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《スイス》ニドヴァルデン州の州民投票で、ヴェレンベルグ・サイトでの探査坑の掘削許可を否決

スイスのニドヴァルデン州ヴェレンベルグで計画中の低中レベル放射性廃棄物処分場に関して、同州が探査坑掘削許可を与えることについての州民投票が2002年9月22日に行われ、反対57.5%により否決された。探査坑は、処分場としての適性を調査するために掘削される予定となっていた。州民投票で否決されたことにより、ヴェレンベルグ・プロジェクトは、永久にでなければ、数年間、政治的に中断されることとなる。

現在、原子力発電所から発生する放射性廃棄物は、原子力発電所および貯蔵施設ZWILAGで貯蔵されているが、少なくとも40年間の原子力発電所操業から発生する廃棄物を貯蔵するだけの容量は確保されており、低中レベル放射性廃棄物管理についての時間的な問題はない。しかし、貯蔵では廃棄物管理の長期的な解決とはならないため、最終処分場を探すことは引き続き必要である。スイスの原子力発電所の操業者は、連邦政府に対し、低中レベル放射性廃棄物管理問題の解決が実現できるような政治的および法的な環境を整備するよう求めている。

スイスにおいては、すべての廃棄物の処分場に対し、積極的な管理によらないで安全を確保することが求められている。そのため、低中レベル放射性廃棄物処分場においてもこのような安全を確保することが要求されており、この処分場サイトとして1993年にニドヴァルデン州のヴェレンベルグが選定された。処分場の建設および探査坑での地下調査に対しては、連邦からの許可に加え、州からの許可が必要となるため、州はプロジェクトに対する拒否権を有している。ニドヴァルデン州の場合、州からの許可は州民投票の対象となっており、今回の州民投票結果により、この許可は発給されないことになった。

ヴェレンベルグ問題に対する州民投票は、今回で2回目となる。1995年に行われた第一回目の州民投票では、(処分場の建設と操業を行う)ヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合(GNW)は、探査坑掘削と処分場建設の申請を同時に行ったために、いくつかの政治団体からの反対され、反対52.5%で否決された。今回は段階的なアプローチが取られ、最初に探査坑に対する州民投票が行われ、この調査結果が望ましいものであった場合は、次の建設許可について投票が行われる予定であった。また、処分概念も、モニタリング期間が延長され、廃棄物の回収が可能となるように改善されていた。このアプローチは、第三者的ワーキンググループ(EKRA等)によって推奨されたものであったが、反原子力グループは、「探査坑は処分場に向けての後戻りすることのできない第一歩を踏み出すことである」としてプロジェクトに反対、州民も許可を拒否した。サイトにおける地層の適性については連邦および専門家により確認されているため、問題は政治的なものとなる。

【出典】

  • ヴェレンベルグ放射性廃棄物管理協同組合(GNW)プレスリリースより抜粋 (http://www.nagra.ch/english/aktuell/presse/wlb.pdf)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )