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《スペイン》産業・観光・商務省(MITYC)が 集中中間貯蔵施設プロジェクトに関する情報を公表

スペインの産業・観光・商務省(MITYC)は2006年8月9日付けのプレスリリースにおいて、建設が計画されている使用済燃料等の集中中間貯蔵施設プロジェクトに関する情報を公表した。本施設の立地は、関心のある自治体の中から候補地が選出されることになっており、施設建設に関する情報が2006年7月27日から公表され、9月の第3週には自治体の応募手続きに関する情報が官報に掲載されることになっている。今回のプレスリリースでは、施設の概要や投資額、立地自治体への補償金、諸外国での中間貯蔵の状況、2006年7月に設置された施設が遵守すべき基準を策定するための委員会の活動状況などが示されている。

計画されている集中中間貯蔵施設は、オランダの高レベル放射性廃棄物等の貯蔵施設である”HABOG”を参考としたものとされており、同施設の他に最終管理のために必要な様々な分野の研究活動を行う技術センター及び事業用設備の設置が計画されている。計画では、集中中間貯蔵施設の面積が13ヘクタール、技術センターが7ヘクタール、そして事業用設備のために使用される面積が5ヘクタールとされている。施設の建設から操業開始までには4~5年かかるとされており、操業期間は60年の予定となっている。

同プレスリリースによると、集中中間貯蔵施設が遵守すべき基準の策定を行う委員会が、情報公開の開始(2006年7月27日)からの2週間でスペイン全土の自治体及び個人から数十件もの情報請求を受けたとしている。なおこの委員会は、第6次総合放射性廃棄物計画と共に承認された王令により2006年7月7日に設置されたものである。また、産業・観光・商務省(MITYC)では、プロジェクトに関するウェブサイトも開設している。施設を受け入れる準備のある自治体の最終的な数は、2006年9月の第3週から始まる公式な応募書類の提出期間の終了以降に判明するとされている。

同プレスリリースによると、集中中間貯蔵施設全体としての初期投資額は、立地地域への社会、経済及び産業的な振興策も含めて、約7億ユーロ(1,000億円)と想定されている。また、受け入れ自治体は諸税の他に、影響を受ける自治体への補償金の配分基準などを定めた省令で規定された補償金を受け取るとされている。同プレスリリースでは、この省令に基づき計算された2006年時点での補償金年額は、固定費である約202万ユーロに、変動費(燃料1トン当たり約2万4,300ユーロ)を加え、年間平均では約1,150万ユーロ(16億3,000万円:貯蔵量により変動する)になるとされている(1ユーロ=142円として換算)。さらに、建設段階での労働者数が平均で300人、操業段階の要員が約90人と見込まれており、建設に必要な労働力の約60%、操業についてはそれ以上の割合が立地地域の周辺から調達される予定となっている。

【出典】

  • 産業・観光・商務省(MITYC)プレスリリース、2006年7月26日 (http://www.mityc.es/es-ES/Servicios/GabinetePrensa/NotasPrensa/HistoricoNoticias/2006/7/anuncioatcmediosdecomunicacion26.07.06.htm)
  • 産業・観光・商務省(MITYC)プレスリリース、2006年8月9日 (http://www.mityc.es/es-ES/Servicios/GabinetePrensa/NotasPrensa/atcprimerasinformaciones09.08.06.htm)
  • 集中中間貯蔵施設に関するウェブサイト (http://www.emplazamientoatc.es/)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )