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《英国》原子力廃止措置機関(NDA)が戦略報告書のドラフトを公表

英国の原子力廃止措置機関(NDA)は、2005年8月11日に、戦略報告書ドラフトをウェブサイトで公表するとともに、一般からの意見募集及び公開協議を行うことを発表した。NDAによると、意見募集は2005年11月11日を期限としており、その後、戦略報告書ドラフトに対する政府の承認を2006年3月末までに得なければならないとしている。また、NDAは、寄せられた意見を斟酌し、NDAの戦略に反映するかもしくは反映しない場合にはその理由を説明すること、全ての意見とそれらに対するNDAの回答を記録し、ウェブサイトで公表するとしている。なお、NDAは、英国の公的部門における原子力遺産と称される過去の原子力債務についての管理を行う機関として、2005年4月1日から活動を開始している

原子力廃止措置機関(NDA)の戦略報告書ドラフトでは、NDAの戦略が以下の項目ごとに示されている。

  • 廃止措置及びサイトのクリーンアップ
  • 廃棄物管理
  • 商業施設の操業及び資産
  • 核物質管理
  • 競争原理の導入及び契約
  • 技能、研究・開発及び適正実施のための改革
  • 廃止措置及びクリーンアップのための資金確保
  • 社会・経済的発展

また、同戦略報告書ドラフトにおいて廃止措置及びサイトのクリーンアップに関しては、20の対象サイトの各々に対する廃止措置の戦略、スケジュール及び費用が詳細に示されている(既報を参照)。対象サイトの内、ドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場については、170万m3の廃棄物が処分され、処分場が2050年に閉鎖された後、最終的には2150年にサイトが閉鎖される計画となっている。ドリッグ処分場の操業費を含むライフサイクル・コストの総額は、13億ポンド(約2,574億円)と見積られている。また、セラフィールドに関しては、セラフィールド再処理工場(THORP)の操業が2011年に終了し、2150年にサイトを閉鎖する計画となっている。セラフィールド・サイトの再処理工場及びMOX燃料加工工場の操業・廃止措置等を含むライフサイクル・コストの総額は、315億ポンド(約6兆2,370億円)と見積られている。(1ポンド198円として換算)

さらに、戦略報告書ドラフトでは、上記のそれぞれの項目に対して、主要な課題と原子力廃止措置機関(NDA)の方針を示している。以下では、廃棄物管理及び資金確保に関して示されている主要な課題とNDAの方針を示す。

<放射性廃棄物管理>
主要な課題 NDAの方針
高レベル放射性廃棄物(HLW) セラフィールドにおいて発生する多量の液体及びガラス固化されたHLWをどのように管理するか。 NDAは、契約者が規制機関による液体HLWの減量目標を満たすようにさせる。
中レベル放射性廃棄物(ILW) 最終管理方法が検討されているILWの中間貯蔵をどのように正当化すべきか。 政府が、ILWの長期管理に関する放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の勧告に関して早期に決定を下すように促す。 一方、潜在的な経済規模を考慮に入れ、集中及び分散型の中間貯蔵のオプションを評価する。
低レベル放射性廃棄物(LLW) 増加するLLWをどのように処分し、処分費用を減らすか。 ドリッグ処分場の将来的な受入能力は限られており、廃止措置等で発生する全ての廃棄物を受け入れることができない。 政府に対して、新たな、より柔軟性のあるLLW処分能力を用意することを検討するように促す。 2006年4月から、ドリッグ処分場とドーンレイに提案されているLLW処分場について、管理・操業に競争原理を導入する。 ドリッグ処分場以外のより良い解決方法があるかどうか検討する。
<資金確保>
主要な課題 NDAの方針
資金の必要性 2002年には、操業、廃止措置及びクリーンアップの費用見積りが480億ポンドであったが、2004年には560億ポンドに増加した。 2005年秋に将来に対する資金の必要性がどのようなものか明確にすると同時に、サイト間での資金の割り当てに関しても考慮する。このプロセスで決まった負担費用を10%削減する。
廃止措置及びクリーンアップのための資金 安全や環境を損なわずに、サイトの操業と廃止措置及びクリーンアップの間でバランスを取った支出をする。 実際の廃止措置及びクリーンアップのために、毎年少なくとも10億ポンドを使用するという目標を立てる。(実際に廃止措置及びクリーンアップ活動に使う資金を増やす。)
優先付け サイト内、サイト間での資金の割り当ての優先付けをする。 優先付けの過程でどのように資金を使うことが最適であるか決定する。

ブリテイッシュ・エナジー(BE)社は、同社の2005年8月11日付けのプレスリリースで、NDAの戦略報告書ドラフト及び公開協議に対して歓迎する意向を示すとともに、今後の公開協議に積極的に関与していくことを示している。

【出典】

  • 原子力廃止措置機関(NDA)のウェブサイト、http://www.nda.gov.uk/Our_Business–Strategy_-_Draft_for_Consultation_(782).aspx?pg=782
  • ブリテイッシュ・エナジー(BE)社、2005年8月11日付けのプレスリリースhttp://www.british-energy.co.uk/article.php?article=92

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )