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《英国》放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)が管理検討段階の第1段階を終了-第1段階活動報告書と第3四半期プログラム進捗状況を発表

英国の放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、5段階で構成される活動プログラムのうちの第1段階を2004年9月末に終了し、その活動結果についての報告書を2004年10月15日にウェブサイトで発表した。この報告書では活動プログラムの段階をこれまでの5段階から4段階に減らすことも示されている。CoRWMは、政府に対して放射性廃棄物の長期管理オプションに関する勧告を行う責任を有するものとして2003年に環境・食糧・農村地域省(DEFRA)などが設置した機関である。CoRWMは、2006年に政府への管理方針の勧告を行うため、2003年11月から活動を行っており、その進捗状況は定期的に環境担当大臣1 に報告されている。

CoRWMは、活動プログラムの第1段階を「第2段階以降に向けた準備」として位置づけ、2004年3月から9月まで活動を行った。今回の第1段階報告書では主に以下の項目について報告がなされている。

  • CoRWMの意思決定プロセスについての暫定報告
  • 長期管理が必要とされる放射性廃棄物の最終的なインベントリについての暫定報告
  • CoRWMが考慮すべき管理オプションについての暫定報告
  • CoRWMが最適なオプションを選択するための基準についての予備調査結果
  • 管理オプションを評価し、最適なオプションを選択するための包括的手法についての予備調査結果
  • CoRWMの作業に必要な情報の特定方法と情報の関連性や信頼性の確保方法
  • 公衆の意見を反映した管理オプション検討のための枠組策定についての予備調査結論
  • CoRWMの活動プログラムの第3、第4段階における公衆と利害関係者の関与方法
  • CoRWMの活動プログラムの第2、第3、第4段階
  • 結論

CoRWMは今後の進展に対応するためにも活動プログラムに柔軟性を持たせるべきであると環境担当大臣に対して述べてきており、今回の報告書では、これまでの状況の変化を示し、プログラムで予定されていた活動内容を多数変更している。CoRWMは、第1段階で得られた知見にもとづき、これまで5段階構成としてきた活動プログラムをより効果的なものにするため、4段階へと変更した。また、第1段階においては、第2段階から最終段階までの各段階におけるプログラム内容詳細を決定する予定であったが、第2段階についてのみ詳細を決定し、第3、第4段階については概要を示すにとどめている。

新たに提示された第2段階の活動プログラム内容は以下の表の通りである。第3段階における活動内容については、2004年10月から2005年1月にかけて詳細に検討されることになっている。また、第4段階では、第3段階での検討結果をもとに、放射性廃棄物管理オプション評価結果報告書が準備され、政府への勧告が2006年7月に行われる予定である。

段階 活動プログラム内容 期日
(第2段階)
放射性廃棄物管理オプション検討のための枠組策定と管理オプション候補リスト作成

中間報告項目

  • 廃棄物管理オプション検討のための枠組
  • 管理オプションの評価基準
  • CoRWMの意思決定プロセス
  • 廃棄物インベントリ

最終報告項目

  • 放射性廃棄物管理オプション評価手法
  • 管理オプションの選別基準
  • 廃棄物管理オプション候補リスト
  • 第3段階の詳細プログラム
2005年6月
(3月)*

*)期日の欄の括弧内は、2004年6月時点の活動プログラムにおいて提示されていた期日

また、CoRWMは2004年10月11日付で、2004年6月から8月における活動についての進捗状況を第3四半期報告書としてウェブサイトで公表している。

今回公表された第3四半期報告書によると、CoRWMの情報収集活動に関しては、第2四半期に引き続き、原子力施設や関連機関への訪問などを行ったとのことである。具体的には、ケースネス州ドーンレイを訪問し、英国原子力公社(UKAEA)や地元組織・住民との会合を持ったり、ブリティッシュ・エネジー社や多くの政府諮問委員会から放射性廃棄物管理についての意見を求めるなどであった。同報告書ではCoRWM内の各ワーキング・グループの活動内容なども示されている。

さらに、同報告書では、委員長が任命された2003年7月以来、CoRWMの活動に要した費用総額が約130万ポンド(約2億5,350万円、1ポンド=195円で換算)であることが報告されている。この費用の内訳は以下のとおりである。

  • 委員への報酬、交通費、雑費=34万ポンド(6,630万円)
  • 公衆・利害関係者の関与手法の開発・テスト費=25万ポンド(4,875万円)
  • 公衆・利害関係者関与のためのウェブサイトの開発・保守費=12万ポンド(2,340万円)
  • 放射性廃棄物管理や公衆・利害関係者の関与についての海外事例などの研究・情報収集費=17万ポンド(3,315万円)
  • 活動プログラム設計、プロジェクト管理についての忠告など、専門家による支援費=25万ポンド(4,875万円)
  • 委員会公開のための調整・宣伝費などの委員会開催費=8万ポンド(1,560万円)
  • 委員が即時に情報を入手、交換できるようにするためのパソコンなどのIT関連費=1万6千ポンド(312万円)

【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)のウェブサイト、http://www.corwm.org.uk、2004年10月
  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)、第1段階報告書、http://www.corwm.org/PDF/CoRWM%20Phase%201%20report%20Final.pdf
  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)、第3四半期報告書、http://www.corwm.org/content-229、2004年10月
  1. 環境担当大臣とは、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)大臣、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各行政府における環境大臣とされている。 []

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )