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《ドイツ》連邦政府が将来のエネルギー政策における重点項目を公表-放射性廃棄物処分が重要な課題であることを明示

ドイツ連邦政府は、2011年6月6日、連邦政府プレスリリースにおいて、原子炉閉鎖に関する規定を盛り込んだ原子力法改正案を国会に提出することを明らかにするとともに、将来のエネルギー政策に関する39項目の重点課題を公表した。重点課題の一つとして、連邦政府は「放射性廃棄物処分は原子力を利用する現世代が解決すべき課題である」との認識を明らかにした上で、発熱性放射性廃棄物1 の最終処分場に関連する法案を2011年末に提出するとしている。
具体的に、将来のエネルギー政策に関する重点課題においては、発熱性放射性廃棄物の最終処分場としての適性を判断するために実施されているゴアレーベン・サイトでの探査活動 、アッセⅡ研究鉱山の廃止措置について、以下のことが示されている。

  • 発熱性放射性廃棄物の処分:ゴアレーベン・サイトについて、結果を先取りすることのない探査活動を推進する。また、ゴアレーベン・サイトでの探査活動と並行して、最終処分場としての適性を判断するための一般的な地質学的な選定基準、及び実行可能な代替処分オプションを確定するための手続きを検討する。そのため、連邦政府は、2011年末までに法案を提出する。
  • アッセⅡ研究鉱山の廃止措置:核燃料税による歳入を、アッセⅡ研究鉱山の廃止措置に充当することを検討する。

また、同日の2011年6月6日に、連邦政府は、2022年までに全ての原子炉を閉鎖し、再生可能エネルギーや省エネルギーなどの推進を含めた、将来のエネルギー政策の見直しを閣議決定した。

連邦環境・自然保護・原子炉安全省のプレスリリースによれば、連邦政府は、東京電力・福島第一原子力発電所の事故を受けて、1980年代に運転を開始した原子炉を停止するとともに、2010年秋に決定していた既存の原子炉の運転期間を平均で12年延長する政策も凍結した。また、連邦政府は、既存の原子炉について、原子炉安全委員会(RSK)に安全性のチェックを実施させるとともに、2011年4月に「安全なエネルギー供給のための倫理委員会」(以下「倫理委員会」という)を設置して、将来のエネルギー政策に関する見解を取りまとめるよう諮問した。2011年5月16日に、RSKは「国内の原子炉は洪水等の外部事象に対して堅固である」とする安全性のチェック結果を報告した。また、2011年5月30日に、倫理委員会は「今後10年以内に原子力から撤退し、エネルギー供給の転換を図ることは可能である」とする最終報告を行っている。今回の将来のエネルギー政策に関する連邦政府の決定は、これらの報告を踏まえて行われたものである。

なお、倫理委員会の最終報告において、放射性廃棄物処分は原子力からの撤退という路線に関係なく重要な課題とした上で、特に、発熱性放射性廃棄物の処分に関して以下を勧告している。

  • 極めて厳格な安全要件に基づいて、回収可能な方法を用いて処分を行うことを勧告する。これによって、国内で最終処分サイトとしての適性調査を行う対象地域が、ゴアレーベンだけでなく、拡大されることになる。ただし、国内で発生した放射性廃棄物を自国内で最終処分するという点は変わらない。

【出典】

  1. 注:わが国の高レベル放射性廃棄物に相当する。 []

(post by j-nakamura , last modified: 2023-10-11 )