米国:許認可支援ネットワーク


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許認可支援ネットワーク(LSN)の概要

許認可支援ネットワーク(Licensing Support Network;以下LSN)とは、米国の高レベル放射性廃棄物処分場の許認可申請手続きにおいて、参照される文書を予め登録し、誰でもインターネットで閲覧できるようにするシステムである。LSNは、許認可の審査を行う原子力規制委員会(NRC)が連邦規則で定めた制度であり、処分場開発の実施主体である連邦エネルギー省(DOE)を含むすべての当事者および潜在的な当事者に対し、文書資料を事前に登録することを義務付けている。対象となる文書は、関係する各当事者がヒアリングを含めた許認可手続きで論拠として使用するすべての文書である。

文書の登録期限も定められており、DOEは、処分場建設の認可申請の少なくとも6カ月前までにすべての関連する文書を登録し、登録証明をすることが要求されている。DOEが登録証明を行った後は、NRCは30日以内、その他の関係者は90日以内に文書の登録を行うことが必要となる。


LSNの法制度

LSNの制度は、NRCの定める連邦規則10 CFR Part 2の修正により、2004年6月に制定されている。10 CFR Part 2は、原子力施設の許認可手続きについて規定する連邦規則であり、LSNはサブパートJに記載されている。修正前のサブパートJでは、許認可支援システム(LSS)と呼ばれる同様の文書参照システムが規定されていたが、LSNはその大幅な改善を図ったものとされている。10 CFR Part 2の修正規則は2004年6月14日に連邦官報に掲載され、 2004年7月24日に発効している。(制定時の情報は こちら


LSNの利用

NRCによれば、ユッカマウンテンにおける地層処分場建設の認可申請の審査期間は、放射性廃棄物政策法(NWPA)により原則3年(ただし、1年間延長は認められる)と定められていることから、審査に必要な文書のやり取りに要する時間を短縮するため、公聴会における文書も含めてDOEによる申請書提出前に利用可能な状態にすることとされている。LSNを通じて、許認可手続きに関連する文書はすべて一元的に参照が可能となっており、関連の法令及び規則等へのリンクも示されている。LSNは、DOEおよびNRCのウェブサイトからインターネットを通じて利用可能となっており、世界中の一般利用者も閲覧可能となっている。ただし、許認可手続きの関係者は優先ユーザとして利便性が図られている。


LSNの現状

DOEは、2004年内の処分場建設の認可申請書提出を目指して2004年6月30日にLSNへの書類登録証明を行った。しかし、このDOEの登録証明に対するネバダ州からの申立てを受けたNRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)の審査の結果、DOEの登録証明はNRCの連邦規則に適合してないため無効とされた。この無効決定に対してDOEが2004年9月10日に行った不服申立ても、同11月10日に却下されている。(こちらを参照)

その後、2006年7月に発表された新たなスケジュールでは、処分場建設の認可申請書の提出時期を2008年6月30日とし、LSNへの書類登録証明については、その6カ月前である2007年12月21日までに行うとの予定が示された(関連情報はこちら)。

2007年10月19日、DOEは予定より約2カ月早くLSNへの登録証明を行い、NRCへの許認可申請書の提出も2008年6月3日に実施されている。(こちらを参照:LSN登録証明申請書提出

【参考】 許認可支援ネットワーク(LSN):
<NRC運営のウェブサイト: http://www.lsnnet.gov/


出典