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《米国》DOEがユッカマウンテン関連法案を連邦議会に提案

2006年4月4日、米国の連邦エネルギー省(DOE)は、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理と処分の強化を図るための立法の提案を2006年4月5日に連邦議会に提出するとのニュースリリースを公表した。この法案の提案は2007会計年度の大統領予算要求に含まれていた公約を満たすものとされ、原子力発電の拡充のために重要なユッカマウンテン処分場開発プロジェクトを安定で予測可能なものにするとのエネルギー長官のコメントも示されている。なお、法案原文及び法案の概要は、2006年4月5日にDOE民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)のウェブサイトにおいて公表されている。

ニュースリリースによれば、エネルギー長官が提案する予定の法案は、地層処分場の許認可及び建設に関する包括的な規定を含み、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の安全で恒久的な処分を実現するものとされ、以下が主要なポイントとして紹介されている。

  • ユッカマウンテン周辺の土地の永久的な収用:
    原子力規制委員会(NRC)の連邦規則への適合上も必要であり、公衆の健康及び環境の防護を強化する
  • ユッカマウンテン・プロジェクトに対する適切な資金確保制度:
    連邦予算の中で、放射性廃棄物基金への拠出金の扱いをユッカマウンテンへの歳出額を限度として義務的収入から裁量的相殺収入へと分類替えし、ユッカマウンテンへの歳出と相殺可能とする
  • 70,000トンの法定処分量上限の撤廃:
    ユッカマウンテン処分場の技術上の真の処分容量を最大限に活用し、全米の原子力発電所から発生する使用済燃料の安全な処分を可能とする
  • NRC許認可手続きの効率化及び施設設置活動の開始:
    安全上その他の目的の施設改善、鉄道線路建設等も開始し、早期操業を可能とする

また、ニュースリリースの最後では、提案する法案は2002年に処分場サイトに指定されたユッカマウンテンで処分を実施するという連邦政府の責務をサポートするものであること、また、大統領府によって推進されているグローバル・ニュークリア・エネルギー・パートナーシップ(GNEP)において提唱されている使用済燃料リサイクルなどによって放射性廃棄物量の減少が達成されたとしてもユッカマウンテン処分場の必要性は変わらないことなどが示されている。

なお、2006年4月5日に公表された法案の概要説明書では、70,000トンの処分量制限の撤廃により、約120,000トンの使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分が可能とされている。これは、現時点での見通しでは運転中の原子炉全てが運転期間延長をした場合でも十分な容量と見込まれることから、第二処分場計画開始の決定を無期限に延期することになるとの見通しが示されている。また、NRC許認可手続きに関しては、安全上その他の目的の施設改善や鉄道線路建設等の施設設置活動は処分場建設の認可前でも実施可能なこと、さらに建設認可後の廃棄物受け入れ等の許可手続きは単純化した1年以内のものとすることなども説明されている。資金に関しては、今回の提案は2005会計年度予算要求時における提案と同様の内容であることが示されている。

【参考】

【出典】

【2006年9月14日追記】

DOEの提案を受けて上下両院にそれぞれ法案が提出されていたが、両院において法案審議に係るヒアリングが開催された。連邦議会上院のエネルギー・天然資源委員会は、2006年8月3日に法案S.2589に関するヒアリングを実施し、下院のエネルギー・商務委員会は、2006年9月13日に法案 HR.5360等に関するヒアリングを開催した。

  • 連邦議会上院エネルギー・天然資源委員会ウェブサイト(ヒアリングのページ) energy.senate.gov/public/index.cfm?FuseAction=Hearings.Hearing&Hearing_ID=1583
  • 連邦議会下院エネルギー・商務委員会ウェブサイト(ヒアリングのページ) energycommerce.house.gov/108/Hearings/09132006hearing2024/hearing.htm
  • DOE民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)局長の議会証言(2006年9月13日)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )