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《英国》ケント州シェップウェイ市議会が地層処分場選定プロセスへの関心表明を行わないことを決定

英国南東部に位置するシェップウェイ市は、英国政府が進めている高レベル放射性廃棄物等の地層処分場のサイト選定プロセスへの関心表明を行うかを検討していたが、2012年9月19日の市議会において関心表明をしないことを賛成多数(賛成:21票、反対:13票、棄権:4票)で議決したことを自身のホームページで公表した。

図1 シェップウェイ市の位置及び同市の領域において地上施設の設置可能性のある地域

図1 シェップウェイ市の位置及び同市の領域において地上施設の設置可能性のある地域(シェップウェイ市議会の展示会資料より作成)

シェップウェイ市の南部ロムニーマーシュ地域にはダンジネス原子力発電所があり、ダンジネスA発電所で2基の原子炉が廃止措置中、ダンジネスB発電所で2基が運転中である。今回の議決に先だって、2012年9月11日に市議会資料「ロムニーマーシュ地域における原子力研究・放射性廃棄物処分施設に対する関心表明に対する報告書」が公表され、その翌週に開催された市議会で議決が行われた。

この報告書によれば、ダンジネス原子力発電所の廃止措置に伴う、雇用及び経済規模の縮小という問題に対処するための方策として、高レベル放射性廃棄物等の地層処分場のサイト選定プロセスへの関心表明を行うか否かの可能性について、2012年2月からプロジェクトチームを設置して検討を開始したとしている。なお、この検討を開始する以前からシェップウェイ市はダンジネスC発電所の新設を模索していたが、2012年2月に政府との協議において、この可能性が極めて低いことが示されていた。

シェップウェイ市は、2012年5月にメディアやウェブサイトで地層処分に関する情報を公表し、主要なステークホルダーとの対話を始めた。同市は、ロムニーマーシュ地域にある約1万世帯、約650の企業、市内全ての自治組織、その他潜在的なステークホルダーに対して、説明用リーフレットと意見表明フォームを同封したニュースレターを送付し、7月26日までの10週間以上にわたって意見募集を行っている。意見募集期間に同市は、関心のある団体等からの要求に応じて説明会や展示会を開催しており、サイト選定プロセスに関して責任を持つエネルギー・気候変動省(DECC)及び、地層処分事業の実施主体である原子力廃止措機関(NDA)の参加協力を得て、住民が直接、地層処分事業の関係者と話が出来るように配慮したとされている。

同報告書によれば、意見表明フォームを通じて得た回答は3,328件(うち、ロムニーマーシュ地区の住民または企業からのものが94%)あり、シェップウェイ市が関心表明を行うべきかとの設問に対し、賛成が33%、反対が63%であった。

シェップウェイ市は、今回の関心表明を行わないという決定の公表とともに、ダンジネスC発電所の新設に向けて、種々の活動を行っていく意向を示した。

【出典】

(post by f-yamada , last modified: 2023-10-11 )