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《韓国》中低レベル放射性廃棄物処分施設の誘致地域支援に関する特別法案が議会で可決

韓国産業資源部(MOCIE)は2005年3月2日付けのプレスリリースで、韓国の第252回臨時国会において、政府が提出した中低レベル放射性廃棄物処分施設の誘致地域支援に関する特別法案(以下「地域支援特別法案」という。)が本会議で可決されたことを発表した。同法案については、誘致地域に対する政府の支援意思を明確にすることを目的として政府内で準備が進められていたもので、法案の公開および意見聴取のための立法予告が2004年7月に行われ、2005年1月25日に国務会議(閣議に相当)で政府案として議決されていた。

今回の地域支援特別法の大きな特徴としては、今までのサイト選定過程で地元住民が要求してきた経済的支援についての法的な根拠の付与、政府が昨年から重きを置いて進めてきた透明かつ民主的な手続きに関する規定の盛り込み、中低レベル放射性廃棄物処分施設と使用済燃料中間貯蔵施設の分離・推進に関する2004年12月の原子力委員会の決定の立法化などが挙げられる。政府は同法について、これまでのサイト選定の推進過程での地元住民との約束を包括的に反映し、政府の確固たる意思を示すことにより、信頼性向上および処分施設の誘致を希望する地域のコンセンサス形成にも大きな影響を与えるものとして位置付けている。

同法の主な内容は以下の通りである。

  • 地域経済の活性化および雇用増への貢献を念頭に置いた、特別支援金(3,000億ウォン程度(約286億円)と推定)支給、廃棄物の搬入手数料(50~100億ウォン程度(約5~10億円)と推定)の導入、および韓国水力原子力株式会社の本社移転の明文化。(特に特別支援金の支給対象については、施設から5km以内に位置する地方自治体に加え、その他の市、郡、区の邑、面、洞にも拡張可能。)
  • 誘致地域に対する支援事業に係る事業費を確保し、これを合理的に運用するための特別会計、国公有財産の貸付、国の補助金の引き上げ、住民の優先雇用など、地域発展に向けた特例制度の導入。
  • 使用済燃料関連施設が、中低レベル放射性廃棄物処分施設の誘致地域に建設されることを禁止する規定の明文化。
  • サイト選定手続きにおいて住民投票を法的に義務付け、選定計画、サイト調査結果、選定過程などの全過程について透明性を確保して進め、地元住民向けの説明会、討論会の開催を義務付けることにより、民主的な手続きを保証。

産業資源部は、今回の地域支援特別法の国会での可決で確保された経済性、安全性、手続きにおける民主性をもとに、地域住民、市民団体および各界の有識者の意見集約を通じて、民主的かつ透明性のあるサイト選定手続きを設定し、処分施設がスムーズに建設できるように事業を進めていく方針としている。

【注】
韓国の地方自治体としては、広域自治体(ソウル特別市、仁川などの6つの広域市、道)とその下に基礎自治体(市(シ)、郡(グン)、特別市及び広域市の自治区(グ))があり、この基礎自治体の下部行政単位として邑(ウプ)、面(ミョン)、洞(ドン)がある。ここでの地方自治体は基礎自治体を指す。

【出典】

  • 産業資源部(MOCIE)プレスリリース、2005年3月2日
  • 産業資源部(MOCIE)プレスリリース、2005年1月25日
  • 産業資源部(MOCIE)プレスリリース、2004年7月12日
  • 中低レベル放射性廃棄物処分施設の誘致地域支援に関する特別法
  • (post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )