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《スウェーデン》SKB社のRD&Dプログラム2004に対する政府決定が出される

スウェーデン政府は、2005年12月1日、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2004年9月に公表していた「研究開発実証プログラム2004」(RD&Dプログラム2004)に対する政府決定を発表した。政府は、SKB社のRD&Dプログラム2004を原子力活動法に定める原子炉所有者の責務を満たすものであると評価し、研究開発を継続する条件を満たしているという結論を示している。なお、政府は、今回の政府決定において、エストハンマル及びオスカーシャム自治体からも要望のあった処分場閉鎖後の責任の所在について、国の責任を明確に示す法案を国会に提出することを検討していることを示している。

SKB社は原子力活動法の定めるところにより、3年毎に処分事業等の全般にわたる計画書を、規制機関の原子力発電検査機関(SKI)に提出し、所定の審査を受けなければならない。このためSKB社は、この計画書に当たるRD&Dプログラム2004を2004年9月にSKIに提出した。SKIは、放射線防護機関(SSI)、大学、研究機関、関連自治体、環境団体等からRD&Dプログラム2004についてのコメントをとりまとめ、独自の評価結果とともに2005年6月に政府に提出した。また、RD&Dプログラム2004は、独立した評価機関である放射性廃棄物国家評議会(KASAM)によっても評価され、その結果が2005年6月に政府に提出された。SKI及びKASAMとも、RD&Dプログラム2004が原子力活動法の要件を満たすものであると評価していた。

原子力活動法では、このような3年毎に行われるRD&Dプログラムの審査に関連して、研究活動の継続に必要な条件を設定できることが定められているが、RD&Dプログラム2004に対する政府決定では、そのような条件を設定する理由は見いだされなかったと述べられている。また、政府は、 RD&Dプログラム2004に対する政府決定の中で、以下の項目についての見解を示している。

活動計画

原子力発電検査機関(SKI)、放射線防護機関(SSI)、放射性廃棄物国会評議会(KASAM)は、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が RD&Dプログラム2004において取り上げている活動計画に関して、更なる改善を重ねていくべきとの見解を示している。政府は、SKB社がこれらの関係機関及び自治体との対話を通じて、活動計画を更に発展及び改訂していくことを希望する。

廃止措置

SKIは、SKB社が、原子力発電所の廃止措置に関する問題についての活動を強化し、その成果を次のRD&Dプログラム2007において示すべきであるとしている。また、SSIは、原子力発電所の解体に伴って発生する大量の低レベル放射性廃棄物の処分をどのように実施するつもりであるか明らかにすべきであるということを指摘している。政府は、これらの点において同様の見解である。

長寿命・低中レベル放射性廃棄物

SKI及びSSIは、長寿命・低中レベル放射性廃棄物の処分場の設計を明確化し、RD&Dプログラム2007において説明する必要性を示している。政府は、SKB社が、原子力発電所の多くが解体されるまで長寿命・低中レベル放射性廃棄物の処分を待つ理由を見直すべきであると判断する。

社会科学研究

SKB社が、RD&Dプログラム2004に社会科学研究を自ら取り入れたことをSKI及びKASAMは肯定的に評価しており、政府もまた同様に捉えている。しかし、政府はSKIと同様に、社会科学研究の成果が、環境影響評価の過程においてどのように使われるのか、また、SKB社の他の研究分野にどのように役立つのかを説明すべきとの見解である。

代替処分方法

SKI及びSSIは、環境法典に基づく審査の前に、SKB社が放射性廃棄物処分に関して選択可能な方法について明確に示し、それらの比較を安全評価の方法によって実施する必要があることを示している。政府は、今後ともSKB社が、RD&Dプログラムの中で放射性廃棄物管理において採用可能な方法に関する技術的な発展を見守ってゆくべきであると考える。


【出典】

  • 放射性廃棄物の管理及び処分方法に関する、社会科学研究を含む、研究開発実証計画(RD&Dプログラム)2004に対する政府決定

(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-10 )