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米国ニューメキシコ州のカールスバッド市近傍の自治体で構成されるエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)が計画する使用済燃料の中間貯蔵施設について、ホルテック・インターナショナル社(以下、「ホルテック社」という)は、2016年3月29日に、建設に係る許認可申請書を2016年11月30日に提出する予定であることを原子力規制委員会(NRC)に通知した。ホルテック社は、2015年4月にELEAとの覚書に基づいて、中間貯蔵施設の設計・許認可・建設・操業を担当することとなっており、2015年8月3日には許認可申請の意向通知をNRCに提出していた。

ELEAは、ニューメキシコ州南東部のエディ郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市の4自治体が設立した企業体であり、2006年11月にはエネルギー省(DOE)が進めていた国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)計画における統合使用済燃料リサイクル施設の立地調査サイトの1つに選定されていた。ELEAは、GNEP計画が2009年6月に中止された後、GNEP計画のために購入していたリー郡内の土地を使用済燃料の中間貯蔵施設に活用することを目指し、2012年10月にはフランス・AREVA社の米国法人をパートナーに選定した中間貯蔵施設の建設計画が公表されていた

2015年4月に公表されたELEAとホルテック社との開発計画では、原子力発電所で実績のあるホルテック社の使用済燃料の貯蔵システムであるHI-STORM UMAX(Holtec International STORage Module Underground MAXimum securityの頭字語)を拡張した中間貯蔵システムの建設に向けて、許認可申請の準備が進められている。建設が予定されるHI-STORE集中中間貯蔵施設(以下、「HI-STORE CIS」という)の概要は、概念図に示す通りであり、地表面より下の換気付き縦型モジュールに貯蔵キャスクを収納するシステムとなっている。

ELEAで計画されているHI-STORE CIS(第1段階)の概要(左)とキャスク貯蔵概念図(右)

ELEAで計画されているHI-STORE CIS(第1段階)の概要(左)とキャスク貯蔵概念図(右)


キャラウェイ原子力発電所に設置されたHI-STORM UMAXシステム

キャラウェイ原子力発電所に設置されたHI-STORM UMAXシステム

ホルテック社は、ベースとなるHI-STORM UMAXシステムについて、米国で貯蔵中のすべての乾式貯蔵キャスクの受入れ・貯蔵が可能となるよう設計変更した上で、ELEAサイトにおける許認可申請書を提出する意向であり、安全解析書などはHI-STORM UMAXシステムで承認済みのものが参照される形となる。中間貯蔵施設の建設は段階的に進められる計画であり、当初のNRCへの許認可申請は、貯蔵キャニスタ500本を対象とし、最終的に4,000本の貯蔵が可能なシステムに拡張の予定とされている。

中間貯蔵施設の許認可スケジュールについて従来は、2016年6月の許認可申請書提出、2019年6月のNRC許認可取得、2019年9月の建設開始により、2020年には操業を開始する見通しが示されていた。今回のNRCへの申請予定日の通知に伴うスケジュールの見直し等については現状で公表されていない。

なお、ELEAは、中間貯蔵施設の開発事業者への建設予定地の売却を計画しており、2016年2月に、ホルテック社が公募手続を経た上で土地の購入オプション等の契約をELEAと締結している。本契約では、NRCからの許認可の取得及びDOE等との貯蔵契約締結などにより、中間貯蔵施設の建設が可能となった時点での土地購入、及び中間貯蔵施設からの収入をELEAへ分配することなどが規定されている。契約の発効には州の認可が必要とされている。

【出典】

 

【2016年9月23日追記】

米国ニューメキシコ州のカールスバッド市近傍の自治体で構成されるエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)は、使用済燃料の中間貯蔵施設を計画しており、中間貯蔵施設の設計・許認可・建設・操業を担当するホルテック・インターナショナル社(以下、「ホルテック社」という)は、2016年9月13日付のハイライト情報において、ELEAサイトにおける中間貯蔵施設の建設に係る許認可申請書の原子力規制委員会(NRC)への提出を、2017年3月に予定していることを公表した。2016年3月に行ったNRCへの通知では、許認可申請書の提出を2016年11月30日の予定としていた。

ELEAサイトにおける中間貯蔵施設の建設についてホルテック社は、ベースとなるHI-STORM UMAX(Holtec International STORage Module Underground MAXimum securityの頭字語)システムについて、米国で貯蔵中のすべての乾式貯蔵キャスクの受入れ・貯蔵が可能となるよう設計変更し、その後、中間貯蔵施設の建設に係る許認可申請を行うという段階的な許認可申請の方針としている。ホルテック社は、2016年8月30日に、HI-STORM UMAXシステムの適合承認(CoC)の変更申請をNRCに提出した。

なお、ホルテック社は、ELEAが保有する建設予定地の購入オプション等の契約を2016年2月に締結していたが、土地購入がニューメキシコ州政府によって承認されたことが、2016年9月13日付のウェブサイト情報で公表されている。

【出典】

連邦エネルギー庁(Bundesamt für Energie, BFE)は2016年3月22日のプレスリリースにおいて、実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(Nationale Genossenschaft für die Lagerung radioaktiver Abfälle, NAGRA)が2015年1月に提出していた環境影響評価に関する報告書等について、環境保護法令に基づく要件を概ね満足しているとの連邦環境庁(Bundesamt für Umwelt, BAFU)の見解を公表した。NAGRAは、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づいて放射性廃棄物処分場に係る地質学的候補エリアとして「チューリッヒ北東部」と「ジュラ東部」とを優先候補として提案した際、それぞれで環境影響評価の予備調査を実施し、地質学的候補エリア別の「予備調査報告書」及び「本調査第1ステージの実施のための仕様書」(以下「仕様書」という)をBFEに提出していた。(スイスにおける放射性廃棄物処分場に係る環境影響評価プロセスについては下記の解説を参照)

NAGRAの予備調査報告書と仕様書を審査する連邦環境庁(BAFU)は、連邦自然・景観保護委員会(Eidgenössische Natur- und Heimatschutzkommission, ENHK)の暫定的な見解や関係州からの意見を評価し、ジュラ東部について24件、チューリッヒ北東部について22件の要求事項・勧告を提示している。要求事項には、国家景観・自然遺産リストの登録対象となっている区域への影響を最小化するため、立地、建物の配置、風景との調和などの項目を改善すべきとの要求等が含まれている。BAFUはNAGRAに対し、要求事項・勧告に従って、環境影響評価の仕様書を修正するよう求めている。

なお、連邦原子力安全検査局(Eidgenössisches Nuklearsicherheitsinspektorat, ENSI)は2017年春までの予定で、NAGRAがサイト選定第2段階の絞り込み提案の際に提出した報告書の審査を行っている。その過程でENSIは、NAGRAが予備候補とした地質学的候補エリア「北部レゲレン」に関する一部の技術情報の不備を指摘しており、NAGRAが現在対応を行っている。ENSIによる審査の結果、北部レゲレンを優先候補から外すことは不適切であると判断された場合、NAGRAは北部レゲレンについても、今後、環境影響評価の予備調査を実施することになる。

 

〔解説〕 スイスにおける放射性廃棄物処分場に係る環境影響評価プロセス

放射性廃棄物処分場に係る環境影響評価は、特別計画及び環境影響評価令に基づき、予備調査、本調査第1ステージ、本調査第2ステージの順序で段階的に進められる。

予備調査は、処分場プロジェクト実施前の環境の状態、環境保護のための措置等の計画の詳細、予測される環境影響を評価するものである。本調査第1ステージと第2ステージは、それぞれ概要承認と建設許可の許認可段階で実施される環境影響評価である。

環境影響評価の実施の手順は以下の通りである。

サイト選定第2段階

・NAGRAが環境影響評価の予備調査を実施し、「予備調査報告書」を作成。

・NAGRAは環境影響評価の「本調査第1ステージの実施のための仕様書」を作成し、予備調査報告書とともに連邦エネルギー庁(BFE)へ提出。

・環境に関する観点で審査・評価し、連邦エネルギー庁(BFE)を支援する連邦環境庁(BAFU)が予備調査報告書と仕様書を評価。

サイト選定第3段階

・NAGRAが環境影響評価の本調査第1ステージを実施し、報告書を作成。報告書は概要承認の申請書類の一部としてBFEへ提出。

・NAGRAは環境影響評価の本調査第2ステージの実施のための仕様書を作成。

・州や関心のある住民等は申請書類、その他関連書類に対する意見を表明。

・BAFUが報告書と仕様書を評価。

建設許可申請

・NAGRAが環境影響評価の本調査第2ステージを実施し、報告書を作成。報告書は建設許可のその他の申請書類とともに環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)へ提出。

・BAFUが報告書を評価。

 

 

【出典】

【2016年4月20日追記】

放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は2016年4月13日に、北部レゲレンにおけるサイト選定第3段階での探査計画、サイト選定第2段階での環境影響評価の予備調査報告書(2015年3月31日付)、並びに、サイト選定第3段階での環境影響評価の本調査第1ステージに係る「本調査第1ステージの実施のための仕様書」を連邦エネルギー庁(BFE)へ提出した。

NAGRAは2016年2月に、ENSIによる審査の結果、北部レゲレンが予備候補ではなく優先候補とされた場合のスケジュールの遅延を避けるため、北部レゲレンにおけるサイト選定第3段階での探査を想定した準備作業に着手していることを公表していた

なお、NAGRAが優先候補として提案した地質学的候補エリア「ジュラ東部」と「チューリッヒ北東部」については、環境影響評価の予備調査報告書に対する連邦環境庁の審査が2016年3月までに完了している。

【出典】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会の委員長などは、2016年3月17日に、エネルギー長官に対して、エネルギー省(DOE)の放射性廃棄物管理政策に関する情報を求める書簡を送付した。同委員長らは、2016年2月29日に、DOEがユッカマウンテン許認可申請を完了するための必要事項の検証を米国説明責任院(GAO)に依頼しており、本書簡はそれに続くものとなる。本書簡では、DOEのユッカマウンテン支援活動や放射性廃棄物政策法遵守の状況など8つの項目についての合計14の質問事項が示されており、2016年4月14日までの回答を求めている。

本書簡では、DOEが2013年1月公表の「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下、「DOE戦略」という)を実施に移すための活動を開始していることに対し、連邦政府は法律上の義務を可及的速やかに果たす必要があり、ユッカマウンテンの許認可申請に係る作業を迅速に再開することが求められているとしている。その上で、包括的な法的枠組みを構築するプロセスの一環として、DOE戦略の実施のために必要な法的権限についてのヒアリングを行う予定としている。

本書簡では、包括的な放射性廃棄物管理政策を検証するための情報として、以下のような質問が行われている。

ユッカマウンテン支援活動

  1. 有効な契約リストの最新状況を報告すること。
  2. DOEは、連邦議会が1982年放射性廃棄物政策法を修正する、またはDOEが放射性廃棄物処分勘定の予算をすべて費消するまで、有効な契約を維持するのか。
  3. DOEは、2013年8月30日付けのDOE次官から下院エネルギー・商務委員会環境・経済小委員会の委員長へ宛てた書簡において、命じられれば、予算がある限り許認可手続が再開できるよう手配していると伝えているが、ユッカマウンテン処分場プログラムの再開に必要な専門能力、インフラ、及び支援文書を維持しているのか。

1982年放射性廃棄物政策法の遵守

  1. 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、ユッカマウンテン以外のサイト特定の活動をすべて終了したが、DOEは、テキサス州における中間貯蔵施設建設の提案のレビューや、中間貯蔵施設についての民間会社役員と既に面会していることをエネルギー長官は述べている。
    1. DOEは、どのような法的権限に基づいてサイト特定の議論を行っているのか。
    2. DOEが連邦以外のステークホルダーと中間貯蔵施設の立地について議論した会合について、日付と参加者を含めたリストを提出すること。
  2. 1982年放射性廃棄物政策法では、原子力規制委員会(NRC)が処分場の建設認可を発給するまでは監視付き回収可能貯蔵(MRS)施設1 (集中中間貯蔵施設)の建設を禁じており、DOE戦略でも、中間貯蔵施設が事実上の処分場となることを避けるため、中間貯蔵施設の操業開始と処分場開発の間にはリンクが必要としている。
    1. 中間貯蔵施設が事実上の処分場とならないために、DOEはどのようなリンク設定を提案するのか。
    2. DOEは、立法措置の可能性を想定して、リンク設定に関する計画を既に準備しているのか。

集中中間貯蔵施設

  1. DOEは、1998会計年度2 に、集中中間貯蔵施設への使用済燃料等の輸送が法律で指示されると想定して、集中中間貯蔵施設の設計と安全解析を完了しているほか、2008年に提出されたユッカマウンテン許認可申請書には集中中間貯蔵施設の構成要素となる諸施設が含まれていたが、DOEは2016年3月4日にパイロット中間貯蔵施設の一般設計に関する公募を行っている。
    1. DOEは、公募に際し、1998年の集中中間貯蔵施設のトピカル安全解析報告書の要素を考慮したか。
    2. DOEは、公募に先立って、ユッカマウンテン許認可申請書の主要な設計要素を考慮したか。
    3. 今回の公募は、1998年のトピカル安全解析書やユッカマウンテン許認可申請書に含まれる諸施設とどのような点が異なるのか。
    4. 中間貯蔵施設に係る以前の研究成果のどのような点が今回の新たな公募に繋がったのか。
  2. DOEは、2008年に、連邦議会の指示により、廃止措置済みの原子力発電所の使用済燃料を既存のDOEサイトや運転中の原子力発電所、または競争プロセスで選定した中間貯蔵サイトに集中させることを検討した
    1. 2008年報告書では、廃止措置済み原子力発電所では既にサイト内貯蔵施設の費用が発生済みであり、限定的な使用済燃料引取り実証プログラムでは連邦政府債務3 は大きく変化せず、廃止措置済み原子力発電所を優先することで他事業者から訴訟の提起や引取り要求が行われる可能性もあると報告されていた。
      DOE戦略の開発の中で、DOEはパイロット中間貯蔵施設の開発コストと債務減少額を再評価したか。もし再評価したのであれば、評価結果を提出すること。
    2. 2008年報告書では、集中中間貯蔵施設の総コストは7億4,300万ドル(1ドル=120円として約892億円)と見積っていたが、DOE戦略の中でその費用見積りの再評価をしたか。もし再評価したのであれば、評価結果を提出すること。

原子力発電所向けの「標準契約」

  1. 1982年放射性廃棄物政策法は、発電用原子炉の許認可の新規発給・更新に際しては、事業者がDOEと使用済燃料処分のためのいわゆる「標準契約」を締結することが必要としている。
    1. 標準契約では、ユッカマウンテン処分場開発・操業のための放射性廃棄物基金への拠出金支払いについて定めているが、2013年の連邦控訴裁判所の判決により、有効な処分場プログラムが無いとして拠出金の徴収が差止められている。DOEは、この判決を踏まえても新たな標準契約を締結する権限があると評価したのか。
    2. 2013年の判決が出てから、DOEは、NRCは原子力法に基づく権限により原子炉の許認可を発給・更新できるか否か、NRCと協議したか。協議した場合は、関連文書を提出すること。
    3. DOEは、事業者と標準契約を締結する権限を有しているか司法省と協議したか。協議した場合は、司法省の法的判断を提出すること。

DOE戦略

  1. DOE戦略では、2021年までにパイロット規模の中間貯蔵施設の操業を開始し、廃止措置済み原子力発電所から使用済燃料を引き取ることが必要としているが、2015年8月の使用済燃料輸送の鉄道車両調達に関するDOEの公募では、鉄道車両の利用可能時期が7~9年後とされている。
    1. DOEは、鉄道車両の調達とパイロット規模の中間貯蔵施設操業開始に係る矛盾したスケジュールをどのように調和させるのか。
    2. DOEの監察官(IG)による使用済燃料関連の債務の監査は、DOE戦略の実施を前提としているが、直近の監査において、DOEはIGに調達の時間軸の情報を提供したのか。

放射性廃棄物基金及び予算要件

  1. 2016年2月12日に、全米公益事業規制委員協会(NARUC)らは、放射性廃棄物基金の正確で明確な年次報告書を全米の電力消費者と納税者に示すよう要求したが、年末前にこの財務報告書を発行することを確約するか。
  2. 今後10年間のDOE戦略の実施のための費用は45億ドル(5,400億円)と伝えられているが、処分場建設のための放射性廃棄物基金の妥当性に与える影響を評価したか。

軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分

  1. 下院エネルギー・商務委員会は、2015年4月に、軍事起源の使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分を切り離す決定について追加情報を求めたが、その後、軍事起源の高レベル放射性廃棄物のみを処分する処分場の費用見積りや分析は行ったか。
  2. 最近、ノースダコタ州ピアス郡の郡政委員会が高レベル放射性廃棄物処分のための大深度ボーリング孔のフィールド試験プロジェクトに反対することを満場一致で議決した。エネルギー長官は、2016年3月2日の下院エネルギー・商務委員会のヒアリングで、フィールド試験は科学的実験を行うためのものであり、同意に基づくサイト選定の施設ではないと発言したが、ピアス郡で示されたように科学的実験でも地元ステークホルダーの同意が必要である。
    1. 大深度ボーリング孔掘削に対するピアス郡の決定は、DOEの軍事起源の高レベル放射性廃棄物処分プログラムにどのような影響を与えるか。
    2. DOEは、フィールド試験の公募結果の発表前に、ノースダコタ州やピアス郡の州及び地域のステークホルダーとコミュニケーションを取ったか。
    3. 超深孔処分のフィールド試験の公募への申請に添付された州・地域・先住民族のステークホルダーからの支持の書簡をすべて提出すること。

使用済燃料の輸送

  1. 下院エネルギー・商務委員会のエネルギー・環境小委員会では、DOEが州に対して、1982年放射性廃棄物政策法に基づく緊急時対応訓練のための技術支援と資金提供すべきとの証言を得ているが、DOEは、使用済燃料輸送に対する緊急時対応者の準備が最も早く整うように、州の組織とどのように関わっているか。過去3年間における放射性廃棄物政策法第180条(c)に基づく資金の分配先リストを提出すること。

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが、安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。http://energy.gov/downloads/monitored-retrievable-storage-background []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、1998会計年度は1997年10月1日からの1年間となる。 []
  3. 米国では、1982年放射性廃棄物政策法において、エネルギー省(DOE)が1998年1月31日から民間の使用済燃料引取りを開始することが定められおり、原子力発電事業者との間で処分実施のための契約が締結されている。ユッカマウンテン計画の遅れから、DOEは使用済燃料の引取りを行えないため債務不履行状態にあり、事業者からの訴訟により連邦政府の損害賠償義務が確定している。 []

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年2月24日に、クラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下、「GTCC廃棄物」という)1 の処分に関する最終環境影響評価書(FEIS)を公表した。本FEISでは、GTCC廃棄物及びGTCC類似廃棄物2 の推奨する処分方策として、ニューメキシコ州カールスバッドに立地するTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での処分、あるいは、一般の商業施設において陸地処分することが示されている。1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法では、連邦政府がGTCC廃棄物の処分責任を負うことが規定されており、DOEは2005年5月に環境影響評価書(EIS)の策定の事前告示を行い、2011年3月にドラフト環境影響評価書(DEIS)を公表していた

最終環境影響評価書(FEIS)では、ドラフト環境影響評価書(DEIS)でも示されていた通り、現行管理の継続という選択肢を含めて、以下の5つのオプションに関する評価が行われた。

  1. 現行の管理の継続(現在実施されているGTCC廃棄物発生施設等での貯蔵の継続)
  2. 廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での地層処分
  3. ハンフォード・サイト、アイダホ国立研究所、ロスアラモス国立研究所、ネバダ国家セキュリティサイト3 、WIPP近傍やその他の商業施設における、新たな中深度ボーリング孔での処分
  4. 上記で示したサイトに、サバンナリバー・サイトを加えたサイトにおける、新たな強化型浅地中処分施設で処分
  5. 上記で示したサイトにおける、新たな地表面より上のボールト処分施設で処分

DOEは、累積的影響も含めた長期的な健康への影響、先住民族との問題、法律その他の要件、その他国家安全保障を始めとする種々の要因について評価を行い、パブリックコメント等も踏まえて、推奨する処分方策をオプション2の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での地層処分、あるいは、オプション3~5の商業施設での陸地処分としている。ただし、オプション3~5でのハンフォード・サイト等のDOEサイトでの処分は、推奨する処分方策には含まれていない。

GTCC廃棄物等は多様な特性のものが存在するため、推奨する処分方策は1つに限定されていない。また、商業施設における3つの処分概念(オプション3~5)の間にも優先順位は設定されておらず、その概念設計も、施設の立地に応じて、変更や強化することも可能とされている。さらに、健康への影響や輸送の影響の評価は、廃棄物の種類別に行われているため、この情報に基づいて意思決定を行うことも可能としている。

DOEは、最終環境影響評価書(FEIS)での分析により、GTCC廃棄物等の処分が可能となる望ましい方策を同定するのに十分な知見が得られたとしているが、法改正や許認可要件変更の必要性については不確定要素もあるため、最終的な決定を示す意思決定記録(ROD)の発行までにはさらなる分析が必要としている。なお、2005年エネルギー政策法では、DOEが最終決定を行う前に、検討したすべての管理方策などについて連邦議会に報告書を提出して、その措置を待つことを義務付けている。DOEは、今後連邦議会に報告書を提出し、連邦議会が然るべき措置を取るまでは意思決定記録(ROD)の発行は行わないとしている。

なお、GTCC廃棄物等の環境影響評価については、2005年5月の事前告示によるコメント募集、2007年7月の実施意向告示による評価項目や手法などについてのコメント募集が行われた他、2011年3月のドラフト環境影響評価書(DEIS)については120日間のコメント募集及び9カ所でのパブリックヒアリングが行われた。DOEは、最終環境影響評価書(FEIS)の策定にあたり、DEISへのすべてのコメントを考慮したとしている。

【出典】


  1. 米国では、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法、原子力規制委員会(NRC)の連邦規則(10 CFR Part 61「放射性廃棄物の陸地処分のための許認可要件」)において、地下30mより浅い浅地中処分が可能な低レベル放射性廃棄物としてクラスA、B、Cの分類が定められている。GTCC廃棄物は、放射能濃度などがクラスCの制限値を超える低レベル放射性廃棄物であり、連邦規則に基づいて操業されている浅地中処分場での処分をNRCが承認しない場合、地層処分しなければならないこととなっている。 []
  2. 米国では、DOEは原則としてNRCの連邦規則の適用を受けないため、DOEが保有する廃棄物にはGTCC廃棄物の分類も適用されないが、DOEは、GTCC廃棄物と類似した特性を持つものは「GTCC類似廃棄物」としてGTCC廃棄物と共に処分する方針としている。なお、GTCC廃棄物とGTCC類似廃棄物とを併せて「GTCC廃棄物等」とする。 []
  3. 旧ネバダテストサイト []

廃棄物ヒエラルキー

英国政府は2016年2月10日に、原子力産業から発生する低レベル放射性廃棄物の管理戦略(以下「管理戦略」という)を公表した。本管理戦略は、①「廃棄物の段階的管理方法」(以下「廃棄物ヒエラルキー」という)の適用1 、②既存の低レベル放射性廃棄物の管理及び処分関連施設の最善利用、③新たな廃棄物処理方法及び処分ルートの開発・利用の3部で構成されており、廃棄物発生者にこれらの管理戦略の実施を求めるものである。ここで「廃棄物ヒエラルキー」とは、廃棄物発生の回避・最小化・再利用・リサイクル・処分のことを意味している。前回の管理戦略は、2010年に策定されている。既存の低レベル放射性廃棄物処分施設としては、カンブリア州西部のドリッグ村近郊にある、原子力廃止措置機関(NDA)が所有する低レベル放射性廃棄物処分場(LLWR)がある。

英国政府は2014年4月から、前回2010年に策定された管理戦略のレビュープロセスを開始し、2015年1月に新しい管理戦略の協議文書を公表するとともに、2015年4月まで公開協議を行っていた。今回公表された管理戦略は、公開協議の結果を反映したものとされている。英国政府は今回の管理戦略のレビューの結果、低レベル放射性廃棄物の管理に関して、以下のような進捗があったとしている。

  • 従来は低レベル放射性廃棄物として低レベル放射性廃棄物処分場(LLWR)での処分が想定されていたが、廃棄物特性評価が行われることにより、極低レベル放射性廃棄物、あるいはクリアランス廃棄物として区分できることが判明し、LLWRでの処分予定量の低減が図られている。
  • 低レベル放射性廃棄物の管理・処分関連事業者による代替処理方法と代替処分ルートの開発と利用が行われている。
  • 廃棄物発生者による廃棄物ヒエラルキーが実施されるようになっている。
  • 低レベル放射性廃棄物の管理を改善するための機会の特定、及び良好事例・知見の共有が行われている。
  • 低レベル放射性廃棄物の管理プロセスにおいて、幅広いステークホルダーが関与していること。

上記のような成果が得られたことから、前回2010年で策定した管理戦略の3つのテーマを変更せず、今回の管理戦略でも継続するとしている。英国政府は、本管理戦略を成功させるには、廃棄物ヒエラルキーの適用において、以下の点が重要であると指摘している。

  • 廃棄物ヒエラルキーの適用は、低レベル放射性廃棄物の管理における良好事例であると認識する。
  • 英国政府の方針において、廃棄物ヒエラルキーをより高いレベルで実現すべきこと認識する。
  • 低レベル放射性廃棄物処分場の処分容量を貴重な資源と捉え、むやみに処分場への処分に頼らないようにする。
  • 低レベル放射性廃棄物処分場(LLWR)や他の処分サイトの操業期間を延長させるため、処分以外の廃棄物管理を行う。
  • 廃棄物発生者は実施可能な限り、より早い段階で廃棄物ヒエラルキーの適用を開始すべきである。

 

【出典】


  1. 2007年の「低レベル放射性廃棄物の長期管理に関する政策文書」では、処分オプションを検討する前に、発生の抑制、利用する放射性物質の量の最小化、リサイクル及び再利用を通じて、低レベル放射性廃棄物の発生量の低減を図ることを廃棄物発生者に求めている。 []

米国で2016年2月9日に、2017会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表されるとともに、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでDOEの予算要求資料が公表された。DOEは、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分に係る「使用済燃料処分等(UNFD)研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)、及び「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)として、合計150,638千ドル(約181億円、1ドル=120円で換算)を要求している。なお、ユッカマウンテン処分場計画の実施に係る予算の要求はないが、DOEのレガシーマネジメント(LM)局の予算要求資料において、許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)などのユッカマウンテン・サイトのための記録及び情報システムの維持について、LM局が責任を有していることが示されている。

DOEの2017会計年度の予算要求では、従来は使用済燃料処分等(UNFD)プログラムの下に置かれていた「統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)の設計に係る活動」が格上げされ、UNFD研究開発プログラムとIWMSプログラムが、並列のプログラムとして計上されている。なお、2016会計年度予算要求に織り込まれていた「DOE管理の高レベル放射性廃棄物及びする使用済燃料の代替処分オプションの検討に係る活動」に関する予算は、2016会計年度包括歳出法で認められておらず、2017会計年度予算要求では計上されていない。

2017会計年度の予算による実施事項のうち、「使用済燃料処分等(UNFD)研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)については、2016会計年度歳出予算額より11,838千ドル多い74,338千ドル(約89億2,100万円)の予算が要求されている。UNFD研究開発プログラムは、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の貯蔵・輸送・処分に係る研究開発、及び代替オプションの同定を支援するものとして、以下の事項を行うとしている。

  • 産業界との協力による乾式キャスクの設計・配備の実証試験
  • 貯蔵中の使用済燃料の性能ベースライン確定のため民間原子力発電所から取り出された燃料棒試験の継続
  • 通常の輸送条件下での燃料棒への外部荷重の評価
  • 超深孔処分のフィールド試験に係る活動の継続
  • 長期貯蔵・輸送関連の安全上重要な部品に係る材料劣化現象の理解構築
  • 粘土層での処分に関する性能評価ツールのプロセスレベルモデルの統合・実施手法の評価
  • フィールド試験による発熱性廃棄物の岩塩における処分時の科学的・工学的基盤の構築の継続
  • 閉鎖後の安全性の他、操業安全・効率性、輸送・貯蔵オプション、米国固有の状況等を考慮した、米国に適した処分要件の評価及び構築
  • 標準化キャニスタ関連作業の継続など
  • 米国鉄道協会基準に沿った原型キャスクの設計・試験・製造
  • 種々の廃棄物及び使用済燃料の代替処分オプションの可能性に係る研究開発活動の継続

なお、超深孔処分については、2016年1月5日に、特性調査のためのボーリング孔の掘削を含めたフィールド試験(模擬廃棄体を使用)をノースダコタ州で実施する予定が発表されている

また、2017会計年度の予算による実施事項のうち、「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)については、2016会計年度歳出予算額より53,800千ドル多い76,300千ドル(約91億5,600万円)の予算が要求されている。本予算は、2013年1月にエネルギー省(DOE)が策定した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(DOE戦略)を現状の権限内で支援するものであり、2017会計年度からは、①貯蔵・輸送、②同意に基づくサイト選定の2つの活動に体系化され、以下の事項を行うとしている。

輸送・貯蔵(36,900千ドル(44億2,800万円))

  • 種々の建屋に収納しない使用済燃料貯蔵方式の一般設計概念の開発
  • パイロット規模の中間貯蔵施設の一般設計及びトピカル安全解析レポート(TSAR)の完成とNRCへの提出
  • 中間貯蔵施設の配備のための小規模検査・修復能力の一般設計概念の開発
  • 大型乾式貯蔵キャスクの開封及び取り出し燃料の性能試験を実施するサポート研究所の一般設計概念の開発
  • 輸送・貯蔵キャニスタから処分キャニスタへの移載設備の一般設計概念の開発
  • 輸送車両及び輸送キャスクのメンテナンス施設の設計概念開発
  • 全体的な廃棄物管理システム、パイロット規模の中間貯蔵施設及び輸送システムの機能・運用要件の開発・維持
  • パイロット規模の中間貯蔵施設等の経年管理の必要性の決定・対応
  • 既存の輸送キャスク適合証明(CoC)のレビューによる確認事項の同定・対応
  • 既存の貯蔵キャスクの容器承認のレビューによる許可条件・パラメータの纏め
  • 中間貯蔵及び輸送許可に関連する規制解釈・含意の理解向上、規制要件や課題等の理解のため原子力規制委員会(NRC)と協議
  • 政策決定者に示す国家環境政策法(NEPA)戦略の構築・評価
  • 中間貯蔵の一般的な環境影響評価(EIS)のスコーピング文書ドラフトの準備
  • 中間貯蔵の環境影響評価(EIS)の契約者起用と準備開始
  • 輸送経路の自治体等への訓練・資金提供の方針構築のため、州等の地域グループとの検討を継続
  • 輸送経路の自治体等への訓練・資金提供の方策実施のため、机上演習の開発・実施
  • 輸送経路の自治体等への訓練・資金提供のための詳細計画・実施
  • 輸送経路設定手法の開発とステークホルダーとの協議
  • 廃止措置された原子炉サイトを優先した使用済燃料輸送計画の評価・開発
  • 柔軟な対応力を備えた輸送・貯蔵・処分の統合的なアプローチを評価するシステム解析の実施
  • 貯蔵・輸送・処分の多目的コンポーネントシステムなど、廃棄物管理システムにおける標準化・統合の可能性の同定・評価
  • 使用済燃料輸送・貯蔵・処分の解析リソースデータシステムのデータベースの拡充

同意に基づくサイト選定(39,400千ドル(47億2,800万円))

  • 中間貯蔵施設のサイト選定における公衆・ステークホルダーとの協議・協力活動(パブリックミーティングの開催、交付金のレビュー・提供など)
  • サイト特性調査に必要なデータの収集・検証とサイト特性調査の解析の実施
  • サイト選定プロセスに定義された形で州や地方政府等のステークホルダーとの同意に係る交渉実施
  • 自治体等が中間貯蔵施設の立地を希望する条件等を含む、法的拘束力ある同意書の案を策定
  • 中間貯蔵、軍事起源廃棄物の処分、及び使用済燃料等の輸送に係る広報関連の計画・戦略文書の開発
  • コミュニケーションツールやメッセージについてのフォーカスグループ調査・テストを実施
  • 放射性廃棄物の貯蔵・処分施設のサイト選定、特性調査、操業に係る公衆の意識調査・分析を継続
  • 同意に基づくサイト選定に関連した州等の地域グループへの交付金・資金の提供の実施
  • 中間貯蔵施設と軍事起源廃棄物処分場のための協議・協力計画・戦略の構築
  • 軍事起源廃棄物処分場と中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定プロセスの案を、過去の教訓を踏まえて策定
  • 軍事起源廃棄物処分場の初期サイトスクリーニングプロセスの準備
  • 軍事起源廃棄物処分場の候補サイトの予備的スクリーニングを実施(予備的フィールド試験のサイト選定、サイト選定を支援する予備的安全評価など)

ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査を実施している原子力規制委員会(NRC)については、ユッカマウンテン処分場の審査に関する予算要求は行われていない。一方、テキサス州及びニューメキシコ州で許認可申請書提出の意向がNRCに通知されている集中中間貯蔵施設については、許認可申請書の審査のための予算が要求されており、テキサス州のウェーストコントロールスペシャリスト(WCS)社は歓迎の意向を表明している。

2014年2月に地下施設で火災事故及び放射線事象が発生した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、復旧に向けた活動が行われているが 、2016年末には操業を再開する予定として、271,000千ドル(約325億円)の予算が要求されている。

【出典】

 

【2016年4月18日追記】

米国の連邦議会上院の歳出委員会は、2016年4月14日に、2017会計年度2 のエネルギー・水資源開発歳出法案(以下、「歳出法案」という)を承認し、上院本会議に提出した。本歳出法案では、使用済燃料の中間貯蔵について、前年度まで上院で検討されていた2016会計年度の歳出法案と同様に、パイロット規模の中間貯蔵施設の開発等をエネルギー長官に命じる規定が置かれている。なお、本歳出法案ではユッカマウンテン関連の予算及び記述は織り込まれていない。

今回上院本会議に提出された歳出法案に織り込まれた中間貯蔵関連の条項では、以下のような内容が規定されている。

集中中間貯蔵のパイロットプログラム(歳出法案第306条)

  • 使用済燃料等を中間貯蔵するため、政府または民間所有の1つ、または複数の集中貯蔵施設の許認可取得、建設、操業のためのパイロットプログラムを1つ、または複数の民間パートナーと実施することをエネルギー長官に許可
  • エネルギー長官は、歳出法案の施行後120日以内に、集中貯蔵施設の建設許可取得や輸送等の協力協定についてのプロポーザルを公募
  • 集中貯蔵施設の立地決定前に、立地サイト周辺等での公聴会の開催、地元州知事、地方政府等との書面による同意協定の締結をエネルギー長官に義務付け
  • エネルギー長官は、上記プロポーザル公募から120日以内に、推定費用、スケジュール等を含むパイロットプログラム計画を連邦議会に提出
  • 本活動に係る資金の放射性廃棄物基金からの支出を許可

なお、上院歳出委員会のプレスリリースでは、原子力規制委員会(NRC)の許可を受けた民間の貯蔵施設においてエネルギー省(DOE)が使用済燃料の貯蔵を行うことを認める条項も含まれているとしているが、前年度に上院で検討されていた歳出法案で規定されていた「民間の中間貯蔵施設での貯蔵」(2016会計年度歳出法案第311条)と同様の条項は、本歳出法案には含まれていない。

上院本会議に提出された歳出法案と同時に公開された上院歳出委員会報告書では、「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)の活動について、全米に分散した使用済燃料の集中中間貯蔵の計画を推進するための予算として61,040千ドル(約73億2,480万円、1ドル=120円で換算)が計上されている。また、上院歳出委員会報告書では、同意に基づくサイト選定に係るDOEの取組を支持するとした上で、DOEはサイト選定についてより積極的な役割を担って、超深孔処分の実証プロジェクトにおけるノースダコタ州での教訓を今後の同意に基づくサイト選定プロセスに活かすよう命じている。

また、上院歳出委員会報告書で「使用済燃料処分等プログラム」(UNFD)の研究開発活動については、長期貯蔵や輸送中、また、様々な地層における使用済燃料の挙動等に係る研究開発活動のための予算として14,250千ドル(約17億1,000万円)が計上されている。なお、ユッカマウンテン処分場関連の歳出予算はゼロとなっており、原子力規制委員会(NRC)でのユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算も割り当てられていない。

さらに、上院歳出委員会報告書において、2014年2月に発生した地下施設での火災事故と放射線事象 の復旧に向けた活動が行われている廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP) については、約274,540千ドル(約329億4,500万円)の予算が割り当てられている。また、WIPPが安全性確保を第一として予定通り2016年末までに操業を再開することに注力することなどをエネルギー長官に求めている。

【出典】

 

【2016年4月22日追記】

米国の連邦議会下院の歳出委員会は、2016年4月19日に、2017会計年度3 のエネルギー・水資源開発歳出法案の草案(以下、「歳出法案草案」という)を承認した4 。本歳出法案草案では、2016会計年度の下院の歳出法案と同様に、ユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として150,000千ドル(180億円)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として20,000千ドル(24億円)が割り当てられている。また、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じる条項が規定されている。

歳出法案草案に付随する下院歳出委員会報告書の草案では、「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として61,128千ドル(約73億3,540万円)が記載されているが、エネルギー省(DOE)の予算要求で示された「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)についての予算は記載されていない。

また、下院歳出委員会報告書の草案において、2014年2月に地下施設での火災事故と放射線事象が発生して復旧に向けた調査・対応が行われている廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、292,720千ドル(351億2,640万円)の予算が計上されている他、ニューメキシコ州との和解5 に基づく同州への経済支援として、26,800千ドル(32億1,600万円)が別枠で計上されている6

【出典】

 

【2016年5月16日追記】

米国の連邦議会上院は、2016年5月12日の本会議において、2017会計年度7 のエネルギー・水資源開発歳出法案(以下、「歳出法案」という)を90対8で可決した。本歳出法案については、種々の修正が上院本会議で行われているが、高レベル放射性廃棄物処分に関係する部分の修正は行われていない。

上院歳出委員会の委員長及び副委員長のプレスリリースでは、本歳出法案は2017会計年度の歳出法案の中で最初に可決されたものであること、紛糾する政治的条項を排除して歳出法案策定の本来の秩序を回復するものであることなどを歓迎するコメントが示されている。連邦議会上院本会議でエネルギー・水資源開発歳出法案が単独で可決されたのは、2010会計年度の歳出法案以来7年ぶりとなる。

なお、本歳出法案(H.R.2028)は、2016年4月14日に上院歳出委員会で策定され、本会議に提出されていた法案(S.2804)の内容について、2015年5月1日に下院本会議で可決されたものの上院で未審議のままとなっていた2016会計年度の歳出法案(H.R.2028)の全文を置き換える修正案との形態を取っている。

【出典】

 

【2016年9月30日追記】

米国の連邦議会上下院は、2016年9月28日に、2017会計年度(2016年10月1日~2017年9月30日)のうち、2016年10月1日から2016年12月9日を対象とした継続歳出法案を可決し、2016年9月29日に大統領の署名を得て継続歳出法として成立した。これは、エネルギー・水資源分野を含めて、2016年12月9日までの期間について、2016会計年度の予算を規定した包括歳出予算法での予算と同じレベルでの歳出を認めるものである。継続歳出法による予算は、原則として前年度予算と同率で比例配分され、特段の規定が無い限り、前年度で未計上の事業・プログラム等の実施は認められない。

今回制定された2017会計年度の継続歳出法では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物貯蔵・処分に関する特別な規定は無い。

【出典】

 

【2016年12月14日追記】

米国の連邦議会は、2016年12月9日に、2017会計年度(2016年10月1日~2017年9月30日)のうち、2017年4月28日までを対象とした継続歳出法案を可決し、2016年12月10日に大統領の署名を得て再度の継続歳出法として成立させた。

今回成立した継続歳出法での対象範囲以降の2017年4月29日から2017年9月30日までについては、2017年1月に誕生する新政権・連邦議会の下で新たな2017会計年度歳出法が検討されることとなっている。

なお、今回制定された2017会計年度の再度の継続歳出法では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物貯蔵・処分に関する特別な規定は無い。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2017会計年度の予算は2016年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2017会計年度の予算は2016年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  3. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2017会計年度の予算は2016年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  4. 歳出委員会で承認された歳出法案は、通常は本会議での審議のため直ちに上程されるが、下院では予算決議(連邦政府全体の歳出入基準)が可決されていない場合には5月15日より前に歳出法案の下院本会議での審議はできないものとされている。したがって、現状、下院歳出委員会のウェブサイトにおいても法案番号が付された歳出法案は掲載されていない。 []
  5. WIPP及びロスアラモス国立研究所(LANL)の同州規則違反に対する罰金の支払いに代えて、DOEがインフラ整備等を実施・支援することが合意されていたもの。 []
  6. 上院歳出委員会報告書で同金額は、WIPP向け予算の内数として計上されていた []
  7. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2017会計年度の予算は2016年10月1日からの1年間に対するものである。 []
図 フォルスマルクに建設予定の使用済燃料処分場のイメージ(SKB社提供)

フォルスマルクに建設予定の使用済燃料処分場のイメージ(SKB社提供)

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が提出した使用済燃料最終処分場の立地・建設許可申請書等について、審査を行っている放射線安全機関(SSM)及び土地・環境裁判所(MMD)は、2016年1月29日付で、SKB社が計画している使用済燃料の処分事業に関する関係機関や公衆からの意見募集を開始したことを公表した。審査を実施しているSSM及び土地・環境裁判所は、申請書の受理以降、SKB社に対して必要な情報の補足などを要求し、SKB社はこれに対応して必要な情報の補足等を行ってきた。今回の意見募集は、SSM及び土地・環境裁判所が、SKB社からの補足情報が出揃い、申請書の審査・審理を継続する上で十分であるとの判断により開始されることとなったものである。

スウェーデンでは、使用済燃料の最終処分の実現に向けて、SKB社が、KBS-3概念1 と呼ばれる処分概念による使用済燃料の最終処分の実現に向けて、2006年11月にオスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書を、2011年3月にフォルスマルクにおける使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書をそれぞれ提出している (下記の囲みを参照) 。現在、スウェーデンにおける使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設に関する許可申請では、環境法典と原子力活動法の2つの法律に基づく3つの申請書の審査が並行して進められている。

※:使用済燃料処分場の実現に向けて審査中の申請書

①オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書
(2006年11月にSSMに提出済、2012年3月16日更新)…原子力活動法に基づく申請
②フォルスマルクにおける使用済燃料の処分場の立地・建設許可申請書
(2011年3月16日にSSMに提出)…原子力活動法に基づく申請
③使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書
(2011年3月16日に土地・環境裁判所に提出)…環境法典に基づく申請

今後、土地・環境裁判所による意見募集は2016年3月30日を締切として、SSMによる意見募集は2016年4月30日を締切として、書面による意見の受付が行われる。この際、SSMも土地・環境裁判所に意見書を提出することになる。その後、土地・環境裁判所での審理手続きとして、2016年10月から12月の間で口頭弁論が開催される予定となっている。土地・環境裁判所での審理手続きの後、SSM及び土地・環境裁判所はそれぞれ、SKB社による申請を認めるか否かに関する意見書を政府に提出することとなっており、SSMは意見書の提出は2017年内になるとの見通しを示している。SKB社が計画している使用済燃料の処分事業の実施是非は、SSM及び土地・環境裁判所の意見書を踏まえて政府が判断することになる。

なお、SSMは原子力活動法に基づく使用済燃料のキャニスタ封入施設及び処分場に関する申請書に関する安全審査を進めており、SSMは2015年6月に第1回、同年11月には第2回の最終処分場の立地・建設許可申請書 に対する安全審査の中間結果を公表している。SSMは、使用済燃料処分場建設予定地であるフォルスマルクは、放射線安全の観点から最も適切なサイトであると評価しており、SKB社の使用済燃料処分の方法についても、慎重ながらも肯定的な見方をしていることを明らかにしている。

【出典】


  1. スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料の集合体を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に縦置きでキャニスタを収納して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというもの。KBS-3という名称は、本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様な概念を採用している。 []

フィンランドの安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、「原子力廃棄物の最終処分の安全性」を含め、原子力施設の安全性等に関する5件の安全規則を策定し、2016年1月1日より施行した。

フィンランドでは、2015年5月22日に原子力法が改正1 され、同法で規定された27の技術的項目ごとにSTUKが規則を策定し、従来、政令として定められていた一般安全規則を置き換えることとなっていた。今回、27の技術的項目を含むものとして、以下の5件の安全規則が策定された2

  1. 原子力発電所の安全性の確保 STUK Y/1/2016
  2. 原子力発電所の緊急時の救護活動 STUK Y/2/2016
  3. 原子力利用時の核物質防護 STUK Y/3/2016
  4. 原子力廃棄物の最終処分の安全性 STUK Y/4/2016
  5. ウランまたはトリウム採掘や鉱石処理作業の安全性 STUK Y/5/2016

STUKの2016年1月7日付プレスリリースによれば、今回策定された原子力廃棄物の最終処分の安全性に関する規則では、使用済燃料処分場の建設を計画しているポシヴァ社が2012年に提出していた処分場建設許可申請書に対する安全審査や、その他の原子力廃棄物処分場の規制経験などを基に、従来の規則では不十分であった部分の補足や重複部分の単一化などを行ったとしている。また、これまで原子力発電所に対する重大事故に関する詳細な規則が存在している一方で、使用済燃料処分場における重大事故に関する詳細な規則が存在しておらず、今回策定された規則では重大事故に関する規則を導入したとしている。

【出典】


  1. 2015年の原子力法改正ではSTUKの規制権限と独立性が一層強化された。これは、原子力及び放射線防護の分野における規制の枠組みのレビューを目的として、2012年に国際原子力機関(IAEA)によって実施されたピアレビュー(総合的規制評価サービス、IRRS(Integrated Regulatory Review Service))における、STUKの独立性を強化すべきとの勧告等に対応したものである。 []
  2. 今回STUKが策定したのは、「原子力廃棄物の最終処分の安全性」以外に、原子力発電所の安全性の確保、原子力発電所の緊急時の救護活動、原子力利用時の物理的防護、及びウランまたはトリウム採掘や鉱石処理作業の安全性に関する、合計5件の規則である。原子力発電所の安全性、緊急時の救護活動、核物質防護といった点に関する項目については、従来の政令から内容が大きく変化していない一方で、ウランやトリウムの採掘に関する規則については以前には存在していなかった全く新しい規則となっている。 []

フランスのエコロジー・持続可能開発・エネルギー省は2016年1月11日、地層処分プロジェクトのコスト評価の進捗状況として、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2014年10月に提出したコスト評価に関する報告書、同報告書に対する原子力安全機関(ASN)の見解及び原子力事業者の見解を公表した。

現在、フランスでは、地層処分事業に係る基金制度はあるものの実際の運用はされておらず、原子力事業者は地層処分場の建設・操業等のコストを賄うために引当金を内部留保している。引当金は、2005年に政府、ANDRA、フランス電力株式会社(EDF社)、AREVA社及び原子力・代替エネルギー庁(CEA)が行った評価結果(135~165億ユーロ(約1兆8,100億円~約2兆2,100億円))に基づいて計上している。

地層処分プロジェクトが具体化する中で、ANDRAは新たにコスト評価を行い、2014年10月に、エコロジー・持続可能開発・エネルギー省に報告書を提出していた。今回、同省は2006年放射性廃棄物等管理計画法の規定1 に基づいて、ANDRAによるコスト評価報告書とともに、ASN及び原子力事業者の見解を公表したものである。

今回公表された2014年10月のANDRAのコスト評価報告書では、コスト総額は344億ユーロ(約4兆6,100億円)2 との結果が示されている。

■ANDRAによるプロジェクトコストの評価額(金額は2012年価格)
建設費 198億ユーロ
操業費(操業期間は100年以上) 88億ユーロ
41億ユーロ
その他支出 17億ユーロ
合計 344億ユーロ

 

ANDRAのコスト評価報告書について、ASNは2015年2月10日付で以下のような見解を示していた。

  • コスト評価はデータ等に裏付けされた根拠の確かなものである。特に、地層処分場の安全性についてより適切に考慮されていることから、2005年時点のコスト評価から大きな進展があったと評価できる。
  • 原子力事業者の引当金計上のため、コストは早急に確定されなければならない。しかし、コスト評価におけるANDRAの仮定には、将来的な政策変更によって処分対象となる廃棄物インベントリに、商業用原子炉や研究炉の使用済燃料が含まれる可能性が考慮されていない等の楽観的すぎる点がある。
  • 地層処分プロジェクトについて現時点で不確実性があることはやむをえない。このためコスト評価は少なくとも、設置許可や操業認可の発給時やパイロット操業フェーズ終了時など、プロジェクトの重要なマイルストーンにおいて、定期的にアップデートされるべきである。
  • 情報の透明性を確保するため、ANDRAのコスト評価報告書や原子力事業者の見解は公開されるべきである。

一方、原子力事業者(EDF社、AREVA社及びCEA)が共同で示した2015年4月16日付の見解では、地層処分場の事業期間中の技術的、経済的な最適化等により、コスト総額は200億ユーロ(2兆6,800億円)3 になるとしていた。

また、ASNの見解に対し、ANDRA、EDF社、AREVA社は2016年1月11日の共同プレスリリースにおいて、フランスの会計検査院(CDC)の試算によれば、発電コストに占める地層処分プロジェクトに係るコストの割合は、1~2%とされており、ANDRAと原子力事業者によるコスト評価結果の違いは電気料金へ大きな影響を与えないとしている。

今後、エネルギー担当大臣はこれらの評価結果を踏まえた処分コストの見積額を決定することとなる。

なお、会計検査院(CDC)は2014年5月に公表した原子力発電事業のコストに関する報告書(更新版)において、放射性廃棄物管理事業に備えるため原子力事業者が積み立てる引当金の算定に採用する割引率(将来費用の現在価値への換算係数)について、2007年のアレテ(省令)に規定される割引率の上限の設定方法を見直すべきであると提言している4

 

【出典】

【2016年1月18日追記】

フランスのエコロジー・持続可能開発・エネルギー省は2016年1月15日、「高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の長期管理方策の実施に係るコストに関する2016年1月15日付のアレテ(省令)」を制定し、同アレテは2016年1月17日付官報に公示された。

本アレテの第1条では、2016年以降、以下に列挙するような140年間にわたる地層処分プロジェクト全体をカバーするコストの目標額を250億ユーロ(約3兆3,500億円)とすることが規定されている。

  • プロジェクトの第一段階の構造物の設計・建設(10年)
  • 地層処分場のパイロット操業フェーズ(10年)
  • 段階的な地層処分場の操業・開発フェーズ(110年)
  • 地層処分場の閉鎖フェーズ(10年)

また、本アレテの第3条では、プロジェクトの進展状況や、原子力安全機関(ASN)の見解を受けて、必要に応じてコストの目標額を見直すことが規定されている。

なお、本アレテにおいてコストの目標額は、2011年12月31日時点の経済条件に基づくものとしており、目標額の内訳は示されていない。

今回のアレテの制定を受けて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2016年1月15日付でプレスリリースにおいて、地層処分場の開発プロジェクトは、操業期間を通じて段階的に進める計画であり、技術の進展に伴うイノベーションや、ANDRA及び原子力事業者による最適化を開発プロジェクトに反映することが可能であるとしている。ANDRAは最適化の可能性について、以下の方法を例示している。

  • 高レベル放射性廃棄物の処分坑道:安全要件を遵守しつつ、処分坑道の長さを100メートル以上に延長することにより、コスト削減が実現できる可能性がある。
  • 掘削技術及び処分坑道の支保技術:技術進展によって、掘削スピードが増大するだけでなく、処分坑道のより最適な支保が可能となる。
  • 長寿命中レベル放射性廃棄物の処分坑道:直径を大きくすることによって、処分に必要な空間を確保しつつ、掘削量を低減できる可能性がある。

ANDRAはこれらの最適化について、2018年に予定されている地層処分場の設置許可申請時までには明確化できるとしており、一部の最適化については、設置許可申請段階において安全性の立証を実施することも可能であるとの見通しを示している。その他の最適化については、段階的な地層処分場の開発プロジェクト期間を通じて、長期的な研究が必要になるとしている。

【出典】


  1. 2006年放射性廃棄物等管理計画法は、ANDRAが地層処分のコストを評価してエネルギー担当大臣に提案すること、エネルギー担当大臣は原子力事業者とASNの意見を徴したうえで、これを公表することを規定している。また、併せて、地層処分場の建設段階以降に、建設・操業等に係るコストを賄うための基金をANDRA内に設置することを規定しており、原子力事業者に対して、同基金に将来的に拠出するため、コスト評価とその資金の確保(引当金の積立てと引当金を保証する排他的な資産としての割当)を要求している。さらに、原子力事業者によるコスト評価に対する資金確保及び管理状況の適切性等を評価する組織として、資金評価国家委員会(CNEF)の設置を規定している []
  2. プロジェクトに関するリスク等が実現した場合のコストへの影響額は含まない []
  3. プロジェクトに関するリスク等が実現した場合のコストへの影響額は含まない []
  4. 「原子力債務の資金確保に関する2007年3月21日のアレテ(省令)」の第3条では、割引率の上限値について「当期の決算日において確認された固定金利タイプ30年満期国債金利(TEC 30)の直近48ヶ月の算術平均に1ポイントを加算したものに等しい」と規定されているが、経済状況の変化により国債金利が低下傾向にある。原子力事業者は同規定に基づいて、2012年まで割引率を5%に設定してきたが、国債金利の低下に伴い、割引率は5%を下回っている。 []

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年1月5日に、超深孔処分のフィールド試験を実施することを公表した。フィールド試験は、ノースダコタ州のラグビーにおいて、16,000フィート(約4,900メートル)以深の結晶質岩に達する大深度ボーリング孔の掘削を伴うものであるが、今回、フィールド試験を行う契約者としてバテル記念研究所(Battelle Memorial Institute)、ノースダコタ大学、油田検層事業等を行うシュルンベルジェ社などからなるチームを選定したとしている。大深度ボーリング孔の適用としては、一部の高レベル放射性廃棄物の超深孔処分が考えられているが、地熱開発も候補とされている。大深度ボーリング孔のフィールド試験は、DOEの研究開発活動である使用済燃料処分等(UNFD)プログラムの一部として行われるものであり、2016会計年度のDOEの予算要求において、「大口径の超深孔処分の可能性を実証するフィールド試験の開始」が挙げられていた
本フィールド試験は、約20エーカー(約81,000m2)のノースダコタ州所有地において5年間のプロジェクトとして実施され、費用は3,500万ドル(1ドル=120円として約42億円)と推定されており、超深孔処分の実現可能性を見極めることが目標とされている。フィールド試験で実施される調査では、大深度における母岩の水文地質学的、地球化学的、地質工学的な特性の検証などが行われ、掘削時のデータ収集の他、掘削完了後には科学的試験が実施される。今回のフィールド試験では、放射性物質は使用されない。DOEは、米国にはノースダコタ州のラグビーと同様の、地質学的に安定した地層が広い範囲で存在する地域が多数確認されているとしている。

結晶質岩の基盤面までの深さ

米国における結晶質岩の基盤面までの深さ

2015年10月の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)1 が開催した放射性廃棄物超深孔処分国際技術ワークショップで公表されたDOEの資料においては、超深孔処分のフィールド試験について、2015年7月9日に、サイトの確保を含む契約者の公募が行われ、2015年9月23日に提案が締め切られていたことが示されている。また、2016年9月に特性調査用のボーリング孔の掘削を開始して2017年2月に特性調査を完了し、2017年7月からフィールド試験としてボーリング孔の掘削を開始し、2019年には模擬廃棄体定置の実証試験を完了した上で、解析・評価報告書を発行する予定が示されている。
超深孔処分については、「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の2012年1月の最終報告書において、「特に再利用の可能性が全く無い廃棄物の一部の代替処分オプション」として、大深度ボーリング孔の活用可能性を研究することが勧告されていた。DOEは、2015年3月に、軍事起源の高レベル放射性廃棄物を民間の使用済燃料とは分離して処分する方針を示しており、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の一部は廃棄体も小さく、超深孔処分が有効との見解を示している。
なお、放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2015年6月に公表した報告書の中で、超深孔処分に係る課題として、ボーリング孔のシーリング技術の研究、強固な人工バリアの必要性の評価などの実施を勧告している

超深孔処分の概念図

超深孔処分の概念図

【出典】

 

【2016年2月3日追記】

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2016年2月1日に、エネルギー省(DOE)の超深孔処分の研究開発プログラムについて、評価報告書「DOEの超深孔処分研究開発プログラムについての技術的評価」を公表し、9項目からなる勧告などを行った。NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性を評価することを職務として設置された独立の評価機関であり、本評価報告書は連邦議会及びエネルギー長官に提出された。

本評価報告書では、フィールド試験を含め、一部の高レベル放射性廃棄物の超深孔処分の実現可能性を評価するためにDOEが行っている活動について、NWTRBの気付き事項及び勧告が示されている。NWTRBは、2015年10月20日及び21日に、超深孔処分の国際技術ワークショップを開催しており、本ワークショップでは、DOEから超深孔処分概念が示され、フィールド試験の詳細などが議論されていた。

本評価報告書では、国際技術ワークショップでの議論も踏まえ、①超深孔処分の実現可能性に影響を与える技術的・科学的問題、②DOEのフィールド試験により超深孔処分の実現可能性の評価のために必要な技術的データや科学的知見が得られるかの2点を対象としている。NWTRBのプレスリリースでは、気付き事項及び勧告として以下の事項が示されている。

気付き事項:

  • 仮に、一部の高レベル放射性廃棄物の超深孔処分が実現可能となった場合でも、地層処分場の必要性は無くならない。
  • 規制枠組みの構築、受容可能なサイトの同定、及び5kmの大深度ボーリング孔の特性調査は、困難で時間が掛かる活動であり、超深孔処分施設の完成に必要となる時間は地層処分場と似たものになる可能性がある。
  • フィールド試験では、超深孔処分概念の実現可能性評価及びサイト選定に限定的な情報しか得られない。
  • 高レベル放射性廃棄物の大深度での取扱い及び定置に係る操業上の予測・限界は、模擬の放射性廃棄物を対象としたものとは極めて異なるが、超深孔処分施設の設計や超深孔処分概念の実現可能性評価には、こうした予測・限界の評価及び理解が最も重要である。

勧告:

  • 独立した専門家のレビュー
    DOEは掘削プログラムの設計・実施について、掘削や孔内作業(検層や孔井仕上げなど)、高レベル放射性廃棄物の取扱い機器の設計・運転に豊富な経験を持つ独立の専門家からレビューを受けるよう勧告する。
  • 包括的なリスク解析
    超深孔処分の実現可能性評価の一環として、掘削・定置プログラムの側面について、より包括的なリスク解析を完了するよう勧告する。
  • 地下地質の不均質性とデータ・解析結果の転用可能性
    DOEは、地下地質の不均質性の可能性及び大深度での複雑な原位置条件に関する技術的・科学的問題に対応することにより、超深孔処分オプションの実現可能性評価を強化することを勧告する。
  • 掘削前の物理探査による地下の特性調査
    フィールド試験には、掘削前に地下の構造及び物理的状況を詳細に描写する、地表からの物理探査を含めるよう勧告する。
  • ロバストな廃棄体、廃棄物容器、及び封入
    DOEは、超深孔処分概念の実現可能性評価及び関連したセーフティケースの構築の一環として、よりロバストな廃棄体及び廃棄物パッケージの安全上の利点を明示的に解析することを勧告する。
  • 操業上の安全戦略の構築
    DOEは、通常のボーリング孔作業と高レベル放射性廃棄物の遠隔取扱いを統合したフィールド試験の操業上の安全戦略を構築することを勧告する。
  • 回収可能性の要件の定義について規制機関との連携
    高レベル放射性廃棄物の超深孔処分の実現可能性評価の一環として、超深孔処分における回収可能性の要件の定義について、規制機関と協力・連携することに高い優先度を置くことを勧告する。
  • フィールド試験からサイト選定への透明性ある進め方
    フィールド試験は、サイト選定アプローチに関する知見を得ることに活用すべきものと勧告する。
  • フィールド試験の担当の主任研究員
    DOEは、工学的活動(特性調査ボーリング孔・フィールド試験ボーリング孔の掘削、模擬廃棄物の定置・回収など)やサイト特性調査活動の統合に責任を持つフィールド試験プログラムの主任研究員を置くことを勧告する。

【出典】

 

【2016年4月7日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は2016年1月に、超深孔処分のフィールド試験プロジェクトの予定地としてノースダコタ州のピアス郡を選定していたが、ピアス郡は、2016年3月1日に、フィールド試験の受入れを拒否することを決定した。今回、本決定を示したノースダコタ州ピアス郡の郡政委員会の議事録が公開された。

ピアス郡では、フィールド試験プロジェクトの実施チームの一員であるノースダコタ大学エネルギー環境研究センター(EERC)らによる住民向け説明会が2016年2月15日に開催され、本プロジェクトは純粋に科学技術的な調査であることなどが説明されていた。公開された議事録によると、2016年3月1日に開催されたピアス郡の郡政委員会では、2,000を超える反対署名が提出されたこと、将来世代を守ることなどの理由から、ピアス郡における超深孔処分のフィールド試験プロジェクトの検討を中止するよう求める書簡をノースダコタ大学EERCに送付することが満場一致で決定された。

なお、エネルギー長官は、ピアス郡における動きを受けて代替のサイトを検討する取組を始めていることについて、2016年3月2日に連邦議会下院エネルギー・商務委員会で開催されたヒアリングで明らかにしている。

【出典】

 

【2016年5月12日追記】

米国のエネルギー省(DOE)が実施を計画している超深孔処分のフィールド試験プロジェクトについてバテル記念研究所は、現在、サウスダコタ州のスピンク郡でフィールド試験の実施を検討していることを公表した。これまでフィールド試験の予定地として選定されていたノースダコタ州のピアス郡は、フィールド試験の受入れ拒否を決定していた。今回、バテル記念研究所が率いる実施チームには、サウスダコタ鉱山技術大学(SDSMT)とサウスダコタ州の技術コンサルティング会社であるRESPEC社等が加わっている。

バテル記念研究所はスピンク郡について、地震・火山活動や石油・ガス掘削などによる擾乱を受けておらず、フィールド試験には理想的な母岩を有するとしている。一方で、スピンク郡を潜在的な最終処分地としては見なしていないとして、ダコタ帯水層と呼ばれる地下水が接近していること、放射性廃棄物処分には州知事の同意を必要とする州法が存在することなどを理由として挙げた上で、放射性廃棄物は持ち込まないこと、プロジェクト終了時にはボーリング孔は埋め戻すことなどを示している。

バテル記念研究所、サウスダコタ鉱山技術大学及びDOEは、既にスピンク郡で2度のパブリックミーティングを開催しており、今後もさらに地域からの声を聞き続ける意向を示している。

バテル記念研究所のウェブサイトでは、超深孔処分フィールド試験についてのページ、及びスピンク郡のフィールド試験の可能性を示すページが設けられており、プロジェクトの概要やよくある質問(FAQ)等の資料やポスター類に加え、州知事がサウスダコタ州におけるフィールド試験の実施の支持を伝えるエネルギー長官宛の書簡及びその返書が掲載されている。

【出典】

 

【2016年6月15日追記】

米国のエネルギー省(DOE)が実施を計画している超深孔処分のフィールド試験プロジェクトについては、新たな候補地としてサウスダコタ州のスピンク郡が挙がっていたが、2016年6月9日のスピンク郡の郡政委員会において、フィールド試験の実施は困難である旨を伝える書簡をバテル記念研究所に送付することを決定した。

今回公表されたサウスダコタ州スピンク郡の郡政委員会の議事録によれば、バテル記念研究所は公衆の支持を得ておらず、仮に申請が提出された場合にも、許可のために十分な賛成票を獲得する見込みはない旨の書簡を送付するとしている。また、本書簡は郡政委員会の総意とされている。さらに、本書簡を新聞で公表することを求める要求も、郡政委員会によって承認されている。

一方、超深孔処分のフィールド試験を計画しているDOEは、2016年2月1日に公表された放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)の超深孔処分の研究開発プログラムに関する評価報告書において、フィールド試験を含むDOEの活動についての勧告がされていたが、NWTRBの勧告に対するDOEの2016年6月9日付けの書簡が公表された。この中でDOEは、NWTRBの勧告の多くはフィールド試験の計画に既に含まれていることなどを示している。

【出典】

 

【2016年6月28日追記】

米国のエネルギー省(DOE)が実施を計画している超深孔処分のフィールド試験プロジェクトについて、候補地とされていたサウスダコタ州のスピンク郡は、2016年6月10日付けの書簡により、スピンク郡でのフィールド試験の実施は困難である旨をバテル記念研究所に伝えており、この程、スピンク郡の書簡に対するバテル記念研究所及びDOEからの返書と合わせてスピンク郡のホームページで公表した。

2016年6月14日付けのバテル記念研究所及びDOEからの返書は、両者連名により出されたものであり、放射性廃棄物を取り扱わない科学的なプロジェクトである超深孔処分のフィールド試験に対して、スピンク郡からの支持が得られなかったことは残念であるとしつつも、スピンク郡の決定を尊重するとしている。

なお、バテル記念研究所及びDOEからの返書は、2016年6月21日に開催されたスピンク郡の郡政委員会で報告されており、出席委員によりスピンク郡ウェブサイトでの公表が要求されていたものである。

【出典】

 

【2016年12月22日追記】

米国のエネルギー省(DOE)原子力局(NE)は、2016年12月19日に、超深孔処分のフィールド試験プロジェクトについての新たな公募を行った結果、4社を選定したことを公表した。超深孔処分のフィールド試験については、2016年1月にバテル記念研究所が主導するチームが選定されていたが、当初の予定地とされていたノースダコタ州のピアス郡、次の予定地とされたサウスダコタ州スピンク郡の何れにおいても、地元の支持が得られずにフィールド試験は中止となっていた。DOEは、当初の公募プロジェクトを断念し、2016年8月に、公募条件を見直した上で改めて公募(以下「再公募」という)を行っていた。

2016年8月5日に公示された再公募プロジェクトでは、フィールド試験の候補サイトが将来の処分地とはならないことを明確にするとともに、地域コミュニティと連携することを重視した段階的なアプローチが取られている。フィールド試験の候補サイトは、最終的に1カ所に絞られるが、初期段階では複数の応募者が選定され、各々の候補サイトの地域での理解促進活動を行って、地方政府及び地域関係者の支持を得ることがプロジェクトの一部として位置付けられている。

今回DOEが選定した応募者及び候補サイトの立地州は、以下の通りとなっている。

  • AECOM社(テキサス州)
  • ENERCON社(ニューメキシコ州)
  • TerranearPMC社(ニューメキシコ州)
  • RE/SPEC社(サウスダコタ州)

DOEの再公募資料においては、プロジェクトの開始予定時期を2017年1月16日とし、プロジェクト期間を約5年としている。

【出典】


  1. 1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて行政府内に設置された機関であり、高レベル放射性廃棄物等の処分の技術的・科学的分野の独立した評価を行い、少なくとも年2回は連邦議会、エネルギー長官に勧告等を行う。 []