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フランスの原子力安全機関(ASN)は2016年6月16日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物の地層処分における「可逆性」の技術的解釈に関する2016年5月31日付の見解書を公表した。フランスでは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法により、高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物について、「可逆性のある地層処分」を行う方針を定めている。2016年3月30日には、地層処分場の設置に関する法案1 が提出されており、国会で審議が行われている。ASNは今回の見解書の公表にあたり、審議中の法案には「可逆性」に関する規定が盛り込まれており、この規定が今後、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が地層処分場の設置許可申請を行う際の条件になるとしている。

ASNは、今回の見解書において、可逆性の原則は以下の2つの必要性によって説明されるとしている。

①適応性: 地層処分場は、以下の条件を考慮することが可能でなければならない。

  • 経験のフィードバックと科学の進歩(例えば、地層処分場の開発において採用される産業プロセスの変更につながるもの)。
  • エネルギー政策や事業方針の変更(例えば、使用済燃料の直接処分、または地層処分場の閉鎖が先送りされるなど)。

②回収可能性: 放射性廃棄物は以下の条件で、地層処分場から回収できなければならない。

  • 法律によって定められる期間にわたって回収可能であること。
  • 地層処分場の構造物や廃棄物パッケージが劣化した場合であっても、原子力安全と放射線防護を確保した形で回収可能であること。

ASNは、適応性及び回収可能性に関するこれらの条件は、透明性が確保され、あらゆるステークホルダーとともに、定期的に再評価されなければならないとしている。また、ASNは、適応性に関して考慮すべき条件のうち、エネルギー政策や事業方針の変更に関連して、ANDRAによる地層処分プロジェクトのコスト評価報告書に関する2015年2月10日付のASN見解書において必要性に言及した、将来的な政策変更等を考慮した廃棄物インベントリについて、地層処分場の設置許可申請以降、速やかに提出される必要があると指摘している。

さらに、ASNは、可逆性の原則の実現に際しては、安全確保の上で必要な以下の2つの事項が達成されなければならないことを指摘している。

  • 可逆性を担保した状態で地層処分場を機能させるために採用される措置は、操業中及び閉鎖後における原子力安全及び放射線防護の目標と整合していなければならない。
  • 地層処分場の操業期間は有限でなければならず、地層処分場の長期安全性を確保するためには、処分場の閉鎖が不可欠である。

なお、ASNは2014年12月に、ANDRAが設置許可申請に先立ってASNに提出する「地層処分場の主要な技術オプション」等に対する記載要求事項をまとめた書簡をANDRAに送付し2 、この中で、可逆性に関する考え方を示しており、可逆性には「適応性」と「回収可能性」の2つの概念を含むことが適切であるとの判断を示していた。

 

【出典】


  1. ロンゲ上院議員及びナミ上院議員、2016年3月30日提出、「高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の可逆性のある地層処分場の設置について規定する法案」 []
  2. フランスでは、原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(政令)(2007-1557)の第6条に基づき、原子力施設の設置許可申請に先立って、安全オプションをASNに提出し、その見解を求めることができるとされている。ASNは見解において、設置許可申請を行う場合に必要となる補完的な研究や立証についても特定することができる []

高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)は、地層処分に関する研究開発の概要を示した『科学技術プログラム』を公表した。科学技術プログラムは、RWMの地層処分に係る科学・技術研究における構造と範囲、地層処分事業を実施する上で重要なアウトプットをステークホルダーに提示することを念頭に置いて取りまとめたものであり、RWMは、科学・技術研究の進捗を管理するツールとして使用していくとしている。

図: 科学・技術研究の4分野と実施プロセスの関係

図: 科学・技術研究の4分野と実施プロセスの関係

RWMは、科学・技術研究を4つの分野(図の中央部分にある緑色のボックス)に分け、各分野において目標とする主要な研究成果(合計62)をマップしている。RWMは、科学・技術研究を構成する一連の研究プロジェクトを設けており、各プロジェクトの成果の中で重要なもの、または複数のプロジェクトの成果を基に達成されるものを「主要成果」と位置づけている。なお、研究プロジェクトの詳細内容は、『科学技術プログラム』と同時に公表された『科学技術プラン』1 において示されている。

主要成果は、必ずしも単独の成果文書である必要はなく、RWMが発行する廃棄物パッケージの仕様遵守確認書(LoC)や廃棄物受入基準(WAC)、地球科学データ管理システムのようなデータベースやモデルも含まれている(図の下側のアウトプット部分を参照)。

科学技術プログラムにおける研究開発内容の策定・実施プロセスは、繰り返し行われることになっており、この反復プロセスの中で主要成果が提示される。

4つの科学・技術研究分野と各分野での主要成果の例

■科学・技術研究分野1:処分システム仕様(主要成果として6件を設定)

  • 処分システム機能に関する仕様
  • 処分システム技術に関する仕様
  • 処分対象となる放射性廃棄物インベントリ
  • 処分概念
  • 地層処分の代替管理方法

■科学・技術研究分野2:処分システム設計(主要成果として14件を設定)

  • 処分システム設計に関する仕様
  • 地層処分施設の一般設計
  • 処分システムのコスト評価

■科学・技術研究分野3:評価(主要成果として20件を設定)

  • 一般的な条件における処分システム・セーフティケース(gDSSC)
  • 一般的な条件における、環境、社会・経済、健康に関する評価
  • 処分可能性評価
  • 地質学的スクリーニング

■科学・技術研究分野4:知見の拡充(主要成果として22件を設定)

  • 高レベル放射性廃棄物等に関するプログラム
  • 科学技術プラン
  • サイト特性調査

 

RWMは、地層処分施設に関する活動期間を、①予備調査、②地上からのサイト調査、③処分施設の建設及び地下におけるサイト調査、④処分施設の操業、⑤処分施設の閉鎖の5つのフェーズに分割しており、今回の科学技術プログラムで設定した主要成果は、①~③のフェーズ(処分施設の操業開始前までの期間)に焦点をあてたものであると説明している。なお、RWMは、地層処分施設の開発の進捗状況に応じて、科学技術プログラム自体も定期的にレビューし、更新するとしている。RWMは、④と⑤(処分施設の操業開始以降の期間)の主要成果は、今後の活動フェーズが進むにつれて変わる可能性があるため、今回の科学技術プログラムでは基本的に含めていないが、今後提示する科学技術プログラムにおいて設定するとしている。

 

【出典】


  1. RWMは、これまでに科学技術プログラムの初版(2013年9月)、第2版(2014年3月)を策定しており、いずれもNDAの文書として発行されている(当時の文書名は技術プログラム)。今回RWMが公表した『科学技術プラン』は、科学技術プログラム(第2版)に含まれていた研究開発計画の詳細部分の記述を独立させたものである。 []

フランスにおいて放射性廃棄物等の管理に関する調査研究の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、第10回評価報告書を2016年5月25日に議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出し、CNEのウェブサイトで公表した。CNEは、2006年放射性廃棄物等管理計画法による規定に基づいて、放射性廃棄物等管理に関する取組や調査研究等の進捗状況について毎年評価を実施し、評価結果を報告書に取りまとめて議会に提出することになっている。第1回評価報告書は2007年6月に取りまとめられており、今回の報告は10回目となる。

CNEの第10回評価報告書では、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクトのほか、特に、極低レベル放射性廃棄物、技術的に濃度が高められた自然起源の放射性物質(TENORM)廃棄物及び長寿命低レベル放射性廃棄物の管理研究も取り上げている。これらの放射性廃棄物の処分実施主体はいずれも、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)である。CNEは、ANDRAが処分の実現に向けて実施している研究開発について、以下のような見解を示している。

高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクト

  • ANDRAは、地層処分場の機能の実証等を行うため、通常の操業フェーズに先立ち「パイロット操業フェーズ」(PIP)を導入する予定としており、CNEも地層処分事業を実証する上で「パイロット操業フェーズ」が不可欠であると考える。CNEは、ANDRAが処分場の建設及びパイロット操業フェーズの期間を通じて、公衆に情報提供しつつ経験をフィードバックするとともに、毎年、進捗報告書を提出することを勧告する。また、ANDRAが地層処分場の設置許可申請書とともに提出することになっている「事業計画」を策定するため、パイロット操業フェーズでの実証試験等が行われる地層処分場の最初の処分区画について、建設の技術オプションを可及的速やかに確定することを勧告する。
  • 設置許可申請前に、発熱量の大きな高レベル放射性廃棄物の処分区画の設計を行うためには、熱-水-応力連成現象の理解を深めなければならないが、ANDRAは設置許可申請時には、これらの現象の不確実性を考慮した設計を示す必要がある。発熱量の大きな高レベル放射性廃棄物の処分区画の建設が始まるのは数十年先であることから、CNEは、ANDRAが設計に柔軟性を持たせ、これらの処分区画の建設開始までの間に適切な規模で熱-水-応力連成モデルの試験を提案するよう勧告する。
  • ANDRAは地下研究所において多くの試験を行ってきたが、そこで得られた全ての試験結果を説明できる力学モデルを開発できていない。CNEは、ANDRAが100年単位での岩盤の力学挙動を説明する主要な特性を優先的に明らかにすべきであると考える。
  • ANDRAは、処分場の坑道のシーリングの有効性に関する実規模実証試験をパイロット操業フェーズで実施することを検討しており、このことは処分場の設置許可デクレ(政令)の発給前に、この実証試験の成果を利用できないことを意味している。CNEは、ANDRAが地下研究所での試験を活用し、地層処分場の全てのフェーズにおける坑道のシーリング機能に関するモデルを提示するとともに、処分場でのパイロット操業フェーズにおける実規模試験の詳細を確立するよう勧告する。
  • CNEは、地層処分場に輸送される廃棄物パッケージの輸送容器の仕様と検査体制について、設置許可申請の前に確定しておくべきと考える。
  • 地層処分プロジェクト全体をカバーするコストの目標額が、2016年1月のアレテ(省令)により250億ユーロ(約3兆3,500億円)と設定されたが、この額が過去にANDRAが見積った額よりも低いことにCNEは疑問を持っている。ANDRAと原子力事業者が合意して採用した地層処分場の技術オプションは維持されるべきであり、予算的な観点から見直されるべきではない。

極低レベル放射性廃棄物

  • 国内の原子力発電所の廃止措置に伴い、2080年までに大量の極低レベル放射性廃棄物が発生する見込みであり、極低レベル放射性廃棄物処分場の新設も検討されている。CNEは、現時点では放射性廃棄物とみなしているものの、ほとんど放射性物質に汚染されていない廃棄物の管理に関して、研究機関や事業者等が革新的な研究を継続することを奨励する。また、大量の廃棄物の中から、微量の放射性物質を検知する方法を開発するよう改めて勧告する。

TENORM廃棄物

  • 「電離放射線からの被ばくを防護するための基本安全原則を制定するEU指令2013/59/Euratom」が今後国内法化されると、「技術的に濃度が高められた自然起源の放射性物質」(TENORM)廃棄物は、フランスでは原子力活動から発生した廃棄物であるとみなされることとなる。このためCNEは、ANDRAに対し、同EU指令の国内法化によるTENORM廃棄物の管理への影響を評価するよう要請する。

長寿命低レベル放射性廃棄物

  • CNEは、長寿命低レベル放射性廃棄物に含まれる放射性核種のインベントリをさらに精緻化すべきと考える。
  • 処分が想定されている長寿命低レベル放射性廃棄物に含まれる放射性核種の挙動に関し、CNEは、現状得られている結果は、ANDRAが選定した処分場候補サイトの全ての地質学的パラメータを考慮した、現実的な安全解析を実施するには不十分であると考える。

 

【出典】

 

韓国産業通商資源部(Ministry of Trade, Industry and Energy, MOTIE)は、2016年5月26日のプレスリリースにおいて、「高レベル放射性廃棄物管理基本計画(案)」(以下「基本計画案」という)を公表し、パブリックコメントの募集を開始した。この基本計画案は、2015年6月末に使用済燃料公論化委員会(以下「公論化委員会」という)からMOTIE長官に提出された「使用済燃料の管理に関する勧告」 を踏まえて策定されたものである。MOTIEは、基本計画案を2016年6月17日までパブリックコメントに付した後、2016年6月中旬頃には公聴会等を通じて国民の意見聴取を行い、2016年7月頃、国務総理主宰の原子力振興委員会での審議を経て確定させる予定である。

韓国では、1978年に商業用の原子力発電所が運転を開始し、2015年12月時点で24基の原子炉が運転中である。このうち20基が加圧水型軽水炉(PWR)、4基がカナダ型重水炉(CANDU炉)である。原子力発電所で発生した使用済燃料は、原子力発電所内の使用済燃料プール及び乾式貯蔵施設に貯蔵されており、貯蔵量は2014年3月時点で約1.3万トン(ウラン換算)となっている。

■ 高レベル放射性廃棄物料管理に関する政策の方向性

MOTIEは基本計画案において、高レベル放射性廃棄物の管理について、国民の安全の最優先や現世代による管理責任の負担、廃棄物発生者による管理費用の負担等の原則を示した上で、政策の方向性として下記の事項を示している。

○ 許認可用の地下研究所(URL)、中間貯蔵施設、最終処分施設を1カ所のサイトにおいて段階的に確保する方向で推進する。

  • 科学的サイト調査と民主的方式によるサイト選定(約12年間)を行う。
  • サイト確保後、中間貯蔵施設の建設(約7年間)と許認可用の地下研究所の建設・実証研究(約14年間)を同時に推進する。
  • 許認可用の地下研究所における実証研究後、最終処分施設を建設(約10年間)する。
  • 中間貯蔵施設の操業までは、原子力発電所サイト内で使用済燃料を管理することは不可避である。

○国際協力により、国際共同貯蔵・処分施設の確保にも併行して取り組む。

○ 安全性と経済性の両方の達成を目指す重要な管理技術を適時に確保する。

○ 管理施設の操業に関する情報は常に公開し、地域住民との持続的にコミュニケーションを行う。

使用済燃料の処分施設等に関する所要期間の見込み(基本計画案より作表)

基本計画(案)

※注: 使用済燃料公論化委員会は、最終的な勧告「使用済燃料の管理に関する勧告」(2015年6月29日)において、2051年までに処分施設を建設し、操業を開始するよう勧告していたが、今回MOTIEが公開した基本計画案では、各工程の所要期間の見込みを示しているが、処分場の操業開始年は明示していない。

 

基本計画案では、この他に、処分方式としては、操業中の回収可能性を考慮した地層処分方式を優先して考慮するものの、超深孔処分等の代替研究も国際共同研究として推進すること、使用済燃料の管理・処分費用として約53.3兆ウォン(約4.9兆円)を見込むこと、基本計画の実施のための法令や諮問機関の整備を推進すること等が述べられている。

また、国際共同貯蔵・処分については、経済性と将来の不確実性を勘案して、国内でのサイト選定と並行して推進することとしている。その上で、国際共同貯蔵・処分施設の実現に積極的に対応できるよう、2017年より経済性、安全性、回収可能性等に対する分析と法的検討を推進するとともに、国内での管理施設のサイト選定の進捗度と海外動向を勘案し、推進の要否を決定するとしている。

■ 使用済燃料管理サイトの選定について

使用済燃料の中間貯蔵施設と処分施設の両方を立地するサイトの選定については、地質調査等によるサイトの適合性評価のための科学的な妥当性確保と、地域住民の意思を確認する手順の順守、サイト選定等に対する客観的で透明性の高い手続きと方式を規定する法制度を整備するとしている。MOTIEはサイト選定手続きを以下のステップで進めるとしており、(1)~(4)に8年間、(5)に4年間で、全体で12年間の所要期間を見込んでいる。

(1)不適合な地域の除外
(2)サイトの公募
(3)基本調査
(4)住民の意思の確認
(5)詳細調査

地下研究所については、処分施設と同一サイトにおける、処分施設の許認可申請データの取得のための地下研究所の建設に先立ち、別途、研究用の地下研究所(Generic URL)を建設し、処分施設のサイト選定、設計、建設、操業等のために処分システムの研究を行うとしている。研究用の地下研究所の確保と操業には約10年間、その後の許認可用の地下研究所の建設・操業には約14年間の所要期間を見込むことが示されている。また、許認可用の地下研究所での実証研究を10年間以上実施した後、処分施設へと拡大するとしている。

 

【出典】

【2016年8月25日追記】

韓国産業通商資源部(MOTIE)は、「高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「基本計画」という)の原子力振興委員会1 による審議・承認を受け、「高レベル放射性廃棄物管理手続きに関する法律」の法案を策定した。本法案は、2016年8月11日から9月19日までの間にパブリックコメントに付された後、国会審議等を経て、2016年内の制定が見込まれている。
「高レベル放射性廃棄物管理手続きに関する法律」は、高レベル放射性廃棄物管理委員会の設置、サイト選定手続き等を定めるものであり、基本計画に盛り込まれた政策を実施することを目的としたものである。法案の骨子は以下のとおりである。

第1章:総則
第2章:高レベル放射性廃棄物管理委員会
    委員会の設置、構成・運営等を規定
第3章:サイト適合性調査手続き
    適合性調査計画の策定、基本調査及び精密調査、サイト予定地の確定、
    誘致地域支援委員会の設置、構成・運営等を規定
第4章:管理施設の建設・操業
    管理施設の建設計画、操業時の管理基準等を規定
第5章:附則
第6章:罰則

なお、基本計画は、2016年7月25日の第6回原子力振興委員会において、審議・承認された。基本計画の承認に関する国務調整室(OPC)、韓国産業通商資源部(MOTIE)、韓国未来科学創造部(MSIP)による、2016年7月25日付の共同プレスリリースでは、「高レベル放射性廃棄物管理手続きに関する法律」の立法過程における地域説明会等を通じ、ステークホルダーとの継続的なコミュニケーションを図り、基本計画の5年毎の見直しに反映するとしている。

 

【出典】

カナダ原子力安全委員会(CNSC, Canadian Nuclear Safety Commission)は、2016年5月24日、カナダ原子力研究所(CNL)が計画している「チョークリバー研究所(CRL)における浅地中処分施設プロジェクト」の環境影響評価手続きのためのパブリックコメントの募集を開始した。今回のコメント募集は、カナダ原子力研究所が作成した『プロジェクト概要書』について、プロジェクト実施予定のサイトや環境影響評価のための情報を一般から幅広く収集する目的であり、書面によるコメントの受付締め切りは2016年6月24日(1ヶ月間)である。CNSCは、コメントの募集期間終了後、環境影響評価で検討すべき事項や範囲を決定するとしている。

カナダ原子力研究所(CNL)は、カナダ原子力公社(AECL)のCANDU炉開発部門が2011年に売却された後に残された原子力研究等の業務を継承した民間企業であり、AECLとの長期契約に基づき、AECLが所有する放射性廃棄物の管理を実施する。チョークリバー研究所(CRL)1 は、CNLに管理を託されているAECLの施設の一つであり、研究炉のほか、複数の原子力施設が存在している。

CNLの浅地中処分場プロジェクトの計画概要

図: カナダ原子力研究所(CNL)が計画している浅地中処分場の概念図

図: カナダ原子力研究所(CNL)が計画している浅地中処分場の概念図.低レベル放射性廃棄物をマウンド状に積み上げ、上部を覆土する。

カナダ原子力研究所(CNL)は、自社の活動で発生する低レベル放射性廃棄物を受け入れる浅地中処分施設(右図参照)をチョークリバー研究所(CRL)の敷地内に建設する計画である。当初は現時点で発生が見込まれている約50万m3の処分施設を建設し、最終的に100万m3に拡張する。カナダ原子力研究所は、処分施設の操業期間を2020~2070年の約50年間とし、施設閉鎖後の監視段階を2400年まで継続する計画としている。浅地中処分施設で処分する低レベル放射性廃棄物には、以下の3つの種類のものがある。

  1. カナダ原子力研究所(CNL)が過去に行った研究や廃止措置を通じて発生し、現在貯蔵されている廃棄物
  2. 既存のCNLの建屋や構造物の廃止措置、及び汚染された土地の環境修復を通じて発生する廃棄物
  3. CNLの今後の研究や商業活動、将来建設される建屋や構造物の廃止措置、サイトの最終的な閉鎖時に実施される土地の環境修復を通じて発生する廃棄物

カナダの環境影響評価プロセス

カナダにおける環境影響評価の根拠法であるカナダ環境評価法に基づくパブリックコメント募集は、計画されているプロジェクトに対して、関係する個人、団体、組織のほか、国・地方自治体のあらゆるレベルの行政当局から書面による意見を収集するプロセスである。提出された意見書は原則として、カナダ環境評価局(CEAA, Canadian Environmental Assessment Agency)のインターネットサイト(環境評価レジストリと呼ばれる)に登録・公開される。カナダ原子力研究所(CNL)が計画している浅地中処分施設プロジェクトの環境評価レジストリのURLは以下の通りである。

http://www.ceaa-acee.gc.ca/050/details-eng.cfm?evaluation=80122

またCNSCは今回のコメント募集の開始とともに、今後の環境影響評価プロセスにおいて、一般公衆やその他の関係者を支援するための参加団体の募集を開始している。この参加団体には、最大10万カナダドル(約920万円)の資金提供がなされることになっており、CNLが今後作成する環境影響評価書などのレビューや公聴会への参加するための費用に利用できるほか、評価プロセスにおいて独自の意見を提出することが期待されている。

【出典】

 

【2017年3月22日追記】

カナダ環境評価局(CEAA, Canadian Environmental Assessment Agency)は、2017年3月17日付けの公告で、カナダ原子力研究所(CNL)が計画している「チョークリバー研究所(CRL)における浅地中処分施設プロジェクト」(NSDFプロジェクト)に関して、CNLが提出したドラフト環境影響評価書(EIS)を公開するとともに、カナダ原子力安全委員会(CNSC, Canadian Nuclear Safety Commission)が60日間の期限でドラフトEISに対するパブリックコメントの募集を開始したことを明らかにした。書面でのコメント提出期限は2017年5月17日とされている。

「カナダ環境評価法」では、環境影響評価書(EIS)において、事業者が申請するプロジェクトについて、技術的・経済的に実現可能な代替手段を説明し、その環境影響も検討するよう定めている。このためCNLはドラフトEISにおいて、施設の種類、設計、立地等の5項目について、実現可能性のある代替手段とNSDFプロジェクトで採用する手段を比較・分析した結果を提示している。このうち施設の設計に関してCNLは、「工学閉じ込めマウンド」(ECM)2 案と「地表コンクリートボールト」(AGCV)3 案を比較することにより、ECM案が好ましい選択であることを説明している。

NSDFプロジェクトの環境影響評価プロセスの今後の予定として、パブリックコメントの募集期間の終了後、CNSCはCNLが今回提出したドラフトEISの内容が十分かどうかを検討し、必要に応じて追加情報の提出を求める。また、CNSCは、今回のパブリックコメントで寄せられた意見書の全てに回答を提示する意向である。最終的な環境影響評価書の受領後、CNSCは環境アセスメント(EA)報告書を作成する。EA報告書は、2018年1月に開催予定のEAに関する公聴会の60日前に公表される予定である。

【出典】


  1. CRLは、首都オタワから北西に約200km、ケベック州との州境のオンタリオ州側のレンフルー郡に位置している。 []
  2. Engineered Containment Mound []
  3. Above-ground Concrete Vaults []

連邦経済エネルギー省(BMWi)は2016年4月27日に、「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という)が、原子力発電所の廃止措置及び使用済燃料を含めた放射性廃棄物管理のための資金(以下「バックエンド資金」という)確保のあり方に関する勧告をとりまとめた最終報告書を提出したことを公表した。検討委員会は、バックエンド資金を長期的に維持できる資金確保方策の検討を目的として、連邦政府により2015年10月に設置された。当初、2016年1月末までに最終報告書を提出する予定であったが、原子力発電事業者との協議に時間を要したことなどから、2016年4月末の報告書提出となった。

ドイツでは原子力法に基づき、放射性廃棄物処分場のサイト選定、建設及び操業の責任は連邦政府にある。一方、放射性廃棄物管理費用は、発生者責任の原則に基づいて原子力発電事業者が負担しているが、現在のところ公的な基金制度はなく、各原子力発電事業者は、将来に発生が見込まれる費用を引当金として計上している。

放射性廃棄物管理のための資金確保に関する検討委員会の勧告

検討委員会は、中間貯蔵以降の放射性廃棄物の管理に関係する実施責任及び資金確保・管理責任を、原則として連邦政府に集中することを勧告している。これに伴い、新たに公的基金を設置すること、また、現在、原子力発電事業者が引当金として計上しているバックエンド資金のうち、放射性廃棄物の管理資金(約172億ユーロ、約1兆5,500億円)に加えて、リスクに備えるために35%の保険料を上乗せした総額約233億ユーロ(約2兆9,100億円)を同基金に払い込むことなどを勧告している(下表参照)。引当金の基金への移管は、基金設置後直ちに実施される。一方、リスクに対応するための保険料は全ての原子力発電所が運転を終了する2022年までに基金に払い込むこととされている1

この勧告が実行された場合、2022年に基金へのすべての払い込みを終えた後は、最終処分場の操業開始遅延等に伴い費用が増大した場合でも、原子力発電事業者が基金への払込金額を超える負担を求められることはないとされている。

表: 原子力発電所由来の放射性廃棄物の管理・処分における
原子力発電事業者と連邦政府の責任分担

  

現状の責任分担 検討委員会勧告による責任分担 事業者引当金から基金への資金移管額
(2014年価格)

放射性廃棄物のコンディショニング

事業者

連邦政府:今後発生する使用済燃料及び再処理廃棄物(ガラス固化体)の処分のためのコンディショニング

事業者:その他の廃棄物

①約47億ユーロ
(約5,900億円)

中間貯蔵及び輸送

事業者

事業者:中間貯蔵施設の設置まで

連邦政府:中間貯蔵施設操業開始以降、最終処分場への輸送までの全工程

最終処分

事業者:資金確保・管理

連邦政府:処分場サイト選定、設置、操業、廃止措置

連邦政府

②約124億ユーロ
(約1兆5,500億円)

基金に移管される引当金の額(①+②)

③約172億ユーロ
(約2兆1,500億円)

リスクに対応するための保険料(③の約35%)

④約61億ユーロ
(約7,600億円)

基金への払い込み総額(③+④)

約233億ユーロ
(約2兆9,100億円)

原子力発電所の廃止措置に関する検討委員会の勧告

原子力発電所の廃止措置に関する検討委員会の主な勧告は以下のとおりである。

  • 廃止措置に関しては引き続き、原子力発電事業者が実施責任及び資金・財務面で無限責任を負う。この責任について法的な根拠を与える法律を制定する。
  • 現状では廃止措置オプションとして、「安全貯蔵」と「即時解体」のいずれかを選択できるが、これを即時解体に限定する。連邦政府及び州は、廃止措置の許可を迅速かつ効率的に発給できるように準備を整える。

検討委員会の勧告に関する今後の動き

検討委員会は、連邦政府と原子力発電事業者に対し、同委員会が勧告した内容に関して合意書を締結するよう求めている。また、検討委員会の勧告を実行に移すには、原子力法及び関係法令の改正のほか、新たな法令の制定が必要である。今後、連邦政府は関係省庁の政務次官等で構成される「原子力発電に関する政務次官委員会」において、検討委員会の最終報告書をレビューし、勧告された措置の実施について検討することとなっている。

【出典】

 

【2016年6月6日追記】

ドイツ連邦政府は2016年6月1日のプレスリリースにおいて、「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という)が2016年4月27日に行った勧告の実施に関して閣議決定したことを公表した。

連邦政府は、放射性廃棄物の管理・処分資金に関する新たな公的基金の設置などを盛り込んだ検討委員会の勧告について、合意可能かつ実現可能な解決策を示したと評価している。また、連邦政府は現在、検討委員会の勧告の詳細なレビューを行っている段階であるが、これと並行して勧告内容の実施に必要な関連法令の策定準備を進める方針を示している。

【出典】


  1. ドイツ政府は2022年末までにすべての原子力発電所の営業運転を停止することを決定している。 []

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2016年5月5日に、ネバダ州ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る補足環境影響評価書(SEIS)の最終版を公表した。補足環境影響評価書(SEIS)は、潜在的に処分場から放出される物質により汚染された地下水が地表に流出する可能性及びその影響などを評価するものであり、環境への影響は小さいとの結論が示されている。補足環境影響評価書(SEIS)については、2015年8月にドラフト版の報告書が公表され、2015年8月21日から11月20日までの期間でパブリックコメントの募集、パブリックミーティング、電話会議を通じての意見募集が行われていた。今回公表された補足環境影響評価書(SEIS)では、1,200件以上のコメントを踏まえて修正・情報補足等が行われるとともに、コメントへの回答も付属資料として示されている。

ユッカマウンテン処分場に関する環境影響評価については、2002年2月に行われたユッカマウンテンサイトのエネルギー長官から大統領への推薦時に最終環境影響評価書(FEIS)が、2008年6月の建設認可に係る許認可申請書の提出時に補足環境影響評価書(SEIS)が、それぞれエネルギー省(DOE)によって作成され、NRCに提出されていた。これらDOEが作成した環境影響評価書(EIS)についてNRCは、2008年9月に、NRCの許認可申請書の安全審査における環境影響評価書(EIS)として採択できるとの判断を示した上で、地下水解析に係る情報の補足を行うようDOEに要求していた。今回の補足環境影響評価書(SEIS)は、2008年9月のNRCの指摘に対応するものであり、DOEは技術報告書を作成するのみで、補足環境影響評価書(SEIS)の作成は行わないこととなったため、NRCが自ら作成を進めていたものである。

NRCにおける許認可申請書の安全審査は、安全性及びセキュリティの審査と環境影響の審査の大きく2つに分けて行われるが、今回の補足環境影響評価書(SEIS)の作成により、2015年1月に公表されたユッカマウンテン処分場の安全性評価報告(SER)と併せて、裁判形式の裁決手続のヒアリングに向けたNRCスタッフによる主要な評価文書が揃ったこととなる。安全性評価報告(SER)及び環境影響評価書(EIS)では、土地の所有権及び水利権に関する要求事項を除いて、DOEが提出した許認可申請書はNRCの連邦規則の要求事項を満足しているとの結論が示されているが、ネバダ州等が提出した安全性及び環境影響等に係る299の争点が有効なものとして承認されており、裁決手続におけるヒアリングでは、これらの争点について審理されることとなる。今回公表された補足環境影響評価書(SEIS)など新しい情報については、今後のヒアリング手続の中で追加することも可能である。

ただし、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係るNRCの許認可申請書の安全審査については、2013年8月の連邦控訴裁判所の判決により、利用可能な予算がある限りの実施が命じられているものの、2012会計年度1 以降はNRCの許認可申請書の安全審査のための予算は付いておらず、ヒアリング手続の再開は目途が立っていない。補足環境影響評価書(SEIS)の作成、及び許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)に登録されていた文書のNRCデータベース(ADAMS)での公開などを終えた時点での利用可能な予算残額は、100万ドル(約1億1,500万円)未満と見込まれている。2017会計年度のユッカマウンテン処分場の許認可申請書の安全審査予算についても、NRCは予算要求をしておらず、連邦議会の下院で策定された歳出法案では20,000千ドル(23億円)の予算が計上されているものの、上院本会議で審議中の歳出法案では予算は計上されていない

【出典】

 

【2016年5月16日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2016年5月13日付けの連邦官報において、ネバダ州ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る補足環境影響評価書(SEIS)の最終版の発行を告示した。補足環境影響評価書(SEIS)の最終版は、2016年5月5日にNRCのウェブサイトで公表されていたものである。

連邦官報に掲載された告示では、エネルギー省(DOE)が作成した2002年の最終環境影響評価書(FEIS)及び2008年の補足環境影響評価書(SEIS)、並びに今回NRCが補足を行った補足環境影響評価書(SEIS)について、NRCの最終的な環境影響評価書(EIS)としての採択に係る決定は、裁判形式の裁決手続のヒアリングの完了後となることが示されている。

なお、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書のNRCによる安全審査については、2013年8月の連邦控訴裁判所の判決により、利用可能な予算がある限りの実施が命じられているものの、2012会計年度2 以降はNRCの許認可申請書の安全審査のための新たな予算は付いておらず、裁決手続におけるヒアリングの再開は目途が立っていない

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、2012会計年度は2011年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、2012会計年度は2011年10月1日からの1年間に対するものである。 []

米国テキサス州のウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社は、2016年4月28日に、使用済燃料の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書を原子力規制委員会(NRC)に提出した。WCS社による使用済燃料の中間貯蔵施設の建設については、立地自治体となるテキサス州アンドリュース郡が2015年1月に建設計画の承認を決議し、2015年2月にはWCS社がNRCに対して、許認可申請の意向を正式に通知していた

WCS社の中間貯蔵施設の建設プロジェクトの専用ウェブサイトでは、許認可申請書の提出を伝えるプレスリリースに加え、「許認可申請書のハイライト」、「使用済燃料の輸送」、「所有権と賠償責任問題」、「よくある質問」、レイアウト予定図及びフェーズ1の完成予想図がプレスキットとして掲載されている。

WCS社の使用済燃料の中間貯蔵施設は、低レベル放射性廃棄物のWCSテキサス処分場のサイトに隣接しており、全部で8つのフェーズで段階的に建設される計画である。フェーズ1では、約155エーカー(約62万7,000m2)のサイトで5,000トンの乾式キャスク等による中間貯蔵施設が建設され、最終的にはWCS社が保有する敷地の2.5%未満に相当する約332エーカー(約134万m2)のサイトで、約4万トンの使用済燃料を貯蔵する計画である。WCS社は、廃止措置済みの原子力発電所8カ所を含む51カ所の原子力発電所で貯蔵されている使用済燃料(39,687トン)を貯蔵対象としている。

WCS社によれば、WCS社が提出した許認可申請書において、中間貯蔵施設で貯蔵される使用済燃料については、民間原子力発電所サイトでエネルギー省(DOE)が使用済燃料の所有権を取得した上で、輸送にも責任を持つことが明記されるとともに、DOEが中間貯蔵施設の操業費用について契約上の義務を負うこと、及び中間貯蔵施設の操業前にDOEとの契約締結が必要なことが、許認可の附帯条件として提案されている。

NRCにおける許認可申請書の安全審査では、WCS社が提出した許認可申請書が十分な情報を備えているかの受理審査が最初に行われる。許認可申請書が正式に受理された場合には連邦官報で告示され、裁判形式のヒアリングの機会が提供される。正式な受理後の許認可申請書の安全審査は、安全性及びセキュリティの審査と環境影響の審査の大きく2つに分けて行われ、NRCスタッフによる評価に加え、ステークホルダー等から提出された争点が有効と認められた場合、裁判形式のヒアリングを経て許認可の発給が決定される。NRCにおける標準的な許認可審査期間は3年間とされるが、ヒアリングで争点が審理される場合の期間は未定となる。

WCS社は、パートナーのAREVA社とNACインターナショナル社の協力を得て完全で詳細な許認可申請書を提出できたとして、約3年間で許認可発給を得られることを確信しているとしており、条件が整えば、2019年には建設を開始し、早ければ2021年には使用済燃料の受入れが開始可能との見通しを示している。WCS社によれば、許認可申請書では、40年間の許認可期間に続いて20年間の許認可更新を行う可能性についても示されている。

【出典】

 

【2016年5月24日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社が2016年4月28日にNRCへ提出した使用済燃料等の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書の書類一式について、NRCウェブサイトのデータベース(ADAMS)において公開した。本許認可申請書は、5,000トンの使用済燃料及びクラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下、「GTCC廃棄物」という)1 の40年間の貯蔵について、NRCの連邦規則10 CFR Part 72「使用済燃料、高レベル放射性廃棄物及び原子炉関連のクラスCを超える廃棄物の独立貯蔵の許認可要件」に基づく個別認可の発給を申請するものである。

WCS社が提出した許認可申請書には以下が含まれており、下記のリンク集から全体が入手が可能である。

NRCのデータベース(ADAMS)におけるWCS社許認可申請書パッケージへのリンク集
https://adamswebsearch2.nrc.gov/webSearch2/main.jsp?AccessionNumber=ML16133A070

  • 安全解析書(SAR)
  • 品質保証プログラム説明書(申請書本体の第6章及び付属資料C)
  • 核物質防護計画(保障措置関連情報を含むため別途提出)
  • 許認可の技術仕様案(申請書本体の付属資料A)
  • WCS社の技術的適格性の説明書(申請書本体の第2章)
  • 訓練計画(申請書本体の第7章)
  • 廃止措置計画及び廃止措置資金計画案(申請書本体の第10章、付属資料B、D)
  • 緊急時対応計画(ERP)
  • 環境報告書
  • 許認可附帯条件案(申請書本体の第13章)

 なお、WCS社の環境報告書では、4万トンの使用済燃料及びGTCC廃棄物の貯蔵に係る環境影響等が評価されている。WCS社は、中間貯蔵施設の建設については、8段階に分けて20年間で進めることを予定している。また、環境報告書では、「使用済燃料の継続貯蔵に関する包括環境影響評価書(GEIS)」など、NRCが策定した使用済燃料の貯蔵・輸送に関する環境影響評価書(EIS)も参照されている。

【出典】

 

【2016年7月8日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社がテキサス州で計画している使用済燃料等の中間貯蔵施設について、2016年4月28日にNRCへ提出した建設・操業に係る許認可申請書に関する情報の十分性を確認する受理審査を実施した。その結果、技術的情報が十分に示されていないとして、2016年6月22日付けのNRCの書簡及び添付書類1において、WCS社に対する補足情報要求(RSI)等が示された。

NRCがWCS社に宛てた書簡では、補足情報要求(RSI)の概要が以下の通り示されている。

  • 申請されたサイトで貯蔵される見込みの乾式貯蔵システムの許認可基盤が明確に定義されていない。
    例:
    • 申請書には安全基盤を構成する出典が添付されておらず、また、記載もされていない。
    • 申請書では、出典として組み入れられる文書について、どの部分がどのように許認可基盤として認められるべきかが明確に記述されていない。
  • 提出された許認可申請書では、貯蔵対象が既に承認済みの貯蔵キャスクに限定されておらず、NRCが未審査・未承認の適合承認(CoC)の修正が含まれていると考えられる。さらに、許認可条件として提案されている貯蔵対象キャニスタの限定などについても、適切に情報が示されていない。
  • 物的セキュリティを含む施設プログラムの記述などの許認可申請書の一部については、情報の詳細度が適切ではない。

また、NRCは、補足情報要求(RSI)への対応の期限を書簡の日付けから28暦日としており、対応ができない場合は許認可申請書を受理しないとしている。

なお、NRCは、補足情報要求(RSI)に加えて、許認可申請書の受理審査を通じた所見(Observations)として課題・問題点も示している。所見については、許認可申請書の受理のために必要となる補足情報要求(RSI)の段階には達していなが、許認可申請書が受理された後に、さらなる明確化を要求する場合があるとしている。

【出典】

 

【2016年9月23日追記】

ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社がテキサス州で計画している使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可審査について、2016年6月22日の原子力規制委員会(NRC)によるWCS社に対する補足情報要求(RSI)に関して、2016年9月21日にNRCは、2016年8月22日に行われた公開ミーティングの議事要旨を公開した。

NRCの補足情報要求(RSI)では、RSI通知書簡の日付から28暦日(2016年7月20日)以内の情報提出がWCS社に要求されていた。WCS社は、2016年7月6日にNRCへ提出した対応計画において、NRCが設定した期限の2016年7月20日までに約半数を、2016年8月末に約3割を、2016年9月末及び10月末に各々約1割の項目について補足情報を提出する予定を示していた。WCS社は、2016年7月20日及び2016年8月31日に、ほぼ予定通りの形で補足情報をNRCに提出している。WCS社の中間貯蔵プロジェクトの専用ウェブサイトでは、NRC提出資料のページを設けて提出済み資料が公表されている。

2016年8月22日に行われた公開ミーティングでは、NRCの補足情報要求(RSI)への対応状況と進捗についてWCS社から説明が行われた。NRCからは、WCS社が2016年7月20日に提出した1回目の補足情報の資料の一部は情報が不足していることが指摘され、不足解消のための方法についてWCS社との質疑応答が行われた。NRCは、NRCが安全性等に関する十分詳細な情報を得て遅滞なく審査を完了するためには、RSIに対する品質の高い対応が重要であることを強調している。

なお、WCS社は、2016年7月21日に、環境評価(ER)関連の補足情報要求(RSI)への対応は完了したとして、許認可申請書の受理審査の完了前に環境影響評価(EIS)手続の準備を開始するよう要求していたが、2016年8月22日の公開ミーティングにおいてNRCは、EIS手続を許認可申請書の受理決定前に開始できるかどうかはWCS社の補足情報要求(RSI)への対応の品質と完全性に掛かっているなどとして、現時点では判断はできないとしている。

【出典】

 

【2016年11月15日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2016年11月14日に、ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社がテキサス州で計画している使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請について、環境影響評価(EIS)の準備を行うこと、及びEISのスコーピング手続を実施してパブリックコメントの募集を開始することを連邦官報に掲載した。WCS社が2016年4月28日に提出した許認可申請書については、補足情報要求(RFI)の対応などが進められており、NRCによる正式な受理は行われていないため、パブリックコメントの募集は許認可申請書の正式受理が連邦官報に掲載された以降の45日後まで続けられる。

WCS社の中間貯蔵施設に対するNRCの許認可申請書の審査については、環境影響評価(EIS)と安全審査が並行して行われるが、WCS社は、2016年7月21日に、環境影響評価(EIS)を可能な限り早期に開始するようにNRCに要請していた。これに対してNRCは、2016年10月7日に、WCS社の許認可申請書の受理に関わらず、EIS手続を早期に開始することは、手続の早い段階において公衆の見解を得ることを可能とし、連邦・先住民族・州・地方政府との協議を行う時間を増加させるとして、EIS手続の早期開始に合意していた。

NRCは、WCS社が補足情報要求(RFI)に適切に対応しない限り技術的な安全審査を進めることはできないが、環境影響評価(EIS)のスコーピング手続の開始のために十分な情報は既に得られているとしている。EISの実施に係る費用は、仮にNRCがWCS社の許認可申請書を正式受理しないとの決定を行った場合でも、WCS社が負担することになる。

 

【出典】

 

【2017年1月27日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2017年1月26日付のニュースリリースにおいて、ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社がテキサス州で計画している使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請書について、審査に必要十分な情報が含まれていることが確認されたとして、正式に受理したことを公表した。WCS社が2016年4月28日に提出した許認可申請書については、NRCから2016年6月に補足情報要求(RFI)が出され、WCS社は2016年12月までにRFIへの対応を行ってきていた。NRCが許認可申請書を正式に受理したことは連邦官報で告示される予定であり、連邦官報告示から60日以内は裁判形式の裁決手続によるヒアリングを要求することが可能とされている。

NRCによる許認可申請書の審査では、環境影響評価(EIS)と安全審査が並行して行われる。NRCは、審査のスケジュールについて、2017年第3四半期及び第4四半期に、必要に応じて追加情報要求(RAI)を行い、WCS社のRAIへの対応が高い品質で遅滞なく行われるとの前提で、2019年第2四半期にはEISと安全審査が完了するとの見込みを示している2

NRCは、2016年11月14日付の連邦官報で告示された環境影響評価(EIS)のスコーピング手続について、未定とされていたパブリックコメントの募集期限を2017年3月13日までとすることも公表した。EISのスコーピング手続については、申請された中間貯蔵施設サイトの近郊で以下の通り2回のパブリックミーティングを行うとともに、翌週にはメリーランド州ロックビルのNRC本部でパブリックミーティングを行う予定としている。

  • 2017年2月13日:ニューメキシコ州ホッブス市
  • 2017年2月15日:テキサス州アンドリュース郡

【出典】

 

【2017年3月17日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2017年3月16日付のニュースリリースにおいて、ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社による使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請に係る環境影響評価(EIS)について、スコーピング手続の期間を延長し、2017年4月28日までパブリックコメントを受け付けることなどを公表した。また、スコーピング手続の延長は、2017年3月16日付の連邦官報で告示された。NRCは、スコーピングに関するコメントを求めるパブリックミーティングについては、当初のニューメキシコ州ホッブス市、テキサス州アンドリュース郡及びメリーランド州ロックビルのNRC本部でパブリックミーティングに加えて、2017年4月6日にもNRC本部で開催する予定としている。

なお、WCS社の中間貯蔵施設の建設に係る許認可手続については、WCS社の許認可申請書を正式に受理したことを告示した2017年1月30日付の連邦官報において、裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催要求の募集、さらには、ヒアリングへの当事者としての参加の申立ての期限を2017年3月31日までとすることが通知されている。なお、本期限を2017年5月31日まで延長することが求められており、WCS社とシエラクラブとの共同申立てとして提出されている。

【出典】

 

【2017年3月31日追記(2017年4月5日再追記:ヒアリングの開催要求及び当事者としての参加申立て期限を2017年5月31日とする連邦官報2017月4月4日を出典に追加)】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2017年3月29日に、ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社による使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請の審査に関して、裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催要求及びヒアリングへの当事者としての参加申立ての提出期限を延長することを決定した。これは、WCS社及びシエラクラブからの申立てに対応したものであり、当初、2017年1月30日付の連邦官報では提出期限を2017年3月31日までとしていたところ、2017年5月31日まで延長することとなった。

【出典】

 

【2017年4月21日追記】

米国のウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社は、使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請の審査手続に関して、一時的に停止することを2017年4月18日付けの書簡でNRCに要請した。これは、WCS社をエナジーソリューションズ社が買収する手続が進められており、買収手続が完了するまでの期間について、原子力規制委員会(NRC)による審査活動及びヒアリング開催要求や環境影響評価(EIS)スコーピングに係るコメント募集の活動の一時停止を求めたものである。また、WCS社の要請を受け、ヒアリングの開催に係る連邦官報の告示の取消しの要求について、NRCとWCS社との連名の書簡が2017年4月19日付けでNRCの委員会に提出されている。

WCS社は、許認可申請の審査手続の一時停止を求めた理由として、資金面の制約がある中で、現在操業中の低レベル放射性廃棄物処分施設等の安全な操業・維持を行うとともに、買収対応に集中する必要があるとしている。WCS社の親会社であるヴァルヒ社とエナジーソリューションズ社とは、エナジーソリューションズ社によるWCS社の買収に合意したことを2015年11月19日に発表していた。しかし、本買収は独占禁止法に抵触するとして司法省が2016年11月に提訴しており、2017年4月24日に公判が開始される予定となっている。なお、WCS社は、2017年夏の後半には買収が完了し、許認可申請の審査手続が再開されるとの見通しを示している。

【出典】


  1. 米国では、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法、原子力規制委員会(NRC)の連邦規則(10 CFR Part 61「放射性廃棄物の陸地処分のための許認可要件」)において、地下30mより浅い浅地中処分が可能な低レベル放射性廃棄物としてクラスA、B、Cの分類が定められている。GTCC廃棄物は、放射能濃度などがクラスCの上限値を超える低レベル放射性廃棄物であり、連邦規則に基づいて操業されている浅地中処分場での処分をNRCが承認しない場合、地層処分しなければならないこととなっている。 []
  2. 裁決手続によるヒアリングの開催がNRCにより承認された場合には、環境影響評価(EIS)と安全審査の終了後にヒアリングが開催され、その後にNRCの委員による許認可発給に係る最終決定が行われる。 []

高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)は、2016年4月21日、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングのガイダンスを公表した。RWMは、本ガイダンスに基づいて地質学的スクリーニングを実施し、2017年までにスクリーニング結果を公表した上で、自治体を含む地域との正式な協議を開始する予定としている。

RWMは、地質学的スクリーニングにより、地層処分施設の長期安全性との関連性の高い地質学的な情報を取りまとめ、アクセスしやすい形で利用可能にすることを目標としている。地質学的スクリーニングの成果は、地層処分施設の立地に係わる地質学的可能性に関して、地域との初期の検討を行うために使用することになる。

RWMは、地層処分施設に係わる長期安全要件に関して考慮すべき5つの地質特性として、①岩種、②岩盤の構造、③地下水、④自然プロセス、⑤資源の賦存に着目し、過去に英国で実施された採鉱活動に関する情報を収集した資料などに基づいて、スクリーニング作業を進める。スクリーニング作業から得られた成果情報は、当該地域の地質環境の重要な特性と安全性とがどのような関連性を持っているかについて、一連の簡略な説明文書として提示するとしている。地質学的スクリーニングの成果情報の概要を下表に示す。

英国地質学的スクリーニング置ける地域区分

図:BGSが「地域別指針」(Regional Guide publication series)を発行するために採用している地質学的地域(スコットランドを除く)

RWMは、英国の地質学的状況に関して信頼すべき情報の多くを有する「英国地質調査所」(BGS)と協力して地質学的スクリーニング作業を行い、BGSが「地域別指針」(Regional Guide publication series)を発行するために採用している地質学的地域ごとに、「成果情報パッケージ」を作成する。なお、地質特性の一部については、13の地質学的地域のいずれに対しても当該情報がきわめてまばらであるか、あるいは、ほとんどばらつきが存在しないため、全国レベルの情報のみを示す場合があるとしている。

また、BGSは13の地質学的地域に関して一連の「技術情報レポート」及び「マップ」を作成することになっている。これらの技術資料の作成手順及び実施要綱(プロトコル)についてRWMは、BGSと協力して技術文書に取りまとめており、今回公表した地質学的スクリーニングのガイダンスとともに公表している。

 

表:地質学的スクリーニングにおいて着目する地質特性と成果情報の提示方法

地質特性

地質学的スクリーニング成果情報の提示方法
内容 地図(62万5千分の1)

岩種

  • 地層処分施設が設置される深度にある、母岩となりうる岩種(比較的高強度の岩石、低強度の堆積岩、蒸発岩)の分布
  • 母岩の周囲にある岩石層の特性

候補対象となりうる母岩、その深度、及び特性・場所に関する不確実性についての記述

候補対象となりうる母岩周辺の岩層と安全性に寄与しうる特性についての記述

当該地域に存在する岩盤全体を示す地質柱状図による岩種の表示

地下200~1,000mの深度にある、候補対象となりうる母岩の分布を示した地域図(一般的な3種類の岩種(比較的高強度の岩石、低強度の堆積岩、蒸発岩)の分布図)

少なくとも候補対象となりうる母岩が1つ存在する地域の概要地域図

岩盤の構造
(断層・破砕帯、褶曲の位置等)

  • 多数の褶曲が発達した地域
  • 大規模な断層が存在する地域

地域内にある、安全性に関連する岩盤の構造の性質(大規模な断層、断層帯、複雑な特性を持つ褶曲した岩石のある地域など)についての説明

岩盤構造の分布を示した地域図

地下水

  • 帯水層の存在
  • 浅部地下水と深部地下水の分離を示唆する地質特性と岩種の存在
  • ニアフィールド環境に地下水が急速に流れ込む可能性がある地域
  • 地下水の年代と化学組成

既知の浅部・深部の地下水流動、地下水化学、塩分濃度、年代についての説明

当該地域における地下水流動及び浅部地下水と深部地下水との相互作用に影響を及ぼしうる岩種及びその他の地質特性についての考察

深部ボーリング孔、鉱物、温泉の所在を示す地域図

自然プロセス
(地震・断層活動、氷河作用等)

  • 地震活動の分布とパターン
  • 過去の氷河作用の範囲

英国全土の地震活動、隆起速度、侵食速度、過去の氷河作用中の氷冠に関する情報を当該地域へ適用した解釈

最近の地震活動分布に関する英国全土の地図

過去の氷河作用の程度を示す英国全土の地図

資源の賦存

  • 深部鉱物の存在地域
  • 集中的に深部掘削が実施された地域
  • 将来における開発または資源探査の可能性

当該地域における将来の資源開発の可能性を考慮した、深部の資源探査と開発の歴史についての記述

深度100m以深における、過去及び現代の金属鉱石、工業用鉱物、石炭及び炭化水素の開発状況を示した地域図

■地質学的スクリーニングのガイダンス公表までの経緯

RWMは、2014年7月にエネルギー・気候変動省(Department of Energy and Climate Change, DECC)が公表した白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』に基づき、地層処分施設のサイト選定プロセスの初期段階において、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングを実施することになっている。地質学的スクリーニングは、自治体を含む地域が地層処分施設の設置について検討を行う際、安全面において重要な地質に関する情報を利用できるようにするため、既存の地質情報を活用し、地質学的スクリーニングのガイダンスを適用して実施するものである。なお、地質学的スクリーニングの結果は、地層処分施設の設置に「適格」または「不適格」なエリアの判定やサイトの絞り込みに使用されるものではないと位置づけられている。

RWMは、2015年9月8日に地質学的スクリーニングのガイダンス案を公表し、意見提出期限を2015年12月4日まで公開協議を実施していた。RWMは、公開協議で得られた意見を踏まえ、ガイダンス案を更新し、独立評価パネル(IRP)  の評価を受けた後、最終化したガイダンスを2016年4月に公表した。

放射性廃棄物管理会社(RWM)は公開協議において、地質学的スクリーニングのガイダンス案について4つの質問事項を示し、一般からの意見を募集した。この公開協議では、学会、学術界、地域自治体、地球科学の専門家、NGO、関心を有する個人などから合計78の意見が寄せられた。ガイダンスにおける不明確さを無くすよう改善を図るべきとの意見が多数あったものの、その多くがガイダンスの内容に肯定的なものであったため、ガイダンス案を大きく変更する必要はないと判断したとしている。

独立評価パネル(IRP)は、地質学的スクリーニングのガイダンス案において、RWMが作成したガイダンスは技術的に健全であり、RWMが既存の適切な地質情報を利用して実施する地質学的スクリーニングに適用できると評価している。また、IRPは、RWMがガイダンスに示している、より詳細な調査を実施する地域を特定するための基本情報となる地質学的スクリーニング結果の提示方法(上図参照)を支持するとしている。その一方で、IRPは、RWMによって作成される各地域の報告書の品質と利用可能性の向上、コミュニケーションの改善を今後の課題と指摘している1

【出典】


  1. IRPは、RWMが作成する地質学的スクリーニングのガイダンス案の評価だけでなく、今後RWMが実施する地質学的スクリーニング作業におけるガイダンスの適用状況についても評価も行うことになっている。 []

中国の北京地質研究院(BRIUG)は2016年3月22日付のプレスリリースで、2016年3月18日に、高レベル放射性廃棄物の処分サイト候補地域の一つである西北地域にある甘粛省北山(ペイシャン)において、地下研究所のサイト評価のためのデータ取得を目的としたボーリング孔の掘削を開始したことを公表した。既に実施しているフィールド試験で取得しているデータも利用しつつ、今後実施する地下研究所のサイト選定と設計にとって重要な技術的パラメータや根拠の取得を目的としている。

北京地質研究院(BRIUG)は、中国の原子力発電事業を行う中国核工業集団公司(CNNC)の下部組織の一つであり、ウラン採掘に係る地質学・鉱物資源調査や、リモートセンシング技術の研究部門を有している。BRIUGは、これらの地質調査技術を元に、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究を実施している。中国における高レベル放射性廃棄物処分の実施主体は、国営企業体であるCNNCである。

処分場候補サイト調査対象地域現在、中国における高レベル放射性廃棄物の地層処分に向けた取り組みは、2006年2月に策定された「高レベル放射性廃棄物地層処分に関する研究開発計画ガイド」に則して実施されている。CNNCは、6カ所の処分サイトの候補地域――西北地域、内モンゴル地域、華東地域、西南地域、広東北部地域、新疆ウイグル地域――について実施した予備的な比較に基づいて、西北地域の北山を重点対象として、サイト選定における地質・水文地質学的条件、地震学的条件及び社会・経済的な条件に関する調査を実施してきた。また、部分的にボーリング孔の掘削も実施して岩盤や地下水のサンプルを採取し、花崗岩サイトの予備的評価方法を開発してきた。

北京地質研究院(BRIUG)のプレスリリースによれば、甘粛省北山(ペイシャン)において深度1,000メートルに達する2本のボーリング孔を含めて、合計6本のボーリング孔を掘削する計画である。BRIUGは今回のボーリング調査を、高レベル放射性廃棄物の地層処分に向けた地下研究所のサイト評価作業が正式に開始されたことを示すものと位置づけている。「高レベル放射性廃棄物地層処分に関する研究開発計画ガイド」によれば、今後、中国では2020年前後を目途に、実験室レベルでの研究開発と処分場のサイト選定、地下研究所の設計及び処分場の概念設計、安全評価が実施される予定となっている。

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