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スウェーデンの規制当局である放射線安全機関(SSM)は、2017年6月30日付のプレスリリースにおいて、原子力発電所の廃止措置、放射性廃棄物の処分等に係る基金(原子力廃棄物基金)への拠出金の単価について、政府(環境省)への提案に先立って、原子力発電事業者等の見解を聴取するため、2018~2020年に適用される単価の試算値を公表した。SSMは、原子力発電電力量1kWh当たりの平均で、現行の拠出単価である4.0オーレ(0.48円)に対して、2018~2020年の拠出単価を6.4オーレ(0.77円)とする試算結果を示している。

表 原子力廃棄物基金への拠出単価の変化
原子力発電所  2015~2017年の拠出単価
(2014年政府決定額)
 2018~2020年の拠出単価
(SSM提案)
 フォルスマルク  3.9オーレ/kWh  4.5オーレ/kWh
 オスカーシャム  4.1オーレ/kWh  8.0オーレ/kWh
 リングハルス  4.2オーレ/kWh  6.8オーレ/kWh

拠出単価が増加する主な要因は、原子力発電事業者が計4基の原子炉を早期に閉鎖するとしている運転計画の変更である。現行の拠出単価(2015~2017年に適用)が設定された2014年時点では、3カ所の原子力発電所(フォルスマルク、オスカーシャム及びリングハルス)において原子炉10基が運転されていたが、その後、電力需要の低迷や運転コストの増加を背景として、原子力発電事業者が計4基の原子炉を早期に営業運転を終了する方針に転じている。オスカーシャム原子力発電所の3つの原子炉のうち、出力増強工事のために停止していた2号機は再稼働せずに2015年12月に閉鎖されたほか、1号機も2017年6月17日に閉鎖された。また、リングハルス原子力発電所の1、2号機は、それぞれ2020年6月、2019年7月に営業運転を終了する予定である。これらの早期に閉鎖される原子炉の廃止措置の開始が早まることにより、オスカーシャムとリングハルスの各原子力発電事業者に適用される拠出単価が大幅に増加する結果となっている。

■資金確保制度の改定

今回の放射線安全機関(SSM)による原子力廃棄物基金への拠出単価の提案では、政府が2017年6月1日付でスウェーデン議会(国会)に提出した資金確保法令の改正案の内容を織り込んだ形で試算を行っている。現行の法制度では、原子炉運転期間40年までに発生する使用済燃料や放射性廃棄物を処分するために必要な費用に基づいて、原子力発電会社ごとに発電電力量1kWh当たりの拠出単価を決定する仕組みであるが、今回のSSMの試算では、原子炉運転期間を50年として拠出単価を試算している。

スウェーデンでは、今後2020年頃に運転中の原子炉の多くが運転期間40年を超過する。こうした状況から、SSMは、2016年10月14日に取りまとめた政府への報告書において、資金確保制度で想定する原子炉運転期間を50年に引き延ばす提案を行っていた。SSMは今回の拠出単価の試算に先立ち、原子力発電事業者が共同出資して設立したスウェーデン核燃料・廃棄物会社(SKB社)に対し、原子炉運転期間を40年と50年とした2ケースについて、それぞれの原子炉運転終了時点までに発生する使用済燃料と放射性廃棄物の発生量を評価し、それらの処分に必要となる将来費用をSSMに報告するように指示した。これを受けてSKB社は、将来費用の算定結果を2016年12月に報告書「プラン2016」としてSSMに提出していた。

なお、スウェーデンにおいては、資金確保制度で想定する原子炉運転期間(現行の制度では40年)を超えた以降に発生する使用済燃料等の処分費用については、原子力廃棄物基金への拠出金の支払いとは別に、原子力発電事業者が国に担保を預ける義務が導入されている。今後、資金確保制度で想定する原子炉運転期間を50年に改正された場合、従来は担保として預け入れていた資金は、今後、政府が決定する拠出単価に基づいて基金へ拠出する形に変わることになる。

【出典】

カナダサイト選定状況201706

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2017年6月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2017年6月23日付で、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたオンタリオ州のセントラルヒューロン自治体(右上図21番)とホワイトリバー・タウンシップ(右上図10番)を、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。NWMOは、これら2地域ではプロジェクトに対する関心はあるものの、それぞれの地域内で地質工学的な調査を進める上で、十分な信頼感を住民に与えられるほどには関心・学習を拡大することができなかったとしている。 NWMOは、使用済燃料処分場の立地に好ましい1カ所のサイトを選定するためには、安全要件に合致する可能性がより高く、プロジェクト実施に対して地元住民が関心を持ち続けるための基盤を有する地域に絞り込んでいく必要があるとしている。 NWMOは、サイト選定プロセスに残っている7自治体において、現在進行中の第3段階第2フェーズのフィールド調査の中でボーリング調査の実施を予定している。これら7自治体を地理的な近さに応じて以下の4グループにまとめ、ボーリング調査の実施に向けた計画の策定を進めるとしている。

  • ホーンペイン/マニトウェッジ地域:処分場の立地に潜在的に適すると考えられるボーリング調査地点1カ所の特定に向けて、このエリアの住民と協力する取組みを計画している。技術的な適性があり、社会的に受け入れられるボーリング調査地点1カ所を特定できた場合には、初期ボーリングの掘削を2018年に開始する。
  • ヒューロン=キンロス/サウスブルース地域:処分場の立地に潜在的に適すると考えられる地点でのボーリング調査の前に、この地域の地質に関する理解の向上を図るため、複数の地点でボーリング調査を行う計画である。ボーリング掘削の時期や詳細は検討中である。
  • イグナス地域:初期ボーリング調査を2017年に開始する計画であり、先住民等との協力の下、「レヴェル底盤」(Revell Batholith)として知られている深成岩の地層の一部を対象とする調査地点を特定済みである。この調査地点は、処分場サイトとして技術的な適性があり、社会的に受け入れられる可能性がある。
  • エリオットレイク/ブラインドリバー地域:先住民の助言と参加を得て、地質学的・環境学的なマッピング調査を実施中である。初期ボーリング調査に関する計画は、その実施に関する判断を含めて2018年初めに決定する予定である。

NWMOは、第3段階第2フェーズのフィールド調査の途中段階でも、得られた情報に基づいて、適性が低いと思われる地域を除外していく考えであり、2023年には1カ所の好ましいサイトを選定する準備が整うとしている。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2017年6月16日付けプレスリリースにおいて、オルキルオトの地下特性調査施設(ONKALO)の深さ約420mでパイロットボーリングの掘削を4月に開始したことを公表した。パイロットボーリングは、処分場の主要坑道の掘削に先立って、ONKALOの地下部分から水平方向にボーリング孔を掘削するものであり、ボーリング孔と採取するボーリングコアサンプルを調査することにより、オルキルオトの地質と水理モデルを更新するための新たな情報が得られるとしている。これによって、岩盤の適合性が確認されれば、主要坑道の掘削を今夏の終わり頃から開始するとしている。

■統合作動試験を2022年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の操業許可申請前に、地下の実環境において、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置の統合作動試験(joint operation test)を2022年頃に行う計画である。この統合作動試験では、使用済燃料を収納したキャニスタは使用されない。プレスリリースによると、ポシヴァ社は統合作動試験に向けて、長さ60mの主要坑道と、長さ80mの処分坑道を掘削し、処分坑道において4本の処分孔を鉛直方向に掘削する計画である。

ポシヴァ社の現在の予定では、統合作動試験において、4つの処分孔へそれぞれ実物大の模擬キャニスタを定置し、その周囲に緩衝材(ベントナイト)を設置した後、処分坑道を埋め戻すまでの一連の運用性を試験し、検証する。埋め戻し後においては、処分孔を対象としたモニタリングは行わないが、処分孔周辺の地下水流動等のモニタリングを実施するとしている。

■ONKALOでの実規模原位置システム試験を2018年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の統合作動試験に先だって、ONKALO内において、実規模原位置システム試験(FISST:Full-scale In-Situ System Test)を2018年に実施する計画である。FISSTは、2本の試験処分孔に銅キャニスタ、ヒーターと緩衝材とを定置し、実証坑道の埋め戻し、実証坑道の入り口を塞ぐプラグを設置するものである。また、銅キャニスタ・緩衝材の設置、実証坑道埋め戻し等の作業には、機器・装置の試作機を使用するとしている。FISSTの結果を踏まえて、統合作動試験や実際の処分操業で使用する人工バリアや機器・装置の設計・製作を行う計画としている。

 

(参考)統合作動試験について

ポシヴァ社が3年毎に公表している原子力廃棄物管理プログラム(YJH-2012、YJH-2015)によると、ポシヴァ社は、地下特性調査施設(ONKALO)の実証坑道において、処分システムの部分的試験を実施し、機器、装置及び作業方法の詳細な運用を検証する。その後、処分システムの各段階をつなげて、部分的試験で承認される方法の適合性を分析するため、最終処分に関係する機器・装置及び作業方法の統合作動試験を実施する計画である。なお、統合作動試験は、地下の処分施設と地上のキャニスタ封入施設について、それぞれ個別に実施される。

YJH-2015報告書によると、2022年頃の開始を予定している統合作動試験では、地下の実環境で、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置を用いて、使用済燃料が封入されていない模擬の銅キャニスタを使用することを除いて、実際の操業条件で処分試験が行われるとしている。また、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)から使用済燃料の取扱いに関する許可を得た後、2023年頃に使用済燃料の取扱いを含めた「原子力統合作動試験」を実施するとしている。

 

【出典】

スイスのジュラ州にあるモン・テリ岩盤研究所を管理するスイス国土地理院(swisstopo)は、岩盤研究所の坑道拡張工事を2017年6月15日に開始したことを公表した。モン・テリ岩盤研究所では、放射性廃棄物の地層処分や二酸化炭素の地中貯留に関連して、今後10年の計画として約50件の新規研究プロジェクトが計画されているが、既存坑道ではスペースが不足することから、既存部分の南側に全長約600メートルの坑道を新たに掘削する。

今回の坑道拡張工事の総費用は約400万スイスフラン(日本円で約4億5,200万円、1スイスフラン=113円で換算、以下同様)と見積っている。坑道拡張工事は2019年半ばまでに完了する見込みであるが、工事中にも坑道掘削による水理・岩盤力学的な影響を調べる試験(Mine-by Test)が実施される予定である。

モン・テリ岩盤研究所の概要

モン・テリ岩盤研究所は、高速道路の避難・管理用トンネルと周囲のオパリナス粘土層を利用して設置された国際共同研究施設であり、1996年以降、約150件に及ぶ試験が実施されている。複数回に及ぶ坑道拡張工事により2017年6月現在、モン・テリ岩盤研究所の坑道延長は約700メートルとなっている。スイスの放射性廃棄物処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)はモン・テリ岩盤研究所において、地層処分の候補母岩であるオパリナス粘土層中でのガスの拡散挙動、微生物の活動、母岩に対する熱影響に関する試験研究などを実施している。モン・テリ岩盤研究所における国際共同研究プロジェクトには、スイスを含めた8か国から以下の16の組織が参加しており、今回の坑道拡張工事の費用を分担するとしている。

  • スイス国土地理院(swisstopo、スイス)
  • 連邦原子力安全検査局(ENSI、スイス)
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA、スイス)
  • 原子力研究センター(SCK・CEN、ベルギー)
  • 連邦原子力管理庁(FANC、ベルギー)
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA、フランス)
  • 放射線防護・原子力安全研究所(IRSN、フランス)
  • 連邦地球科学・天然資源研究所(BGR、ドイツ)
  • 施設・原子炉安全協会(GRS、ドイツ)
  • 株式会社大林組(日本)
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA、日本)
  • 一般財団法人電力中央研究所(CRIEPI、日本)
  • 放射性廃棄物管理公社(ENRESA、スペイン)
  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO、カナダ)
  • シェブロン・エネルギー技術社(Chevron Energy Technology ETC、米国)
  • エネルギー省(DOE、米国)

モン・テリ岩盤研究所には、これまでに総額約8,000万スイスフラン(約90億4,000万円)が投じられており、上記の16の組織も費用を分担してきた。

モン・テリ岩盤研究所の地下部分はジュラ州が所有権を有しているが、今回の坑道拡張工事についてジュラ州は2016年12月に、坑道拡張工事に必要な許可を発給していた。また、管理・操業者であるswisstopoは毎年、ジュラ州から研究プロジェクトの実施のための地下利用の許可を得ている。なお、モン・テリ岩盤研究所は研究施設として供用されており、将来にわたり放射性廃棄物処分場として利用されることはない。

mont-terri

モン・テリ岩盤研究所の位置

【出典】

米国の政府説明責任院(GAO)は、2017年5月26日に、ユッカマウンテン処分場の建設に係る原子力規制委員会(NRC)での許認可申請の審査について、審査手続の再開・完了のための必要事項等を検証した報告書を公表した。本報告書は、連邦議会下院のエネルギー・商務委員会の委員長らが2016年2月29日に、GAOへ依頼したことを受けて取りまとめられたものである。本報告書では、①エネルギー省(DOE)による2010年3月の許認可申請書の取下げ申請以降に実施された活動、②許認可手続を再開して完了するために必要と考えられる主要ステップ及びその成否に影響し得る要因が検証されている。

2010年3月のDOEによる取下げ申請以降の動きとしてDOE及びNRCは、技術的審査や裁判形式の裁決手続など、NRCにおける許認可プロセスを実施する能力をほぼ壊滅的状態にしたこと、特に、許認可プロセスを実施する組織及び資金が消滅したこと、NRCスタッフによる技術的審査を停止したこと、NRCが保有していた専用のヒアリング施設を廃止した一方で、数百万の文書など関連データの保存も行ったことなどが示されている。DOE及びNRCは、NRCが2011年9月に正式に許認可プロセスを停止したときには、実施体制の解体作業をほとんど完了していた。2013年11月の連邦控訴裁判所判決により、NRC許認可手続の再開が命じられたことを受けてNRCは、残予算の範囲内で許認可審査活動を再開したが、裁判形式の裁決手続は再開されていない。2016年末から2017年初めの時点では、DOEもNRCも、裁決手続を再開するための公式の計画はないとしていた。

政府説明責任院(GAO)の報告書では、許認可プロセスを再開し、完了するために必要な主なステップとして、以下の4点が示されている。

  1. NRCの委員会が許認可プロセスの再開、時期その他の詳細を決定し、通知を受けた許認可プロセス参加者とNRCが、裁決手続に必要となる資金を確認
  2. DOE及びNRC、その他参加者のプロジェクト部局を再設置するための人員確保など、組織的対応力の再構築
  3. 裁決手続の参加者を再招集し、証人の証言書や証拠開示手続など、裁決手続の残されたプロセスを完了
  4. 処分場の建設の認可に係るNRCの委員会の最終決定など、許認可プロセスの残りのステップを実施

政府説明責任院(GAO)の報告書では、裁判形式の裁決手続において許認可申請書を弁護する専門家証人を復帰させることができるかなど、様々な要因が許認可プロセスの再開・完了のために必要な時間に影響を与え得るとしている。

なお、本報告書は、政府説明責任院(GAO)が2016年3月から2017年4月にかけて調査したものであり、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)その他の関連法令、関連文書等を精査した上で、DOEの処分実施主体であった民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)の元職員などのDOEやNRCの担当官、NRC許認可手続に参加していた関係者などに対して聞き取り調査が実施されている。

【出典】

  • 政府説明責任院(GAO)報告書、「ユッカマウンテン処分場の許認可手続の再開にはエネルギー省(DOE)や原子力規制委員会(NRC)の体制再構築などが必要」、2017年4月26日(2017年5月26日公表)
    https://www.gao.gov/products/GAO-17-340

 

【2017年5月30日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は2017年5月26日に、ユッカマウンテン処分場に関する政府説明責任院(GAO)の報告書に対するプレスリリースを公表し、GAOの報告書を歓迎するなどを主旨とするエネルギー小委員会委員長及び環境小委員会委員長の見解を示した。両委員長は2016年2月に、ユッカマウンテン許認可申請を再開・完了するためのエネルギー省(DOE)の実施能力について評価する報告書を策定するよう、GAOに要求していた。

プレスリリースの中で両委員長は、政府説明責任院(GAO)報告書で確認された今後必要な主な4つのステップを示した上で、以下の見解などを示している。

  • いくつかの課題は残されているものの、政府説明責任院(GAO)報告書は、エネルギー省(DOE)及び原子力規制委員会(NRC)がユッカマウンテン許認可プロセスを完了するために必要なステップのロードマップを提供している。
  • 許認可申請を完了するためのプロセスは、独立した立場のNRC行政判事の前で、公式に正当性を主張する機会をネバダ州に提供するものであり、極めて重要である。
  • 下院エネルギー・商務委員会が放射性廃棄物政策に係る包括的な法案の制定を目指す中で、政府説明責任院(GAO)報告書で示された課題に対応するためにDOEと協調して取り組んで行く。

【出典】

米国で2017年5月23日に、2018会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。また、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでDOEの予算要求資料が公表され、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「使用済燃料等」という。)の管理については、新たに「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムが設けられ、120,000千ドル(約136億円、1ドル=113円で換算)が要求されている。また、原子力規制委員会(NRC)のウェブサイトでも予算要求資料が公表され、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続の継続のための予算として、30,000千ドル(約33億9,000万円)が要求されている。

DOEの予算で新たに設けられた「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムは、使用済燃料等に対する連邦政府の責務を満足するとともに、国家安全保障を強化し、将来の納税者の負担の軽減に資するものとされている。本プログラムは、ユッカマウンテン許認可申請書の審査手続を復活させるという現政権の決定を実施に移すものであり、処分場が開発されるまでの近い将来については、中間貯蔵の体制を確立するものとしている。本プログラムでは、2018会計年度の実施事項として、以下が示されている。

ユッカマウンテン(110,000千ドル(約124億円))2

  • 高度に技術的・詳細な質問への対応のため、処分場の閉鎖前・閉鎖後の解析活動を実施
  • 訴訟対応として技術的・科学的・法的支援を提供
  • 争点の解決に係る成果を反映して許認可申請書及び関連文書を更新・維持
  • 許認可申請書の支援文書との一貫性等を確保
  • 証言書の準備・レビュー
  • NRCの原子力安全許認可委員会(ASLB)の裁決手続によるヒアリングにおけるDOE側の証人・証言の準備
  • 裁決手続での証拠開示手続の準備
  • 裁決手続での質問書への対応・準備
  • 裁決手続での動議その他法的手続の支援
  • 許認可手続の支援に必要な地質学的試料・施設の維持
  • 他の政府機関、地方政府、公衆等に対する効果的なコミュニケーション提供の義務を支援する包括的なコミュニケーション戦略の構築

中間貯蔵(10,000千ドル(約11億3,000万円))3

  • 商業的な使用済燃料中間貯蔵サービスの競争的調達の計画・策定の開始
  • 使用済燃料等の将来における輸送を支援する、輸送計画・調達・国家環境政策法(NEPA)分析を加速する活動の開始
  • 将来の使用済燃料等の輸送に備えるため、地域・州等の輸送当局との関係の維持
  • 物流上の要件や解析能力に対する最低限の支援の維持

DOEの予算要求資料では、現在は停止されている原子力発電事業者からの放射性廃棄物基金への拠出金について、2020会計年度から徴収を再開することが示されている。拠出金の徴収には、金額の妥当性評価報告書が必要であることが1982年放射性廃棄物政策法で規定されており、DOEは2018会計年度において、拠出金の妥当性評価報告書の策定を開始するとしている。

なお、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の活動としては、前政権ではDOE原子力局(NE)の燃料サイクル研究開発プログラムの下で、「使用済燃料処分等研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)及び「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)として、研究開発活動、同意に基づくサイト選定プロセスの構築、超深孔処分フィールド試験などが実施されてきたが、今回公表されたDOEの予算要求文書では、両プログラムとも廃止が提案されている。ただし、中間貯蔵及び輸送計画に関する活動については、新設された「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムに移管するものとされている。

一方、NRCの予算要求資料では、高レベル放射性廃棄物の予算として30,000千ドル(約33億9,000万円)が計上されており、主な活動として、処分場建設認可に係る許認可申請書の審査活動の継続、裁判形式の裁決手続再開の準備、関連訴訟への参加と準備が挙げられている。これまでNRCにおけるユッカマウンテン処分場の許認可申請書に係る審査活動は、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内で限定的に行われていた

また、2017年1月に操業を再開した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、2016~2017会計年度と比較して約18,000千ドル(約20億円)増の323,041千ドル(約365億円)の予算が要求されている。要求額には換気システムや排気立坑の費用が含まれているが、主な増加要因として、2017年に操業が再開されたこと、是正活動の維持、輸送回数増加のための対応などが挙げられている。

【出典】

 

【2017年6月23日追記】

米国の連邦議会において、2017年6月20日~23日に、エネルギー省(DOE)の2018会計年度の予算要求に関するヒアリングが実施された。ヒアリングは、以下に示す日程で上下両院の関連委員会が開催したものであり、エネルギー長官が証人として出席して2018会計年度の予算要求について説明するとともに、各委員会の委員による質疑が行われた。

開催日 開催委員会

2017年6月20日

下院歳出委員会(エネルギー・水資源小委員会)

2017年6月21日

上院歳出委員会(エネルギー・水資源小委員会)

2017年6月22日

上院エネルギー・天然資源委員会

エネルギー長官が各委員会に提出した証言書では、高レベル放射性廃棄物処分に係る前進が必要との認識の下、ユッカマウンテン処分場に係る許認可活動の再開及び使用済燃料の中間貯蔵プログラムの開始のために1億2,000万ドル(約136億円、1ドル=113円で換算)の予算を要求していることが示されている。その上で、長期にわたり停止していたユッカマウンテン処分場の許認可活動の再開及び中間貯蔵施設の確保を明確に示した2018会計年度の予算要求は、高レベル放射性廃棄物に対応する連邦政府の義務を満足し、国家安全保障を強化し、将来の米国納税者の負担を軽減するものとしている。これはまた、原子力安全・安全保障に対する公衆の信任を増し、原子力が米国のエネルギー需要に貢献し続けることを支援するものとしている。

エネルギー長官は、各委員会の質疑での回答においても、ユッカマウンテン計画の再開と中間貯蔵プログラムの開始に強い意欲を示している。これに対し、ネバダ州知事及びネバダ州選出の連邦議会議員は、ネバダ州はユッカマウンテン処分場計画に一貫して反対を続けており、DOEは同意に基づくサイト選定の取組を継続すべきであるなどの主旨で、エネルギー長官が一連のヒアリングで示した見解を批判するプレスリリースを発出している。

【出典】

 

【2017年7月13日追記】

米国の連邦議会下院の歳出委員会は、2017年7月12日に開催した法案策定会合において、2018会計年度4 のエネルギー・水資源開発歳出法案の草案(以下「歳出法案草案」という。)を承認した。本歳出法案草案では、エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として120,000千ドル(135億6,000万円、1ドル=113円で換算)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として30,000千ドル(33億9,000万円)と、いずれもエネルギー省(DOE)等の予算要求と同額が割り当てられている。

歳出法案草案では、DOEに計上されたユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算の一部について、ネバダ州及び影響を受ける自治体等に対し、許認可活動への参加に係る費用などとして補助金等を財政支給することが規定されている。ただし、これらの資金は、訴訟費用や中間貯蔵活動等には使用できないことなどが規定されている。また、2017会計年度の下院歳出法案と同様に、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じることも規定されている。

また、歳出法案に付随する下院歳出委員会報告書では、「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として45,000千ドル(50億8,500万円)が計上されている。DOEが2017年5月23日に公表した予算要求では、同プログラムの予算は要求されていなかった。

なお、2017年7月12日に開催された下院歳出委員会の法案策定会合において技術的な事項に係る修正案が承認されているが、これらの修正事項を反映して、法令番号を付した歳出法案は2017年7月12日時点では公表されていない。

【出典】

 

【2017年7月25日追記】

米国の連邦議会上院の歳出委員会は、2017年7月20日に、2018会計年度5 のエネルギー・水資源開発歳出法案(S.1609)を承認し、上院本会議に提出した。本歳出法案では、使用済燃料の中間貯蔵について、前年度に上院で可決された2017会計年度の歳出法案と同様に、中間貯蔵施設のパイロットプログラムの実施等をエネルギー長官に命じる規定が置かれている。また、本歳出法案では、エネルギー省(DOE)の予算要求では廃止とされた予算として、使用済燃料処分等(UNFD)研究開発及び統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)プログラムの予算が計上されている。なお、ユッカマウンテン関連の予算及び記述は盛り込まれていない。

下表は、2018会計年度の歳出法案での高レベル放射性廃棄物関連予算について、上下両院で提出された歳出法案における予算計上金額及びポイントを示したものである。

項目 連邦議会上院の歳出法案 連邦議会下院の歳出法案
研究開発 65,000千ドル(73億4,500万円、1ドル=113円で換算) 45,000千ドル(50億8,500万円)
  • 使用済燃料処分等(UNFD)研究開発として、処分及び貯蔵に係る一般的な研究開発活動を継続するための予算を計上
地層処分 【予算計上なし】 120,000千ドル(135億6,000万円)
  • ユッカマウンテンに関する記述はなし
  • ユッカマウンテン処分場計画の再開のため許認可活動予算等を計上
中間貯蔵 35,000千ドル(39億5,500万円) 【予算計上なし】
  • 統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)として集中中間貯蔵計画の実施のための予算を計上
  • 予算金額のうち10,000千ドル(11億3,000万円)については、集中中間貯蔵に係る民間事業者との契約締結をエネルギー長官に許可
  • 集中中間貯蔵のパイロットプログラムの実施をエネルギー長官に命じる規定(第307条)
  • 集中中間貯蔵プログラムの実施に関する記述はなし
高レベル放射性廃棄物の規制 【予算計上なし】 30,000千ドル(33億9,000万円)
  • ユッカマウンテンに関する記述はなし
  • 原子力規制委員会(NRC)における許認可手続予算を放射性廃棄物基金から引き出す

今回、上院本会議に提出された歳出法案に盛り込まれた中間貯蔵関連の条項では、以下のような内容が規定されている。

集中中間貯蔵のパイロットプログラム(歳出法案第307条)

  • 使用済燃料等を中間貯蔵するため、1つまたは複数の連邦政府の集中中間貯蔵施設の許認可取得、建設、操業のためのパイロットプログラムを実施することをエネルギー長官に許可
  • エネルギー長官は、歳出法の施行後120日以内に、集中中間貯蔵施設の建設許可取得や輸送等の協力協定についてのプロポーザルを公募
  • 集中中間貯蔵施設の立地決定前に、立地サイト周辺等での公聴会の開催、地元州知事、地方政府等との書面による同意協定の締結をエネルギー長官に義務付け
  • エネルギー長官は、上記プロポーザル公募から120日以内に、推定費用、スケジュール等を含むパイロットプログラム計画を連邦議会に提出
  • 集中中間貯蔵のパイロットプログラム活動に係る資金の放射性廃棄物基金からの支出を許可

今回、上院本会議に提出された歳出法案にユッカマウンテン計画再開のための予算が含まれなかったことについて、ネバダ州選出の連邦議会議員からは、これを評価した上で、今後も闘いを継続する旨のプレスリリースが発出されている。また、ネバダ州選出の連邦議会下院議員は、ユッカマウンテン計画の再開を図る下院の歳出法案に対して、ユッカマウンテン関連の予算を削除するなどの修正案を提出している。

下院では、2017年7月12日の歳出委員会会合での承認を経て、2017年7月17日にエネルギー・水資源開発歳出法案(H.R.3266)が本会議に提出されているが、安全保障に関連する4つの歳出法案をまとめた「米国安全保障歳出法案」(H.R.3219)として下院本会議で審議を行うことが予定されている。

【出典】

 

【2017年8月2日追記】

米国の連邦議会下院は、2017年7月27日の本会議において、2018会計年度6 「米国安全保障歳出法案」(H.R.3219、以下「本歳出法案」という。)を、235対192で可決した。本歳出法案は、2018会計年度の国防歳出法案(H.R.3219)に「エネルギー・水資源歳出法案」(H.R.3266)などを統合し、安全保障に関連する4つの歳出法案をまとめたものである。本歳出法案での高レベル放射性廃棄物管理に係る予算については、2017年7月12日に下院歳出委員会で承認された内容から変化はなく、歳出法案に付随する委員会報告書についても、2017年7月12日に下院歳出委員会で承認されたものとなっている。

本歳出法案及び付随する下院歳出委員会報告書では、2018会計年度の高レベル放射性廃棄物関連予算について、以下のとおり規定されている。

  • エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として120,000千ドル(135億6,000万円、1ドル=113円で換算)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として30,000千ドル(33億9,000万円)を計上
  • DOEに計上されたユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算の一部について、ネバダ州及び影響を受ける自治体等に対し、許認可活動への参加に係る費用などとして支給(ただし、訴訟費用や中間貯蔵活動等には使用できない)
  • ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じる条項(第507条)を規定
  • 「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として45,000千ドル(50億8,500万円)を計上

本歳出法案で計上された予算のうち、ユッカマウンテン関連の予算金額についてはDOE等の予算要求と同額が割り当てられているが、使用済燃料処分等(UNFD)プログラムとしての一般的な研究開発予算については、DOEの予算要求では要求されていなかった。

なお、本歳出法案の下院本会議での審議において、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じた第507条を削除する修正案がネバダ州選出の下院議員から提出されたが、発声投票により否決された。

本歳出法案の下院本会議での可決及びネバダ州選出議員提出の修正案の否決について、ネバダ州選出の連邦議会の上院議員及び下院議員からは、これを非難し、今後も反対を続けることなどを表明するプレスリリースが発出されている。

【出典】

 

【2017年9月11日追記】

米国の連邦議会では、上院が2017年9月7日に、下院が2017年9月8日に、2018会計年度(2017年10月1日~2018年9月30日)のうち、2017年10月1日から2017年12月8日を対象とした継続歳出法案をそれぞれ可決し、2017年9月8日に大統領の署名を得て継続歳出法として成立した。かねてから検討されていたユッカマウンテン許認可手続の再開等については、今回の継続歳出法では予算が付かないものとなった。

2018会計年度の継続歳出法は、エネルギー・水資源分野を含めて、2017年12月8日までの期間について、2017会計年度の予算を規定した包括歳出予算法での予算と同じレベルでの歳出を認めるものである。継続歳出法による予算は、原則として前年度予算と同率で比例配分され、特段の規定が無い限り、前年度で未計上の事業・プログラム等の実施は認められない。

今回制定された2018会計年度の継続歳出法では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物貯蔵・処分に関する特別な規定は無い。

【出典】

 

【2017年9月25日追記】

米国の連邦議会下院は、2017年9月14日の下院本会議において、2018会計年度の全期間(2017年10月1日~2018年9月30日)を対象とした「米国安全保障・繁栄歳出法案」(H.R.3354、以下「包括歳出法案」という。)を211対198で可決した。本包括歳出法案は、2018会計年度の内務省・環境分野の歳出法案(H.R.3354)に対して、すべての他分野の歳出法案を統合して、包括歳出法案としてまとめたものである。
エネルギー関連については、2017年7月12日に下院歳出委員会で承認された「エネルギー・水資源歳出法案」(H.R.3266)、及び同法案を統合して2017年7月27日に下院本会議で可決された「米国安全保障歳出法案」(H.R.3219)から変更はなく、2018会計年度の高レベル放射性廃棄物関連予算は以下のとおり規定されている。

  • エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として120,000千ドル(135億6,000万円、1ドル=113円で換算)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として30,000千ドル(33億9,000万円)を計上
  • DOEに計上されたユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算の一部について、ネバダ州及び影響を受ける自治体等に対し、許認可活動への参加に係る費用などとして支給(ただし、訴訟費用や中間貯蔵活動等には使用できない)
  • ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じる条項(第507条)を規定
  • 「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として45,000千ドル(50億8,500万円)を計上

2018会計年度の高レベル放射性廃棄物関連予算に関して、連邦議会上院の歳出委員会で2017年7月20日に承認された上院版歳出法案(S.1609)では、ユッカマウンテン関連の予算及び関連する記述は盛り込まれず、集中中間貯蔵計画の実施のための予算が計上されるなど、今回下院で可決された包括歳出法案とは内容が大きく異なっている。包括歳出法案が法律として成立するためには、上院で同じ内容の法案が可決されることが必要であり、上院で異なる内容の歳出法案が可決された場合には両院協議会等で調整が行われることとなる7

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. プログラム管理費用(19,600千ドル(約22億1,000万円))を含む []
  3. プログラム管理費用(3,400千ドル(約3億8,000万円))を含む []
  4. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  5. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  6. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  7. なお、上院では本会議での歳出法案の審議は進んでおらず、上院版の歳出法案を審議・可決することなく下院との調整が行われる可能性もある。 []

ドイツの連邦放射性廃棄物機関(Bundesgesellschaft für Endlagerung, BGE)は、2017年4月25日にウェブサイト(https://www.bge.de/)を開設し、これまで連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)傘下の連邦放射線防護庁(BfS)が担っていた放射性廃棄物処分の実施主体としての役割を引き継ぎ、活動を開始したことを公表した。BGEは、BMUBの監督下にある100%国有の有限会社として設立されており、原子力法に基づいて、連邦政府の委託を受けて放射性廃棄物処分場の設置・操業を行うこととなっている。

また、BGEは、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づいて、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続きの実施者として、今後、候補地域及び探査サイトの提案、サイトの探査計画及び評価基準の策定、サイトでの探査の実施、予備的安全評価などを行う。

今回活動を開始した新たな実施主体であるBGEを含めた、ドイツの放射性廃棄物処分に関わる主な各機関の役割は下表・下図のようになっている。

ドイツの放射性廃棄物処分の実施体制

ドイツの放射性廃棄物処分の実施体制

連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)

連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)

連邦放射性廃棄物機関(BGE)

最終処分分野における政策責任者であり、最高監督官庁。また、出資者としてBGEを監督する。

BMUB傘下の専門官庁として、放射性廃棄物処分に係る規制監督・許認可発給を行う。また、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続きの管理責任者である。

放射性廃棄物処分の実施主体であり、100%国有の有限会社。既存・建設中の処分場の操業者である。また、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続きの実施主体でもある。

 

連邦放射性廃棄物機関(BGE)の設置の背景

サイト選定法に基づく「高レベル放射性廃棄物処分委員会」(以下「処分委員会」という)は2015年3月に、発生者の利害とは独立した形で放射性廃棄物の処分事業が実施されるようにするため、新たな実施主体となる「連邦放射性廃棄物機関(BGE)」を100%国営組織として設置することを提案していた 。本提案は、2016年7月8日に成立した「最終処分分野における組織体制刷新のための法律」において法制化された。本法に含まれる原子力法を改正する条文では、放射性廃棄物処分事業の実施責任をBMUBの監督下に置かれる「連邦が100%所有する私法上の組織」に一任すると規定しており、BGEはこの組織に相当する。なお、BGEが設置される以前の実施主体であった連邦放射線防護庁(BfS)は、放射線防護・原子力防災に関する専門官庁として存続している。

連邦放射性廃棄物機関(BGE)の現状と今後の予定

BGEは、これまで放射性廃棄物処分の実施主体であった連邦放射線防護庁(BfS)の他、BfSの委託を受けて処分場の設置・操業などの作業を実施していたドイツ廃棄物処分場建設・運営会社(DBE社)及びアッセII研究鉱山の管理作業等を行っていたアッセ有限会社の役割のすべてを継承することになっている 。2017年4月25日時点では、これまでBfSが行っていた放射性廃棄物処分実施に係る業務が移管され、関係する職員がBGEに移籍した状態である。今後数カ月内には、DBE社及びアッセ有限会社もBGEに統合される予定であり、統合の完了により、BGEの実施主体としての体制が整うこととなる。

【出典】

 

【2017年8月14日追記】

ドイツの連邦放射性廃棄物機関(Bundesgesellschaft für Endlagerung, BGE)は2017年8月4日に、各州の地質調査所及び鉱山・水利関連官庁に対して、保有する地質学的データの提供を求める書簡を送付することにより、全国の地質学的データの収集を開始したことを公表した。

サイト選定法では、サイト選定手続きの最初のステップとして、BGEが地球科学的な除外基準及び最低要件を適用し、最終処分に好ましい地質学的な前提条件を満たす「サイト区域」を選定することが規定されている。今後BGEは、サイト区域の選定結果を中間報告書に取りまとめ、サイト選定手続きを監督する連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)に提出することになっている。

【出典】

計画されている地下研究所の建設予定地(クラスノヤルスク地方エニセイスキー)

計画されている地下研究所の建設予定地(クラスノヤルスク地方エニセイスキー)

ロシアにおける放射性廃棄物管理の実施主体である国営企業ノオラオ社(NO RAO)1 は、2017年4月25日のプレスリリースにおいて、高レベル放射性廃棄物等の処分が計画されているクラスノヤルスク地方エニセイスキーのニジュネカンスキー花崗岩における地下研究所について、建設工事に関する一般競争入札の公告を行ったことを公表した。
プレスリリースによると、今回の入札は、地下研究所の建設の第一段階を対象としたものであり、既存のインフラの解体・撤去や、次の段階での建設・設置作業を円滑に実施するための、地上の建屋や複合施設、通信インフラの建設・設置に関する予備作業のほか、サイトの準備、現場へのアクセス道路の敷設、給水施設の建設が含まれる。第一段階の作業の工期は2019年11月15日までとされている。

地下研究所の概念図(ノオラオ社ウェブサイトより引用)

地下研究所の概念図(ノオラオ社ウェブサイトより引用)

ノオラオ社は、地下研究所の建設を2024年までに完了させる計画であり、深さ450~525mにおける岩盤特性を調査することにより、高レベル放射性廃棄物と長寿命中レベル放射性廃棄物の最終処分の実現可能性を調査することを目的としている2 。ノオラオ社は、地下研究所での調査結果に基づいて、地下研究所を拡張して最終処分施設とする可能性について検討を行うとしている。なお、地下研究施設では、放射性物質は使用されないこととなっている。

【出典】

 

【2017年8月1日追記】

ロシアにおける放射性廃棄物管理の実施主体である国営企業ノオラオ社(NO RAO)は、2017年7月31日のプレスリリースにおいて、クラスノヤルスク地方エニセイスキーのニジュネカンスキー花崗岩に計画している地下研究所の建設工事に関して、一般競争入札の再公告を行ったことを公表した。

ノオラオ社は、2017年4月に、地下研究所の建設の第一段階にあたるインフラ整備等の作業を対象とした一般競争入札を公告していたが、当初予定していた作業工程の組み直しが必要となったため、改めて一般競争入札を行うとしている。なお、再公告となった今回の第一段階の建設作業の工期については、前回の公告からの変更はなく、2019年11月15日までのままである。

 

【出典】


  1. ロシアでは、2011年に放射性廃棄物管理法が制定され、同法で規定された安全で経済的な放射性廃棄物管理を実施する国家事業者として、2012年3月に国営企業ノオラオが設立された。 []
  2. ロシアでは処分方法に関連させて放射性廃棄物を6つのクラスに分類している。クラス1は発熱性高レベル放射性固体廃棄物、クラス2は高レベル放射性固体廃棄物と長寿命中レベル放射性廃棄物に分類され、いずれも地層処分が適切であるとされている。クラス3は100mの深さまでの浅地中処分施設への処分相当の低中レベル放射性固体廃棄物、クラス4は地表レベルの浅地中処分施設への処分相当の低レベル放射性固体廃棄物及び極低レベル放射性固体廃棄物に分類される。クラス5は低中レベル放射性液体廃棄物、クラス6は探鉱や精錬等で発生する廃棄物に分類されている。エニセイスキーで計画されている地層処分場では、クラス1と2の放射性廃棄物の処分が検討されている。 []

英国政府は2017年4月13日に、地層処分と地域との協働に関する公衆対話(以下「公衆対話」という)の実施結果をまとめた報告書、対話の実施プロセス等についての分析報告書を公表した。公衆対話は、科学コミュニケーションの促進を目的とした英国政府のプログラム「サイエンスワイズ」(Sciencewise Expert Resource Centre)1 を活用して実施されたプロジェクトである。英国政府は、地域との協働プロセスの策定に向けて「地域の代表のための作業グループ」(CRWG)を2015年に設置して検討を進めており、今回の公衆対話プロジェクトの成果をCRWGの作業に役立てるとしている。

サイエンスワイズによる公衆対話プロジェクトでは、科学技術に関する政策立案に資するため、少人数の一般市民との対話を通じて、理解を深めてから参加者自身の見解を評価してもらうという手法が用いられている。今回の公衆対話は、世論調査や市場調査の専門機関を活用して実施されており、対話の設計と実施を3QK社、対話の実施プロセスの独立した立場での分析をURSUSコンサルティング社が担当している。

■地層処分と地域の協働に関する公衆対話

今回の公衆対話は、2015年12月から2016年3月にかけて、マンチェスターとスウィンドンの2都市で、それぞれ2日間(いずれも土曜日)で実施された。参加者は各都市とも27名(2都市で合計54名)である。開催地は、以下の点を考慮して選定されている。

  • イングランド北部と南部にある中心地域
  • 原子力施設が立地していない地域、また比較的原子力問題への関心が低い地域であって、これまで地層処分に関連する議論に関与してこなかった地域
  • 都市・郊外・農村の各エリアに居住している住民の参加が可能な地域

公衆対話の参加者は、以下の4項目についての情報提供を受け、少人数のグループに分かれて相互に議論しながら、自身の意見を評価する作業を行う。公衆対話では、このような参加者の議論を通じた対話を分析することにより、幅広い公衆の見解を深く探求することが意図されている。

  • サイト選定プロセスにおいて実施主体とコンタクトする地域の代表
  • サイト選定プロセスへの参加可否についての住民の支持を調査・確認(test)する方法
  • サイト選定プロセスから撤退する権利(撤退権)
  • サイト選定プロセスに参加した地域への投資

参加者から示された主な意見を以下に示す。

○地域の代表(Community representation)

  • 地域にある組織、または地域のための活動を行うことに信頼や正当性を有する者が、地域の代表及び将来を決定する者として必要な資質を有している
  • 地域の代表の存在意義は住民・地域の利益にある
  • 地域の代表には信頼性、独立性、地域への関心・配慮があることが望まれる
  • 地域への関心・配慮のために自治体の関与を求める意見も多かったが、信頼性や代表性の欠如から、自治体の排除を強く求める意見もあった
  • 独立性や公平性の点から、規制機関や専門家が関与することが望ましい
  • 地域の代表は、情報提供・継続的なコミュニケーション・住民意見の認知・信頼と信用を維持することが重要である
  • 地域の代表への信頼はプロセス全体への信頼につながる

○住民の支持を調査・確認(test)する方法(Test of public support)

  • 参加者に例示された3つの方法(統計的手法に基づいた世論調査、住民投票、公開協議による意見募集)に対して、地域住民全員が意見を示せること、サイト選定プロセスについて学習し、意見が固まるまでの時間を確保することが重要である
  • 公開協議による意見募集の実施後に、最終的に住民投票(住民の意見調査などを含む)を実施する複合的なアプローチが好まれる

○撤退権(Right of withdrawal)

  • 撤退に関する意向は、信頼の欠如と不確実性の存在(例えば、証拠が矛盾するなど)から生じる可能性が高い
  • 地域の代表、または地域と密接に協議をした地域の代表が撤退について最終決定することを支持する傾向にあった。住民の支持を調査・確認(test)する方法と比較して、撤退権のタイミングについて不明瞭であることから、サイト選定プロセスの撤退権の部分を説明する際に、明確に伝えることが必要である

○地域への投資(Community investment)

  • 地元のプロジェクト、地域に長期的な利益を与えるプロジェクト、地域のより広範な人々の利益になるプロジェクトに投資する
  • 地域独自の優先順位や選定基準に基づいて投資する

■公衆対話で示された意見の分析

今回の公衆対話を設計・実施した3KQ社は、参加者による議論の状況に関する全般的な所見として、参加者の議論を通じて意見が集約され、広く合意が得られた事項として、以下の二つを挙げている。

  • 住民の支持を調査・確認(test)する方法として、公開協議による意見募集の実施後に最終的に住民投票を実施すること
  • 全てのプロセスにおいて、透明性があること、また全ての関係者間で定期的にコミュニケーションが取れていること

3KQ社は、参加者の意見集約が進まなかった事項として、以下を挙げている。

  • 自治体がどの程度までその地域を代表しているといえるか
  • 住民投票及びその他の住民の支持を調査・確認(test)する方法において、どこまでの住民を対象とするのか(人数、居住地域、年齢等)

また、3KQ社は、今後、同様な公衆対話を実施する場合には、以下の点を考慮することが望ましいと指摘している。

  • 今回の公衆対話で広く合意が得られた意見について、別の公衆対話においても広く合意されるか否かを確認する
  • 住民投票の実施対象範囲や住民の支持を調査・確認(test)する方法など、意見が集約しなかった事項について、より確固たる結論が導き出せるか否かを確認する
  • 規制機関や専門家をオブザーバーやアドバイザーとして地域代表グループに入れるべきか等、いくつかの事項については、より詳細な調査対象とする

■公衆対話の実施プロセス等についての分析報告書

公衆対話の実施プロセスの独立的な分析を行ったURSUSコンサルティング社は、英国政府が最も難しいと位置付けている地域に係わる問題について、問題を解決するために役に立つものとして、公衆の意見、その背景・理由及び多くの新たな考え方を得ることができたとしている。また、このような公衆との対話プロセスを注意深く設計して実施することは、政策の策定においてプラスとなる良好事例であると評価している。

 

【出典】


  1. サイエンスワイズは、科学技術に関する政策立案に関して、早い段階から市民との対話を促進することを目的として2004年から始まった英国政府のプログラムである。英国政府が資金支援をしたプログラムの実施主体であり、政策策定プロセスにおいて利用される公衆との対話の効果を増加させ、政策を改善するためのプログラムを実施することが目的とされている。なお、2011年に政策評価を受けて、サイエンスワイズの活動期間は2012年4月1日から2016年3月31日までとなっている。 []

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2017年4月19日付けのプレスリリースにおいて、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングを実施することを伝えるとともに、法案の討議用ドラフトを公表した。2017年放射性廃棄物政策修正法案は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)を修正するものであり、同プレスリリースでは、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分に係る連邦政府の義務の履行を確実にするため、米国の放射性廃棄物管理政策の現実的な改革を行うものであるとしている。また、今回公表した法案の討議用ドラフトは、放射性廃棄物管理政策の改革について、ステークホルダーからのフィードバックを促進するものであるとしている。

2017年放射性廃棄物政策修正法案の討議用ドラフトにおける法案の構成及び主要条文タイトルは、以下の通りとなっている。

第I章 監視付き回収可能貯蔵1
監視付き回収可能貯蔵(第101条)、権限と優先度(第102条)、協力協定の条件(第103条)、サイト選定(第105条)、便益協定(第106条)、許認可(第107条)

第Ⅱ章 永久的な処分場
土地収用・管轄権・保留地(第201条)、水利権(第202条)、申請手続とインフラ活動(第203条)、申請中の処分場許認可申請(第204条)、軍事廃棄物専用処分場開発の制限(第205条)、輸送経路に関する連邦議会意見(第206条)

第Ⅲ章 エネルギー省(DOE)の契約履行
物質[使用済燃料]の所有権

第Ⅳ章 立地自治体に対する便益
同意(第401条)、協定の内容(第402条)、対象となる地方政府(第403条)、使用済燃料処分(第406条)、更新レポート(第407条)

第Ⅴ章 資金
見積り及び拠出金の徴収(第501条)、放射性廃棄物基金の使用(第502条)、一定金額の利用可能性(第503条)

第Ⅵ章 その他
基準(第601条)、民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)(第602条)

下院エネルギー・商務委員会のプレスリリースでは、法案の討議用ドラフトにおける提案は、過去6年間に亘る数多くのヒアリング記録等に基づいて綿密に策定されたものであるとしている。主要な規定として、具体的には以下のようなポイントが含まれている。

  • 中間貯蔵
    第Ⅰ章の監視付き回収可能貯蔵(MRS)は、使用済燃料の中間貯蔵施設プログラムについて規定するものであり、ユッカマウンテン処分場の建設に係る許認可申請に対する原子力規制委員会(NRC)による決定が行われることを条件として、民間事業者との協力契約の締結を含む中間貯蔵の実施権限などを、エネルギー長官に認める規定などが置かれている2
    また、第Ⅲ章では、中間貯蔵を目的としてエネルギー長官が民間の使用済燃料を引取り、所有権を取得する権限を認める規定が置かれている。
  • 処分場プログラム
    水利権に係る州の差別的対応を禁止し、エネルギー長官による水利権取得を認める規定、処分場建設に必要な土地の収用を認める規定などが置かれている3
    また、ネバダ州がラスベガス近郊における使用済燃料輸送について懸念を示していることから、エネルギー長官は可能な限りラスベガスを回避する輸送経路を検討すべきであるとの連邦議会意見も規定されている。
  • 立地地域への便益
    便益の提供を受けることは処分場立地への同意を意味しないとして、処分場計画に反対する州も便益提供の対象とすること(ただし、訴訟費用等への充当は制限)、エネルギー長官は、州のみでなく地方政府とも便益協定を締結することを認めること、放射性廃棄物政策法に規定された以外の便益協定を締結可能とすることなど、放射性廃棄物政策法における便益提供の枠組みを修正する規定が置かれている。
  • 資金
    放射性廃棄物基金からの支出については、各年度の連邦政府の歳出法における承認が必要とされているが、ユッカマウンテンサイトにおける使用済燃料等の受入れ開始後は、処分事業進捗の段階に応じて一定金額を歳出法による承認なしに使用可能とする規定が置かれている。

今回の2017年放射性廃棄物政策修正法案の討議用ドラフトの公表に対して、ユッカマウンテンが立地するネバダ州ナイ郡は、同法案がネバダ州の懸念点の多くに対応するものであることを評価し、ネバダ州は検討手続に参加すべきであるなどとして、連邦議会の動きを歓迎する声明を出している。

一方、ナイ郡を選挙区に含むキヒューエン下院議員は、2017年9月19日付けのプレスリリースにおいて、ヒアリングへの参加要求をエネルギー・商務委員会に送付したことを公表するとともに、ネバダ州の代表者が参加しない委員会で審議検討を進めることは不適切であるとの見解を表明している。

【出典】

 

【2017年4月25日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は2017年4月24日に、同委員会ウェブサイトの「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングのページにおいて、2017年4月26日に実施が予定されているヒアリングでの証言者のリストとともに、本ヒアリングに係る背景メモを公表した。

「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングは2部構成で行われ、第1部ではネバダ州及びサウスカロライナ州4 選出の連邦議会議員が、また、第2部では各分野のステークホルダー組織、及びエネルギー省(DOE)民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)の元局長が、それぞれ証言者として予定されている。

また、今回公表された背景メモでは、放射性廃棄物管理に係る背景・経緯に係る情報とともに、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」の討議用ドラフトの逐条解説が示されているほか、本ヒアリングで検証する問題点として以下の5点が示されている。

  • 「2017年放射性廃棄物政策修正法案」討議用ドラフトの条項
  • 処分場に関する許認可と要件
  • 監視付き回収可能貯蔵(MRS)の承認、及び中間貯蔵プログラムを実施するためのDOEの契約上の仕組み
  • MRS、または処分場の立地州・自治体等とのパートナーシップの可能性
  • DOEサイトの環境修復を迅速化する取組

なお、今回開催されるヒアリングに対してネバダ州知事は、2017年4月21日付けのプレスリリースにおいて、ヒアリングを主宰するエネルギー・商務委員会の委員長及び少数党最上席議員に宛ての書簡を公表した。今回のネバダ州知事の書簡では、ユッカマウンテンにおける処分場建設に対して強く一貫して反対を行うこと、あらゆる手段を用いてプロジェクトを阻止する意向であることが示されている。また、ヒアリングに参加するネバダ州選出議員からもプレスリリースが出されており、ヒアリングへの参加が認められたことは評価しつつも、ユッカマウンテン計画に対するネバダ州民の反対は強固であることなどが訴えられている。

【出典】

 

【2017年4月27日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2017年4月26日に、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングを実施した。これを受けてエネルギー・商務委員会は、2017年4月26日付けのプレスリリースにおいて、本ヒアリングにおける証言者の証言等を伝えている。また、エネルギー・商務委員会ウェブサイトのヒアリングのページでは、証言者の証言書、委員長等の冒頭声明書、その他のヒアリング提出文書とともに、ヒアリングの様子を伝えるビデオが公開されている。なお、本ヒアリングで証言を行ったネバダ州選出の下院議員3名からは、再度、反対の意向を示したプレスリリースが出されている。

一方、ネバダ州知事は、本ヒアリングが実施された2017年4月26日にプレスリリースを発出しており、エネルギー長官を訪問して以下の事項について意見交換したことを公表した。

  • ユッカマウンテン計画への反対を改めて表明し、放射性廃棄物問題に対する現実的で安全な代替策の検討を要求した。
  • コミュニケーション強化のためにネバダ州とエネルギー省(DOE)のワーキンググループを再確立する必要性を議論した。
  • ネバダ国家セキュリティサイト(ユッカマウンテンの立地サイト)における研究開発任務強化の重要性を議論した。
  • DOEとネバダ州高等教育組織とのパートナーシップ強化に向けた両者の要望について議論した。
  • DOEのネバダ州に貯蔵されている低レベル放射性廃棄物の厳重な監督継続に係るネバダ州の要望を議論した。
  • サイバーセキュリティの重視と州・DOEの協力方法を議論した。

なお、下院エネルギー・商務委員会の2017年4月26日付けのプレスリリースでは、2017年3月20日に同委員会からエネルギー長官に宛てた書簡に対して、エネルギー長官が発出した返書を掲載している。この中で、ユッカマウンテン処分場の建設に係る許認可手続再開の重要性については、2017年3月27日のユッカマウンテン視察時により明確となったとして、連邦議会と協力して短・長期の取組の前進を図りたいとするエネルギー長官の意向は示されているものの、2017年3月20日付けのエネルギー・商務委員会の書簡で示された具体的な政策への言及はない。

【出典】

 

【2017年5月19日追記】

米国ネバダ州の州議会は2017年5月17日に、ネバダ州のユッカマウンテンにおける使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「使用済燃料等」という。)処分場の開発に反対を表明する合同決議を可決した。本合同決議案は、2017年3月に同州議会下院に提出され、下院では2017年4月21日に32対6で、上院では2017年5月17日に19対2の賛成多数で可決されていた。

今回ネバダ州議会で採択された合同決議は、ユッカマウンテンにおける処分場開発に対して改めて反対を表明した上で、以下について、上下両院が合同で決議を行ったものである。

  • ネバダ州議会は、ユッカマウンテン処分場計画の復活を図る連邦議会における動きに最大限の抗議(protest)を行う。
  • ネバダ州において使用済燃料等の貯蔵施設、処分施設の立地を図る法案には、拒否権を発動するよう大統領に要求する。
  • ユッカマウンテン処分場は不適切(unsuitable)であることを確認し、ユッカマウンテンにおける処分場立地の検討を断念し、革新的で成功を収めるような戦略を米国が再び取り組むプロセスを開始するようエネルギー長官に要求する。
  • ユッカマウンテンにおける処分場開発、及びネバダ州内での使用済燃料等の貯蔵や処分に対するネバダ州議会の強い反対を改めて公式に表明する。
  • 本合同決議の写しを、大統領、連邦議会上下両院議長5 、エネルギー長官、及びネバダ州選出の連邦議会議員に送付する。
  • 本決議は可決と同時に発効し、ネバダ州議会の公式見解となる。

【出典】

 

【2017年6月19日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会環境小委員会は2017年6月15日に、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」の審議検討を行う会合(以下「法案策定会合」という。)を開催した。エネルギー・商務委員会の法案策定会合に係るウェブサイトでは、法案のドラフト、修正案、背景メモ、付属資料、委員長等の冒頭声明書などとともに、法案策定会合の様子を伝えるビデオが公開されている。エネルギー・商務委員会が2017年6月15日に公表したプレスリリースでは、環境小委員会の法案策定会合において、2017年放射性廃棄物政策修正法案のドラフトを満場一致で承認しており、今後、エネルギー・商務委員会の本委員会に送られるとしている。

今回の法案策定会合で検討が行われた2017年放射性廃棄物政策修正法案のドラフトは、2017年4月19日に公表された討議用ドラフトから大きな変更は行われていないが、中間貯蔵施設関連、許認可審査関連、便益協定関連、処分基準関連などで軽微な字句修正が行われている。

なお、本法案に係るヒアリングでの証言や書簡を通して反対の意を表明していたネバダ州選出の連邦議会議員からは、改めて法案に対して反対の意向を示したプレスリリースが出されている。

【出典】

 

【2017年6月29日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2017年6月28日に、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」(H.R.3053)を含む8法案の検討・策定を行う会合(以下「法案策定会合」という。)を開催した。エネルギー・商務委員会ウェブサイトの法案策定会合のページでは、各法案及び修正案、背景メモ、委員長の冒頭声明書などとともに、法案策定会合の様子を伝えるビデオが公開されている。

2017年放射性廃棄物政策修正法案(H.R.3053)については、4本の修正案が承認され、これら修正案を反映した法案が49対4の賛成多数で承認された。

今回の法案策定会合で承認された2017年放射性廃棄物政策修正法案(H.R.3053)に係る修正事項の多くは、2017年6月15日に開催されたエネルギー・商務委員会環境小委員会における法案策定会合で示された懸念に対応したものとなっている。今回承認された法案の主な修正点は、以下のとおりである。

  • 監視付回収可能貯蔵(MRS)施設の開発について、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請に対する原子力規制委員会(NRC)の決定が行われる前段階においても、エネルギー長官が1件のMRS協力協定を締結することを認める
    • 2020~2025会計年度6 におけるMRSプログラムの歳出予算を承認
    • 最初のMRS施設では、廃止措置済みの原子力発電所からの使用済燃料の受入れを優先
    • ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請に対するNRCによる決定時期が迫るまでは貯蔵の開始は認められない
  • ユッカマウンテン処分場における水利権や大気質に係るネバダ州の許認可事項について、許認可取得を規定していた条項を削除
  • 第2処分場が操業を開始するまでのユッカマウンテン処分場における処分容量制限を撤廃するとした条項を廃止し、同時点までの処分容量上限を7万トンから11万トンに変更7
  • 五大湖近傍での放射性廃棄物処分及び長期貯蔵に対する連邦議会の反対意思を表明する条項を追加
  • 高レベル放射性廃棄物の海洋処分(ocean water disposal)及び海洋底下処分(subseabed disposal)を禁止する条項を追加し、海洋底下処分の評価等について規定した1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)の規定(第224条)を削除

なお、本法案に係るヒアリングでの証言や書簡を通して反対を表明していたネバダ州選出の連邦議会議員からは、改めて反対の意向を示したプレスリリースが出されている。

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが、安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。 []
  2. 中間貯蔵については、これまで連邦議会上院の歳出法案等において、中間貯蔵の早期実施のための規定が盛り込まれていたが、下院の歳出法案ではユッカマウンテン計画の実施が最優先として、中間貯蔵施設開発に係る予算要求を認めていなかった。 []
  3. また、ネバダ州ユッカマウンテンにおける処分場開発については、NRCが策定した安全性評価報告(SER)において、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係るDOEの許認可申請書は、土地の所有権及び水利権に関する要求事項 を除いては、NRCの連邦規則の要求事項を満足しているとの結論が示されていた。 []
  4. サウスカロライナ州では、4カ所の商業用原子力発電所のほか、DOE保有の高レベル放射性廃棄物等が貯蔵されているサバンナリバー・サイトが立地している。 []
  5. 上院は副大統領 []
  6. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、例えば2020会計年度は2019年10月1日からの1年間となる。 []
  7. 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、第114条(d)項において、原子力規制委員会(NRC)による第1処分場に対する許可では、第2処分場が操業を開始するまでは7万トンを超える量の使用済燃料等の処分は禁止されることが規定されている。 []