Top » 海外情報ニュースフラッシュ(全記事表示モード)

韓国産業通商資源部(Ministry of Trade, Industry and Energy, MOTIE)が設置した使用済燃料公論化委員会(以下「公論化委員会」という)は、2015年6月11日のプレスリリースにおいて、「使用済燃料管理勧告(案)」(以下「勧告案」という)を公表した。今回の勧告案は今後、国会での議論を反映させたのち、MOTIE長官に提出する予定としている。

韓国では、中低レベル放射性廃棄物処分場と使用済燃料の中間貯蔵施設を同一サイトに立地する放射性廃棄物管理政策を見直し、これらを分離して推進することとしており 、現在、使用済燃料の管理方策を検討する段階にある。公論化委員会は、使用済燃料の管理方策に対する様々なステークホルダー、一般市民、専門家などからの意見を取りまとめるため、放射性廃棄物管理法 に基づいて2013年11月に設置された政府から独立した民間諮問機関であり、人文社会・技術工学分野の専門家、原子力発電所立地地域の代表、市民社会団体の代表からなる15名により構成されている。

公論化委員会が2013年に策定した公論化実行計画 によれば、国民を使用済燃料から安全に保護する方策のすべてが議論の対象となりうるとしつつも、処分場サイト選定や地域振興など、使用済燃料の管理方策の決定後に議論すべき事項については基本的な原則程度の議論にとどめ、処分前の貯蔵など中・短期的な現実的解決手段について集中的に議論するとしていた。今回の勧告案は、これらの事項について、討論会、円卓会議、タウンミーティング、アンケート、インターネット等の方法を用いて、専門家、市民・環境団体、原子力発電所立地地域住民、一般国民から聴取した意見に加え、「使用済燃料管理方策の課題導出のための専門家検討グループ」による意見書 に基づいて進められた議論を取りまとめたものである。

「使用済燃料管理勧告(案)」において公論化委員会が提言した使用済燃料管理フロー

図1「使用済燃料管理勧告(案)」において公論化委員会が提言した使用済燃料管理フロー

今回の勧告案において公論化委員会は、韓国における使用済燃料管理方策に関する10項目の勧告を行っている。公論化委員会は、使用済燃料の処分施設の操業開始を2051年とすることを勧告しており、その実現に向けて、2020年までに処分施設のサイト、または処分施設のサイトと類似条件の地域を地下研究施設(URL)のサイトとして選定し、2030年には地下研究施設の操業・実証研究を開始(図1)するのが望ましいとしている。また、公論化委員会は、2020年から地下研究施設のサイトで「処分前貯蔵施設」の建設を開始し、現在は各原子力発電所で貯蔵されている使用済燃料を一カ所に集中して貯蔵可能にすることを勧告している。

今回の勧告案には、今後の使用済燃料管理方策の策定・実施に関するロードマップも含まれており、2015年中に韓国政府が「放射性廃棄物管理基本計画」を策定し、関係法令を整備した上で、2016年には政府、民間事業者、国民が共同で出資する「使用済燃料技術・管理公社(仮称)」を設立することが提案されている。

公論化委員会の勧告案に示された10か条の勧告は以下のとおりである。

  1. 使用済燃料の管理方策の最優先原則は国民の安全である。
  2. 現在、各原子力発電所のサイト内の臨時貯蔵施設に貯蔵されている使用済燃料は、貯蔵容量が上限を超えたり、操業許可期間が満了したりするよりも以前に、安定的な貯蔵施設を整備し、移転させることを原則とする。
  3. 政府は2051年までに処分施設を建設し、操業を開始すること。そのために、処分施設サイトまたは処分施設サイトと類似のサイト条件を持つ地域において、地下研究所(URL)用サイトを2020年までに選定して建設に着手し、2030年より実証研究を開始することが望ましい。
  4. 使用済燃料処分施設および地下研究施設が立地する地域に、地域住民のハザード監視のための住民参加型「環境監視センター(仮称)」を設置する。立地地域には、関連研究機関の設置による雇用創出と地域経済の活性化、使用済燃料処分手数料の自治体への納付、および地域都市開発計画策定を支援し、開発初期費用を特別支援金により負担するなどの支援を行うこと。
  5. 処分施設の操業までの間、地下研究施設サイトには処分前貯蔵施設を建設して処分前の使用済燃料を貯蔵可能とすること。ただし、やむを得ない場合には各原子力発電所サイト内に短期貯蔵施設を設置し、処分までの間は貯蔵することも許容する(図1参照)。また、国際共同管理施設の立ち上げのためには緊密な国際協力も必要である。
  6. 各原子力発電所サイト内に短期貯蔵施設を設置する場合には、地域に「使用済燃料貯蔵費用」を支払うこと。透明性が高く、効果的な資金の積み立てのため、住民財団(仮称)を設立・運営する。現在すでにサイト内に貯蔵されている使用済燃料についても、合理的な費用の支払いについて政府・立地自治体間で具体的な協議を行うこと。
  7. 使用済燃料貯蔵、輸送、処分、有害性の低減、減容のための技術開発の優先順位を定め、段階的な細部計画を策定して研究を進めること。このためには規制機関による規制基準策定が急がれる。技術開発を主導する仕組みとしての技術開発統合システムも必要である。
  8. 使用済燃料管理の安全性に加え、責任、安定性、効率性、透明性が担保されることが望ましい。このため、政府、民間事業者、国民が共同で出資する「使用済燃料技術・管理公社(仮称)」を設立することが適切である。
  9. 使用済燃料管理の透明性、安定性、持続可能性を担保し、政策の信頼性を確保するため、「使用済燃料特別法(仮称)」を速やかに制定し、必要に応じ現行関連法を改正すること。
  10. 使用済燃料管理政策を速やかに策定・実行するため、省庁横断的意思決定機関である「使用済燃料政策企画会議(仮称)」および実務推進機関である「使用済燃料政策企画団(仮称)」を政府組織内に設置・運営すること。

 

【出典】

使用済燃料公論化員会 2015年6月11日付プレスリリース、
https://www.pecos.go.kr/activity/news.asp?idx=2387&state=view&menu=10

【2015年7月3日追記】

使用済燃料公論化委員会(以下「公論化委員会」という)は、2015年6月11日に公表した「使用済燃料管理勧告(案)」について、2015年6月16日に国会討論会を開催し、その結果を受けて最終案を取りまとめ、2015年6月29日に最終的な勧告「使用済燃料の管理に関する勧告」(以下「最終勧告」という)として産業通商資源部(MOTIE)長官に提出した。

最終勧告では、当初の勧告案(第10条)において政府組織内での設置が規定されていた2つの機関名が改められた。具体的には、省庁横断的意思決定機関の名称が「使用済燃料政策企画会議(仮称)」から「使用済燃料管理長官会議(仮称)」へ、実務推進機関の名称が「使用済燃料政策企画団(仮称)」から「使用済燃料管理対策推進団(仮称)」へとそれぞれ改められた。

公論化委員会は最終勧告において、「政府は使用済燃料管理政策を策定、推進する過程において、必要な情報を正確かつ迅速に提供し、健全なコミュニケーションを継続し、国民及び立地地域住民が関連政策について理解し、合理的に判断できる環境を整えなくてはならない」としている。また、政府が実質的な努力を速やかに進め、政策の推進に必要な信頼を確保することが重要だと強調している。

公論化委員会は、最終勧告の提出をもって20か月にわたる活動を終え、解散する。

【出典】

英国の地方自治政府の1つであるウェールズ政府は自身のウェブサイトにおいて、公衆との公開協議を経て、高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針を決定したことを公表した。また、地層処分施設のサイト選定プロセスに関する公開協議を開始した。

今回ウェールズ政府が決定した地層処分の方針は、英国政府が2008年に策定した白書 以降に示してきた方針と同様である。また、サイト選定プロセスに関してウェールズ政府が公表した協議文書では、英国政府が2014年7月に策定した白書 で示している地層処分施設のサイト選定プロセスと同様のプロセスを採用することを提案している。

 

■背景

英国では、地方自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)のうち、イングランド以外は地方自治政府に放射性廃棄物管理の権限が委譲されている1

2008年白書に基づく公募で関心表明を行った自治体

2008年白書に基づく公募で関心表明を行った自治体

英国政府は2008年に、ウェールズ政府及び北アイルランド政府とともに、高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針とその施設のサイト選定プロセスを定めた白書2 を策定した(以下「2008年白書」という)。2008年白書の公表とともに、地層処分施設のサイト選定プロセスに関心を示す自治体を含む地域の公募が開始され、カンブリア州及び同州内の2市が関心を表明したものの、2013年1月に選定プロセスから撤退している

上記の結果を受けて英国政府は、2013年5月より選定プロセスの見直しに向けた公開協議等を進め、2014年7月に、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設の設置に向けた新たなサイト選定プロセス等を示した白書3 を策定し(以下「2014年白書」という)、英国政府及び実施主体は現在、その初期活動(2年間、2014年~2016年)を進めている

この2014年白書は、英国政府が単独で策定したものとなっており、2008年白書のようなウェールズ及び北アイルランド政府との共同文書とはなっていない。北アイルランド政府は2008年白書と同様に、2014年白書で規定される英国政府の方針や取組を支援することとしている。一方、ウェールズ政府は、2008年白書以降に示してきた現行の政策の再検討の是非について、2014年白書の策定前の段階から検討を進めていた。

なお、スコットランドについては、スコットランド政府が地層処分する方針を採用しておらず、地表近くに設置した施設で高レベル放射性廃棄物等の長期管理を継続することとしている。

 ■高レベル放射性廃棄物等の管理に関するウェールズ政府の現行政策の見直し

ウェールズ政府は、英国政府とともに2008年白書を策定したものの、地層処分の方針については保留しており(否定も肯定もせず、また、その他の管理オプションを支持することもしない)、ウェールズ内の自治体を含む地域がサイト選定プロセスに関心を表明する場合には、その時点において、地層処分プログラムと個々の関心表明についてウェールズ政府として取るべき立場を検討するとしていた。その後、ウェールズ政府は、ウェールズ内における新規原子炉の建設について、2008年当時は支持していなかったが、2012年に新設を支持する方針に転換した。このため、新規原子炉から発生する放射性廃棄物等の管理に関する現行政策(方針決定の保留)の見直しが必要となっていた。

このような背景のもと、ウェールズ政府は、2014年4月~6月にかけて、上記の現行政策の見直しの可否について、ステークホルダーからの見解を得るために、確かで根拠のある情報の提供(Call for Evidence)を募集した。ウェールズ政府は、その結果を踏まえて、現行政策を見直すことを決定し、地層処分が最も好ましい管理方策であるとするウェールズ政府の提案等を示した協議文書「高レベル放射性廃棄物等の管理・処分方針の見直し」を2014年10月に公表し、公衆との公開協議を2015年1月まで実施した。

ウェールズ政府は、公開協議で寄せられた意見を踏まえて、2015年5月19日、ウェールズ内で発生する高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針を決定したことを公表した。これと伴に、ウェールズ政府は、地層処分の実施方法に関する協議文書「高レベル放射性廃棄物等の地層処分:地域の参加と実施プロセス」を公表し、公衆との公開協議を開始した。同文書に対する公衆からの意見提出は2015年8月18日までとされている。この協議文書においてウェールズ政府は、2014年白書で示されたイングランドと北アイルランドにおける地層処分施設のサイト選定プロセスと同様のプロセスを採用することを提案している。

 

【出典】

 

【2015年12月18日追記】

英国の地方自治政府であるウェールズ政府は、2015年12月10日に、政策文書「高レベル放射性廃棄物等の地層処分:地域の参加と立地プロセス」の中で、ウェールズ政府も英国政府と同様のサイト選定プロセスを採用する方針であることを公表した。ただし、ウェールズにおいてサイト選定プロセスを進める上では、ウェールズ固有の状況での対応が取られることになるため、必ずしも同一のプロセスにはならないとしている。

■ウェールズにおけるサイト選定プロセスの現状

英国政府は、2014年7月に、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設(GDF)の設置に向けた新たなサイト選定プロセス等を示した白書 (以下「2014年白書」という)を公表している。具体的なサイト選定プロセスは、以下の2つの段階(期間)で構成されており、英国政府は既に2年間の初期活動を開始している。

  • 英国政府及び実施主体による初期活動(2年間、2014年~2016年)
    ① 英国全土(スコットランドを除く)を対象とした「地質学的スクリーニング」
    ② 「2008年計画法」の改正、
    ③ 地域との協働プロセスの策定活動
  • 関心を表明した地域と実施主体との正式な協議(15~20年間、2016年以降)

今後、ウェールズでは、英国政府が先行して実施している上記①②③の活動について、歩調を合わせていくことになる。

①の「地質学的スクリーニング」については、2014年白書で示されたウェールズ政府の意向により、既にウェールズも対象として実施されている

②の「2008年計画法」の改正については、英国政府が、イングランドにおける地層処分施設(GDF)の開発を「国家的に重要な社会基盤プロジェクト(NSIP)」の一つと位置づける立法措置として、2015年3月26日に制定された「2015年社会基盤計画(放射性廃棄物地層処分施設)令」によって2008年計画法の改正が行われた。しかし、対象はイングランドのみとなっている(2015年4月6日の追記を参照)。英国では地方自治政府に権限が委譲されているため、ウェールズにおいてGDFの設置が計画される場合は、2015年計画法(ウェールズのみが対象)のもとでウェールズ政府が許可を発給することになる。

③の地域との協働プロセスの策定については、「地域の代表のための作業グループ」(Community Representation Working Group、CRWG)の主導により、策定活動が進められている 。ウェールズ政府は、今回の政策文書の公表と同時に、CRWGに参加した。

【出典】


  1. 放射性廃棄物管理の権限は各地方自治政府に委譲されているが、各地方政府管轄内で発生した廃棄物を必ずしも管轄内で処分しなければならないということではない。なお、地方行政の観点では、ウェールズ、スコットランドならびに北アイルランドでは、それぞれ1999年に議会が設置され、地域主権(権限委譲)の体制整備が進められている。 []
  2. 正式名称「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み Defra、BEER並びにウェールズ及び北アイルランド自治政府による白書」(Cm 7386、2008年6月) []
  3. 正式名称「地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み」、DECC(2014年7月) []

地層処分施設のサイト選定プロセスの初期活動を進めている英国政府は、地域との協働プロセスの策定に関する進捗について、「地域の代表のための作業グループ」(Community Representation Working Group、CRWG)の活動状況に関する情報を公表した。

英国における地層処分施設のサイト選定プロセスは、エネルギー・気候変動省(DECC)が2014年7月24日に公表した白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という)によって見直され、次の2つの段階(期間)で構成されている。

  • 英国政府及び実施主体による初期活動(2年間、2014年~2016年)
  • 関心を表明した地域と実施主体との正式な協議(15~20年間、2016年以降)

現在、2年間の初期活動において、①英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングの実施、②2008年計画法の改正、ならびに、③地域との協働プロセスの策定が進められている 。このうち、③地域との協働プロセスの策定については、英国政府が設置するCRWGの主導で検討が進められている。

 

■地域の代表のための作業グループ(CRWG)設置の目的

2014年白書に基づくCRWGの主要な活動は次のとおりである。これらの活動は、専門家、ステークホルダー等の関与による確かで根拠のある情報に基づくものとなる。

  1. 地域の代表あるいは地域の意思表示に関する定義

    地層処分施設の開発に関心を表明する地域における自治体の役割や責任などを定義し、自治体を含む地域を関与させる方法を含めて、地域の代表のための効果的なプロセスを定義する。

  1. 住民の支持を調査・確認(test)する方法の策定に向けたプロセスの開発

    住民の支持を調査・確認する方法について、その適切な実施時期や方法を明確にする。

  1. 地域への投資

    投資時期やその管理方法を含めた、地域への投資のための資金拠出オプションを開発する(地域の地理的境界内での投資の効果や、資金活用の申請に係る評価基準の作成を含む)。

■地域の代表のための作業グループ(CRWG)の構成メンバー

DECCからの代表者を議長とするCRWGは、地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)、関係省庁、地方政府、学術界など、英国政府による地域との協働プロセスの策定を支援できる能力や専門性を有するメンバーで構成されている。

CRWGの構成メンバーは次表のとおりである。なお、英国政府の諮問機関である放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)もオブザーバーとして参加している。

議長 トム・ウィントゥル(DECC)
メンバー ホルムフリダー・ビャルナドティル(スウェーデン原子力廃棄物評議会)
メンバー アンドリュー・ブロウワーズ(英国国立オープンユニバーシティ‎社会科学名誉教授)
メンバー リサ・レビー(広報・ステークホルダー関与の分野の専門家)
メンバー キルスティ・ゴーギャン(気候・エネルギー分野のコミュニケーションの専門家)
メンバー フィル・リチャードソン(英国の地質学会(The Geological Society)会員)
メンバー フィル・マシュー(原子力遺産諮問フォーラム(NuLeAF))
メンバー ニック・ピジョン(カーディフ大学環境心理学部教授)
メンバー フィル・ストライド(テムズ川トンネル事業長)
メンバー チェリー・ツィード(RWMの主席科学アドバイザー)
メンバー ナタリン・アラ(RWMの地層処分施設立地部長)
メンバー ジュリアン・ウェイン(地方自治体における再生・住宅分野の専門家)
メンバー ジュディス・アーミット(ローカル・パートナーシップス社取締役)
メンバー 英国財務省からの代表者
メンバー コミュニティ・地方自治省からの代表者

 

地域の代表のための作業グループ(CRWG)の活動状況

CRWGは2015年3月12日に第1回会合を、2015年4月16日に第2回会合を開催している。今後、CRWGは約6週間に1度のペースで会合を開く予定であり、次回の第3回会合は2015年6月11日に予定されている。

また、CRWGの活動は、ローカル・パートナーシップス社(Local Partnerships Ltd、LP社)の支援を受けており、実例や関連情報等の収集、ステークホルダーの関与、検討資料の作成などの実務面を担っている。LP社は、英国財務省と地方自治体協議会(LGA)が共同出資して設立された会社であり、公共部門の業務効率化や公共サービス等の向上を目的とした支援活動や助言を提供する専門組織である。

 

【出典】

【2015年7月3日追記】

英国政府は、2015年7月1日に、地域との協働プロセスの策定に向け、Call for Evidence(根拠に基づく情報提供の募集)を開始し、情報提供を2015年9月4日まで受け付けることを公表した。

今回の情報募集は、「地域の代表のための作業グループ」(CRWG)の主要活動である、①地域の代表あるいは地域の意思表示に関する定義、②住民の支持を調査・確認(test)する方法の策定に向けたプロセスの開発、③地域への投資に関して、特に情報を収集することを目的としている。

英国政府は、原子力産業や放射性廃棄物プロジェクト関係者に限らず、学術界、産業界、大規模社会基盤プロジェクト関係者、自治体等から広く情報提供を求めるとしている。また、英国政府は、上記の①に関する情報提供について、地域において何らかの問題への対応に迫られた際の代表の決め方、地域が何らかの意思表示を行う必要があった事例等に関する具体的な経験情報の提供を要望している。

【出典】

【2016年3月7日追記】

英国政府は、2016年3月4日に、地域との協働プロセスの策定に向けたCall for Evidence(根拠に基づく情報提供の募集)への回答状況を取りまとめた報告書を公表した。情報提供の募集は2015年7月1日から2015年9月4日まで行われていた。英国政府は、今回提出された情報に基づいて、地域の代表あるいは地域の意思表示に関する課題について検討していくとしている。英国政府が今後策定する地域との協働プロセス案についての公開協議は、2016年夏に行われる見込みである。

今回の情報提供の募集に対しては54件の回答があり、その回答者の内訳は以下の表の通りであった。

回答者 回答件数 割合(%)
自治体 25 46
個人 17 32
その他(電力会社、地域コミュニティグループ、代表団体等) 10 18
学術界、研究機関 2 4
合 計 54 100

また、英国政府は今回提出された回答の主なポイントとして、以下を挙げている。

  • 英国政府がサイト選定に関する新たなプロセスを設計する場合には、他の事業における最良事例を参考にすべきである。
  • 過去に実施された地層処分場のサイト選定プロセスから得られた教訓を活かすべきである。
  • 地域の代表、あるいは地域の意思表示に関する定義を行うことは非常に難しい課題である。
  • 海外の類似事例から得られた教訓を活かすべきである。

【出典】

フィンランドの安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、2015年5月22日付のプレスリリースにおいて、同日付けで原子力法及び放射線法の改正が大統領により承認されたことを公表した。今回の法改正は、一部を除き2015年7月1日に発効し、これにより、STUKの規制権限と独立性が一層強化されることとなる1

今回の法改正により、STUKに対して、原子力安全に関して法的拘束力を有する技術的な安全要件を定める権限が付与された。フィンランドの原子力安全に関する規制体系は一般安全規則と詳細安全規則で構成されるが、従来は一般安全規則を政府(雇用経済省)が政令として定め、一般安全規則の規定を満たすための指針としてSTUKが詳細安全規則を策定していた。法改正後は、一般安全規則と詳細安全規則の両方をSTUKが策定することになる。今回改正された原子力法では、STUKが安全要件として定めるべき27の技術的項目が規定された。

また、今回の原子力法の改正では、原子力施設の許可発給プロセスにおけるSTUKの意見が重視されるようになる。従来どおり原子力発電所、放射性廃棄物処分場などの重大な原子力施設の建設・操業等に係る許可発給は政府が行うが、法改正により、STUKが意見書で提示する許可条件を政府が考慮しなければならないことが明確化された。改正前の原子力法では、重大な原子力施設の許可手続きにおいて、STUKの意見書が必要と規定されているのみであった。

なお、ポシヴァ社による使用済燃料処分場の建設許可申請書に関しては、政府による許可発給に向けて、現在、雇用経済省が建設許可の発給に関する検討を行っている。STUKは、2015年2月11日に、ポシヴァ社による使用済燃料処分場の建設許可申請書に関する審査意見書を雇用経済省に提出している。この審査意見書においてSTUKは、原子力法第19条で許可発給の基準とする10の項目について審査結果を示している。今回の法改正により、政府による許可発給におけるSTUKの意見の考慮について法的な担保がされたことになる。

【出典】


  1. フィンランドでは、原子力及び放射線防護の分野における規制の枠組みのレビューを目的として、2012年に国際原子力機関(IAEA)によるピアレビュー(総合的規制評価サービス、IRRS(Integrated Regulatory Review Service))が実施され、IRRSはSTUKの独立性を強化すべきことを勧告していた。IRRSの勧告を受け、原子力法及び放射線法の改正に向けた取り組みが進められ、2015年3月には改正法案が国会を通過していた。 []

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2014年5月22日の正式発足以降 、2015年5月18日までの約1年間に、合計12回の会合を開催している。処分委員会では、1年目を情報取得フェーズ、2年目を実施フェーズと位置づけて活動を行ってきており1、2015年4月及び5月に行われた第11、12回会合において、2016年6月を予定している最終報告書の取りまとめに向け、3つの常設作業グループに分かれて検討している事項のうち、今後の処分オプションの検討方針及び公衆参加に関する方針について決議を行った。

2015年4月20日に開催された第11回会合では、今後の処分オプションに関する検討方針として、すでに知見のある「岩塩、粘土層、結晶質岩への坑道内処分」を今後の処分委員会において詳細に検討する処分オプションとすることを決議した。この決議は、処分委員会の下に設置された常設作業グループの1つである、作業グループ3「社会・科学技術上の意思決定基準ならびに欠陥是正措置に関する基準」の提案に基づくものである。また、処分委員会は、作業グループ3に対して、この処分オプションについてさらに検討を進めるよう指示した。

2015年5月18日に開催された第12回会合では、作業グループ1「社会対話、公衆参加、透明性」の検討結果として、処分委員会による連邦政府に対する提案の取りまとめに向けた活動への公衆参加の形式・タイミングに関する提案を決議した。この提案には、公衆参加の形式として、市民対話集会、ワークショップの開催、ドキュメンタリー映像の制作、書面・オンラインでの意見表明、最終報告書の採択会合への招聘などが含まれている。このうち、2015年6月20日に開催する市民対話集会では、参加者がテーマ別のグループに分かれて議論するフォーカスグループ・セッションや、参加者がテーブルを巡回して関心のある議論に参加するワールドカフェ形式のセッションが企画されている2。市民対話集会への参加者は200名程度を公募するとしており、議論の結果は処分委員会の最終報告書の取りまとめにおいて考慮する予定である。

なお、処分委員会は、2015年3月2日に行われた第10回会合において、処分委員会事務局が提示した最終報告書の構成案も承認している。その上で処分委員会は全作業グループに対し、この構成案に従いさらに議論を進めるよう指示した。処分委員会は今後、報告書案の改訂状況を随時公開していくとしている。

 

【出典】

 

【2015年6月26日追記】

高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2015年6月20日に、ベルリンで市民対話集会を同日に開催し、事前に申し込みを行った200名以上の市民が参加したことを公表した。市民対話集会では、処分委員会から委員会の活動等に関する情報提供が行われたほか、フォーカスグループやワールドカフェ形式による議論が行われたとしている。

フォーカスグループのセッションは、以下の5つのテーマ別のグループに分かれて実施された。

  • 社会的合意に基づくサイト選定のあり方
  • 公衆がサイト選定手続きに及ぼす影響
  • 地層処分の代替オプション
  • 発生者負担の原則に則った放射性廃棄物管理費用の適正な負担
  • 連邦政府による処分場建設・操業・管理のための新たな体制構築の是非

フォーカスグループのセッションでは、サイト選定手続きへの公衆参加について、より幅広く、早い段階からの参加が望ましいとする意見や、公衆にわかりやすい情報提供を行うとともに、公衆が参加しやすい環境の整備が必要との意見が出された。また、定置した廃棄体の回収可能性を維持すべきとの意見のほか、現在、原子力発電事業者が引当金で個別に確保している放射性廃棄物管理資金について、新たに基金か財団を設置して管理すべきという意見なども出された。

一方、ワールドカフェ形式のセッションでは、処分委員会が第12回会合で決議した、処分委員会活動への公衆参加の形式・タイミングに関する方針について、参加者が話し合いを行った。参加者は処分委員会の方針について概ね肯定的であったが、過去のサイト選定手続きの分析が必要といった意見も出された。

【出典】

 

【2015年7月7日追記】

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2015年7月3日及び4日に、第13、14回会合を開催した。処分委員会は、最終報告書の採択期限を半年間延長して2016年6月30日とすることを正式に決議したほか、最終報告書の作成に向けたスケジュールを決定した。

2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)では、サイト選定法に基づいて設置する処分委員会の最終報告書の採択期限を2015年12月31日としているが、この期限は委員の3分の2以上の賛成により、1度に限り6カ月間延長できることが規定されている。

処分委員会は当初、2013年中の発足が見込まれていたが、委員選定の難航などにより設置が遅れて2014年5月22日に正式に発足した。このため、活動期間の確保を目的として期限延長が検討されていた。

また、処分委員会の最終報告書の作成スケジュールについては、次のように決定した。

  • 2016年1月初頭までにドラフト報告書を作成
  • ドラフト報告書について公衆協議を行い、必要に応じて修正を実施
  • 2016年6月30日までに最終報告書を採択して連邦政府・連邦議会に提出

【出典】


  1. 発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律(サイト選定法)では、2015年末までに最終報告書を提出することが規定されているが、1回に限り半年間(すなわち2016年6月末まで)の延長が可能とされている。委員会発足が遅れたことなどから、最終報告書の提出期限は半年間延長される方針が示されている。 []
  2. フォーカスグループによる議論では、モデレータの調整・進行のもと、少人数の参加者により特定のテーマについて議論が行われる。ワールドカフェ形式は、会議での討論の一方式であり、複数のテーブルが用意され、テーブルホスト以外の参加者が各テーブルを移動しながら議論を繰り返し、最後に各テーブルホストが自分のテーブルに置ける議論を取りまとめ、参加者全員に対して報告する。 []

英国のドーンレイサイト復旧会社(Dounreay Site Restoration Limited,DSRL)は、2015年5月19日付のプレスリリースで、同サイト内に新たに建設した低レベル放射性廃棄物処分施設において廃棄物の受け入れを開始したことを公表した。DSRLは、原子力廃止措置機関(NDA)が所有する原子力施設の操業・廃止措置等をNDAとの契約に基づいて実施するサイト許可会社(SLC。原子力施設法に基づいて原子力サイトとする許可を受けた者)であり、スコットランド北部に位置するドーンレイサイトの廃止措置及び環境修復を実施する事業者である。

DSRLはサイト内に最終的に6つのコンクリートボールトを建設する計画であるが、今回、廃棄物の受け入れを開始した処分ボールトは、第1期の2つの処分ボールト部分であり、残りの4つの処分ボールトについては、今後、第2期及び第3期に分けて段階的に建設・操業する計画である。最終的には、175,000m3の低レベル放射性廃棄物を処分することとしており、このうち、33,000m3は過去に同サイトで処分した廃棄物を回収することによって今後発生するものである。

なお、英国では地方自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)に放射性廃棄物管理の権限が委譲されており、ドーンレイサイトがあるスコットランドでは、スコットランド政府がその管理方針を決定している。英国政府は、操業中のドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場(浅地中処分)で処分ができない低レベル放射性廃棄物を含む高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針であるが 、スコットランド政府は地層処分する方針を採用しておらず、地表近くに設置した施設で長期管理を継続することとしている。

■ドーンレイでの新たな低レベル放射性廃棄物処分場の操業開始までの経緯

ドーンレイサイトでは、高速炉などの原子炉や再処理施設等の廃止措置によって発生する低レベル放射性廃棄物を処分する必要があり、同サイトの廃止措置プログラムの一環として、長期管理方策の検討が1999年より開始された。DSRLは、当時の施設所有者である英国原子力公社(UKAEA)とともに、ステークホルダーや公衆との協議を経て、2005年に「ドーンレイにおける低レベル固体放射性廃棄物に関する全体戦略」を策定し、サイト内に新たな浅地中処分施設を建設する方針とした。DSRLは、2006年に、ドーンレイの地元であるハイランド自治体の議会に対して、環境影響評価書とともに、低レベル放射性廃棄物の処分に関する計画申請書を提出した。

上記の計画申請書については、スコットランドの環境規制当局であるスコットランド環境保護局(SEPA)による評価を経て、2009年4月にハイランド自治体から計画許可が発給された。これと並行してDSRLは、2008年に放射性物質法に基づく処分に関する許可をSEPA1 に申請し、2013年1月に許可を取得している。

DSRLは、新しい浅地中処分施設の建設及び操業を3期に分けて実施する予定であり、その第1期として2つの処分ボールトの建設を2011年11月に開始し、2014年5月に完成した。そのうちの1つは、ドーンレイサイトにある原子力施設の解体によって発生する瓦礫など、比較的放射能レベルの低い廃棄物専用の処分ボールトである。

第2期として、ドーンレイサイトの廃止措置計画の進捗を踏まえて、2020年までにさらに2つの処分ボールトを建設する予定としている。また、第3期では、さらに2つの処分ボールトの建設を予定しているが、今後の低レベル放射性廃棄物の発生スケジュールや総量の見通しを踏まえて、その必要性に関する評価を行うとしている。いずれの処分ボールトも、定置が終了した時点で閉鎖し、覆土等で覆って元に近い状態に戻すとしている。

なお、ドーンレイサイトを所有するNDAと地元ハイランド自治体は、地域振興を目的として、処分施設の建設開始時に100万ポンド(1億8,200万円)、操業開始から10年間にわたり毎年30万ポンド(5,460万円)の合計400万ポンド(7億2,800万円)をNDAがハイランド自治体に支払う取り決めを交わしている。このような資金は、地域の経済活動の再構築を支援するために設置された基金を介して活用される。

【出典】


  1. 放射性廃棄物を処分するための許可は英国の各自治政府の環境規制機関が発給する。 []

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2015年4月24日付プレスリリースにおいて、地層処分場の操業時のリスク管理に関する原子力安全機関(ASN)の2015年4月7日付の書簡を公表した。今回のASNの書簡は、ANDRAが2013年12月にASNに提出していた地層処分場の操業時におけるリスク管理に関して、研究開発の進捗報告書に対するレビュー結果を示したものである。レビュー結果としてASNが示す要求事項・見解は、ANDRAが進める地層処分場の設置許可申請に向けた研究開発を方向付けるものとなる。なお、ASNは、2006年以降、ANDRAが実施している地層処分関連の研究開発状況をレビューしており1 、今回のASNの書簡も、こうしたレビューの一環で提示されたものである。

今回のASNの書簡によると、ANDRAは、2013年12月にASNに提出した研究開発の進捗報告書において、放射性物質の拡散リスク、廃棄体から発生した水素ガスに起因する爆発リスク、火災リスク、地下施設における処分活動と建設活動の同時進行に伴うリスク、地上施設と地下施設との連結によるリスク管理に重点を置いた研究開発の進捗状況を報告していた。ASNは、以下の点について、操業時のリスク低減に寄与する有意な進展があったとの見解を示している。

  • ASNの要求に基づく火災リスクを低減するための要求事項をまとめた「火災基準」の策定。
  • 長寿命中レベル放射性廃棄物用の処分坑道への超高性能フィルタの設置を伴う動的閉じ込め機能の確保。この措置は、2010年に提出したANDRA報告書のレビューにおいて、廃棄体による静的閉じ込め機能の不具合の場合に対応するため、動的閉じ込め機能を確保する措置の提示を求めたASNの要求に沿ったものである。なお、コンクリート構造の地下施設に設置する設備は、通常の環境よりも早いペースで閉塞を起こす可能性があるため、設置許可申請書と合わせて提出する補助文書において、設備の保守に関する事項を明確にする必要がある。
  • 施設全体の設計が進展しており、放射線管理区域と建設区域の分離を徹底することにより、操業時のリスク管理の容易化が図られている。これは、地下施設における操業活動と建設活動が同時進行することによるリスク分析を補完するよう求めたASNの要求に沿ったものである。

一方、ASNは、操業時のリスク管理との兼ね合いから、設置許可申請書と共に提出する「安全証明」に関する文書において、特に以下の点に注意を払うべきと指摘している。

安全証明アプローチと安全要件

  • 安全機能と主要パラメータ
    設置許可申請書の補助文書では、地層処分場の閉鎖後安全性の範囲を規定し、操業中に監視する主要パラメータ及び操業中の安全性の範囲を規定しなければならない。また、施設の操業安全及び閉鎖後安全に照らして、廃棄体の受け入れ時及び操業中も監視する主要パラメータについて、逸脱を確認した場合に講じる是正措置を提示しなければならない。
  • 施設の設計とサイト内緊急時計画(PUI)において採用する設計基準シナリオの選定方法
    安全オプションに関する資料2 では、深層防護レベル及び原子力基本施設(INB)に関する2012年2月7日付アレテの規定と整合する形でシナリオを分類して示すのが望ましい。一部の廃棄体内部で発熱反応が急速に進むシナリオについても提示しなければならない。
  • 放射線防護目標
    安全オプションに関する文書では、事故・事象発生の状況下で放射線管理区域にいる職員に適用される放射線防護上の目標の最終決定に向けた最適化アプローチを提示しなければならない。

資料等で説明すべきリスク

  • 火災リスク
    安全オプションに関する資料では、供用部分または長寿命中レベル放射性廃棄物の処分坑道のハンドリング用セルで火災が発生した場合、火災発生区画を発生源とする放射性物質の放出を抑制する措置を説明しなければならない。
    設置許可申請書の補助文書では、火災リスクの分析に使用する計算シミュレーションツールを提示し、その使用分野における有効性を立証すること。また、経験のフィードバックや専門家の判断も考慮したうえで、同ツールと地層処分場の特性との整合性を立証する要素について提示しなければならない。
  • 爆発リスク
    火災リスクと同様に、ANDRAが「爆発基準」を策定することが有益である。
  • 放射性物質の拡散リスク
    設置許可申請書の補助文書では、高レベル放射性廃棄物処分孔の排水の管理方法を明示するとともに、廃棄体の移送ケージにハッチが存在する可能性を考慮しなければならない。
  • 作業の同時進行に関するリスク
    設置許可申請書では、施設の安全性に関して影響を与える人間活動を特定する。また、地層処分場の建設開始から操業期間にわたり、関与する企業間の責任所掌を詳細に定めなければならない。

施設の操業

  • 事故・事象発生の状況下での介入と避難
    設置許可申請書の補助文書では、目標とする期限内に事故・事象発生の状況に介入できるよう、採用する技術的・組織的措置を提示しなければならない。
  • 廃棄体の回収
    ANDRAは、地層処分場の操業段階で廃棄体の回収可能性を実証するために慎重なアプローチを採用しなければならない。また、回収可能性オプションに関する研究は、操業中にとどまらず長期的な視野で、安全と放射線防護の観点から種々のオプションの長所と短所を評価しなければならない。

事故・事象発生後の処分場の各種機能の回復

安全オプションに関する資料では、深層防護の原則を適用し、事故・事象発生後の処分場の各種機能の回復について、処分作業の継続、廃棄体の回収、処分場の閉鎖の可能性を区別したうえで、安全面での課題を提示する。また、設置許可申請書では、これらの課題を考慮し、その対応について提示する。

 

【出典】


  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に規定。原子力施設の設置許可申請に先立って、安全オプションをASNに提出し、その見解を求めることができるとされている。ASNは見解において、設置許可申請を行う場合、申請までに事業者が実施しておくべき補完的な研究や証明についても特定することができる。 []
  2. ANDRAは地層処分場の安全オプションに関する資料を2015年中にASNに提出する方針である 。 []

エネルギー省(DOE)の環境管理局(EM)は、2015年4月16日に、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の地下施設内で2014年2月14日に発生した放射線事象について、事故調査委員会(AIB)による2回目となる「事故調査報告書(フェーズ2)」を公表した。事故調査報告書(フェーズ2)では、事故調査委員会の調査結果として、2013年12月にロスアラモス国立研究所(LANL)で処理した1本の廃棄物ドラムについて、処分されたドラム中での有機物質と硝酸塩との混合による発熱化学反応が放射線事象及び放射性物質の漏洩の原因と結論づけている。

DOEの環境管理局(EM)のニュースリリースにおいて、事故調査委員会は、WIPP及びロスアラモス国立研究所での徹底的な調査が実施され、放射線事象の発生原因の調査の他、同様な事故の再発防止などに必要な安全対策、管理統制の特定を実施したとしている。また、事故後の化学的、放射線学的及び火災の科学的分析に基づいて、放射線事象及び放射性物質の漏洩の発生原因が究明されたとしている。さらに、2014年2月5日の火災事故は、放射線事象及び放射性物質の漏洩の原因ではなく、また、関連性もないと結論づけられたとしている。

今回公表された事故調査報告書(フェーズ2)では、放射線事象及び放射性物質の漏洩の直接原因がロスアラモス国立研究所(LANL)から運び込まれた廃棄物ドラム番号68660にあること、今回の事象に限った根本原因としてロスアラモス国立研究所での有害廃棄物施設許可の理解・実施及びカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)による管理に欠陥があったことを挙げている。また、管理システムとしての根本原因としては、危険物の適切な処理に係る手順書の作成、レビュー・承認、実施における欠陥を挙げている。さらに、放射線事象につながった寄与要因の12項目を列挙した上で、24項目の結論・問題点(CON)、40項目の措置必要事項(JON)が示され、一覧表で整理されている。

今回の事故調査報告書(フェーズ2)については、2015年4月16日のタウンホール・ミーティングにおいて、事故調査の様子を視覚的に示した説明用のスライドなどで概要が説明された。

【出典】

 

【2016年7月4日追記】

米国ニューメキシコ州で廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)を操業するエネルギー省(DOE)カールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、2016年6月30日に、WIPPにおける廃棄物受入基準(WAC)の改訂版を公表した。今回の廃棄物受入基準では、2014年2月に発生した放射線事象に関する事故調査委員会(AIB)の事故調査報告書で示された確認事項に対応するための改訂が行われている。

改訂版の廃棄物受入基準は、2016年7月5日に発効する。改訂版の廃棄物受入基準に適合することが確認されるまでは、DOEのTRU廃棄物発生サイトでの認証プログラムは停止される。改訂版の廃棄物受入基準では、TRU廃棄物発生サイト及びWIPPでの認証プログラムとして、廃棄物発生サイト技術審査及び品質保証の監査を受けることが必要とされている。

放射線事象の発生以前に認証され、WIPPでの処分が行われていない廃棄物容器は、WIPPへの搬出を行う前に改訂版の廃棄物受入基準への適合を検証することが必要となる。一部の廃棄物容器は処理及び再封入が必要となる可能性があるが、その見極めには数カ月を要するとされている。DOEは、新しい廃棄物受入基準に適合する廃棄物容器は全米で約1,000本あり、仮に一部の廃棄物について処理・再封入が必要とされた場合でも、WIPPの操業再開のスケジュールには影響しない見込みとしている。

改訂版の廃棄物受入基準の主な変更点は、以下の通りである。

  • WIPPの管理・操業契約者を廃棄物受入基準遵守プログラムの責任主体に追加
  • 受入可能とするための情報(AK)に関する要件の強化
  • TRU廃棄物の充填物管理に係る承認済み手法の各種文書等における用語を他の承認文書等と整合するよう変更
  • 臨界管理オーバーパック(CCO)と呼ばれる新たな「直接ハンドリングが可能なTRU廃棄物」(CH廃棄物)の容器の追加
  • プルトニウム239当量放射能量(PE-Ci)の限度を超える廃棄物容器の取り扱い
  • 線量当量率要件を満たす廃棄物容器について合理的な範囲での遮へい
  • ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物とTRU廃棄物を含む廃棄物容器における視認可能な液体の取り扱い
  • 核分裂当量重量等に関する適合方法として10 CFR Part 71.15を追加
  • CH廃棄物と「遠隔ハンドリングが必要なTRU廃棄物」(RH廃棄物)のラジオアッセイを含む形で添付書類Aを「TRU廃棄物のラジオアッセイ要件」として拡張
  • 添付書類F「CH廃棄物の環境保護庁(EPA)基準適合のためのラジオグラフィー要件」の改訂
  • その他(用語集への追加、インターネットリンクの更新、など)

 

【出典】

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2015年3月2日に行われた第10回会合において、連邦政府の責任となっている放射性廃棄物処分について、処分実施主体となる「連邦放射性廃棄物機関(BGE)」を100%国営組織として新たに設置することを求める提案を決議した。

処分委員会は、2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という) に基づいて連邦議会によって設置されたものであり、以下の事項についての提案を2015年末までに連邦政府に提出することになっている

  • 地層処分の代替処分概念の検討を行うかどうか
  • 処分の安全要件、サイトの除外基準・最低要件、母岩固有の除外基準及び選定基準、予備的安全評価の実施方法など
  • 処分の欠陥が認識された際に行う、欠陥是正措置(回収可能性、可逆性などの問題を含む)に関する基準
  • サイト選定に係る組織と手続きに関する要件、並びに、これら組織や手続きに関する代替案の検討
  • 公衆参加及び公衆への情報提供、透明性確保のための要件

現在のドイツの原子力法では、放射性廃棄物処分場の建設・操業等は連邦政府の責任と規定されており、連邦放射線防護庁(BfS)が処分実施主体となっている。また、原子力法では、処分場建設・操業等の作業は第三者に委託できることが規定されており、発熱性放射性廃棄物処分場の開発計画、非発熱性放射性廃棄物処分場であるコンラッド処分場及びモルスレーベン処分場における作業については、BfSが民間会社であるドイツ廃棄物処分場建設・運営会社(DBE社)に委託している1 。また、処分されている廃棄物を回収して閉鎖することを計画しているアッセII研究鉱山の管理作業等については、国有会社であるアッセ有限会社に委託している。

今回の処分委員会が行った決議では、放射性廃棄物処分場の建設・操業等は国営の組織が実施すべきであり、100%国営組織として設置される連邦放射性廃棄物機関(BGE)は、将来も民営化すべきでないとしている。また、現在の放射性廃棄物処分の実施主体であるBfSの他、DBE社及びアッセ有限会社の有している役割のすべてをBGEに継承させることを提案している。さらに同決議では、放射性廃棄物処分に関連した規制、許認可発給2 などのうち、州が担当すべきもの以外のすべてを単一の連邦機関が行うべきとしている 。

処分委員会の2015年3月2日付のプレスリリースでは、今回の提案は、将来の放射性廃棄物処分が、放射性廃棄物発生者の利害とは独立した形で実施されるようにするためのものとしている。また、この提案に沿った形で新たな処分実施主体や規制機関が迅速に作業を開始するためには、必要な法改正が適宜実施される必要があるとしている。

【出典】


  1. DBE社の株式の4分の3は原子力発電事業者の子会社である原子力サービス社(GNS社)が保有している。 []
  2. サイト選定法等に従い、2014年9月に放射性廃棄物分野の規制を担う連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)が設置されており、放射性廃棄物処分場に係る許認可発給等の役割を有している 。しかし、使用済燃料や放射性廃棄物の中間貯蔵施設に関する許認可発給についてはBfSが担当している。 []

英国の地質学会(The Geological Society)は、2015年3月27日に、地層処分施設のサイト選定プロセスの初期段階で実施される、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングの評価を行う独立評価パネル(IRP)を設置した。この地質学的スクリーニングは、高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM)が行うものであり、RWMが事前に作成するガイダンスをIRPの7名の委員が評価する。

この独立評価パネル(IRP)は、英国政府の要請により地質学会が設置したものであり、英国政府はIRPに対して、以下の点に注視しつつ、RWMが策定する地質学的スクリーニングのガイダンスを評価するよう要請している。IRPは2015年6月までに評価を完了する予定としている。

  • 地質学的、技術的な知見に立脚したものであること
  • 既存の地質情報を利用して適用できること
  • 地層処分施設(GDF)に関する長期セーフティケースの開発を支援できること

今回設置されたIRPの委員は、委員長を含めて7名であり、産業界及び学術界の経歴を有する英国、スウェーデン、カナダの地球科学分野の専門家で構成されている。委員のうち2名の委員は地質学会員を対象とした公募によって選出した委員であり、その他の5名の委員は地質学会が任命した委員である。以下に各委員の氏名・所属等を示す。

委員長 クリス・ホークスワース教授(英国ブリストル大学、王立協会特別会員)
委員 マイク・ビックル教授(英国ケンブリッジ大学、王立協会特別会員)
委員 ジョン・ブラック氏(コンサルタント)
委員 ロバート・チャプロー博士(コンサルタント)
委員 カーリン・ヘグダール博士(スウェーデンのウプサラ大学)
委員 ゾー・シプトン教授(英国ストラスクライド大学)
委員 リチャード・スミス教授(カナダのローレンティアン大学)

 

【出典】

【2015年6月16日追記】

高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)は、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングのガイダンス案に関して、独立評価パネル(IRP)との公開会合を2015年6月23日にロンドンで開催する。これに先がけ、RWMはIRPのレビュー用に作成したガイダンス案を2015年6月12日付けで公表した。今回のガイダンス案の作成を含む、地質学的スクリーニングの実施に向けたスケジュールについては、2014年10月に開催された技術イベントで公表されていた 。RWMは、IRPによるレビュー結果を踏まえてガイダンス案の完成度を高めた後、2015年内に公開協議を実施したうえで最終化するとしている。RWMは英国地質学会(The Geological Society)とともに、最終化したガイダンスに基づく地質学的スクリーニングを2016年に実施する予定である。

今回、放射性廃棄物管理会社(RWM)が取りまとめた地質学的スクリーニングのガイダンス案では、既存の情報を活用した地質学的スクリーニングの実施方法、また、どのような結果を提示するかなどについて、5つの地質学的なトピックス(岩種、岩盤の構造(断層・破砕帯、褶曲の位置等)、地下水、自然現象(地震・断層活動、氷河作用等)、資源の賦存)ごとに、RWMの取組方針を取りまとめている。

 【出典】

【2015年7月31日追記】

高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)は、2015年7月29日に、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングのガイダンス案に関して、ロンドンの英国アカデミーで2015年6月23日に開催した独立評価パネル(IRP)との公開会合の会合報告書を公表した。会合報告書によると、公開会合にはIRPの7名の委員のうちの5名、RWMから4名、一般傍聴者の約50名がこの会合に参加した。公開会合の模様は、インターネットを通じてライブ配信1 も行われた。

会合報告書によれば、今回のRWMとIRPとの公開会合では、RWMがIRPのレビュー用に事前に取りまとめ・公表していた地質学的スクリーニングのガイダンス案(2015年6月16日追記を参照)で示していた5つの地質学的なトピックス※のうち、①岩種、②地下水、③資源の賦存についての議論が行われた。公開会合の後、RWMとIRPが一般の傍聴者からの質疑に対する応答が行われた。一般傍聴者からは、独立評価パネルの独立性や委員の選出方法、沿岸域での処分場の建設可能性、地質学的スクリーニング結果の説明先に関する質問などの9つの質問が寄せられている。

※5つの地質学的なトピックスは、(1)岩種、(2)岩盤の構造(断層・破砕帯、褶曲の位置等)、(3)地下水、(4)自然現象(地震・断層活動、氷河作用等)、(5)資源の賦存である。(2015年6月16日追記を参照)

 【出典】


  1. 公開会合の模様は、下記アドレスより閲覧可能である。
    https://www.youtube.com/channel/UCpFJyxnagWhTWURacGN42KQ []