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《ドイツ》モルスレーベン処分場の廃止措置に関するBfSの計画書等を公開

ドイツの連邦放射線防護庁(BfS)は、2009年10月21日付のプレスリリースにおいて、2009年10月22日よりザクセン・アンハルト州農業・環境省(MLU)が、モルスレーベン低中レベル放射性廃棄物処分場(ERAM、以下「モルスレーベン処分場」という。)の廃止措置に関するBfSの計画書等の資料を公開することを発表した。計画書等は、BfSが2005年9月に計画確定手続(詳しくは こちら)のために、手続を所轄するザクセン・アンハルト州農業・環境省(MLU)に提出していたものである。プレスリリースによると、計画書等は2009年12月21日まで公開され、閲覧することが可能であり、その間に計画書等に対して異議申し立てを行うことができるとされている。

プレスリリースによれば、モルスレーベン処分場は、原子力法に基づいて廃止措置が行われる初めての処分場となることから、将来の処分場にとって先駆的役割を持つものとされている。現在、BfSは、この旧鉱山の安定化を図るために、2003年から放射性廃棄物が定置されていない領域に、岩塩・コンクリートを充填する作業を行っており、この作業は今後数ヶ月で完了するとしている。

また、計画書等の公開期間中に提示された異議申し立てについては、異議申し立て者との公開討論などが行われ、許認可官庁であるMLUにより審査される。これらの手続きを経て、最終的にMLUがモルスレーベン処分場の廃止措置に関する計画確定を決議することになる。BfSは、計画確定手続に基づいてモルスレーベン処分場の廃止措置が許可された場合、廃止措置の完了までに15~20年の期間が必要になるとしている。

なお、モルスレーベン処分場は、廃止された岩塩鉱山であり、旧ドイツ民主共和国(旧東ドイツ)の所轄官庁によって選定・許可されて1981年に操業が開始された低中レベル放射性廃棄物の処分場である。1990年10月の東西ドイツ統一によりモルスレーベン処分場の権限がドイツ連邦共和国に移管され、BfSが操業者となった。BfSは、2000年6月末までの操業許可を得てモルスレーベン処分場の操業を継続していたが、1998年のザクセン・アンハルト州上級行政裁判所の決定を受け、同年にモルスレーベン処分場の操業は停止された。その後、BfSは、安全性の問題から2001年に最終的にモルスレーベン処分場での放射性廃棄物の処分を断念した。モルスレーベン処分場には、1998年までに、3万7,000m3の低中レベル放射性廃棄物が処分されている。

【出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)、2009年10月21日付プレスリリース、
    http://www.bfs.de/de/bfs/presse/pr09/pr0934.html
  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)ウェブサイト、モルスレーベン低中レベル放射性廃棄物処分場(ERAM)
    http://www.bmu.de/atomenergie_ver_und_entsorgung/endlagerung/morsleben/doc/36634.php
  • 連邦放射線防護庁(BfS)ウェブサイト、モルスレーベン処分場に関する年表
    http://www.bfs.de/en/endlager/morsleben.html/Stilllegung.html

【2010年8月17日追記】

ドイツ連邦議会は、2010年8月13日付のプレスリリースにおいて、原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物処分の費用に関する連邦議会資料を公表し、この中でモルスレーベン処分場の廃止措置の費用見積を明らかにした。連邦議会資料によれば、モルスレーベン処分場の廃止措置については、2009年までに6億2,400万ユーロが支出されたこと、及び2010年から2035年までに14億2,300万ユーロの費用が発生する見込みであるとしている。

【追記部出典】

(post by j-nakamura , last modified: 2023-10-11 )