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《英国》原子力廃止措置機関(NDA)等による放射性廃棄物処分関連の動き-ドリッグ処分場の管理契約の延長、NDAの事業計画書の公表、「英国の原子力の将来」ほか-

ドリッグ処分場の管理契約の延長

英国の原子力廃止措置機関(NDA)は、2013年3月27日付プレスリリースにおいて、英国放射性廃棄物管理会社(UKNWM社)と締結していた、ドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場の管理契約を、5年間延長したことを公表した。NDAとUKNWM社とは、2008年3月に初回の契約を締結していた

2004年エネルギー法によって設立されたNDAは、原子力債務の管理の実施に当たって競争原理を導入するとされており、ドリッグ処分場の管理契約は、NDAの原子力施設に係る競争入札が完了した最初の事例であった。ドリッグ処分場に係るプレスリリースによれば、当初の契約期間の5年間で、約3,000万ポンド(約38億円、1ポンド=127円で換算)の費用が節約されており、処分場の寿命が今世紀末までの延長、放射性廃棄物の発生量が3分の1に減少、処分場に新たなボールトが完成することにより、全体として英国の原子力債務を24億ポンド(約3,000億円)減少させる成果があったとされている。

NDAの事業計画書の公表

NDAは、2013年3月27日付の他のプレスリリースにおいて、2004年エネルギー法で策定が義務付けられている事業計画書について、2013年から2016年に対する事業計画書を公表した。事業計画書に係るプレスリリースによれば、今回の事業計画書では、19のサイトにおける危険性の低減作業の加速が優先事項とされている。セラフィールドサイトに関しては、危険性のある老朽化した貯蔵ポンドやサイロの廃止措置作業などに注力するとされている。なお、事業計画書によると、NDAの2013/2014年の総支出は、約32億ポンド(約4,100億円)であり、このうち、約23億ポンド(約2,900億円)が英国政府による直接の支給であり、約9億ポンド(約1,100億円)が商業収入となっている。

NDAのイシュー登録サイト

2013年3月27日付のニュースレターでは、NDAの放射性廃棄物管理局(RWMD)が、ウェブサイト上で「イシュー登録(Issues Register)サイト」を開設していることを紹介している。「イシュー」とは、地層処分の実施により影響を受ける可能性のあるステークホルダーまたは規制機関によって提示された課題や懸念を意味するとされている。下記のウェブサイトで、イシューの検索やカテゴリーごとの閲覧などが可能である。

http://www.nda.gov.uk/geological-disposal/issues/

英国政府の報告書「英国の原子力の将来」

NDA以外の取り組みとして、英国政府は、原子力産業界と共同で、報告書「英国の原子力の将来」を作成し、2013年3月26日に英国政府のウェブサイト上で公表した。本報告書では、新規原子炉の計画、既存の原子力発電所、原子力における社会基盤、濃縮と燃料加工、放射性廃棄物管理と廃止措置のそれぞれの分野に関して、年代ごとの実施内容が示されている。
地層処分に関しては2020年代までの地上からの調査、2030年代までのサイトの決定と建設作業の開始、2050年代までの設計、建設、操業の開始という工程が示されている。

下図は、濃縮と燃料加工、放射性廃棄物管理と廃止措置の工程を示している。

「英国の原子力の将来」で示された放射性廃棄物管理等の工程

「英国の原子力の将来」で示された放射性廃棄物管理等の工程
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/168048/bis-13-627-nuclear-industrial-strategy-the-uks-nuclear-future.pdf

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )