースによれば、建設許可を発給した処分場において最大6,500トン(ウラン換算)の使用済燃料を処分することを認めている1 。また、建設許可には許可条件として、今後予定されている処分場の操業許可の申請において、申請書に以下の事項を含めるよう求めている。

  • 処分施設が環境に及ぼす影響に関する解析
  • 使用済燃料の回収可能性
  • 輸送リスク
  • 事業に影響を及ぼす可能性のある要因

フィンランドにおける使用済燃料の処分実施主体であるポシヴァ社は、2012年12月に使用済燃料処分場の建設許可申請書を政府に提出していた。原子力に関する監督機関である雇用経済省は建設許可申請を受け、原子力法・原子力令に規定されている意見聴取手続きに従って、エウラヨキ自治体及び周辺自治体などに対して意見書の提出を求めていた。その一環として、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、2015年2月に処分場を安全に建設することができるとする審査意見書を雇用経済省に提出していた。雇用経済省は提出された意見書を元に、政府による発給に向けて、建設許可の許可条件に関する検討を行っていた。
 建設許可の発給を受けてポシヴァ社は、2015年11月12日のプレスリリースにおいて、今後、処分場の建設段階に進むこと、使用済燃料の処分を2020年代初めに開始できるよう計画していることを明らかにした。

フィンランドにおける使用済燃料処分の経緯

フィンランドでは原子力発電から生じる使用済燃料を再処理せず、高レベル放射性廃棄物として地層処分する方針としている。使用済燃料の処分場のサイト選定は1983年に開始され、ポシヴァ社は1999年にオルキルオトを処分地として選定し、同年、原子力施設の建設がフィンランド社会全体の利益に合致することを政府が判断する「原則決定」と呼ばれる原子力法の手続きに基づいて(詳しくはこちら)、オルキルオトに使用済燃料の処分場を建設することについて、政府へ原則決定の申請を行った。政府はポシヴァ社の申請に対して2000年に原則決定を行い、翌2001年に国会が政府の原則決定を承認したことにより、オルキルオトが処分地として決定していた。

ポシヴァ社が使用済燃料の処分を開始するためには、原則決定の後に政府から処分場の建設許可、及び操業許可の発給をそれぞれ受ける必要がある。ポシヴァ社は建設許可の申請に向けて2004年には地下特性調査施設(ONKALO)の建設を開始し、並行して建設許可申請に必要な岩盤や地下水等のデータ取得や、坑道の掘削による地質環境への影響等について調査をしてきた。これまで調査施設として利用されてきたONKALOは、今後は処分場の一部として利用される予定である。

【出典】


  1. ポシヴァ社が2012年12月に提出した建設許可申請書では、フィンランドで現在、テオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)とフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が運転している4基の原子炉、及びTVO社が建設中の1基と計画段階の1基を含む、合計6基の原子炉から発生する最大で9,000トン(ウラン換算)の使用済燃料を処分する計画としていた。しかし、TVO社は計画していた新規原子炉について建設許可の申請を断念したため、政府による建設許可で認められた処分量は、計画を取りやめた原子炉から発生する見込みであった量に相当する分だけ減少している。 []

ベルギーの原子力安全の規制行政機関である連邦原子力管理庁(FANC)は、2015年11月9日に、放射性廃棄物管理の実施主体である放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)と協議し、短寿命の低・中レベル放射性廃棄物(カテゴリーAと呼称されている)の浅地中処分場の建設許可に係る新たなスケジュールを公表した。

ベルギーでは、2006年6月に、短寿命の低・中レベル放射性廃棄物の処分場をデッセル自治体に設置することを決定しており、2013年1月には、ONDRAF/NIRASが浅地中処分場の建設許可申請を提出していた。連邦原子力管理庁(FANC)は、浅地中処分場の建設許可申請の審査において、補足が必要な点についての質問を提示しており、ONDRAF/NIRASは申請書類を補完するため、質問に対する回答を準備している。このような状況のもと、今回、ONDRAF/NIRASとFANCは、申請書類を効率的に最終版とするため、建設許可において重要なマイルストーンとなる科学審議会(CS)1 の見解を得る2 までのスケジュールを以下のように設定した。

スケジュール

  • 2016年第3四半期まで: FANCの質問に対する回答及び新たな評価結果等の追加情報をONDRAF/NIRASが提出
  • 2017年第1四半期まで:建設許可申請とともに提出する安全報告書の改訂
  • 2017年第2四半期半ばまで:FANCが科学審議会(CS)に提出する評価報告書を作成
  • 2017年6月:科学審議会(CS)が見解を提示

【出典】

 

【2017年6月15日追記】

デッセル自治体の放射性廃棄物調査・協議グループ(STORA)は2017年6月13日に、短寿命の低・中レベル放射性廃棄物(カテゴリーAと呼称されている)の浅地中処分場の建設許可までの手続を半年程度遅らせるとするスケジュールを公表した。STORAは、処分の実施主体であるベルギー放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)とパートナーシップを構築して、本計画に参加・関与している。

ONDRAF/NIRASは2013年1月に、浅地中処分場の建設許可申請を連邦原子力管理庁(FANC)に提出しており、現在、FANCが審査を行っている。FANCは2015年11月に、審査結果について取りまとめた報告書を2017年第2四半期半ばまでに科学審議会(CS)に提出し、2017年6月には科学審議会(CS)の見解を得るとしていた。

今回公表されたSTORAの情報では、以下のようなスケジュールが示されている。

  • 2017年夏頃まで:建設許可申請に関して、FANCが提示した約300件の質問に対して、ONDRAF/NIRASが回答を提出
  • 2018年初め:科学審議会(CS)が見解を提示
  • 2018年:科学審議会(CS)の見解が肯定的であった場合、処分場周辺5km圏内の自治体に対する意見募集を実施
  • 2019年:科学審議会(CS)が自治体の見解も踏まえて提示する最終見解が肯定的であった場合、王令による建設許可が発給され、建設開始
  • 2022年:処分場への廃棄物の定置開始

 

【出典】


  1. FANC内部に設置されている諮問組織 []
  2. 「電離放射線に起因する危険からの公衆及び環境の防護、並びに連邦原子力管理庁(FANC)の設置に関する法律」において、放射性物質が存在する施設の建設操業に係る許可申請を審査する際、FANCは科学審議会(CS)の見解を得ることになっている。 []
NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2015年10月時点)

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2015年10月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2015年10月29日付で、オンタリオ州セントラルヒューロン自治体(右上図21番)で実施していたサイト選定プロセスの第3段階第1フェーズの机上調査の結果を公表した。NWMOは、セントラルヒューロン自治体がサイト選定要件に合致する可能性が高いと評価し、今後、第3段階第2フェーズの現地での調査を実施するとしている。

セントラルヒューロン自治体は、2014年7月に、使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの第3段階にあたる“使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価”に進む意思をNWMOに伝え、これを受けてNWMOは第3段階第1フェーズとなる机上調査を実施していた。NWMOは第3段階第1フェーズで得られた知見として以下の3点を示している。

  • 予備的な地質学的机上調査によれば、同自治体の地質は、使用済燃料の地層処分場を受け入れるための多くの有利な地質学的特性を備えている。
  • 予備的な調査によれば、同自治体は、エンジニアリング、輸送、及び環境と安全性の観点から求められる要件を満たす可能性を備えている。
  • 「適応性のある段階的管理」(APM)(詳しくは こちら)の実施によって、自治体の福祉が向上する可能性がある。

今回のセントラルヒューロン自治体における第3段階第1フェーズの机上調査が完了したことにより、カナダの使用済燃料処分場のサイト選定プロセスにおいて、初期スクリーニングで良好と判断された全21自治体について、第3段階第1フェーズが完了したこととなる。その結果、11の自治体が第3段階第2フェーズでの現地調査に進んでいるが、このうち、空中物理探査などの初期フィールド調査により、2自治体は地層処分場に適切な場所を特定できる見通しが低いと判断され、サイト選定プロセスから除外されている。このため、2015年10月時点で9自治体がサイト選定プロセスに参画していることになる。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

ドイツ連邦政府は2015年10月14日に、原子力発電からの撤退1 に関連して、原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理のための資金(以下「バックエンド資金」という)について、資金確保のあり方を検討する「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という)の設置を決定した。検討委員会は、原子力発電事業者がバックエンド資金に係る費用負担の責任を果たすため、十分なバックエンド資金を長期的に維持できるような資金確保方策を検討するとされている。

脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会

2015年10月14日付で設置された検討委員会は、3名の共同委員長及び委員16名の合計19名で構成される。

共同委員長は以下の3名である。

  • マティアス・プラツェク(元ブランデンブルク州首相、社会民主党(SPD))
  • オーレ・フォン・ボイスト(元ハンブルク市長、キリスト教民主同盟(CDU))
  • ユルゲン・トリッティン(元連邦環境大臣、緑の党)

16名の委員には、州首相経験者を含む政治家、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の原子力安全局長、会計監査、法律の専門家の他、経済団体、環境団体、労働組合、大学、宗教団体などに所属する委員が含まれている。

ドイツには現在、バックエンド資金確保に関して公的な基金制度などはなく、原子力発電事業者が独自に引当金として資金確保を行っている。しかし、資金確保のあり方については、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」に基づき設置された「高レベル放射性廃棄物処分委員会」の市民対話集会などにおいても、基金や財団を設置して管理すべきとの意見が出されていた

検討委員会は2016年1月までに検討結果を勧告にとりまとめ、「原子力発電に関する政務次官委員会」に提出する。同政務次官委員会は、今回の閣議決定によって検討委員会と同時に設置された関係省庁の次官級組織であり、連邦経済エネルギー省(BMWi)、BMUB、連邦財務省(BMF)、連邦運輸・デジタルインフラ省(BMVI)の次官や連邦内閣官房長官等で構成され、検討委員会の活動に協力すると共に、検討委員会から提出された勧告のレビューを行う。

原子力発電事業者のバックエンド資金に係る費用負担能力に関するストレステスト

検討委員会の設置に先立ち、連邦経済エネルギー省(BMWi)は2015年10月10日に、原子力発電事業者のバックエンド資金に係る費用負担能力に関するストレステストの結果を公表した。本ストレステストは、BMWiが会計監査法人に委託して実施したものであり、原子力発電事業者を傘下に持つ事業者がバックエンド資金に係る費用負担に耐えうるかの観点で財務状況を評価したものである。

本ストレステストでは、原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理費用を含むバックエンド費用見積りの総額は、475億2,700万ユーロ(約6兆4,637億円、2014年価格)と算出されている。また、バックエンド費用見積りの内訳が、5種類の費用区分で示されている。費用区分ごとの見積額を下表に示す。

ドイツ原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理費用を含むバックエンド費用見積り(2014年価格)

廃止措置と解体

197億1,900万ユーロ(約2兆6,818億円)

キャスク・輸送・運転廃棄物 99億1,500万ユーロ(約1兆3,480億円)
中間貯蔵 58億2,300万ユーロ(約7,919億円)
コンラッド処分場 37億5,000万ユーロ(約5,100億円)
高レベル放射性廃棄物処分場 83億2,100万ユーロ(約1兆1,320億円)
総額 475億2,700万ユーロ(約6兆4,637億円)

 

バックエンド費用見積り総額を基に、金利、インフレ率などのパラメータを変動させたシナリオにより、事業者によって確保されるべきバックエンド費用総額が計算されており、その幅を約299億ユーロ(約4兆700億円)から約774億ユーロ(約10兆5,000億円)と評価している。これに対し、2015年8月現在でのバックエンド資金として利用可能な対象事業者の資産総額は約830億ユーロ(約11兆3,000億円)であり、うち約383億ユーロ(約5兆2,100億円)が引当金として確保されている。このため、バックエンド費用が最も高額となるシナリオの場合でも、原子力発電事業者を傘下に持つ事業者はバックエンド資金に係る費用負担に対応できるとの評価結果を示している。

なお、本ストレステストの結果は、検討委員会に資料として提示されることとなっている。

 

【出典】


  1. ドイツ政府は2022年末までにすべての原子力発電所の営業運転を停止することを決定している。 []

欧州委員会(EC)は、2015年10月9日に、英国の新規原子炉から発生する高レベル放射性廃棄物等の所有権及び地層処分の費用負担責任を廃棄物発生者から英国政府に移転させる契約(Waste Transfer Contracts, WTC.以下「放射性廃棄物移転契約」という)について、契約価格の設定方法が、欧州連合(EU)の国家補助禁止規則に抵触しないとして、価格設定方法を承認することを公表した。

英国では、2008年エネルギー法により、原子力発電事業者に対し、新規原子炉の建設前に、廃止措置、放射性廃棄物の管理・処分費用のうち、自らの負担分の全額を賄うため、確実な資金確保措置を講じること1を義務付けており、原子力発電事業者は、廃止措置資金確保計画(FDP)を担当大臣に提出し、承認を得る必要があるが、このFDP承認の際に、放射性廃棄物移転契約の締結が望まれている。こうしたことから、エネルギー・気候変動省(DECC)は、2010年12月より放射性廃棄物移転契約の価格設定方法に関する公開協議を行い、その結果を踏まえ、2011年12月に「新規原子力発電所から発生する高レベル放射性廃棄物等の処分のための廃棄物移転価格設定方法」を公表している。この放射性廃棄物移転契約の価格設定方法については、事業者支援のために公的資金が利用されるおそれがあるため、欧州条約において原則禁止となっている国家補助禁止規則2に抵触していないかを欧州委員会が2012年6月から審査していた。

欧州委員会は、放射性廃棄物移転契約の価格設定方法がEUの国家補助禁止規則に抵触しないとした理由として、以下の点を挙げている。

  • 現在は地層処分の費用について不確実な点が多いが、契約価格が最終的に決定するのは新規原子炉における発電開始から30年後であり、現在の地層処分スケジュールから見ても、費用はほぼ明確になっていること
  • 契約価格には地層処分に係る全ての変動費と固定費が含まれており、契約価格設定後の処分費用の上昇リスクを考慮した適切な額が価格に上乗せされていること
  • 新規原子炉の発電開始から契約価格が最終的に決定する30年後まで、5年ごとに地層処分費用が見直され、事業者にはそのための資金を確実に確保していく義務が課せられていること
  • 英国政府が地層処分費用の上限額を保守的な方法で見積っていることから、実際の地層処分費用が、放射性廃棄物移転契約に基づいて事業者が支払う上限額を超過し、英国政府が超過分を負担することになるリスクが極めて低いこと
  • 設定価格には、英国政府が上記リスクを負うことに対する補償額が含まれていること
  • 英国政府が最終的に超過分を負担するという事業者支援が発生したとしても、支援によって生じる市場の歪曲は極めて限定的であること

【出典】


  1. 英国では、日本のような地層処分のための資金確保制度(外部独立基金)はなく、廃棄物発生者である事業者が必要な資金を確保することとなっている。 []
  2. EUにおける市場競争の歪曲、または歪曲するおそれのある国家補助に関する規則。 []