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《フランス》国家評価委員会(CNE)が第4回評価報告書を公表

国家評価委員会(CNE)がフランスにおける放射性廃棄物等の管理に関する調査研究の進捗状況等の評価について取りまとめた第4回報告書が、2010年6月16日に行われた議会科学技術選択評価委員会(OPECST)によるCNEへのヒアリングを経て公表された。

2006年に制定された放射性廃棄物等管理計画法 の規定により、CNEが同評価を毎年行い、取りまとめられた報告書は議会に提出される。議会は同報告内容の審議をOPECSTに付託し、OPECSTによる審議の後に、同報告書は公表されることとなっている。2007年6月に第1回評価報告書 を取りまとめて以降、CNEは毎年報告書を取りまとめており、今回の報告は第4回目となる。なお、前回の第3回報告書は、2009年6月に公表されている。

CNEが取りまとめた第4回報告書の「要約と結論」によれば、地層処分に関して次のような評価結果が示されており、OPECSTはCNEへのヒアリングの翌17日のプレスリリースにおいて、本評価報告により、地層処分や核種分離・変換に関する研究の進捗状況を確認することができたとして、CNEの活動を評価する旨を伝えている。

  • 放射性廃棄物の国家インベントリ策定の取組により 、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による地層処分場設計で考慮されるべき地層処分対象となる放射性廃棄物量の予測が可能となっている。これらの統計情報等に基づきANDRAは、処分場設計における規模について、その裕度の妥当性を示すことが要求される。
  • 地層処分場の設置に向けた詳細な地下の調査を行う区域(ZIRA)1 の決定 に関して、ANDRAから政府に提出された報告書は、科学的な質の高さ、及び将来の処分場設置における地質学的基準の点で、十分に満足なものであった。
  • カロボ・オックスフォーディアン粘土層における長期拡散実験により、放射性核種の封じ込めに関する同粘土層の優れた特性が確認された。一方で、人工構築物の経時的変化および処分の可逆性に対する安全性への影響を予測するうえで必要不可欠となる、同粘土層の熱水力学的挙動に関する有効なモデルの構築が必要とされる。
  • 2009年以降、ビュール地下研究所に隣接して設置された技術センターでの活動により 、処分技術に関する研究成果が得られているが、中レベル放射性廃棄物パッケージの多様性も念頭に、処分孔の幾何形状とこれらの廃棄物パッケージに関する更なる標準化が望まれる。
  • 可逆性のある地層処分場の設計オプションの開発がANDRAにより実施されているが、長期的な受動的安全を確保するために、処分場が最終的に密閉されるという処分場本来の目的を再認識する必要がある。処分場の開放期間の長期化により、シーリング材の密閉効果に悪影響が生じるようなことがあってはならない。
  • カロボ・オックスフォーディアン粘土層の封じ込めに関する研究により、その優れた性能が徐々に確認される一方で、地下人工構築物の設計オプションが安全性に及ぼす影響に関する研究にも同様の注意が向けられなければならない。操業時の安全性、処分の可逆性、及び長期的な受動的安全との間に相互矛盾があると思われる場合には、長期的な受動的安全が最優先されるべきである。
  • 地層処分場の観察・監視プログラムについて、その広範さや多様性が認められる。更に、このプログラムと、処分場の熱・水・応力及び化学的挙動に関するモデリング活動全体との間に密接な関係を構築する必要がある。
  • 様々なオプションに対応する処分費用は、設置許可申請等の諸段階において行われる議論の重要な要素となる。オプションの採用においては、原子力安全機関(ASN)によって策定された安全指針 に従って、処分場の放射線影響を合理的に達成可能な限り低いレベルに維持することを可能にすることが肝要になる。地層処分費用の水準、構造、及び計算方法に関する詳細な情報がCNEに定期的に提供されることが求められる。

【出典】

  1. Zone d’Intérêt pour la Reconnaissance Approfondie []

(post by emori.minoru , last modified: 2023-10-11 )