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英国のスコットランド政府は、2011年1月に公表した「スコットランドの放射能レベルの高い放射性廃棄物の管理方針」(以下「2011年管理方針」という)について、スケジュール及び実施内容等を示した実施戦略を取りまとめた。今後、原子力発電所の廃止措置で発生する「放射能レベルの高い放射性廃棄物」(Higher Activity Radioactive Waste、HAW)については、地表近くに設置する長期管理施設において管理を継続することとしている。なお、スコットランドでは、2カ所の原子力発電所において4基の改良型ガス冷却炉(AGR)が運転中であるものの、発生した使用済燃料は原子力廃止措置機関(NDA)のセラフィールド再処理施設へ貯蔵のために輸送されており、再処理した後に高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)としてNDAが地層処分するか、もしくは直接処分される予定である。

スコットランド政府は、長期管理施設のサイト選定プログラムの策定プロセスを2030年以降に開始し、施設の建設開始を2070年以降とする予定であり、今後、下表のような3つの段階に分けて作業を進めるとしている。

表:スコットランドにおける放射能レベルの高い放射性廃棄物(HAW)の長期管理スケジュール
段階 期間 実施内容

第1段階

2016~2030年

  • 今後発生する廃棄物についての見直し
  • 現時点で利用可能な技術による廃棄物管理オプションの見直しと更なる研究開発

第2段階

2030~2070年

  • コミュニティ及びステークホルダーの関与プログラムやサイト選定プログラムの策定
  • 原子力廃止措置機関(NDA)、廃棄物発生者、規制機関と協働して、長期管理概念を策定
  • 長期管理施設の設計(モニタリングの実施方法や廃棄物の回収方法を含む)、立地、建設に関するプログラム策定
  • 長期管理施設のサイト選定プログラムの策定
  • 長期管理施設のサイト選定作業
  • 立地地域への便益供与プロセス・内容の決定

第3段階

2070年以降

  • 長期管理施設の建設

スコットランド政府は、長期管理を行う放射能レベルの高い放射性廃棄物(HAW)の量を約41,400m3と推定しており、これらは4カ所の原子力発電所、1カ所の軍事サイト、1カ所の研究サイトから発生するとしている。その多くは、原子力発電所の廃止措置が開始される数十年後に発生する見込みである。また、スコットランドで発生した低レベル放射性廃棄物は、ドーンレイ処分場(スコットランド)やドリッグ村近郊の低レベル放射性廃棄物処分場(イングランド)で処分されている。

スコットランド政府は、今回取りまとめた実施戦略において、今後、コミュニティやステークホルダーの関与プログラムの策定、革新技術の開発や知見の共有などに向けた研究開発等を行うとしている。また、2011年に策定したスコットランドの放射能レベルの高い放射性廃棄物の管理方針と今回取りまとめた長期管理の実施戦略との双方について、今後10年以内に見直しを行うとしている。

《参考》英国における高レベル放射性廃棄物等の管理方針

英国では、2001年より英国政府(当時の中央省庁である環境・食糧・農村地域省(Defra))は、高レベル放射性廃棄物等の解決策を見出すため、地方自治政府(ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)とともに「放射性廃棄物の安全な管理(MRWS)」プログラムを進めた。これら3つの地方自治政府の管轄領域においては、英国政府ではなく、当該自治政府が放射性廃棄物管理に係わる権限を有している。

2006年10月に英国政府(主にイングランドを所管)とウェールズ政府は、高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針を決定している。一方、スコットランド政府は、2007年6月に廃棄物の輸送距離が必要最小限となるように、地表近くに設置する施設で長期管理を行う方針を採用する意向を表明し、公衆協議を経て2011年1月に「スコットランドの放射能レベルの高い放射性廃棄物の管理方針」を決定した。また、北アイルランド政府は地層処分方針を支持しているが、北アイルランドでは地層処分対象となる高レベル放射性廃棄物等が発生していない。

こうしたことから、英国において現在進められている、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設の設置に向けたサイト選定では、イングランド、ウェールズ、北アイルランドを対象として、地質学的スクリーニングの作業が行われている。高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)は、2017年までにスクリーニング結果を公表した上で、自治体を含む地域との正式な協議を開始する予定としている。

【出典】

連邦原子力安全検査局(Eidgenössisches Nuklearsicherheitsinspektorat, ENSI)は2016年12月14日、処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(Nationale Genossenschaft für die Lagerung radioaktiver Abfälle, NAGRA)に対し、地層処分場のサイト選定第3段階において検討する地質学的候補エリアに「北部レゲレン」を含めるべきとの見解を表明した。

NAGRAは、2016年8月に、地層処分場の技術的実現可能性に関するサイトの評価基準に関して、最大深度に係る補足文書をENSIに提出しており、最大深度700mより深いオパリナス粘土層での処分場の建設は極めて困難であり、建設・操業に関する安全面で不利になるなどの考え方を示した。オパリナス粘土層の多くが700m以深に分布している「北部レゲレン」については、予備候補として留保する提案を行っていた。

これに対してENSIは今回、北部スイスの地質学的データが十分とは言えない中で、NAGRAが示したオパリナス粘土層の安定性と堅牢性に関する想定は現在の科学技術的知見に照らして過度に保守的であると判断し、処分場建設上の適性の点で、北部レゲレンが明らかに不利であると判断できないとする見解を表明した。ENSIは今後、サイト選定第3段階において検討対象とする地質学的候補エリアを「チューリッヒ北東部」「ジュラ東部」「北部レゲレン」の3つとすべきとした審査報告書を2017年春に取りまとめる予定である。

今回のENSIの見解表明を受けてNAGRAは、ENSIの勧告を受け入れる意向を示している。NAGRAはすでに2016年2月の段階で、ENSIによる審査の結果により、北部レゲレンが予備候補ではなく優先候補とされた場合のスケジュールの遅延を避けるため、北部レゲレンにおけるサイト選定第3段階の探査を想定した準備作業(探査計画策定、三次元弾性波探査及びボーリング候補地点の検討等)に着手していることを公表している。NAGRAは、北部レゲレンにおいて、他の2つの優先候補と同様、2016年秋から三次元弾性波探査を実施しており、2017年春にはボーリング調査に向けた許認可申請も予定している。

○スイスにおけるサイト選定の現状

「第3段階に向けたサイト提案」 (NAGRA、技術報告書14-01「地質学的候補エリアの安全性の比較及び第3段階において検討対象とするサイトの提案」、2014年12月より)

「第3段階に向けたサイト提案」
(NAGRA、技術報告書14-01「地質学的候補エリアの安全性の比較及び第3段階において検討対象とするサイトの提案」、2014年12月より)

現在行われているサイト選定第2段階では、サイト選定第1段階で選定された高レベル放射性廃棄物の3つ、低中レベル放射性廃棄物の6つの地質学的候補エリアの中から、高レベル放射性廃棄物用、低中レベル放射性廃棄物用のそれぞれの地層処分場について、2カ所以上の候補を提案することが目標となっている。

高レベル放射性廃棄物の地層処分場について、当初の地質学的候補エリアは「ジュラ東部」「北部レゲレン」「チューリッヒ北東部」である。NAGRAは、2014年12月に取りまとめた技術報告書において、岩盤強度及び変形特性を考慮した上での建設上の適性の観点からの最大深度を地下700mと設定し、これに基づいて、オパリナス粘土層の多くが700mより深いところに分布している「北部レゲレン」をサイト選定第3段階で検討する優先候補とせず、予備候補として留保する提案を行っていた。

NAGRAの提案に対し、連邦原子力安全検査局(ENSI)の依頼に基づく外部専門家によるレビューにおいて、NAGRAが提出した岩盤力学的な基本情報や想定条件、設計基準等が不十分かつロバストではないと指摘しており、2015年11月にENSIは、「建設上の適性の観点から見た最大深度(岩盤強度及び変形特性を考慮して)」を用いた評価を可能とするため、NAGRAに補足情報の提出を求めていた。

NAGRAは2016年8月に地層処分場の技術的実現可能性に関するサイトの評価基準に関して、最大深度に係る補足文書をENSIに提出し、地質学的候補エリアの地質工学的条件について、構造地質学的な履歴や処分深度に応じた変化を踏まえて評価するとともに、処分場の人工バリア及び天然バリアに及ぼす影響を長期安全性の観点から評価することにより、高レベル放射性廃棄物用の地層処分場の最大深度を地下700mとする根拠を明らかにしていた。NAGRAは、北部レゲレンを地層処分場とすることについて、「チューリッヒ北東部」及び「ジュラ東部」と比較して明らかに適性が劣ると評価していた

ENSIは、2014年12月にNAGRAが取りまとめた報告書と今回の補足文書とを合わせて、サイト選定第2段階の絞り込み結果について審査を継続しており、今回2016年12月に、オパリナス粘土等の堆積岩層においては、処分空洞やシーリング構造物を十分な信頼性をもって建設可能な深度は地下900mまでと考えられることから、処分場建設上の適性の点で、北部レゲレンが明確に不利であると判断できないとした見解を表明した。

ENSIは2017年春を目途に審査報告書を公表する予定であったが、サイト選定手続きを監督する連邦エネルギー庁(Bundesamt für Energie, BFE)はENSIと協議を行い、審査報告書の公表に先立ち、審査結果の概要を明らかするようENSIに依頼したとしている。

 

○今後の予定

今後、連邦原子力安全検査局(ENSI)による2017年春の審査報告書の公表の後、原子力安全委員会(KNS)1 と州委員会2 がENSIの審査結果に対する見解を表明する。なお、6つの地域会議もそれぞれ、NAGRAの絞り込み提案に対する見解(一部は暫定見解)を表明済みである。連邦エネルギー庁(BFE)はENSIの審査結果、KNSと州委員会の見解等を踏まえて、地質学的候補エリアの提案に関する成果報告書を作成する。2017年末には、成果報告書とENSIの審査結果、各種見解など資料一式が3カ月にわたって州、自治体、政党、関心のある住民、近隣諸国を対象とした意見聴取に付される。意見聴取の結果を踏まえ、2018年末に連邦評議会3 が地質学的候補エリアの提案を承認する予定となっている。

 

【出典】

【2017年4月20日追記】

スイスの連邦原子力安全検査局(Eidgenössisches Nuklearsicherheitsinspektorat、ENSI)は2017年4月18日に、「サイト選定第3段階で調査を継続するサイトの提案に関する安全技術審査報告書」を公表し、改めて「北部レゲレン」を検討対象にすべきとの見解を示した。

ENSIは2016年12月14日に、今回と同様な審査結果の概要をすでに公表しており、処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(Nationale Genossenschaft für die Lagerung radioaktiver Abfälle、NAGRA)に対して、優先候補として提案されている地質学的候補エリア「チューリッヒ北東部」及び「ジュラ東部」に加えて「北部レゲレン」についても、サイト選定第3段階での検討対象とすべきとの見解を表明していた。その際ENSIは、2017年春に審査報告書を公開する予定を示していた。

なお、審査報告書と併せてENSIは、NAGRAの地質学的候補エリアの提案に対する専門的な検討を地層処分場専門家グループ(EGT)、スイス国土地理院(swisstopo)、環境コンサルタント会社など複数の専門家・専門組織に委託しており、これらの組織などが作成した20以上の報告書もENSIのウェブサイトで公表されている。

 

【出典】

【2017年7月4日追記】

スイスの原子力安全委員会(Eidgenössische Kommission für nukleare Sicherheit、KNS)は2017年7月3日に、連邦原子力安全検査局(Eidgenössisches Nuklearsicherheitsinspektorat、ENSI)が2017年4月18日に公表した「サイト選定第3段階で調査を継続するサイトの提案に関する安全技術審査報告書」に対する見解を公表した。ENSIの審査報告書に対する見解においてKNSは、ENSIによる審査は十分かつ妥当であるとしており、処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(Nationale Genossenschaft für die Lagerung radioaktiver Abfälle, NAGRA)が優先候補として提案した地質学的候補エリア「チューリッヒ北東部」及び「ジュラ東部」に加え、予備候補として留保する提案を行っていた「北部レゲレン」をサイト選定第3段階での検討対象に含めるべきとするENSIの勧告を支持するとしている。

原子力安全委員会(KNS)は、原子力法に基づき連邦評議会(日本の内閣に相当)が設置している諮問組織であり、連邦原子力安全検査局(ENSI)、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)、連邦評議会に対して原子力の安全性に関する重要な問題に関して助言を行う役割を担う。また、KNSは、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)で定められる3段階のサイト選定手続きの各段階において、ENSIの審査報告書等に対する見解書を作成するとされている。

 

【出典】


  1. 原子力安全委員会(Eidgenössische Kommission für nukleare Sicherheit, KNS)は、ENSI、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)、連邦評議会に対して安全性に関する重要な問題に関して助言する。 []
  2. 州内に地質学的候補エリアが含まれる7つの州に、近接する地方バーゼル半州を加えた8つの州の代表が参加している。また、投票権は有さないが、BFE、ENSI、ドイツの連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)、及びドイツの3つの自治体の代表者も参加している。 []
  3. 日本の内閣に相当 []

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年12月16日に、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の独立した処分場の計画案を示す報告書を公表するとともに、2016年12月19日付の連邦官報において、2017年3月20日までコメントの募集を行うことを告示した。DOEは、核兵器開発等で発生した高レベル放射性廃棄物や海軍の船舶炉の使用済燃料を保有しており、今回公表された報告書は、これら軍事起源廃棄物の専用処分場の計画案を示すものである。

DOEは、核兵器開発に伴う高レベル放射性廃棄物は米国で新たに発生しておらず、民間の使用済燃料と比較して廃棄物量が限定されて発熱量も小さいことから、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分場は、民間使用済燃料と共同の処分場よりも立地・建設計画の単純化が可能であり、より早期に開発できるとしている。DOEは、全米各地のDOEサイトで保管されている軍事起源廃棄物の撤去及び処分に責任を有しており、専用処分場の開発のために必要な活動について検討してきた。DOEは、軍事起源廃棄物の専用処分場を同意に基づくサイト選定プロセスで開発することにより、今後の米国の全体的な放射性廃棄物戦略に重要な経験をもたらすとしており、軍事起源廃棄物の専用処分場の計画案についてのコメントを募集することが適切としている。

軍事起源廃棄物について独立した専用処分場を開発する方針は、2015年3月に大統領覚書により示されていた。軍事起源廃棄物の処分について、1982年放射性廃棄物政策法第8条においては、費用対効果、保健及び安全、規制、輸送、社会的受容性及び国家安全保障に関連する要因を評価し、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分場の開発が必要であると大統領が判断した場合、民間から独立した処分場を計画することができると規定されている。2015年3月の大統領の判断は、本法に沿った検討・評価と位置付けられる。

今回公表された報告書では、軍事起源廃棄物の専用処分場の開発に係る法的権限と規制枠組みを示した上で、計画、戦略、計画で必要とされる様々な活動などが示されている。軍事起源廃棄物の専用処分場の開発は、段階的なアプローチで進めるものとされ、同意に基づくサイト選定プロセスを構築した後、16年後には処分場の建設を開始し、23年後には操業を開始する予備的なスケジュール案が示されている。費用については、一例として30億ドル(3,600億円)の概算も示されているが、より信頼できる想定を行うためには、立地地点、地質環境、廃棄物量等の確定が必要としている。

【出典】

低中レベル放射性固体廃棄物の浅地中処分場(PPZRO)の立地点(スヴェルドロフスク州のノヴォウラリスク市)

低中レベル放射性固体廃棄物の浅地中処分場(PPZRO)の立地点(スヴェルドロフスク州のノヴォウラリスク市)

ロシアにおける放射性廃棄物管理実施主体の国営企業ノオラオ社(NO RAO)1 は、2016年12月5日のプレスリリースにおいて、ロシアにおける最初の浅地中処分場(PPZRO)の操業を開始したことを公表した。浅地中処分場はウラル山脈の東麓にあるスヴェルドロフスク州のノヴォウラリスク市にあり、低中レベル放射性固体廃棄物を受け入れて処分する2 。浅地中処分場は長さ140m、幅24m、深さ7mの鉄筋コンクリート構造の処分区画を備えており、合計で1万5千立方メートルの廃棄物を処分できるとしている。
また、浅地中処分場は、天然バリアと人工バリアの多重システムで構成されており、マグニチュード6の地震にも耐える構造を備えている。また、浅地中処分場は、2011年に制定されたロシアの放射性廃棄物管理法の要件と国際原子力機関(IAEA)の国際的な基準に則った施設であるとしている。現在のところ、浅地中処分場で処分が許可された廃棄物は、ノヴォウラリスク市でウラン濃縮事業を行っているウラル電気化学コンビナート社から発生する放射性廃棄物に限られており、それ以外の廃棄物を受け入れて処分する場合には、別途許可を取得する必要がある。
なお、国営企業ノオラオ社は、高レベル放射性廃棄物の処分に関する計画について、クラスノヤルスク地方の鉱業化学コンビナート(MCC)に近いニズネカンスキー花崗岩に地下研究所を建設する計画である。地下特性調査などを実施したうえで、2029年までに、最終処分場を立地するかどうかの決定を行う予定である。

【出典】


  1. ロシアでは、2011年に放射性廃棄物管理法が制定され、同法で規定された安全で経済的な放射性廃棄物管理を実施する国家事業者として、2012年3月に国営企業ノオラオが設立された。 []
  2. ロシアでは処分方法に関連させて放射性廃棄物を6つのクラスに分類している。クラス1は発熱性高レベル放射性固体廃棄物、クラス2は高レベル放射性固体廃棄物と長寿命中レベル放射性廃棄物に分類され、いずれも地層処分相当としている。クラス3は100mの深さまでの浅地中処分施設への処分相当の低中レベル放射性固体廃棄物、クラス4は地表レベルの浅地中処分施設への処分相当の低レベル放射性固体廃棄物及び極低レベル放射性固体廃棄物に分類される。クラス5は低中レベル放射性液体廃棄物、クラス6は探鉱や精錬等で発生する廃棄物に分類されている。浅地中処分場(PPZRO)で処分する廃棄物は、クラス3から4の放射性廃棄物である。 []

ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は2016年11月25日に、高レベル放射性廃棄物処分場の選定プロセスに関与する連邦レベルの公衆参加組織である「社会諮問委員会」の委員9名が決定したことを公表した。9名は、議会選出の6名及び市民代表の3名で構成されており、全体で女性が4名選出された。

社会諮問委員会は、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)において設置が規定されており、中立的な立場からサイト選定手続き全体を監視するとともに、関係者間の調整を行う。サイト選定法では、当初、サイト選定手続き等に関する高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)の最終報告書の評価後に設置することが規定されていた。しかし、処分委員会は、サイト選定手続への早期関与の必要性から、処分委員会の最終報告書の提出後に社会諮問委員会を委員9名で暫定的に設置して活動を開始し、その後、サイト選定プロセス開始時に委員18名の体制で本格化させることを勧告していた。この処分委員会の勧告を反映したサイト選定法の改正が2016年6月に行われ、社会諮問委員会の暫定設置のほか、暫定設置時の委員のうち、6名は連邦議会及び連邦参議院が選出し、3名は市民代表(うち1名は若年層を代表)で構成されることなどが規定された

議会選出委員(6名)

連邦議会と連邦参議院は、次の6名を議会選出委員として選出した。(※は女性)

  • クラウス・ブルンスマイヤー:ドイツ環境自然保護連盟(BUND)代表
  • アルミン・グルンヴァルト:ドイツ連邦議会技術評価局局長
  • モニカ・ミュラー:ロッカム・エヴァンゲリストアカデミー学術部長 ※
  • カイ・ニーベルト:ドイツ自然保護連合(DNR)代表
  • ミランダ・シュルールス:ミュンヒェン政治大学環境気候政策学部教授 ※
  • クラウス・テプファー:元連邦環境大臣

市民代表委員(3名)

市民代表委員は、ドイツ全国から無作為に選ばれた市民から、3段階のプロセスを経て選出された。選出プロセスの第2段階において、市民代表委員の活動を支援する「助言ネットワーク」(合計30名)が選出され、第3段階に相当する助言ネットワークの初回会合(2016年11月5日~6日)において、助言ネットワークのメンバーから市民代表委員として次の3名が選出された。3名のうち1名は、16歳~27歳の若年層を代表する委員である。(※は女性)

  • ベッティーナ・ゲーベル:ミュンヒェン近郊エーベンハウゼン在住 ※
  • ヘンドリク・ランブレヒト:カールスルーエ在住
  • ヨーリナ・ズッコウ:ハンブルク在住(若年層代表) ※

 

【出典】

フランスの原子力安全機関(ASN)は2016年12月1日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2016年4月に提出した地層処分場の「安全オプション意見請求書」1 について、国際レビューチームのレビュー報告書を公表した。「安全オプション意見請求書」についてASNは、審査の一環として国際原子力機関(IAEA)にレビューを要請していた。

ASNの委託を受けたIAEAは、9名で構成される国際レビューチーム2 を組織し、2016年11月6~15日にかけてレビューを実施し、レビュー報告書を取りまとめた。国際レビューチームは、研究・開発戦略、知見の取得、操業及び閉鎖後の安全評価のためのシナリオ設定に関するアプローチ、福島第一原子力発電所事故を踏まえた対応という観点からレビューを行っており、以下のような評価・勧告を示している。

  • 地層処分プロジェクトの段階的かつ双方向的な進め方、特にパイロット操業フェーズを導入することや「安全オプション意見請求書」を事前に作成する決定がなされたことは高く評価できる。
  • プロジェクトマネジメントの観点から見て、「処分操業基本計画」3 は有効なツールであり、ASN、公衆、その他のステークホルダーとのコミュニケーションやコンサルテーションに役立つ。
  • プロジェクトマネジメントを強化し、ASNやステークホルダーの間での信頼醸成のため、ANDRAは以下のような取組みを行うべきである。
    • 地層処分場開発のフェーズが次フェーズへと移行する際に、それまでに得られた新たな知見の活用方法、前フェーズとのつながりや一貫性を明示すること。
    • 100年超の地層処分場の供用期間にわたって、操業や閉鎖後の安全確保のために重要なデータや情報が更新・維持され、適切に理解されることを担保すること。
    • 研究開発について、その内容、意図、地層処分場開発の各フェーズとの関連性を特定し、優先順位を検討することにより、地層処分場開発と研究開発計画間の整合性を明確にすること。
    • 操業中のモニタリング計画内容の検討をさらに進める:モニタリングのパラメータと処分場閉鎖後の安全性の関連、モニタリング機器の保守・交換等も含めた操業期間中を通じたモニタリング活動のフィージビリティ等を検討すること。
  • 地層処分場のロバスト性の立証を補強するため、ANDRAは以下のような取組みを行うべきである。
    • カロボ・オックスフォーディアン粘土層4 における地下水の挙動に関わる特徴(割れ目など)を考慮すべきである。
    • 標準シナリオにおいて、高レベル放射性廃棄物の処分容器に当初から欠陥があること、あるいは定置後の早い段階で不備が発生することが考慮されていない理由の妥当性について説明すること。
    • 地層処分場のスリーブ5 について、微生物活動による影響をセーフティケースに含めること。
  • 地層処分場の操業時の安全性を評価するためのANDRAの方法論は包括的で体系立てられている。福島第一原子力発電所事故との関連では、ANDRAはASNのガイドラインに従って、補完的安全性評価(フランス版ストレステスト)を実施している。さらにANDRAは、地下施設からの排ガスのフィルタ装置の導入や、斜坑から流入した水を除去する際の地層処分場の設計のロバスト性を評価すべきである。

ASNは、今回の国際レビュー結果を公開するとともに、「安全オプション意見請求書」に関する審査において支援を受ける放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)やASN内の常設専門家グループにも周知する方針である。また、ASNはANDRAが取りまとめた「安全オプション意見請求書」に関する見解を2017年夏頃に表明する予定である。

なお、2016年7月に成立した「高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の可逆性のある地層処分場の設置について規定する法律」に基づいて、ANDRAは2018年に、地層処分場の設置許可申請を行う方針である。ANDRAは、「安全オプション意見請求書」に関して今後ASNが表明する見解を踏まえて、設置許可申請書の作成を行うことになる。

 

《参考》 フランスにおける地層処分場の設置許可申請の段階的な審査プロセス

フランスでは、原子力施設の設置許可申請に先立って、施設の「安全オプション意見請求書」を原子力安全機関(ASN)に提出し、安全確保に関する見解を求めることができる。放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2013年5月から約7カ月間にわたって開催された地層処分プロジェクトに関する公開討論会の結果を受けて、2014年5月に地層処分場プロジェクトの継続に関する方針を公表し、地層処分場の設置許可申請の審査プロセスとスケジュールに関する提案を行っていた。ANDRAは、地層処分場の設置許可申請書類の提出を段階的に進める方針とし、今回レビューを受けた「安全オプション意見請求書」を先行してASNに提出することを提案していた。ANDRAが「安全オプション意見請求書」をASNに提出することにより、地層処分場の設置許可申請書類の一部を成す下記の内容を前もって示すことになる。

  • 施設の設計とその建設に確保されたオプション及び基本原則
  • リスクインベントリ及びリスク予防に関する技術オプション
  • 予備リスク解析及び影響評価 - 操業期間及び閉鎖後期間を対象

これに対し、ASNは、2014年12月19日付けの書簡において、「安全オプション意見請求書」の提出に係るANDRAの決定を承諾し、ANDRAに対し、「安全オプション意見請求書」において示される地層処分場の基本設計の内容が2008年の地層処分に関するASN指針に整合していることを説明するとともに、全ての操業段階での安全確保のために採用された安全目標、設計、原則について網羅的に提示すること等を要請していた。

【出典】

 

【2016年12月08日追記】

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2016年12月6日に、ANDRAが2016年4月に原子力安全機関(ASN)へ提出した地層処分場の「安全オプション意見請求書」に関して、国家評価委員会(CNE)が行った分析と勧告を取りまとめた報告書「CIGEO2016文書の分析及び勧告」を公表した。CNEは2006年の放射性廃棄物等管理計画法等に基づいて、ANDRAが予定する地層処分場の設置許可申請に関する評価報告書を議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出することになっており、今回の「安全オプション意見請求書」に関する分析と勧告は、設置許可申請を見据えたものである。
CNEは今回の報告書において、以下のような意見を示している。

  • 廃棄物の定置が完了した処分孔は、開放状態にせず、隔離すべきである。
  • 地層処分場の操業に関わる作業員の訓練や、操業手順を決定するために、3次元のインタラクティブなシミュレーションを実施することを勧告する。
  • 工事中の区域と操業中の区域における作業員の安全を同時に確保する措置を明確化し、事故が発生した場合の状況分析を行うべきである。
  • 高レベル放射性廃棄物の処分孔、長寿命中レベル放射性廃棄物の処分坑道、さらにはニアフィールドで生じる現象について、処分場の閉鎖前後に着目した経時変化ダイアグラムを示すべきである。
  • 地層処分場の安全性の立証は、地層処分場の構造物及び地質環境における放射性化学種の放出と移行のモデルに基づいているため、異なるレベルの現象を再現する様々なモデルを明確に区別することを勧告する。また、放射性物質のパラメータの変動がシミュレーション結果に与える影響を評価する感度解析を行うことを要請する。
  • 地層処分場の建設によって影響を受けた岩盤に関するパラメータを、より適切に根拠づけて選択できるようにするため、カロボ・オックスフォーディアン粘土層の過剰な圧力上昇や熱-水-応力連成現象等に関する理解を深め、岩盤の長期的な応力挙動に関する包括的な定量化を行う必要がある。
  • 熱-水-応力連成メカニズム及び複雑な化学メカニズムによって、処分場の閉鎖後にその構成要素が影響を受けるおそれがある。特に、水とガスによる影響が生じる過渡的なフェーズに特に注意すべきである。

    【出典】
    •    CNE、「CIGEO2016文書の分析及び勧告」、ANALYSE DES DOCUMENTS CIGEO 2016 ET RECOMMANDATIONS
    https://www.cne2.fr/telechargements/avis/Analyse-DOS-DOREC-PDE-Vfinal.pdf
    •    ANDRA、2016年12月6日付プレス
    http://www.andra.fr/index.php?id=actualite_1_1_1&art=6101

 

【2017年7月5日追記】

フランスの規制支援研究機関である放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)は2017年7月4日付けプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)から原子力安全機関(ASN)に提出された地層処分場に関する「安全オプション意見請求書」に関する報告書を公表した。本報告書は、ASNの要請に基づいて実施した技術的評価の結果を取りまとめ、ASNの諮問委員会である2つの常設専門家グループ6 に2017年5月に提出したものである。IRSNは、今回の技術的評価を、地層処分場の設計を固める最終ステップと位置づけ、安全オプション意見請求書の内容について、原子力安全や放射線防護の観点から、ANDRAが採用した設計オプションの適切性について評価を行ったとしている。

IRSNは、ANDRAの地層処分プロジェクトに対し、安全オプション意見請求の段階としては技術的に十分に高いレベルに達していると評価する一方で、地層処分場の設計変更が必要となる可能性のある問題点として、以下の4点を指摘している。

  • 地層処分場の施設や立坑が放射性核種の移行経路とならないようにすることを意図した施設構成(アーキテクチャ)の最適化
  • 処分場の操業期間中に実施されるモニタリング計画(操業パラメータのモニタリング、処分孔の挙動などの安全上重要なパラメータ)
  • 地層処分場の施設の汚染事故への対応手段の確保
  • ビチューメン(アスファルト)固化体の処分坑道における火災を想定した対策

 

IRSNは、「安全オプション意見請求書」の提出時における地層処分場の設計について、処分坑道においてビチューメン固化体の火災が発生した場合の安全確保は不十分であるとの見解を持っている。このためIRSNはANDRAに対し、廃棄物発生責任を負う事業者と協力し、ビチューメン固化体の熱反応を抑えるための前処理を行うことを検討するか、あるいは、地層処分場の設計を大幅に見直す必要があると指摘している。

なお、ビチューメン固化体の処分坑道への定置後の発熱反応等に関する研究が従来から進められており、ASNが2017年2月に公表した「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画(PNGMDR)2016-2018」においても取り上げられている。本国家計画の施行に係る2017年2月23日付のアレテ(省令)においては、①廃棄物発生責任を負う事業者の一つである原子力・代替エネルギー庁(CEA)がANDRAと協力し、ビチューメン固化体の挙動に関する研究を継続し、2017年6月末までに政府に研究結果を報告すること、②ANDRAはビチューメン固化体を地層処分場へ受け入れた際の影響を分析し、2018年6月末までに政府に報告することが要求されている

今後ASNは、IRSNが提示した評価結果及び2016年12月に公表された国際原子力機関(IAEA)による評価結果を受けて、2つの常設専門家グループが行う勧告を踏まえ、2017年夏頃に、安全オプション意見請求書に関する見解を公表する予定である。

 

【出典】


  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に基づいて、事業者(ANDRA)は、処分施設の安全を確保するために採用したオプションの全部または一部に関する意見を原子力安全機関(ASN)に請求することができる。 []
  2. フィンランドの安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)の放射性廃棄物及び放射性物質規制部長を長とし、英国、スイス、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、米国とIAEAの9名の専門家で構成 []
  3. 処分事業に関する最新の進捗状況を、操業開始、パイロット操業フェーズから本格操業フェーズへの移行、処分施設の閉鎖等に関する主要な課題と決定の時期を伝え続ける書類であり、5年毎に更新 []
  4. 高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分が想定されている地層 []
  5. 高レベル放射性廃棄物の処分孔(水平に掘削、全長約40m)の内部に設置される金属製の筒であり、廃棄体の設置及び回収を容易にする []
  6. 廃棄物常設専門家グループ(GPD)及び研究所・プラント常設専門家グループ(CPU) []

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2016年11月29日付けのプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の建設を12月に開始することを公表した。また、2016年11月29日付の規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)のプレスリリースにおいて、STUKは11月25日にポシヴァ社が地下の処分場の建設を開始できることを確認・決定したことを明らかにした。

エウラヨキ自治体オルキルオトに計画されている使用済燃料処分場について、フィンランド政府は2015年11月にポシヴァ社に対して処分場の建設許可を発給していた。しかし、ポシヴァ社が処分場の建設を実際に開始するためには、法令に基づき、STUKが建設許可に関連した安全関連要因及び安全規則をポシヴァ社が十分に検討したことを確認することが必要となっていた。

STUKのプレスリリースによるとSTUKは、ポシヴァ社からの提出資料やオルキルオトへの訪問を通じて、処分場に関連する文書や計画を評価し、発給された建設許可に従って、ポシヴァ社が処分場の建設を開始する準備ができていると評価したとしている。また、STUKは今回の結論を出す前の夏から秋にかけて、ポシヴァ社の人的資源、事業マネジメント、品質マネジメント、安全文化、設計活動、建設による影響のモニタリング、核物質防護・保障措置等の、処分場建設に係るポシヴァ社の準備状況について監視していたとしている。

なお、STUKのプレスリリースによると、STUKは建設期間中において、ポシヴァ社の活動を詳細に監督し、様々な段階においても技術計画が安全要件に従っていることについて確認するとしている。その一環として、地上のキャニスタ封入施設についても、ポシヴァ社が建設を開始する前にSTUKが計画を確認・決定するとしている。

処分場の最初の掘削作業

ポシヴァ社のプレスリリースによると、ポシヴァ社は処分場の最初の掘削作業について、YITコンストラクション社と契約したことを明らかにした。契約における作業内容は、主要坑道の最初の部分の掘削、及び主要坑道までの車両アクセス坑道の掘削、キャニスタ搬送リフト用の立坑掘削作業のための予備掘削とその支保作業等が含まれるとしている。契約額は2,000万ユーロ(約23億円)であり、作業期間は約2年半が見込まれている。また、本契約によって雇用される人員は1年あたり100~125人(下請会社を含む)としている。

ポシヴァ社によると、次の地下の処分場建設に関しては、建設作業の進捗により契約がなされるとしている。

 

【出典】

 

【2016年12月22日追記】

フィンランドの雇用経済省(TEM)は、2016年12月21日付のプレスリリースにおいて、ポシヴァ社が使用済燃料処分場の建設を開始したことを受け、政府が2015年11月12日に発給した建設許可が発効したことを公表した。建設許可の許可条件には、処分場の建設が2年以内に開始されない場合には許可が無効となることが付されていたが、実際にポシヴァ社が建設を開始したことを受け、雇用経済省は許可条件が満足されたと確認したものである。

プレスリリースにおいて雇用経済省は、ポシヴァ社が2020年に操業許可の申請を行う予定であることについて言及し、実際にポシヴァ社が使用済燃料の処分を開始するには、別途、処分場の操業許可の発給を受けることが必要なことを指摘している。

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2016年11月8日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の安全審査に関連して、新たな知見を取りまとめるための「ナレッジマネジメント報告書」の策定を行うことを決定した。NRCによる許認可申請書の安全審査については、2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決 を受け、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内で安全審査等の活動が実施され、安全性評価報告(SER)の策定、補足環境影響評価書(SEIS)の策定、許認可支援ネットワーク(LSN) (詳細はこちら) への登録文書の公開作業などが行われてきた。今回のNRCの決定は、2015年2月3日の指示文書で指定された活動が2016年末で終了することから、未使用残高として見込まれる約127万ドル(約1億5,200万円)の使途についてNRCが検討し、NRCの委員会が承認したものである。

未使用の残予算で今後の策定が決定したナレッジマネジメント報告書では、2011年にユッカマウンテン処分場に係る安全審査活動が停止された際に策定されたナレッジマネジメント報告書について、その後の新たな知見などを反映した更新が行われる。ナレッジマネジメント報告書で取りまとめる対象項目は以下が示されており、約9カ月の期間と約70万ドル(約8,400万円)の費用が想定されている。

閉鎖前・閉鎖後の安全評価

  • 不飽和帯の地層処分場における人工バリア性能への腐食科学の新たな知見の適用
  • 処分場の地上施設建屋の地盤工学的安定性の評価
  • 地震フラジリティ曲線(SFC、seismic fragility curve)計算手法の評価
  • 処分場の地上・地下施設の解析への地震動情報の適用

気候と水文学

  • 浸透と地下水流動に係る気候モデルへの取組及び気象データの更新
  • 飽和帯における地下水流動の特性調査・モデル化
  • 地層処分場の性能確認のための独立した地下水流動モデルツールの情報管理
  • 不飽和帯の亀裂性岩盤や熱環境のモニタリング方法及びセンサーの現在の性能(リモートセンサーを含む)

【出典】

 

【2017年8月10日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2017年8月8日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の安全審査に関連して、実施を停止していた裁判形式の裁決手続の開始に関連する情報収集活動を行うことを決定した。今回の情報収集活動を実施することにより、高レベル放射性廃棄物処分に係る2018会計年度の歳出予算の執行に対して、効果的に、かつ、情報に基づいた決定を行うことに寄与するとしている。

具体的な情報収集活動としては、許認可支援ネットワークの諮問レビューパネル(LSNARP)のバーチャル会議を1回開催して、情報を提供するとともに、パネル及び一般からの許認可支援ネットワーク(LSN)、または、適切な代替システムに関する意見を聴取することが考えられている。なお、バーチャル会議の開催のための準備とともに、トレーニングを実施することが想定されている。

また、許認可審査の一環として実施される裁判形式の裁決手続については、ネバダ州でのヒアリング開催の可能性のある場所の調査、ネバダ州のヒアリング施設の購入の可能性を調達局との協議を含めた市場調査を行うとしている。

2017年6月30日現在で、過年度の歳出予算の未使用残高は634,000ドル(約7,160万円、1ドル=113円で換算)となっており、今回の情報収集活動では、このうち、110,000ドル(約1,240万円)を上限として使用することとなっている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年10月24日に、民間プロジェクトによる使用済燃料の集中中間貯蔵のサービスが、DOEによるパイロット規模あるいはフルスケールの使用済燃料貯蔵のために利用可能であるかについて、情報要求(RFI)を行う文書を公表した。情報要求(RFI)は2016年10月27日付の連邦官報で告示されることとなっており、2017年1月27日まで回答を受け付けるとしている。

DOEは、2013年1月に公表した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下、「DOE戦略」という)において、パイロット規模及びフルスケールの中間貯蔵施設の開発が必要であるとして、連邦政府による中間貯蔵施設の開発の検討を行ってきた。民間プロジェクトとして進められている中間貯蔵施設は、DOE戦略では想定されていなかったが、連邦政府による中間貯蔵施設の代替または追加として利用可能な有望な選択肢であるとして、本情報要求(RFI)が発行されたものである。今回の情報要求(RFI)では、以下の12の質問への回答が求められている。

  1. 民間プロジェクトが、統合的な放射性廃棄物管理システムの一部として、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵の実現可能な解決策を提供するため、どのような要因が考慮されなければならないか。
  2. 民間プロジェクトは、中間貯蔵施設が立地する地元自治体・州や先住民族にどのような利益をもたらし得るか。隣接自治体についてはどうか。
  3. 民間プロジェクト及び自治体とともにDOEの参加が必要であるとした場合、組織・構造・契約枠組みとしてどのような形が必要か。また、その理由は。
  4. 連邦政府の投資による連邦政府所有・契約者操業の中間貯蔵施設と比較して、民間プロジェクトの長所・短所は何か。
  5. 使用済燃料が民間の貯蔵施設で効果的に管理され、連邦政府の費用が抑えられているとの連邦政府への保証として、どのようなものが適切と考えるか。
  6. 民間プロジェクトではどのようなビジネスモデルの可能性があるか。また、そうしたビジネスモデルの長所・短所は何か。
  7. 貯蔵期間中に生じる可能性がある責任については、どのように管理するか。
  8. 州・地域・先住民族による承認として、どのようなものが必要か。
  9. 民間プロジェクトの概念を、公正で開かれた透明な形で検討、実施し続けるため、連邦政府はどのようにしたら良いか。
  10. 民間プロジェクトに関わる立地州・先住民族・地域自治体と連邦政府の間で支援協定を締結する場合、どのような協定が期待されるか。
  11. その他に考慮すべきことはあるか。
  12. 連邦政府所有でない施設を開発するため、他の代替的なアプローチはあり得るか(例えば、プロジェクトの資金調達、予想される規制・法的問題など)。もし存在する場合、それはどのようなものであり、上記の質問に対してどのような答えが得られるアプローチか。

DOEは特に、中間貯蔵施設の開発の可能性がある事業者、その立地・隣接自治体、及び既存の放射性廃棄物施設の操業者は、本情報要求(RFI)への回答に関心があるものと考えているとしている。なお、米国では、テキサス州においてはウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社が、ニューメキシコ州ではエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)とホルテック・インターナショナル社が、それぞれ中間貯蔵施設の開発を表明し、原子力規制委員会(NRC)による許認可取得に向けて取り組んでいる。

なお、本情報要求(RFI)は、連邦政府が実際に民間貯蔵サービスを調達することを約したものではないとしている。

 

【出典】

ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は2016年10月21日、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づいて設置される連邦レベルの公衆参加組織である「社会諮問委員会」について、市民代表委員を選出するための市民フォーラムを全国5カ所で順次開催することを公表した。

市民フォーラムの参加者は各開催地とも24名であり、ドイツ全国から無作為に選ばれ、賛同の意思を表明した計120名が最も近い開催地での市民フォーラムに出席する。市民フォーラムの開催地と期間は、以下の通りである。

  • ミュンヘン(2016年10月21~23日)
  • ライプツィヒ(2016年10月28~30日)
  • ハンブルク(2016年10月28~30日)
  • デュッセルドルフ(2016年10月28~30日)
  • カッセル(若年層を対象。2016年10月28~30日)

ドイツでは、最終処分場のサイト選定手続きの開始から終了までの全プロセスを中立的な立場から監視し、関係者間の調整を行う組織として社会諮問委員会の設置が定められている。選定プロセス開始に先立って暫定的に設置される社会諮問委員会は、連邦議会及び連邦参議院により指名される6名の委員に加えて、市民代表委員3名の合計9名で構成されることになっており、市民代表委員のうち1名は、16歳~27歳の若年層という条件がある。今回の5カ所で開催される市民フォーラムは、段階的に市民代表委員の3名を選出するプロセスの一環である。

市民代表委員の選出プロセス

市民代表委員の選出プロセス

市民代表委員の選出手続き

社会諮問委員会の市民代表委員は以下の3段階の手続きで選出される。

◯第1段階:市民の招請(2016年9月14日~)

ドイツ全国から無作為抽出された電話番号に電話し、若年層(16歳~27歳)を含む市民に対し、「市民フォーラム」参加への関心の有無を確認し、関心があると答えた市民が市民フォーラムへ参加する。この手続きは、市民フォーラム参加者が年齢層、性別ごとの定員に達するまで実施され、合計120名の市民が登録される。市民フォーラムへの参加者を集める無作為抽出プロセスは、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)から委託を受けたバンベルク大学が民間のコンサルティング会社と協力し実施している。

◯第2段階:市民フォーラム(2016年10月21~23日及び28~30日)

市民フォーラムは、全国5カ所の各開催地で24名、合計120名の第1段階で決定した市民が参加して開催される。フォーラム参加者は、年齢層(18歳~34歳、35歳~50歳、51歳~64歳、65歳以上の4つ)、性別ごとの参加者数がほぼ同数となるよう調整されている。ただし、5カ所の開催地の一つであるカッセルでは、16歳~27歳の若年層が参加する市民フォーラムとして企画されている。

市民フォーラムでは、市民が最終処分場のサイト選定に関する課題、今後の選定手続きや社会諮問委員会の役割について学ぶ取り組みが行われ、市民の質問に対して専門家が回答する。また、各地の市民フォーラムでは、市民代表委員の今後の活動に向けた勧告を取りまとめるとともに、次の第3段階で決定される市民代表委員の活動を支援する「助言ネットワーク」のメンバー(合計30名)が選出される。市民代表委員は、助言ネットワークのメンバーから選ばれる。

◯第3段階:助言ネットワークの初会合及び市民代表委員の決定(2016年11月5~6日)

第2段階で選ばれた「助言ネットワーク」のメンバーは、2016年11月5日及び6日の2日間、ベルリンで初会合を行い、5カ所の市民フォーラムにおいて取りまとめられた勧告を評価し、社会諮問委員会の市民代表委員として当初3年間活動する3名(うち1名は若年層)及び委員代理3名(1名は若年層)を選出する。

なお、助言ネットワークは市民代表委員の決定後も引き続き存続し、社会諮問委員会における市民代表委員の活動を支援する役割を担うこととなっている。

【出典】