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《米国》ユッカマウンテン関係書類の一部に問題が発覚-米国地質調査所職員の書類改ざんが判明

米国のエネルギー長官は、2005年3月16日のニュースリリースにおいて、高レベル放射性廃棄物の処分場建設が予定されているユッカマウンテン・プロジェクト関係の業務を行っていた内務省管轄の地質調査所(USGS)の職員が、書類の改ざんを行っていた事実が判明したことを明らかにした。この書類は、エネルギー省(DOE)と原子力規制委員会(NRC)の品質保証プログラムの一部として必要とされているもので、水の浸透と気候関係のコンピュータ・モデルに関するものである。このニュースリリースは、エネルギー長官の声明として出されている。

本声明によれば、改ざんの事実は、許認可支援ネットワーク(LSN、詳細はこちら)の準備作業において、USGSの職員が書類を改ざんしたことを示唆する、複数の電子メール(期間は1998年5月から2000年3月)をDOEの管理・操業契約者が発見したことで発覚した。DOEは、この書類およびデータについての科学的調査を開始しており、レビューの過程においてこれまでの作業の一部でも不完全であると判明した場合には、適切な品質保証基準に適合するような分析および書類で補充または置き換えられる予定としている。また、当該個人の行った作業の全てについて、徹底的な調査を実施していることも明らかにされた。

また、本声明では、DOEはUSGSとネバダ州にも通知するとともに、最近4年間に行ってきた品質保証改善が今回と似た状況の再発防止に十分であるかの評価を開始したことが示されている。さらに、プロジェクト関係者に対して品質保証手続の重要性を改めて強調する予定としている。エネルギー長官は、ユッカマウンテン・プロジェクトに関連する作業の一部が改ざんされていた可能性のあることに強い不快感を示すとともに、本件についてDOEの監察官による徹底的な調査を命じている。

本声明の最後には、処分場安全の分析のための確かな科学的基盤と放射性廃棄物の安全な取扱いおよび処分は、政府およびDOEの最優先事項であること、全ての関連する決定は従来も今後も確かな科学に基づくものであること、また、米国にとっての処分場の必要性は変わらないため、今後もネバダ州民の安全確保を大前提として目標達成に向かっていくことが示されている。

【出典】

  • 連邦エネルギー省(DOE)プレスリリース
    (www.energy.gov/engine/content.do?PUBLIC_ID=17629&BT_CODE=PR_PRESSRELEASES&TT_CODE=PRESSRELEASE)

【2005年4月4日追記】

2005年4月1日、連邦議会下院行政改革委員会の連邦組織・職員小委員会委員長はプレスリリースを公表し、対象の電子メールの一部を公表した。電子メールでは、品質保証用に改ざんしたファイルを別に用意する等、改ざん行為を示す記述が見られる。なお、本件については、4月5日に下院の同小委員会、4月7日には上院エネルギー・天然資源委員会でヒアリングが予定されている。

下院連邦組織・職員小委員会委員長プレスリリース(2005年4月1日)

【2005年4月8日追記】

2005年4月6日、エネルギー省民間放射性廃棄物管理局(DOE/OCRWM)は、本件についてのメッセージと作業計画をウェブサイトに一旦掲載したが、その後削除されており、掲載した作業計画が最終決定前のもので時期尚早であった旨のメッセージを掲載している。この作業計画では、監察官(IG)による違法行為調査に加えて、申請関連の情報への影響についての内部調査、プロジェクト管理・品質保証等についての独立調査委員会を設置しての調査について、報告期日も含めた作業計画が示されていた。
また、2005年4月4日の追記で示した下院小委員会でのヒアリングが2005年4月5日に予定どおり実施されたが、今回の追記時点では議事録は公開されていない。なお、4月7日に予定されていた上院委員会でのヒアリングは中止されている。

・エネルギー省民間放射性廃棄物管理局(DOE/OCRWM)ウェブサイト情報(2005年4月6日~7日)(www.ocrwm.doe.gov)

【2005年6月29日追記】

2005年6月6日に開催されたNRCとDOEとの四半期管理会議において、改ざんは、基本的な地下水浸透解析の結果に変更を与えるものではなく、サイト推薦書や準備中の認可申請書の技術的根拠を損なうものではないとのDOEによる予備的調査の結論が示された。

NRC/DOE四半期管理会議(2005年6月6日):DOE発表資料(※約8MBとファイルサイズが大きいのでご注意下さい)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )