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《英国》低レベル放射性廃棄物の長期管理に関する協議文書が公表される

英国の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、2006年2月28日付けのニュースリリースにおいて、政府の低レベル放射性廃棄物の長期管理政策に関する協議文書を公表した。この協議文書は、1995年に発表されたコマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー」(Cm2919)における既存の低レベル放射性廃棄物の長期管理政策を置き換えることとなる、政府の新たな政策に関するもので、2006年5月31日まで意見募集が行われるとされている。

同ニュースリリースでは、今回の長期管理政策の変更の背景として、今後、原子力廃止措置機関(NDA)によって管理されている原子力遺産の廃止措置等から、かなりの量の低レベル放射性廃棄物が発生するため、これらの廃棄物のための新たな管理オプションが必要であることが挙げられている。また、協議文書によると、協議の対象となっている、政府提案の新しい低レベル放射性廃棄物の長期管理政策の要点は以下の通りである。

  • すでに存在するかまたは今後の廃止措置などで大量の発生が見込まれる広範囲の低レベル放射性廃棄物の管理において、より柔軟性を持たせる。ただし、この柔軟性は、リスク情報に基づいたアプローチを用いることで、必要な安全レベルを維持しなければならない。
  • NDAからだけでなく、国防省、ブリティッシュ・エナジー(BE)社や病院・研究機関のような非原子力産業で生ずる廃棄物のための適切な処分ルートを確保する。NDAは、様々な非原子力及び原子力産業の要望を考慮に入れる必要がある。
  • NDA以外の商業運転者も、非原子力産業特有の廃棄物やより放射能の低い低レベル放射性廃棄物の管理において役割を担うべきである。これには、政府からの助言や廃棄物計画についての責任に関連した地方機関の考えを考慮した上で、低レベル放射性廃棄物処分場の必要性の評価を行うことを含む。
  • 低レベル放射性廃棄物のより広い定義に合わせるため、極低レベル放射性廃棄物の定義を改訂する。

また、同ニュースリリースでは、今回の低レベル放射性廃棄物の長期管理に関する協議では、以下の3点について主に公衆から意見を求めることも示されている。

  • 必要な安全レベルが維持されると仮定し、様々な低レベル放射性廃棄物の管理に、より大きな柔軟性が必要であるか。
  • 原子力廃止措置機関(NDA)が、NDAの廃棄物を管理及び処分する際に、NDA以外の原子力及び非原子力産業の要求を考慮するべきであるか。
  • それぞれの地域で発生する非原子力産業から発生する低レベル放射性廃棄物の管理のために、地方機関が大きな役割を持つべきであるか。

環境・食糧・農村地域省(DEFRA)のウェブサイトで公表されている書簡では、協議終了後、寄せられた意見を公開するとともに、意見の分析が実施され、要約版が出されることととなっている。この分析結果は、最終的な低レベル放射性廃棄物の長期管理に関する政策文書及び支援文書の作成の際に考慮されることが示されている。協議文書では、その後、政策文書及び支援文書は、議会等に提示され、既存政策を置き換えることとなるとしている。

【出典】

  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)2006年2月28日付けニュースリリース、http://www.defra.gov.uk/news/2006/060228a.htm
  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)公開協議に関する書簡、http://www.defra.gov.uk/corporate/consult/radioactivity-llw/letter.htm
  • A public consultation on policy for the long term management of solid low level radioactive waste in the United Kingdom(公開協議、協議文書)2006年2月28日

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )