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《英国》カンブリア州、コープランド市及びアラデール市がサイト選定への参加決定を延期

英国のカンブリア州、及び同州のコープランド市が2012年10月2日にウェブサイトで公表したプレスリリース1 によると、地層処分場のサイト選定プロセスへの関心表明を行っていたカンブリア州、コープランド市及びアラデール市は、第3段階でサイト選定プロセスへの参加を決定し、机上調査を実施する第4段階に進むかどうかの判断を2013年1月まで延期した。西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップ2 (以下「パートナーシップ」という)が2市1州に提出した報告書では、第3段階での判断は2012年10月に行われる見込みであるとしていた。

プレスリリースによれば、パートナーシップの報告書は、サイト調査に関する見解や助言などを含めた多くの情報を示しているものの、今後のサイト選定プロセスに参加すべきかどうかについての勧告が示されていなかったとしている。また、2市1州がそれぞれ参加決定の是非を判断するには、解決すべき疑問点が残されているとしている。さらに、パートナーシップの報告書に示されている公衆及びステークホルダーの懸念の根底には信頼の欠如があるとし、今後3カ月間で判断を行えるようにするため、以下の事項について政府に要求するとしている。

  • 自治体の撤退権について:政府は、処分場の建設開始までは自治体による撤退が可能であるとしているが、この権利が法的な裏付けを持つようにすることを政府が確約することが必要である。
  • 自治体の利益のパッケージ(地域共生策)について:処分場を建設する地域に対する利益に関する協議について、パートナーシップの利益のパッケージに関する13の原則を踏まえた上で、政府から明確な説明を受ける必要がある。
  • 政府からの資金について:カンブリアのブランドを守るためには、実施主体が今後実施する調査・研究について、地域の代表者が独立して検討する必要がある。この目的の資金が政府から十分に得られるかを明確にする必要がある。

プレスリリースでは、西部カンブリア地域の地質を十分に解明するには多くの調査・研究を行う必要があるため、地層処分場として適切な地質があるかどうかに関する不確実性は、今後も多年にわたり存在し続けるとの認識が示されている。そのためにカンブリア州、コープランド市及びアラデール市は、地質学的な理由を含む何らかの理由で、適切なサイトが特定されない場合に備えて、サイト選定プロセスと並行して、放射性廃棄物管理に関する代替の解決策を検討すべきであるとしている。

【補足:カンブリア州、コープランド市及びアラデール市の参加の決定方法について】

パートナーシップの報告書には、参加の決定方法に関して、カンブリア州、コープランド市及びアラデール市が覚書を締結していることが述べられている。カンブリア州、コープランド市及びアラデール市は、第4段階に進むべきかどうかについての判断を自治体ごとに決定するが、正式に第4段階に進む自治体に関しては、2市1州の合意が必要となる。
また、2市1州の合意のもとで、2市のうちの一方、あるいは両方が参加することになった場合、原子力分野の監督権限を有するエネルギー・気候変動省(DECC)は、公衆やステークホルダーの観点から、それぞれの自治体が行った参加の決定に対する信頼性を判断することになっている。いずれかの自治体の参加をDECCが望まないと判断した場合、当該自治体はサイト選定プロセスから撤退するとしている。

【出典】

  1. カンブリア州とコープランド市が公表したプレスリリースは同じ内容のものである。なお、アラデール市は、本件に関してプレスリリース等を公表していない。 []
  2. 西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップは、地層処分場サイト選定プロセスに関心表明を行ったカンブリア州、カンブリア州アラデール市及びカンブリア州コープランド市が合同で設立した諮問組織であり、関心表明を行った州議会・市議会の他、カンブリア州内の他の市議会、カンブリア州地方議会連合、全国農業者連盟(NFU)、地方労働組合やステークホルダーグループなどによって構成されている。自治体にサイト選定プロセスへの参加に関する判断材料の提供などの支援を行っている。 []

(post by f-yamada , last modified: 2023-10-11 )