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《英国》DECCが地層処分場の候補地の特定及び評価の枠組みを公表

英国のエネルギー・気候変動省(DECC)は、2012年3月12日に、地層処分場の候補地の特定及び評価の枠組みを示した文書を公表した。同文書は、地層処分場サイト選定プロセスの第3段階においてサイト選定プロセスへの参加を決定した自治体について、第4段階で実施される机上調査1 での検討の進め方、第5段階へ進む候補地を特定し、評価するための方法などを定めたものである。DECCは、同文書の決定に先がけ、2011年6月に協議文書を公開して意見を求めていた。なお、既に関心表明を行っているカンブリア州のコープランド市、アラデール市は、サイト選定プロセスへの参加の是非について検討を行っているところである

同文書では、机上調査の目的を下記の2点とし、下表に示した7つのステップにより候補地を特定するとしている。

  • 参加を決定した自治体から候補地を特定する。
  • 第5段階で詳細調査(ボーリング調査等を含む地上からの調査)を行う候補地を選定するための判断材料として、特定された候補地を評価する。

サイト選定プロセスの第3段階における参加決定から候補地の特定までの7ステップ

第1ステップ 地方自治体の意思決定機関がサイト選定プロセスへの参加を決定
第2ステップ 意思決定機関が、候補地の特定及び評価に地域のステークホルダーが関与することが可能となるよう地域立地パートナーシップ(以下「パートナーシップ」という)2 を設置
第3ステップ パートナーシップが、地域固有の基準及び国の基準3 を取り入れた枠組みの下で地域ごとの候補地を特定するプロセスを確立
第4ステップ パートナーシップ及び原子力廃止措置機関(NDA)が協力し、適性を有する可能性のある母岩及び地表エリアを特定するため、合意した基準を適用
第5ステップ パートナーシップが候補地周辺の代表者との関与を開始
第6ステップ 第5ステップと並行し、NDAがパートナーシップとの協力の下、適性を有する可能性のある母岩及び地表エリアの組み合わせ、及び異なる組み合わせによる安全性、環境への影響及び費用を検討
第7ステップ 第6ステップでの検討後、候補地を特定して評価段階へ移行

また、候補地の特定では広範囲にわたる検討を実施するため、地域固有の基準及び国の基準に基づいたアプローチを適用する。地域固有の基準については、パートナーシップ及び意思決定機関が選定するものとしている。また、同文書では、国の基準が以下のように示されている。

  • 地質学的条件
  • 人間に対する潜在的影響
  • 自然環境及び景観に対する潜在的影響
  • 地域の社会経済影響
  • 輸送及びインフラ設備の準備
  • 実施の費用、期間及び容易さ

候補地が特定された後、NDAによる国の基準を適用した多基準意思決定分析(MCDA)を用いたアプローチにより、候補地の評価が行われる予定である。この評価結果は、第5段階の詳細調査に進むかの判断を行うための地域の意思決定プロセスにおいて重要な情報となる。また、意思決定プロセスでは、パートナーシップが地方自治体の意思決定機関に候補地を推薦し、意思決定機関が候補地を決定する。その後、政府が詳細調査に進む候補地を確定することになっている。

【出典】

  1. 机上調査とは、候補地に関する既存情報を用いて調査を行うことであり、ボーリング調査などは含まれない。 []
  2. 地域立地パートナーシップは、自治体代表、地域住民、実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)などから構成され、参加メンバーの連携や協議を主導し、意思決定の支援などの役割を果たすこととされている。 []
  3. 国の基準とは、IAEAの安全基準文書、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の推奨した基準により、国が策定した基準である。 []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )