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《ベルギー》浅地中処分場建設許可申請に向けた安全報告書についての国際ピアレビュー結果が公表

ベルギーの放射性廃棄物管理の実施主体である、放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)は、2012年9月17日付のプレスリリースにおいて、ONDRAF/NIRASが2011年11月に、デッセル自治体に建設予定1 の短寿命・低中レベル放射性廃棄物の浅地中処分場建設の許可申請に向けたドラフト版の安全報告書について、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)による国際ピアレビュー結果を公表した。

ベルギーでは、浅地中処分場の建設許可申請に向けて、ONDRAF/NIRASがセーフティケース及びその主要部となる安全報告書の作成を進めており、2011年11月にドラフト版の安全報告書を取りまとめていた。今回の国際ピアレビューは、このドラフト版安全報告書を対象としてベルギー連邦政府の要請により実施されたものであり、チェコ、フランス、スペイン、スイス、英国から各1名の専門家、NEAから2名の専門家の計7名で構成された国際レビューチーム(IRT)がピアレビューを実施している。

ONDRAF/NIRASのプレスリリースによると、今回のピアレビュー結果では、ONDRAF/NIRASのドラフト版の安全報告書について、長期安全戦略と長期安全評価の信頼性及び頑健性が立証されたとしている。

また、OECD/NEAも2012年9月17日付けのプレスリリースにおいて、今回の国際ピアレビュー報告書を公表しており、今回のピアレビューの主要な結論を以下のように整理している。

  • 国際的な観点から判断して、ONDRAF/NIRASの長期安全戦略及び安全評価は、長期安全を支援するための能動的・受動的な要素を十分に有し、概ね、信頼性があり頑健なものである。この戦略は、深層防護、システム設計の最適化及び、受動的安全原則に基づいており、国際的なガイドライン、勧告及び最善の慣行に従っている。
  • 提案されている処分システムの設計は、長期安全戦略を考慮している。また、暫定的な放射性核種インベントリ及びデッセルの地質環境特性においても、適切な設計となっている。処分施設の処分概念及び設計は適切に記述されている。処分場の様々な構成要素の安全機能についても、長期的な安全評価が実施できるよう明確に示されている。ONDRAF/NIRASが実施した実証試験により、システム設計が改良され、様々なシステムの構成要素について、建設の実現可能性が確認された。
  • ONDRAF/NIRASが用いた長期安全評価のための反復アプローチは、国際的な慣行に従っており、合理的なものである。いくつかの解析結果は、レビューの終盤になって初めて提示されたため、安全評価結果の包括的な解釈はこのレビューでは行われていない。現在の安全評価の分析によると、ONDRAF/NIRASが処分システムの設計、廃棄物や環境を考慮に入れた非常に多くのシナリオや評価ケースを検討したことがわかっている。シナリオ設定は原則として、適切である。最終報告書において、改善のための勧告を示している。
  • コンクリートや他の人工バリアに関するONDRAF/NIRASの科学的知見や技術的基礎は、最先端のものであり、適切に記述され、用いられている。技術的な制限についても特定されており、現行及び将来の研究開発プログラムにおいて評価される。

今回のOECD/NEAによる国際ピアレビュー報告書の取りまとめを受けて、ONDRAF/NIRASは、国際レビューチームが指摘した勧告を検討し、浅地中処分場の建設許可申請に必要な安全報告書などの最終化を進めていくとしている。

また、ベルギーにおける放射性廃棄物管理に関する規制行政機関である連邦原子力管理庁(FANC)は、2012年9月19日に、自身のウェブサイトにおいて、OECD/NEAによるピアレビュー報告書内容を確認したことを明らかにした。また、FANCは、現行法令に基づきONDRAF/NIRASが提出する処分場の建設・操業許可申請を独立した立場で審査するとしている。

 

【出典】

  1. ベルギーでは、2006年6月に短寿命・低中レベル放射性廃棄物の浅地中処分場をデッセル自治体に設置することが決まっており、2008年4月からデッセル自治体において、地質調査を実施していた []

(post by f-yamada , last modified: 2023-10-11 )