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フランス:地層処分における可逆性


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放射性廃棄物等管理計画法(2006年)により規定された”可逆性のある地層処分”

フランスでは、1980年代後半に地層処分場設置に向けた地質調査が行われたが、地元での反対運動により中止された。これを受けて政府は、議会科学技術評価局(OPECST)に高レベル放射性廃棄物の管理に関する調査を依頼した。OPECSTは1990年に報告書をまとめ、地層処分における可逆性は地下研究所でテストされ、処分場設置決定の際に安全規則において定められるべきとした。同報告書をもとに、1991年放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)が制定され、第4条において、可逆性のあるまたはない地層処分が、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の長期管理オプション研究分野の一つとして定められた。研究結果をもとに、2006年には放射性廃棄物等管理計画法(詳しくはこちら)が制定され、可逆性のある地層処分が管理の基本方針とされた。同法では、地層処分とは可逆性の原則が遵守される形で、この目的のために整備された地下施設に処分すること(第5条)と定義された。また、可逆性のある地層処分場については、2015年に設置許可申請、2025年に操業開始ができるよう研究・調査を実施(第3条)する方針も示されている。さらに、政府は処分場の設置許可申請に先立ち、可逆性についての条件を定める法律を制定(第12条)することとされており、その後の設置許可では100年以上の可逆性を確保する期間を設定(第12条)することも定められている。

地層処分における可逆性に対する関連機関の評価

地層処分における可逆性については、1991年放射性廃棄物管理研究法のもとに研究が開始されて以来、政府・議会や関連機関から以下のような見解が示されている。

1998年6月に、放射性廃棄物管理に関する研究成果を政府のために評価する国家評価委員会(CNE)は、政府の要請を受けて、可逆性に関する報告書を提出し、管理方法としての可逆性のある地層処分に肯定的な意見を示した。この報告を受けて政府は、1998年12月に地層処分における可逆性の研究を進めていくことを決定した。政府は、管理が超長期に亘ることから、将来世代が現世代の意思決定に拘束されず、技術的・社会的な進歩を踏まえて、管理戦略を変更できるようにしておくことが、倫理上、重要であるとした。

議会に勧告を行う役割を担う議会科学技術評価局(OPECST)は、2005年3月に公表した報告書(詳しくはこちら)において、可逆性がある場合と可逆性がない場合の地層処分について、安全面や技術面からの違いはあまりないとの評価を示した。また、可逆性のある地層処分は、可逆性がない場合に比べて将来世代に負担を残すことになるが、倫理また実施上の観点から、将来世代に技術進歩に応じた長期的な管理選択肢を与えることができるという点で必要であるとしている。

なお、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2005年末に研究成果報告書を政府に提出し、地層処分の可逆性は200~300年程度確保することが可能であるとの考えを示している。

2006年2月には、規制機関である原子力安全機関(ASN)はANDRAの研究成果報告書に対する見解書(詳しくはこちら)において、ANDRAが示したような長期間に亘る可逆性は確立されているとは考えられず、長期安全性の観点から、可逆性は限定された期間しか維持できないとする見解を示した。さらに、処分場を閉鎖し、処分の可逆性を終結する意思決定は、議会に帰属すべきであるとの見解も示している。