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《スウェーデン》安全規制機関がSKB社の安全評価書の国際ピアレビュー報告書を公表

スウェーデンの放射線安全機関(SSM)は、2012年6月13日付けプレスリリースにおいて、放射性廃棄物処分の実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2011年3月に提出した使用済燃料の地層処分場の立地・建設許可申請書を構成する安全評価書(SR-Site)について、経済協力開発機構/原子力機関 (OECD/NEA)による国際ピアレビュー報告書を公表した。

この国際ピアレビューは、SKB社によるエストハンマル自治体のフォルスマルクでの地層処分場の立地・建設許可申請のSSMによる審査支援として、スウェーデン政府がOECD/NEAに依頼して実施されたものである。OECD/NEAは独立したレビューを行うために、国際的な専門家(10名)とオブザーバー(1名)で構成される国際レビューチームを設置し、2011年5月から、SKB社による処分場のサイト選定方法や長期安全性に関するレビューを実施していた。

今回公表された国際ピアレビュー報告書では、ピアレビューの結果として以下のような点が示されている。

  • 国際的な見地から、SKB社の処分場閉鎖後の安全評価は十分かつ信頼ができるものである。
  • SKB社の使用済燃料処分プログラムは、成熟し、革新的であり、利用可能な最善の技術(BAT)1を適用している。
  • 原則的に、使用済燃料処分プログラムは、次の許可審査段階に関連した事業上・安全上の要件を満たすことが出来るものである。
  • 安全評価書(SR-Site)及び関連文書は、今後、概念段階から事業段階へとプロジェクトが移行していく際に進展すべき全ての面を含んでおり、大きな不備がないことが確認された。
  • SKB社の長期セーフティケースは、KBS-3概念2 による処分場の実現可能性と長期安全性の両方について、納得のいく説明と技術基盤を示している。
  • 安全評価書(SR-Site)は予備的安全評価書として位置付けられる。スウェーデンの原子力活動法に基づく許認可では、段階に応じた安全評価書の提出が求められており、このような段階的なアプローチは十分に確立された国際的な慣行である。

一方、許可申請書の明瞭さやトレーサビリティ、セーフティケースの信頼性向上のための追加解析と開発作業の必要性などの改善点もいくつか示されている。また、国際レビューチームは、今後、未解決の技術的課題に注力することで完全性を向上させることを期待するとしている。

なお、今回のOECD/NEAによる国際ピアレビュー報告書は、SSMのみならず、処分場に関連する自治体やステークホルダーに重要な情報を提供するものであるとしている。

SKB社は2012年6月13日付けプレスリリースにおいて、今回の国際ピアレビューにおいて国際レビューチームから改善の指摘を受けた点については、既に作業・研究活動を開始したとしている。

【出典】

  1. Best Available Technique。環境、放射性廃棄物管理などの分野で、人間及び環境の保護のために利用可能な最善の技術が使用されているかという観点での指標が使用、検討されている。 []
  2. スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料の集合体を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に縦置きでキャニスタを収納して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというもの。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様な概念を採用している。 []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )