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《ドイツ》コンラッド処分場の計画確定の決議に対する 異議申し立てを却下する判決が出される -連邦環境大臣が声明を発表

2006年3月8日付の連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)プレスリリースによると、非発熱性放射性廃棄物1 用の地層処分場であるコンラッド処分場について、ニーダーザクセン州環境省の計画確定の決議(詳しくは こちら)に対する地方自治体や住民の異議申し立てをリューネベルク上級行政裁判所が2006年3月8日に却下したことを受け、連邦環境・自然保護・原子炉安全大臣(以下、環境大臣)の声明が公表された。

なお、コンラッド旧鉄鉱山は1976年より適合性調査が開始され、1982年には当時の実施主体であった連邦物理・技術研究所(PTB)により計画確定手続の申請が開始された。コンラッド処分場の操業は、2001年6月に署名された連邦政府と電力会社の協定において、裁判所への異議申し立ての判決が下るまで開始できないと合意されており、2002年5月に計画確定手続きが決議されたものの異議申し立てがあったため、この計画確定決議がこれまで法的に有効ではなかった。この決議が法的に有効となると、コンラッド処分場は米国の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)に次ぐ世界で2番目の地層処分場となる。

判決では、コンラッド処分場の計画確定決議が法的な要件を十分に満たしていると判断され、地方自治体や住民の異議申し立てが却下されている。原告は、この判決そのものに対する上告は認められていないが、上級行政裁判所が上告を認めなかったことに対する異議申し立ての権利を有する。原告がこの権利を行使した場合、この異議申し立てに対する連邦裁判所の決定後に初めてコンラッド最終処分場プロジェクトに対する決定が法的に確定することとなる。

声明の冒頭で、社会民主党(SPD)に所属する環境大臣は、以前からコンラッド処分場プロジェクトに反対の立場であったが、20年以上に及ぶこのプロジェクトの「相続人」となり、同時にコンラッド処分場の建設申請を提出し、非発熱性放射性廃棄物の安全な最終処分の全ての問題において、このプロジェクトが適切と考える当局の上官となっていると述べている。引き続き、環境大臣は今後のコンラッド処分場プロジェクトについて次のような見解を示している。

コンラッド処分場に関する連邦行政裁判所の手続きの後、決議が法的に確定される場合(上告についての判決毎に12カ月から18カ月の期間が必要となる見込み)、当初の計画の準備及び調整に5年から6年の期間が必要となると見込まれる。また、計画確定手続が20年以上前に開始され、放射性廃棄物処分を取り巻く状況が変化したことから、コンラッド処分場の経済性に関するこれまでの計算を再検討し、廃棄物発生者であるエネルギー関連企業と協議する必要性がある。このような背景から、コンラッド処分場に対して法的に確定した判決が下されるまでの時間を利用し、ドイツにおける一般的な最終処分場概念を開発し、この概念に基づきコンラッド処分場における最終処分方法を評価することは有意義なことであろう。

環境大臣は次のような姿勢でこの概念を作成する作業を指導することになると述べている。

  • 国が責任を負う:ドイツの放射性廃棄物は国内で最終処分する必要があり、安全基準の低いことも考えられる他の国々に輸出することはできない。
  • 現世代で責任を負う:原子力を利用した世代が、廃棄物を最終処分する必要がある。
  • 安全性を最優先する:最終処分の際には、安全性が最優先される。このため、全ての放射性廃棄物が地層処分場に処分されることになる。
  • 透明性及び追跡可能性を確保する:このような最終処分場に関するコンセンサスのもとで、透明性が高く、追跡可能な手続きを実現することが不可欠である。

【出典】

  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)、2006年3月8日付プレスリリース
    (http://www.bmu.de/pressemitteilungen/pressemitteilungen_ab_22112005/pm/36756.php)
  • 連邦エネルギー庁(BfS)、 「コンラッド鉱山 非発熱性放射性廃棄物を対象としたドイツの計画処分場」 (1990年)
  • BMU、「放射性廃棄物等安全条約第2報告書」
    (http://www.bmu.de/files/english/nuclear_safety/application/pdf/2nationaler_bericht_atomenergie_en.pdf)
  • DBE社ウェブサイト、http://www.dbe.de/index.htm
  1. ドイツにおける放射性廃棄物は、処分時に地層への熱影響を考慮しなければならない発熱性放射性廃棄物と、熱の影響を無視できる非発熱性放射性廃棄物とに大きく区分され、ドイツではこの区分毎に地層処分場が建設される計画である。なお、ガラス固化体や使用済燃料は発熱性放射性廃棄物に区分される。 []

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )