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英国政府が原子力発電所の新規建設に向けた意識調査を実施

英国の事業・企業・規制改革省(BERR)は2007年9月13日付けのプレスリリースにおいて、英国での原子力発電所の民間電力会社による新規建設などに関して、2007年9月8日に9つの都市で計約1,000人を対象に行った意識調査の結果を公表した。

同プレスリリースによると、「Talking Energy」(エネルギーについて話そう)と題された今回の意識調査は、ベルファスト、カーディフ、エディンバラ、エクセター、レスター、リバプール、ロンドン、ニューカッスル、ノリッジの9つの都市で開催され、民間調査会社が政府に代わって運営を行った。意識調査では、原子力発電の将来に関する情報が提供されるとともに、参加者が互いに議論を行う時間が確保されていた。参加者は地域及び英国全体を人口統計学的に代表するように選ばれており、全国レベルでの一般公衆の考えが把握できたとしている。

今回の意識調査では、議論の前後での意見の変化を見ることを意図した6つの質問を含めて12種類の質問についての回答を集計している。原子力発電所の新規建設に伴う新たな放射性廃棄物の発生や原子力の安全性に関しては、9割の参加者が懸念を示しており、政府が新たに発生する放射性廃棄物を既存の放射性廃棄物と同様に処分するとの提案に対して、半数以上の参加者が当日に与えられた情報の下では満足しておらず、廃棄物管理などに関してより詳細な情報を望む傾向があったとしている。なお、原子力発電所の新規建設に関するオプションを電力会社に与えることが公衆の利益になるとの考えについて、44%が賛成、37%が反対を示している。温暖化防止及びエネルギー安全保障に関しては、参加者の約9割が英国の重要な課題として捉えており、約6割がこれらの課題に対して原子力利用が重要な寄与をすると回答している。

なお、今回の意識調査に関する分析結果及び最終的な報告書は2007年10月に公開されるとしているが、2007年5月23日より2007年10月10日まで実施されている原子力発電の将来に関する意見募集、別途開催されている12の地域におけるステークホルダーを対象とした意見聴取などで寄せられた反応とともに、政府が2007年中に予定している原子力発電所の新規建設オプションの民間電力会社への付与に関する政府決定に役立てるとしている。

【意識調査での質問及び回答結果の概要】

(1)英国で現在、発電がどのように行われているかどの程度知っていると思うか?
 非常に・良く知っている:17.0%、全く・ほとんど知らない:47%
(2)英国で現在、発電に用いられている燃料はどれか?(各項目を提示)
 化石燃料:89.5%、再生可能エネルギー:83.1%、原子力:80.3%
(3)英国で現在、原子力が全発電電力量の1/5を占めており、電力使用量は増加しているが、
        将来も引き続き原子力発電を行うことをどう考えるか?
 強く支持・支持:45.3%、強く反対・反対:23.7%
(4)英国にとって、温暖化防止対策への取り組みは重要な課題であることにどの程度同意する
        か?
 強く同意・同意:88.3%、強く同意しない・同意しない:4.4%【議論の前】
 強く同意・同意:90.2%、強く同意しない・同意しない:4.2%【議論の後】
(5)英国にとって、原子力発電は二酸化炭素排出の削減に重要な寄与をする可能性があること
        にどの程度同意するか?
 強く同意・同意:64.7%、強く同意しない・同意しない:7.9%【議論の前】
 強く同意・同意:60.1%、強く同意しない・同意しない:21.1%【議論の後】
(6)英国にとって、安全で信頼できるエネルギー供給は重要な課題であることにどの程度同意す
        るか?
 強く同意・同意:95.9%、強く同意しない・同意しない:1.0%【議論の前】
 強く同意・同意:94.2%、強く同意しない・同意しない:1.9%【議論の後】
(7)英国にとって、原子力発電は安全で信頼できるエネルギーの供給源として重要な寄与をす
        る可能性があることにどの程度同意するか?
 強く同意・同意:62.6%、強く同意しない・同意しない:10.7%【議論の前】
 強く同意・同意:62.3%、強く同意しない・同意しない:19.5%【議論の後】
(8)原子力に関する安全性及びセキュリティーの問題に関してどの程度懸念しているか?
 強く・かなり懸念:87.2%、あまり・全く懸念しない:10.7%【議論の前】
 強く・かなり懸念:83.4%、あまり・全く懸念しない:16.5%【議論の後】
(9)原子力に関する安全性及びセキュリティー上のリスクを最小化するために講じられている手
        段に満足しているか?
 非常に・かなり満足:35.7%、非常に・かなり不満:35.3%
(10)新たな放射性廃棄物の発生について、どの程度懸念しているか
 強く・かなり懸念:90.0%、あまり・全く懸念しない:7.5%【議論の前】
 強く・かなり懸念:89.5%、あまり・全く懸念しない:10.3%【議論の後】
(11)新たな放射性廃棄物を既存の廃棄物と同様に管理するという政府の提案に満足している
        か?
 非常に・かなり満足:23.7%、非常に・かなり不満:51.1%
(12)温暖化防止対策及びエネルギー安全保障の観点から、民間の電力会社に原子力発電所
        の新規建設に向けた投資のオプションを与えることが公衆の利益になるとの考えに賛成
        か?
 強く賛成・賛成:44.2%、強く反対・反対:36.5%
  (男性の52%、女性の33%、60歳以上の54%、30-44歳の39%が賛成)

【出典】

  • 事業・企業・規制改革省(BERR) プレスリリース(2007年9月13日)、 http://www.gnn.gov.uk/environment/fullDetail.asp?ReleaseID=314428&NewsAreaID=2&NavigatedFromDepartment=True
  • 事業・企業・規制改革省(BERR) 、The Future of Nuclear Powerウェブサイト、http://nuclearpower2007.direct.gov.uk/events.asp

(post by 原環センター , last modified: 2013-07-03 )